この映画「ソイレント・グリーン」、もはや古典的SF映画それも名作。
良いか悪いかは別にして’思い入れ’というのがあってこの映画なんかはまさしくそれ、というのもこの映画が公開された1970年代当時は熱狂的なSFファン(実はSF以外は読まなかった)で、数少ないSF映画だったこれは当然ながらリアルタイムで劇場で観てそれなりに評価していた映画、例えば多くの人たちが高い評価を与えている「ブレード・ランナー」なんかよりは断然上だと思っている。
加えてE・G・ロビンソンと言う名役者の遺作となったこと、等々。
<内容>
2022年の近未来(1970年公開当時からは50年後)で殺人捜査に当たる刑事(ヘストン)が、人間ブックと呼ばれる情報探査担当者(ロビンソン)とコンビを組んで、事件の背後の社会の不条理とか暗部に迫る、、、
そして情報探査担当者とは聞こえが良いが、物知りの年よりが交換所と称する図書館モドキの場所で情報を得たりその場の同じ様な立場の者(皆年寄り)と情報交換するといったもの。
この時代は人があふれ職や食料が不足し、人並みな生活ができるのは一部の富裕層で普通の人々は何を楽しみに生きているのかさえ分からない社会。
この映画のクライマックスは、E・G・ロビンソンの臨終のシーンで見せられるクラシック音楽の「田園」や「ペール・ギュント」を背景に見せられる田園風景だと思う、これに続くドタバタはおまけ。
つまりはこのドラマの世界では失われた風景が臨終に際して初めて見せてもらえるという残酷さ、この社会の暗部を見事に表現していると思う。
そしてヘストンが殺人現場からくすねたレタスやらリンゴを芯までうまそうに食べるシーン、これも見事に背景社会を表現していると思う。
ただ特殊効果は少々プア。
この1970年代のヘストンはB級と言われるSF映画に数多く出演している「猿の惑星」「オメガマン」それに本作、一方でエドワード・G・ロビンソンは「十戒」でのデイサン役で悪役ぶりを発揮した役者として記憶しているが往年の名優らしい。
なお2015年公開映画の「トランボ」では赤狩りにあって転向した人物として描かれている。
ロビンソンもヘストンももはや故人、そしてSF映画とはCGを駆使したドタバタ劇になり果てて、時代は変わった。