1953年(昭和28年)公開の「戦艦大和」をPCで観た。
これが実に良く出来ていて、昭和28年という時代で新東宝とかいう映画会社これだけでも遠い昔の映画。
とは言っても昔のTV放映で見たことのあるシーンも結構あった、俳優陣を含む製作人のほとんどが従軍経験があったろうから軍隊表現に現実感がある、物語の質も良い。
「明治天皇と日露戦争」とこの「戦艦大和」を新東宝二本立てで名画座興行したら是非行ってみたいと思う。
どうしても2005年製作の「男たちの大和」と比較したくなるが、特撮(CG)以外はすべて、つまりは映画の出来は1953年製の方が圧倒的に良いと思う、その一番の原因は作り手側の戦争経験だろうと思う。
最近の戦争映画「日本の一番ながい日」とか「山本五十六」などは一度見ると二度と見る気が起きない、作り手側の媚(こび)が見え隠れする。
さて戦争実体験は当方にも無いが、身近の大人たちからは武勇伝とか殴られた話とかを良く聞かされた。小さな頃、父親に町に連れて行ってもらうと傷痍軍人と称する軍服姿の松葉杖の人たちがデパートの前でアコーデオンを弾いているのを見た記憶もある。(今となっては本当に見たのか後からの刷り込みなのかは分からないが)
また学校では先生が授業中に息抜きに戦争経験の話も良くした。(こういう趣向は結構受けていた)
・南方ではバナナが食いほうだいだった。(子供の頃はバナナは超高級品だった、一本を兄弟で分けて食べた時代)
・スピンドル油で天ぷらを揚げて食ったら猛烈な下痢をした。(数学の高尾先生だったか)
・隣家の爺さんからは「家族制度を壊して日本の国を壊したのは進駐軍の仕業だ」←今の右翼と同じことを言っていた。
・兄の友人の父親はシベリア抑留の途中の列車から脱走して実家に戻ったとか。
・私の父も戦後のドサクサで兵営から逃げ出して家に憲兵が来たとか。
さすがに片田舎だったんで進駐軍の所業の話は聞いていない、でも子供の頃はゼロ戦や隼や大和や長門や伊号とかタイガー戦車とかともかくそんなものに憧れた、ミッドウェー海戦は魚雷を爆弾に換装などしなければ勝てたとか、あの戦争は惜しくも負けたが力道山が仇を取ってくれてるとか結構信じていた。
一方で少年漫画の世界では「紫電改のタカ」「忍者部隊月光」「大空のちかい?(加藤隼戦闘隊)」「ゼロ戦レッド」「ゼロ戦太郎」ともかく戦争漫画全盛で、漫画雑誌には小松崎茂氏のイラストで戦艦大和やゼロ戦の仕組みやらが図示解説されていたし、プラモデルでは第二次大戦の航空機や戦車や戦艦は定番だった、ともかく結構身近な存在としての戦後があった。
一応戦争を知っている世代と言えるだろうと思う。
さていつまで観れるか分からないが、ここで。
ただ、作り手はそうだったとしても、見る側はかなりに好戦的映画としてみたようです。
私の父も、見に行って興奮して帰って来たとのことです。
因みに父は、役職から戦争に行っていません。
1970年頃までの戦争映画はたいたいか反戦テーマだった様におもいます、文学もですが。
そして勇まましい戦いや兵器に憧れたもんでした。
でも最近の 喉元過ぎたら熱さ忘れる 風潮にはげんなりします。