池波正太郎著「食卓の情景」新潮文庫を読んだ。
これは、美味いもの巡り、グルメ本の範疇ではない。
文化時評に属するエッセイではないか。或いは文士の交遊録、生活日誌に近いも
のだ。
鬼平犯科帳、剣客商売、仕掛け人藤枝梅安、などの池波シリーズに登場する、物を
食べる場面がいかにも美味しそうである。実際、藤枝梅安に出てくる鍋を真似て家内に
作ってもらったら、とてもうまい。アサリとわかめを薄いだし汁に入れ、大根の
千切りを入れただけのシンプルなものだがとても美味しい。以降我が家では「梅
安鍋」と称し、定番メニューとなった。
そこでこの本を読んでみた。昭和55年に書かれたものだが、食に関わるエッセイ
は、古さを感じさせない。食材、調理法、盛り付け、などに徹した料理話ではなく、池波氏
の幅広い交友関係、その店の有り様の評価が主である。
著者はそれぞれのお店についての清潔度、気配り、店員の働きぶり、店主・女将
の客あしらい、値段の妥当性、などについて評価し触れている。
勿論作家らしく、この店との関わりを背景にして、一緒に訪ねた人の描写も抜か
りない。何を食べたかも、うまさの根源ではあるが、現実には「誰と食べたか」
が楽しさの根源であることを著者はちゃんと知っている。
また作家としての仕事は夜半から明け方に及ぶのだが、夜食や仕事の終に一杯やるのは自分で調理するのだろうか。昼間の散歩のおりに、商店街で食材を買ってくるのも、彼自身である。
それにしても、彼はよく飲む。必ずと言っていいほどビールか日本酒が食事につ
いている。一日に二度三度、食事の度に飲む。小説にも「心付け」をはずむ場面と「酒」を飲む場面が頻繁にでてくるのはむべなるかな、と思わせる。
これは、美味いもの巡り、グルメ本の範疇ではない。
文化時評に属するエッセイではないか。或いは文士の交遊録、生活日誌に近いも
のだ。
鬼平犯科帳、剣客商売、仕掛け人藤枝梅安、などの池波シリーズに登場する、物を
食べる場面がいかにも美味しそうである。実際、藤枝梅安に出てくる鍋を真似て家内に
作ってもらったら、とてもうまい。アサリとわかめを薄いだし汁に入れ、大根の
千切りを入れただけのシンプルなものだがとても美味しい。以降我が家では「梅
安鍋」と称し、定番メニューとなった。
そこでこの本を読んでみた。昭和55年に書かれたものだが、食に関わるエッセイ
は、古さを感じさせない。食材、調理法、盛り付け、などに徹した料理話ではなく、池波氏
の幅広い交友関係、その店の有り様の評価が主である。
著者はそれぞれのお店についての清潔度、気配り、店員の働きぶり、店主・女将
の客あしらい、値段の妥当性、などについて評価し触れている。
勿論作家らしく、この店との関わりを背景にして、一緒に訪ねた人の描写も抜か
りない。何を食べたかも、うまさの根源ではあるが、現実には「誰と食べたか」
が楽しさの根源であることを著者はちゃんと知っている。
また作家としての仕事は夜半から明け方に及ぶのだが、夜食や仕事の終に一杯やるのは自分で調理するのだろうか。昼間の散歩のおりに、商店街で食材を買ってくるのも、彼自身である。
それにしても、彼はよく飲む。必ずと言っていいほどビールか日本酒が食事につ
いている。一日に二度三度、食事の度に飲む。小説にも「心付け」をはずむ場面と「酒」を飲む場面が頻繁にでてくるのはむべなるかな、と思わせる。
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