HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

ヴィレッジ

2005年08月22日 | 音楽・映画・本
私の夏休みはもう終わってしまったんだけど、この夏休み中に必ず観ようと思っていたのが『ヴィレッジ』。本当は映画館で見たかった。でも、時間が作れず、やっとDVDが出た今ごろ観ることに。この映画の監督であるシャマラン監督の作品で有名なのが『シックス・センス』。これはある意味恐い映画ではあるけれども、なぜか心にじ~んとくる。ゆえに恐い映画が苦手な私も好きになってしまう映画だった。そんな作品を作る彼だから、『ヴィレッジ』に多いに期待してしまうわけだ。

おそらく、観終わった人たちには賛否両論あるだろうね。でも、私はやっぱり好きだった。実は私は森というものにすごく惹かれる。といっても日本にあるような森ではない。というか、日本にある森は山の途中のような場所が多く、私の思い描く森とはちょっと違う。私が惹かれる森はイギリスやフランスのように平たんな場所に突然表れる深い森。どこか無気味で、なにかがそこにいそうだけど、吸い込まれてしまいそうだけど、魅惑的な森。

実はイギリスには妖精伝説がたくさんある。それは森から生まれたものが多い。シェークスピアの作品の『真夏の夜の夢』もそんなところから生まれた。絵画にもいっぱいなっている。私は幼い頃からそういう妖精の世界が好きだった。だから、クイーンが好きになったのかもしれない。クイーンの初期の作品には妖精ものがよく登場する。なぜならフレディが妖精の物語が好きだったからだ。ファーストアルバムに入っている「マイフェアリーキング」という曲はまさにそんな雰囲気の曲で、私はこの曲からいろんなイマジネーションをかきたてられた。そして、いつかイギリスの森の中で、背の高い木々に囲まれて、空が上の方に小さく見えるような場所で上空を見上げて目がくらくらしそうになりながら、この「マイフェアリーキング」を聴くという妙なことをしてみたいと思い始めた。そして、イギリスにいって、それはスコットランドではあったけど、一度だけ森の奥ではなく、ちょっと入ったところで実践してみた(笑)実際は、奥まで入る勇気はなかった。だって、現実は妖精より人間の方が恐いものね。

あの森の中でのトランス感・・・それが『ヴィレッジ』でもよく描かれていた。森を抜けると忽然と表れる村。日本でも山道を奥に入っていって、突然表れる村ってあるよね。私のところから車でいくとそういう場所がある。

話はそれたけど、この映画を観ていて、どこか「嵐が丘」を思い出した。あとで解説を観たら、シャマラン監督の愛読書だというのがわかった。この「嵐が丘」はイギリスの女流作家エミリー・ブロンテの作品で愛想劇が世代を渡って繰り広げられる情念の話。幽霊なんかも出てきたりする。なのに文学として気品のある作品だ。この作品で描かれるイギリスの自然風景。それが私を虜にした。それは小学5年の時。たまたま京都の行きつけの小さな本屋さんで、本を読むのが好きだった私は「何かおもしろそうな本がないかな~」って本を探していた。そこで目についたのがこのタイトル「嵐が丘」・・・なんかすごく惹き付けられた。CDでいうジャケ買いみたいなもんで、タイトル買いをしたわけ。作者の名も初めて知ったんだけど、読み始めてどんどん引き込まれていった。そして生涯忘れられない本になった。

彼女には姉がいて、名をシャーロット・ブロンテという。そう彼女も作家で「ジェーン・エア」という本が有名だ。彼女たちの作品はどちらも何度も映画化されている。もちろん作者はずいぶん昔の人で私たちが生まれるよりずっと昔にこの世を去っている。特にエミリーの方は病弱ですごく若くして亡くなった。でも、彼女はイギリスの自然をそしてヒースという花の咲き誇る草原を愛した。私はその愛を作品からすごく感じて、絶対にヒースの丘に行こうとその11才の時に誓った。そして大人になって、そのブロンテ姉妹が実際に住んでいた家や想像力をめぐらしたヒースの丘にも行った。その「嵐が丘」の舞台になった場所に立った。そこではエミリーの魂がまだヒースの丘を見守っていたのかもしれない。その場に立って私はなんか泣きそうになった。あまりにもヒースの咲く草原はきれいだったから。でも、ヒースは向日葵みたいな明るい花ではなく、むしろ小さくて地味で可愛げのない紫色の花だ。ラベンダーの花と似ているかな~いや違うかな~(言葉で表すのは難しい)

私にとっての一番のイギリスのイメージはブロンテ姉妹が描く、やや暗めの質素でありながら、自然がすべてを支配するようなイギリスであり、それを私は愛している。

「ヴィレッジ」はアメリカの話なんだけど、その村の雰囲気はそのイングランドのイメージと重なる。映画全体の映像もきれいで、アメリカの画家ワイエスの風景画を彷佛させる。私はこのワイエスの絵もイギリスの美術館で結構観た。ゆえにその印象が深く残っていて、この映画を観て、なんか懐かしく思えた。

そうそう出ている俳優人もすごい。ウイリアム・ハートは私の好きな俳優の一人だ。かつて「蜘蛛女のキッス」という映画で同性愛者役を演じて賞を総なめにしたことがあるけど、この映画はすごく心に残る映画だったな~。「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディも出ている。他にも観た事ある人が多い。

最後に私がKATE BUSHを知るきっかけになったのも彼女の曲に「嵐が丘」というのがあったからだ。そしてKATEはまさに私のイメージするイギリス人なんだ。この「嵐が丘」のPVをチャンスがあったら是非観てほしい。白いドレスでパントマイムをしながら踊り続けて、ドレスのまま側転していく彼女・・・それだけなのに幻想的・・・とても美しい人だから。もちろん今はもう40代の後半だろうな~。今度12年ぶりぐらいにアルバムが出るらしい。イギリス人にとって、彼女はとても大事なアーティストでもあり、好きな人が多い。ブロック・パーティのように最近のバンドでも彼女のことが好きだ。

とにかく「ヴィレッジ」はその映像だけでも見る価値はあると思う。
コメント
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