自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「2023 アレどうなった」⑤ 地球の沸騰化 対策の道筋

2023年12月31日 | ⇒ドキュメント回廊

   さきほど菩提寺で除夜の鐘をついてきた。寺では去年前から門徒や近所の人たちが自由に参加できる「プレ除夜の鐘」というイベントを行っている。勢いをつけて鐘をつくと、鐘の響きが全身を包むように伝わってきて、欲望や執念にかられた煩悩が払われたような気持ちになる=写真・上=。このプレ除夜の鐘は午後2時から2時間ほど行われた。そして本番の除夜の鐘は午後11時半から。大晦日の昼夜に2度鐘が鳴る。

   COP28「化石燃料からの脱却」は合意されたものの

   この1年を振り返ると、まずイメージするのは地球温暖化だ。ことしの夏は異常な暑さだった。8月31日、自宅近くの街路の温度計は37度だった=写真・下=。街を歩くと熱風に煽られた。金沢市の南に位置する小松市では8月10日に観測史上最高の40度を記録した。この日の気象台の石川県内11の観測地点がすべて35度以上の猛暑日となり、「熱中症警戒アラート」が飛び交った。体感したこの猛暑は石川だけでなく、日本全体、そして世界的な傾向だった。

   熱波が世界を襲っている様子をBBCニュースWeb版(7月16日付)は「Europe heatwave: No respite in sight for heat-stricken southern Europe」(ヨーロッパの熱波、暑さに苦しむ南欧にもう猶予はない)の見出しで伝えた。ギリシャでは7月14日に気温が40度以上となり、遺跡「パルテノン神殿」がある観光名所アクロポリスが一時閉鎖された。また、イタリアでは週末にローマ、ボローニャ、フィレンツェを含む16都市にレッドアラート(「死の危険」を意味する)が発令された。イタリアでは去年も熱波が原因で1万8000人の死者が出て、ヨーロッパでは最多だった。

   猛暑や豪雨などの異常気象をもらたしているのが地球温暖化だ。地球環境学者のレスター・ブラウンは著書『プランB3.0』(2008)で警告している。「温暖化がもたらす脅威は何も海面の上昇だけではない。海面温度が上昇すれば、より多くのエネルギーが大気中に広がり、暴風雨の破壊力が増すことになる。破壊力を増した強力な暴風雨と海面の上昇が組み合わされば、大災害につながる恐れがある」

   レスター・ブラウンの警鐘は現実となった。7月の暑さが記録的だったことから、国連のグレーテス事務総長は「the planet is entering an "era of global boiling"」(地球は沸騰化の時代に入った)と述べた。地球温暖化対策や温室効果ガスの削減に向けて世界は動き始めている。「国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)」が11月30日から今月13日までアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催され、「化石燃料からの脱却」という対策の方向性が初めて合意文書に明記された。「脱化石燃料」の実現に向け、各国がどのような目標を作成し、具体策を示すかがこれから焦点になる。

   COP28に出席した岸田総理は、2030年に温室効果ガスの46%削減、2050年までに大気中に排出される二酸化炭素を実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現など日本の取り組みについて演説した。岸田政権が打ち出しているのは原発の活用だ。ことし5月に築60年を超える原発の運転を可能とする法律「GX(グリーン・トランスフォーメーション)脱炭素電源法」を成立させている。そして、日本と真逆の政策に舵を切ったのがドイツ。原発をすべて停止し、風力や太陽光、そして石炭火力にシフトしている。

   来年も猛暑になるのか、二酸化炭素の排出は人類の煩悩の象徴ではないのか、などとつらつらと思いのままブログをしたため、2023年は暮れていく。

⇒31日(日)夕・金沢の天気     あめ


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