溝口健二監督の映画をまたまたNHK-BSが放映してくれた、タイトルは「山椒大夫」。
ともかく画面が綺麗、といってもモノクロ・スタンダードで色も無ければCGも無い、モノクロ映画でこれほど画面の造りに感動したのは「天井桟敷の人々」以来。
ひょっとしたら昔の方が今よりも撮影技術が優秀だったかも知れない。
原作は森鴎外の代表作らしいが、はずかしながら今まで知らなかった。 (かろうじて「安寿と厨子王」の名前だけは何とか知っていたが)
物語は極めてシンプルで感動的。
平安貴族の父親が逮捕されることで一家が離散、主人公は奴隷となるが逃走に成功し、不思議な縁で貴族に帰り咲いて、
奴隷時代の主人をやっつけて、最後は体が不自由になった母親と再会して終わる。
と、このアラスジは「ベン・ハー」と良く似ている、でもともに原作の時代からして相互の影響は考えられないから、これは偶然。
この映画の制作時(昭和29年)は世の中が左傾化していた頃と思われ、主人公が声高に人権宣言みたいなものを発するのが少し違和感を感じる。
知っている役者は”進藤英太郎:山椒大夫”と”香川京子:安寿” のみ、もしこの映画が名画座に掛ったら是非もう一度観てみたい。
香川京子の子供時代は、榎波恵子という女優で、この頃多くの作品に出ていました。
大きくなってからは辞めてしまったようです。
厨子王は、花柳章太郎の子の花柳貴章で、あまり上手くありませんでしたね。
香川京子という女優は私的にはやはり「モスラ」です。それと確かにこの主人公はあまり印象に無いですね。