遅いことは猫でもやる

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玉石混淆

2017-10-11 05:01:23 | 

原宏一「天下リ酒場」祥伝社2000年~2002年刊、「床下仙人」祥伝社H11年刊、「佳代のキッチン」祥伝社H22年刊

「ヤッさん」の原宏一の短編集。はっきり言って「佳代のキッチン」の他は玉石混淆の短編集である。

前2冊は標題から奇妙だと分かるように、(「新奇想小説」という副題がついているほどだ)あるべくもない、役人が居酒屋に天下りしてきたり、新興住宅の床下にホームレスになったサラリーマンが住みついて住人とうまくやってゆく、などという奇想天外のストーリーだ。

ここまでくると強権付会というか、こじつけというか少し無理筋だが、作者の人間信頼に基づく優しさがそれを救っている。持参の食材でお好みの料理を調理するという奇妙な商売、調理屋を営む主人公佳代が両親を探して日本中を駆け巡る、「佳代のキッチン」はそれなりに一貫性がって面白い。

この著者の面白さはあるべくもない舞台設定のなかで、人情味あふれる人と人とのふれあいが展開するところだろうか。ただ舞台設定に無理があるせいか、いずれも6,7篇の短編からなるが、中にはいただけないものも交じる。

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