話題の映画64(ロクヨン)を見に行ってきた。前後編合わせて4時間の大作である。演じる俳優女優も佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、三浦友和など実力派を配している。
64とは7日間しかなかった昭和64年に起きた誘拐事件の符牒である。横山秀夫の傑作警察小説の映画化であるが、やはりこの題材は表現が難しかったのだろう。個人と組織だけでなく、新聞記者と警察広報、中央と地方、刑事畑と警務畑、キャリアとノンキャリア等様々に対立する要素と事件解決の捜査とが複雑に絡み合い、その細かい心理描写が緊張感を高めていたのだが、それを映像化するのはかなり困難のようだ。原作には少し及ばないなというのが率直な感想だ。
原作を読んでいたから理解が及ぶ、といった場面がかなりあったと思うのだが、それでも役者の演技力に救われている部分が多々ある。田舎の映画館にしてはかなり入りが良かった。久しぶりに映画館に入ったが、その効果音や音楽の音響の良さにあらためて惚れ込んだ。
64について言えば、まず見て損のない映画だと思う。それでもどちらかと言うと前編のほうが緊張感があったというのが私の感想である。