遅いことは猫でもやる

まずは昔メールした内容をひっぱってきて練習...
更新は猫以下の頻度です。

お知らせ

Twitter で更新情報が観られます。やってる方はこちらからフォローどうぞ。
http://twitter.com/gaiki_jp

権力の実態

2013-12-04 09:56:46 | 



若杉 冽「原発 ホワイトアウト」講談社刊 2013年発行

原発事故を巡って繰り広げられる、日本のエネルギー政策、権力構造の実態について、現役官僚が描く、政財官の癒着構造の実態である。小説としてはもう一歩の構成力だとは思うが、権力の相互利用構造は迫真の描写である。
東大法学部、公務員一種合格の現役キャリア官僚が書くだけあって生々しい。官僚の権力を動かす仕組み、財界の誘導など見事に描いている。

司馬遼太郎が歴史のリアル追求だとしたら、小説の形をとってはいるがこれはまさに現在進行している政界、財界、官界の姿であろう。原子力発電がなぜ、これほど執拗に再稼働を目論むのか誰が主導なのか、を見事に描いている。
しかも、機密保護法の危険性、恣意性を暗示させる。現在でもまかり通っている検察、官界の裁量が更に野放図に拡大してゆくことが容易に予測できる。

事実よりも事実らしい現実を描いて、暗然とした思いだ。おそらくこれが現実の日本なのだろう。是非とも読んでいただきたい一冊である。