「藝人春秋」水道橋博士 文藝春秋社 平成24年12月刊
著者はたけし軍団の一人。浅草キッド(玉袋筋太郎との漫才コンビ)で売り出し、現在「たかじんNOマネー」のレギュラーコメンテーターなどを務める。
そのまんま東、甲本ヒロト、石倉三郎、草野仁、古舘伊知郎、三又又三、堀江貴文、湯浅卓、苫米地英人、テリー伊藤、ポール牧、爆笑問題、松本人志、稲川淳二、について、人物の行動報告をする。
まず、使われている比喩の言葉が古舘伊知郎に匹敵するくらい多彩である。これだけでさすが藝人と思わせる。勿論師匠であるビートたけし(北野武)への賛辞がいたるところに散りばめられている。
それが少し鼻につく。触れるならもっと「藝人らしさ」について、描写して欲しかった。、そのほか児玉清にも触れている。
しかし、それぞれの藝人のユニークさをまじめに、しかも面白く描いている。
取り上げている15人のうち、甲本ヒロト、三叉又三以外は皆知っている人間だが、マスメディアを通じて作られているイメージとは全く違う側面が語られている。しかもそれは直接インタビューしたもの、触れ合った体験を語ったもので、接近感が緊密である。
それぞれが、精一杯生きていて、そこにそこはかとなく哀愁や虚勢を感じさせながら、生きている状況をうまく書き分けている。
私には石倉三郎、ポール牧、の藝人然とした側面が好きになった。別の意味で「いじめ問題」に言及している爆問の大田光と石原慎太郎とのやり取りたけしの見解は考えさせられた。
環境や他人のせいにすることからは、何も前進できない、と三者は自分の言葉で語っているのだが、これはまっとうな見解だと思う。
「お笑い侮るべからず」。正月早々楽しい本に巡り会えた。
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