内館牧子「すぐ死ぬのだから」講談社 2018年刊
義姉から回ってきた本だが、実に痛快なフィクションであった。横綱審議委員として時折TVに登場してはいたが、あんまり印象に残るコメントは残していなかったように思うが、フィクションでもあり、思い切り言いたいことをぶつけている。
外形の若さに生きがいを見出す主人公、大人しい商売一途の夫にも恵まれ、子どもたちにもそれなりに恵まれ幸せな余生を送る。
順風満帆と思われた終末が、急逝した夫の死後急転する。
傍若無人な長男の嫁に腹を立てていたのだが、石部金吉のような夫になんと隠し女がいたということだ。そこから葛藤は始まる。実の子供とのやり取り、浮気先の子供との奇妙な関係、年相応に大人しくという発想はなく、自分の生き方「外形の若さに磨きをかける」を基本に生き抜く。
ドロドロベタベタした生き方を捨て、自分の生き方を徹底するんは見事であり、痛快である。見事に後期高齢者へのエールを送っている。梅雨空を吹き飛ばす痛快なフィクションであった。お薦めである。
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