mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

うっかり出歩いてしまった

2020-08-14 10:30:44 | 日記

 昨日(8/13)、師匠のお誘いもあって東松山の武蔵丘陵森林公園へ足を運んだ。森林公園は師匠のホームグラウンドみたいなもの。私は7/19に所用があって行ったのだが、こんなに歩きどころがあるとは思わなかったので、面白いと思っていた。
 ひとつ誤算があった。一般道を通らずに、高速道を行った。一般道よりも30分ほど早く辿りつける。近頃は運転に神経を使わなくて済む高速道を走るのに好感を持っている。ところが、お盆休みに入ったことを忘れていた。9時過ぎというのに、早々と関越道の下り線は三好SA辺りから込み始め、なんと高坂SAまで渋滞であった。東松山ICで降りて目的地に着くまで、結局一般道を走ったときと同じ時間を要してしまった。若い人たちは、お盆でもなんでも、休みとなると、どっと繰り出す。田舎へ帰る人もいるだろうから、地元の年寄りがその中に割り込むことなんか、やめてほしいと言われるよね。ふだんならそう考えて、引きこもっているのだが、木曜日なんだからと軽く考えていたのが間違いのもとであった。
 
 ところが森林公園は7月のときよりも空いている。到着したころの気温は35℃。前日の大雨のせいもあってか、森はしっとりと湿っぽい。それでも緑の木陰が涼しく感じられる。舗装路を歩かず、給料の中央部を南北に貫く谷間を辿る。ほとんど人に出会わない。師匠はときどき立ち止まって、木や草の名前を教えてくれるが、右から左へと私の中を抜けていく。教えてくれた木や草の写真は(間に合わせの)カメラに収めるが、後でみると焦点があっていない。ピンボケの何十枚をみながら、まるで私の頭の中みたいと思った。霞がかかったようにボーっとしている。
 ただ私は、こういう森の気配の中に身を置いているだけで、うれしくなっている。汗ばむ身に虫が寄ってくるのをときどき帽子で払いながら、気温も5℃くらい低くなっているんじゃないかと思って、涼しいと感じている。
 向こうの茂みの中に三脚をつけたカメラが置いてある。んん? とよく見るとそこから5メートルほど離れたところに男が一人腕組みをして立っている。何を待っているんだろう。何をみているんだろう。師匠は蜘蛛や蝶、蜻蛉にも目を止め、これは巣をつくらない蜘蛛でね…と説明してくれる。あるいは、立体的な蜘蛛の巣というか、明らかに三次元を意識した蜘蛛の巣をつくるのもいる。これも、ふ~んと聴いてはいるが、名前が頭に残らない。収めた写真も、蜘蛛や蜘蛛の巣の背景の草木の葉がくっきりと映っていて、前景がぼやけている。
 
 前方上部に吊橋が現れた。そうだ、ここを渡ると「何とか広場」に出るのだったかと思い出して、吊橋の根方の方へ向きを変える。中学生らしい、ジャージ姿の男の子たちが別の通路から現れ、お喋りしながら吊橋を渡っていった。その向こうにあったのは「運動広場」であった。子どもたちが喜びそうなトランポリン様の遊具がある。7月のときは日曜日だったせいで、はしゃぐ声が響いていた。今日は、ポツン・・・ポツンと姿が見えるだけ。静かであった。
  中央レストラン近くの木陰でお昼にする。中学生がやってくる。小さな子ども連れの家族が立ち寄る。ニイニイゼミの声が落ちてくる。
「記念広場」に出る。前回来たときにもここを通ったが、「何の記念?」とさえ思わなかった。石垣が組まれ「お城でもあったのかしら」と師匠が行ったので、おや、なに? と埋め込まれた石碑を読んだ。「明治百年を記念して・・・昭和42年から7年余の歳月を費やして建設省が整備した」と、得意満面の「建設省」の顔が浮かぶ。そうか、50年前の大事業ってわけだ。「国立武蔵丘陵森林公園」と名を冠するのに、「建設省」がせせり出てくるってところが、昭和中期らしい匂いがする。
 そこから北西ゾーンに入る。水の流れる「渓流広場」も、コロナ対策のため「水遊び禁止」となっていて、子どもたちの姿も見えない。暑い陽ざしが照りつけている。
 
 「植物園」へ行き、その途中から泥沼の森へ下っていく。溜まり損ねた水の沼が広がる。回り込んで「←西口」へ向かう。二組だけ、ペアと水遊びをしてきたばかりの家族連れと出逢った。森は深い。カナカナゼミの声が加わる。ほんとうに静かな散歩道だ。大きく回り込んで西口近くから南口へ進路をとる。ここは舗装路。園内のバスがやってくる。3人乗っていて、なぜかホッとする。誰も乗らないと、運転手が無力感に襲われるんじゃないかと、脈絡なく思った。
 7月に歩いた野草コースに入る。師匠はここが気に入ったみたいだった。秋の七草の走りをみて、サラシナショウマとかツリガネニンジンやフシグロセンノウの、暑さ負けして終わりそうな気配をみた。
 
 こうして約4時間ほどを公園内で過ごし、駐車場に戻った。民営駐車場のお年寄りが「よく頑張ったねえ」と私の顔を見て褒める。ふと、「明治百年記念」ということを思い出して「いいところですね。50年も前なんですね、できたのは」と挨拶をすると、「いえね、ここの土地を購入するのが大変でしてね。なにしろクニのやることだから安い。当時は高度成長期で、土地が値上がりするって言われていたからね。」と昔話をする。ついでに「土地代で95%事業費は片づいた。あとは整備って言っても、たいしたことをしたわけじゃなくてね」と、辛らつだ。元気にして、またお出でと分かれた。
 
 高速に懲りたから一般道を浦和へ戻ってきた。ところが、浦和に入るころにピカピカド~ンと雷が響く。烈しい雨が降り注ぐ。車には落ちないって平然と走っていたが、そのうち、水溜りに入り込んだら大変と気遣うようになった。低いところで、対抗車が大きく水を跳ね上げて、視界を遮る。速度を落として、危険地帯を通過するように進む。傘を持ってきていないことに気づいたのは、家に着くころ。このところ、遊ぶとなるとそのことだけ。買い物となると、やはりそれだけ。一つことしか頭に入らなくなった。夕立が来るから傘を持っていくとかいうのは、フクザツすぎて適応できなくなっているのかもしれない。
 うっかり出歩くのもそう。肝に銘じなくちゃあ。


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