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池波正太郎記念文庫

2011-06-04 11:54:13 | 行ってきました

案内パンフレット


東京に行った折、ちょっとした時間を見つけて、池波正太郎記念文庫に行ってき
た。台東区立中央図書館(生涯学習センター)の一階に併設されている。

あの鬼平犯科帳、剣客商売、仕掛人・藤枝梅安の人気シリーズが生み出された背景をほんの少しでも見ておきたいといった興味からである。

池波正太郎は大正12年に浅草で生まれ、一時浦和市に疎開したがその後、根岸へもどり、そして再び浅草に住む。「自分の故郷は、上野、浅草だ」と言っているように、この界隈が好きである。

彼は先物取引所、株屋の店員を経て軍隊へ。戦後は都の職員となり、長谷川伸に師事し、新国劇の脚本などを手がける。以降「錯乱」で直木賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞、等を受賞。67歳でなくなった。子供の頃両親が離婚、転校もした。色々な修羅場の境遇が彼の人間観察力を育んだのだろう。

彼は、食・映画・芝居・旅と人生の四つの分野に興味を示し、活躍もした。絵心もあった。彼が演出に関与したであろうという映画監督の人物集は30人以上にのぼり、幅の広さに驚く。この記念館(撮影禁止が残念であった)には1000点近い著書の他、書斎の再現、万年筆・絵筆などの遺愛品、自筆原稿などが収納されている。彼の絵も展示してある。

江戸古地図に、鬼平犯科帳、剣客商売、藤枝梅安シリーズに出てくる地名や活躍場所をプロットしてあり、梅安の居宅、鬼平の役宅と自宅、相棒岸井左馬之助と通った道場、使った茶屋/料理屋などの位置がわかるのが興味深かった。

執筆机の周りは案外整然としており、必要なものが手に届く範囲に収められてい
る感じだ。そうでなければ、各シリーズがこんがらがってしまうのだろう。

それにしても多作である。鬼平シリーズ「誘拐」の三章を書き終えたところでな
くなり、未完のままで終わっているが、ざっと四十年で1000点、年約20~
25点は驚異的である。

また先日読んだ藤沢周平の「漆の実のみのる国」は童門冬二の「上杉鷹山」の底
本だと思っていたのが、掲示してある年表により、童門冬二のほうの作品が先に発表されており、私の勝手な思い込みであったことも分かった。

池波作品ファンには一度訪ねられることをおすすめしたい。am9~pm8時開
館(日祝は5時)定休日は第三水曜日他である。