1月7日(日)晴れ【長い散歩】
明日は友人たちが遊びに来てくれるので、朝から料理の仕込みで大忙し。大きな鍋一杯の煮物やら、芋汁やら大根の煮物を仕込んだ。明日はこれに天ぷらを揚げればよいので思いきって映画を観に夕方から出かけた。
プレイガイドでなんとなくタイトルに引かれて購入してしまったのが『長い散歩』だった。買った後でインターネットで調べたら、奥田瑛二監督による作品とわかった。奥田については『千利休 本覺坊遺文』の本覺坊の役や、『深い河』でガンジス河のガート(沐浴場)で死体を運んでいる男の役を演じた役者としては知っていたが、監督をしていたことは知らなかった。映画好きとはいえ、この頃は一年に一本観るかどうかなので、そのへんの事情は全く疎くなっている。
さらにこの映画の上映時間が136分と出ていたので、止めようかと思ったり、やはりプレイガイドで切符を買うものじゃないと反省したりしていていた。しかし今日をはずすともうチャンスはないし、行こうと決めて渋谷のQ-AXシネマに急いだ。
行って良かったです。前置きが長くて恐縮でしたが、この映画は推薦します。是非チャンスを作ってご覧下さい。やはり映画は素晴らしいし、この映画は素晴らしい。
校長の職を定年退職した安田松太郎、妻はアルコール依存症で死んでもういない、娘はあまりに厳格な父に反抗して家を飛び出している。そんな松太郎の手にはかつて仲の良い家族であったときの写真が一枚残されている。その写真の裏には「おーい君 おーい天使、おーい青い空 松太郎」と書かれてあった。
松太郎が一人移り住んだアパートの隣には、母親に虐待されている5歳の少女、幸がいた。幸はまだ幼稚園に通わせてもらえていた頃、お遊戯で使ったダンボール製の天使の羽根をいつも背中に背負っている。虐待され続けた少女は頑なに心を閉ざしてしまっていた。
ある日母親の情夫にからかわれていた幸を助けた松太郎は、幸を連れて旅にでることを決心する。目指す場所はかつて家族と共に行ったあの写真の場所である。松太郎と幸の旅は始まる。だんだんに心を開いていく幸、幸に癒されていく松太郎。人との交流は年齢も越え、関わりも越え、お互いがお互いを必要としていた。人間としての優しさや信頼を取り戻すための松太郎と幸の旅であった。
山間の地で同じく旅の青年ワタルと出会う。彼も幸の顔に笑顔を呼び起こしてくれた。楽しい3人の旅。しかしそれは長くは続かなかったのである。心に深い悲しみを抱いていた青年の旅は死出の旅だったのだ。ある朝、彼は自ら命を絶つ。そして松太郎には幼女誘拐の捜査の手が伸びてくる。
郡上八幡や美しい中津川の風景がこの旅を見守ってくれている。松太郎は緒形拳、幸は新人杉浦花菜、そしてワタルの役は透明感のある青年松田翔太、故松田優作さんの子息。エンディング・テーマは陽水の「傘がない」、但し歌手は違う声であった。この映画にぴったりの声であった。映画が終わってもしばらく誰も席を立たなかった。「行かなくちゃ、君に会いに行かなくちゃ」エンディングの声が耳に余韻を残していた。
幼児の虐待や、自殺者の多いこの頃、全ての人に観てもらいたい映画だと思った(いや、ワタルの死が美しすぎて自殺願望の人には危険かもしれない)。競争社会を駆け抜けてきた私と同じ世代の人たちも定年を迎えるが、家族の絆をあらためて縛り直すためにも一見の価値があるだろう。生きるとは、と問うとき、そこに感動させられる優れた映画に出会えることは幸せなことだ。
*映画の中で奥田が演じる刑事が「みんな生きることに行きづまっているんだな」というような台詞を言っていた。それを何とかしなくては自殺も幼児虐待も減らないだろう。
*今日は好きな料理を楽しんで、好きな映画を観ることができて、楽しいお正月休みでした。一年続けばよいだろうと思っていたブログですが、もう少し書き続けさせていただきます。今年は週末管理人にだけなる予定ですので宜しくお願いいたします。
明日は友人たちが遊びに来てくれるので、朝から料理の仕込みで大忙し。大きな鍋一杯の煮物やら、芋汁やら大根の煮物を仕込んだ。明日はこれに天ぷらを揚げればよいので思いきって映画を観に夕方から出かけた。
プレイガイドでなんとなくタイトルに引かれて購入してしまったのが『長い散歩』だった。買った後でインターネットで調べたら、奥田瑛二監督による作品とわかった。奥田については『千利休 本覺坊遺文』の本覺坊の役や、『深い河』でガンジス河のガート(沐浴場)で死体を運んでいる男の役を演じた役者としては知っていたが、監督をしていたことは知らなかった。映画好きとはいえ、この頃は一年に一本観るかどうかなので、そのへんの事情は全く疎くなっている。
さらにこの映画の上映時間が136分と出ていたので、止めようかと思ったり、やはりプレイガイドで切符を買うものじゃないと反省したりしていていた。しかし今日をはずすともうチャンスはないし、行こうと決めて渋谷のQ-AXシネマに急いだ。
行って良かったです。前置きが長くて恐縮でしたが、この映画は推薦します。是非チャンスを作ってご覧下さい。やはり映画は素晴らしいし、この映画は素晴らしい。
校長の職を定年退職した安田松太郎、妻はアルコール依存症で死んでもういない、娘はあまりに厳格な父に反抗して家を飛び出している。そんな松太郎の手にはかつて仲の良い家族であったときの写真が一枚残されている。その写真の裏には「おーい君 おーい天使、おーい青い空 松太郎」と書かれてあった。
松太郎が一人移り住んだアパートの隣には、母親に虐待されている5歳の少女、幸がいた。幸はまだ幼稚園に通わせてもらえていた頃、お遊戯で使ったダンボール製の天使の羽根をいつも背中に背負っている。虐待され続けた少女は頑なに心を閉ざしてしまっていた。
ある日母親の情夫にからかわれていた幸を助けた松太郎は、幸を連れて旅にでることを決心する。目指す場所はかつて家族と共に行ったあの写真の場所である。松太郎と幸の旅は始まる。だんだんに心を開いていく幸、幸に癒されていく松太郎。人との交流は年齢も越え、関わりも越え、お互いがお互いを必要としていた。人間としての優しさや信頼を取り戻すための松太郎と幸の旅であった。
山間の地で同じく旅の青年ワタルと出会う。彼も幸の顔に笑顔を呼び起こしてくれた。楽しい3人の旅。しかしそれは長くは続かなかったのである。心に深い悲しみを抱いていた青年の旅は死出の旅だったのだ。ある朝、彼は自ら命を絶つ。そして松太郎には幼女誘拐の捜査の手が伸びてくる。
郡上八幡や美しい中津川の風景がこの旅を見守ってくれている。松太郎は緒形拳、幸は新人杉浦花菜、そしてワタルの役は透明感のある青年松田翔太、故松田優作さんの子息。エンディング・テーマは陽水の「傘がない」、但し歌手は違う声であった。この映画にぴったりの声であった。映画が終わってもしばらく誰も席を立たなかった。「行かなくちゃ、君に会いに行かなくちゃ」エンディングの声が耳に余韻を残していた。
幼児の虐待や、自殺者の多いこの頃、全ての人に観てもらいたい映画だと思った(いや、ワタルの死が美しすぎて自殺願望の人には危険かもしれない)。競争社会を駆け抜けてきた私と同じ世代の人たちも定年を迎えるが、家族の絆をあらためて縛り直すためにも一見の価値があるだろう。生きるとは、と問うとき、そこに感動させられる優れた映画に出会えることは幸せなことだ。
*映画の中で奥田が演じる刑事が「みんな生きることに行きづまっているんだな」というような台詞を言っていた。それを何とかしなくては自殺も幼児虐待も減らないだろう。
*今日は好きな料理を楽しんで、好きな映画を観ることができて、楽しいお正月休みでした。一年続けばよいだろうと思っていたブログですが、もう少し書き続けさせていただきます。今年は週末管理人にだけなる予定ですので宜しくお願いいたします。
ただ、この時期映画館に行くのは流行性の病気をもらいそうなのでDVDになってからですね。
近頃、コンサートや映画館に行くことが無くなりました。理由は上に描いたようなことです。あとマナーの問題もありますし。
私の近頃のお勧めは、コーチ カーターです。実話にもとずく作品ですので、ぜひ一度ご覧ください。
長い散歩は少しファンダジーっぽい、綺麗すぎるきらいがあると今朝思いました。
酷評をする人もいるでしょうし、好きずきですので、うさじいさんには面白いかどうか興味あるところです。観たら感想を聞かせて下さい。