自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆大学とテレビ業界の接点

2005年07月13日 | ⇒キャンパス見聞
   決してもったいぶるつもりはないが、私たちスタッフの日常を紹介しよう。きょうはNHK金沢放送局の取材があった。内容は夏休み向けの「昆虫採集」のノウハウについて。ここ金沢大学「自然学校」の研究員N氏が取材を受けた=写真=。200㌶もある大学のキャンパスは里山の絶好のフィールドでもある。このエリアに576種類(コケ、シダを除く)の植物、キツネやタヌキなど21種類の哺(ほ)乳類、72種類の鳥類、そして1000種以上の昆虫が生息する。このフィールドを駆けめぐっているN氏は慣れたものだ。クワガタの出そうなところ、スズメバチに注意、ウルシの木には気をつけてと細やかな説明をポンポンと。

   私の同僚のK氏は自然学校の代表(教授)と午後から石川県立大学でのシンポジウムに出席。そして、事務スタッフのK嬢は近くの小学校で開かれている「自然教室」のサポートに。そして私はというと、7月19日に設定されている講義のための「収録」の打ち合わせ。この収録というのは番組ではない。金沢大学の「E-ラーニング」の教材作成のことである。

   もうちょっと詳しく説明しよう。授業は講義しながら板書する。ある意味で一過性である。この授業を授業ごとデジタル保存し、自宅学習や遠隔学習を可能にするのがこの「E-ラーニング」だ。具体的に手順はいくつかあるが、私のケースだと。予め原稿を用意しブースで映像と音声を収録する。その語りの映像を子画面にして、パワーポイントで作成した資料を音声に合わせて親画面にタイミングよく出していく。さらに私は映像資料を10分ほどつけた。19日は、収録したもの(DVD)を前段で学生に聞いて見てもらう。さらにひと捻りして、後半はゲストと私で掛け合いのトークをする。それをデジカムで収録してもらい、最終的にパッケージ(DVD)にする。もちろんこれはあくまでも大学の教材である。当日の私の授業のテーマは「マスメディアから見た極東ロシア」。

   近い将来、この「E-ランニング」が授業の一端を担うはずである。テレビ業界出身の私はここでふと気がついた。この作業は、テレビ業界で言えば「完パケ」なのである。業界の人なら、「E-ラーニング」という教材を作成するためには、どういう段取りで何が必要か、そのポイントは何かが一目で理解できる。つまり、教授の講義の収録をアナウンサーのナレーション録りだと思えばいい。パワーポントは字幕スーパーである。それにプラスして生の掛け合いや、VTRの挟み込みがあると考えれば、まさに番組の収録と手順や基本的な考え方は同じなのである。

   そして私はこんなズルイことも考えた。原稿さえあれば、何も教授がしゃべらなくてもよい。実際、カメラに向かうと恥ずかしがる人は多い。そこで淡々と話し、声の通る人を起用する。その教材を聞いた感想やリポートを実際の教授にメールで提出し、その理解度をチェックしてもらう、あるいは教授からの返信メールでアチーブメント(到達度)テストをして、単位認定の判断材料にしてもらうのだ。恐らくそんなことをすでに始めている大学もあるはずだ。いや、遅いくらいかもしれない。

   きょうのNHKの収録をきっかけに、大学とテレビ業界の共通点を考えているうちに、話の内容がどんどんと日常から反れてしまった。

⇒13日(水)午前・金沢の天気  曇り
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★勝負はついた

2005年07月12日 | ⇒メディア時評
  日本テレビがこの10月から会員制のホームページを開設し、1年以内に1万本以上の番組を有料配信すると、きょうの日経新聞が報じた。テレビ業界で今後の生き残り競争に誰が勝ち名乗りを上げるのかと言えば、これで勝負はついた、フジテレビの負け、日テレの勝ちである。

  ライブドアがニッポン放送株をめぐって争奪戦を繰り広げたのは、最終的にはフジテレビの番組コンテンツを取り込むためだった。それを、フジは逃げて逃げて逃げまくって、最終的には1400億円の対価をライブドアに払うことで折り合いをつけ逃げ切った。ところが、日テレは、ライブドアがやろうとしていたことを自ら打って出てやろうというのである。日テレがやろうとしている番組のオンデマンド配信はインターネットがこれだけ普及しブロードバンド化した現在、自然といえば自然な流れなのである。逃げるほうが不自然。これをきっかけには日テレはインターネット上での主導権を握ることができるのだ。

  新聞記事によると、会員100万人以上を確保する計画という。地上波放送で広告収入に依存してきたテレビの新たなビジネスモデルとして注目を集めることは間違いない。有料配信としたのは、USENの「GYAO」のようなCM収入になると地上波放送と競合し、ヘタをするとネットの部分のCMは地上波の「おまけ」になる可能性があったからだろう。それに、広告市場のパイの奪い合いをこれ以上激化させると、ローカル局にしわ寄せがいく可能性もある。

  仮に、この有料配信が不調に終わったとしても、損害は軽微だろう。フジの1400億円のことを思えば、である。株式も反応した。日テレの東証株価、きょうの終値はプラス580円、3.77%の上げだ。大いに好感したのである。

フジはきょう、上記の新聞記事を追いかけるようにして、インターネットでの自社の番組を有料配信を今月15日から開始すると発表した。フジの新サービスは、主要なネット接続サービス業者などと提携してサイト上にフジの特設コーナーを設け、録画した番組を提供する仕組みで、地上波放送で13日から中継する女子バレーの試合を試験サービスとしてスタート。全15試合を525円で視聴できるようにする。その後、当面はCS(通信衛星)放送向けに制作した番組を中心に、1番組当たり210円で提供という。しかし、業務提携したはずのライブドアはなぜか主要なネット接続サービス業者の中に入っていないのである。これがまた不自然さを感じさせるのだ。日テレのように「1年以内に1万本の映像コンテンツを」といった腰の据わった取り組みなのかどうか。

⇒12日(火)午後・金沢の天気  くもり
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☆「宮本武蔵」がやってきた

2005年07月10日 | ⇒キャンパス見聞
  金沢大学の五十周年記念館「角間の里」(再生古民家)にはいろいろなゲストが訪れ、そして言葉を残していく。この人の言葉も印象深い。大英博物館名誉日本部長のヴィクター・ハリス氏である。ハリス氏は日本の刀剣に造詣が深く、宮本武蔵の「五輪書」を初めて英訳した人だ。日本語は達者である。「この家は何年たつの?えっ280年、そりゃ偉いね。大英博物館は250年だからその30年も先輩じゃないか…」


  ハリス氏はアジア・スポーツ研究会の招きで9日、金沢を講演に訪れた。会場の「角間の里」のセミナールーム=写真・右=は板の間である。床の間には山水画の掛け軸がかかり、宮本武蔵を語る雰囲気としては最適だ。テーマは「日本人の身体文化~ものつくりと美意識~」。その講演内容を簡単に紹介しよう。大英博物館はその歴史の中で、少なくとも2回「日本買い」に入った。一度は、江戸時代から明治維新に時代が変わったとき。あと一回は太平洋戦争の日本敗戦の直後である。時代が変わると人々の気持ちや価値観も変わる、その時が「買い」なのだという。明治維新のときは刀剣や浮世絵、陶磁器など。終戦後は鎌倉、室町時代の仏像などだ。

  「一外交官の見た明治維新」の著者として知られるアーネスト・サトウは写楽の浮世絵のファンだった。日本で買い集めた40点を持ってイギリスに帰国した。大英博物館はその40点をそっくり500ポンドで買い付けた。そのように個人から買い集めた美術品や、2度の「買い」などに得たコレクションはざっと2万点、1990年には大英博物館に日本館が完成し、いまでは日本人ツアー客の人気コースとなっている。広い意味で言えば、日本の美術文化を紹介するショーウインドーがロンドンにあると思えばいい。

   ハリス氏は、「己(おのれ)」を作品に入れない自然体にこそ日本の美術の本質がある、という。日本の刀剣も、鉄を焼き鍛えた、つまり、熱と鉱物元素が融合した究極のフォルムがあの独特の「そり」なのである。焼物にしても炎と土と灰釉のなせる自然の美である。これは、剣の道にも通じていて、宮本武蔵が死ぬ1週間前に書き上げた五輪書にも、「無念無想」、あるいは目の前から「くもり」を払って見える「空の悟り」を得て、人は「無敵」となる、との内容が書かれてある。そして、剣の最高の技も究極の自然のフォルムに仕上がっている。この先人が切り拓いた「カタ」を体得する、これが剣の修行の確かな道である、と。

   質問に応じたハリス氏は最後に苦言を呈した。日本の剣道は精神文化の一つの行き着く先でもある。それを、国際的なスポーツにしようと意識する余り、勝ち負けという小さな世界に押し込めるのはいかがなものか、と。「ヨーロッパで剣道を始める人のほとんどは、勝ち負けを超えた、その精神性にあこがれて入門している」とも。ハリス氏の言葉には「日本人よ、もっと自信を持て」とエールが込められているようにも聞こえた。

⇒10日(日)朝・金沢の天気 くもり
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★クワガタにかまれる

2005年07月08日 | ⇒キャンパス見聞
    何十年ぶりだろうか、クワガタにかまれた。金沢大学角間キャンパスで「里山自然学校」の研究員のNさんが捕ってきたノコギリクワガタ=写真=が珍しく、写真に撮ろうと思って手に乗せたところ、親指をガブリとかまれた。N氏は「相手も必死なんですよ」と笑っていたが、写真でも分かるように、角にノコギリのような鋭いギザギザがあり、刺すような痛さだった。
ノコギリクワガタ 
   Nさんがクワガタを採取したのも、実はテレビ出演の依頼からである。夏が近づくと、どうしても夏休みが話題となる。そして、夏休みと言えば、昆虫採取など夏休みの宿題向けの話題が定番だ。そこで、早々とテレビ局から電話があり、「夏休みの企画向けにご協力お願いします。ついでに実物もお願いしますね」と依頼され、Nさんがさっそく収録用にと捕獲してきたというわけだ。とうわけで、私がかまれたのもめぐりめぐって言えば、テレビ局にかまれたようなものだ・・・。(「自在コラム」のメディア時評で、私はテレビ局の悪口ばかり言っている)

   今回も取り留めのない話になりそうだ。私をかんだノコギリクワガタを見ていると、映画「スター・ウォーズ」の悪役ダース・ベーダーにどこか似た感じがあり、「コイツめ」と思ってしまう。憎んではいない。むしろ、クワガタにかまれる「ぜいたく」を楽しんだのだ。50歳。それを「ぜいたく」と感じる年代に入ったともいえる。

【追記】 …と、書いてブログを午前中にアップロードした。すると、研究員のNさんからは、「宇野さん、かまれて『ぜいたく』と書いていたけど、かんだのはオスで、もしメスがかんでいたらもっと違った内容になったかもしれないね。メスがかむと本当に痛いよ」と。これには返事のしようがなかった…。

⇒8日(金)午後・金沢の天気   晴れ
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☆人生、ネジバナのように

2005年07月06日 | ⇒キャンパス見聞
   金沢大学の入り口は長い上り坂になっている。自転車をこぐか、汗をかきながら歩くので、これまで余裕がなく気がつかなかったのだが、車路と歩道の分離帯にネジバナが数本咲いている。ネジバナとはよく言ったものだ。まるでコイルが幹に絡まるように可憐な花をいくつもつけている。花はラン科で、なるほどよく見ると花の一つひとつが端整な感じがして美しい。愛好家の間では「小町蘭」と呼ばれているらしい。


   このネジバナをいろいろと調べて見ると、どこか人間臭くて面白い。公園や工事現場や分離帯には咲くくせに、鉢植えで栽培しようとすると意外と苦労らしい。ようするに、人の手で育てられるより、広場の直射日光が大好きなのだ。もう少し詳しく言うと、ラン科の植物を種から育てるにはラン菌という菌がないとうまく育たない。従って、新しい鉢に新しい土を用意してそこに種をまいても発芽しないのだ。さらに、ネジバナが植えてあるプランター内で種から発芽というのが最も確実だが、ネジバナは同種での密植を嫌う。スペースが限られたプランター内では数は育たないのである。しかも、虫がいないと受粉できない。手がかかる。

   この気難しさがかえって愛好家を刺激して研究せしめ、このような栽培方法が編み出された。ラン菌がないと発芽しないので、愛好家は同じラン科のエビネの親株の根元にネジバナの種をまく。発芽後、子苗の根がしっかりとラン菌を保有したら、親株の根元から掘り取って別の鉢に植え替えるという方法だ。人間で言えば、自立できるまでは親の元で育てるが、親と対立する傾向が強いので、早めに独立させる、というわけだ。ただ、人もネジバナも独立させるタイミングが難しい。

   ともあれ、ネジバナは育てにくく個性が強い。そしてその個性にスネ者の人間臭さを感じる。「人生訓」風に表現すれば、ネジバナという花のイメージはこうなる。「同根より生ずれど、和して同せず。荒れ野を好み、陽を友とす。端整にして飾ることなし、人に好かれども、おもねることなし。一人一人生、ねじれたるを己が性分とし天道に咲く」。まるで、人生を漂泊する詩人のようではないか…。

⇒6日(水)朝・金沢の天気  曇り
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★すがすがしい謝罪

2005年07月05日 | ⇒メディア時評

   自民党の岡田直樹参院議員(石川県選挙区)がテレビ朝日の番組「報道ステーション」で事実に反する内容が取り上げられたとして、6月17日、放送法に基づく訂正放送と謝罪を求める通知書をテレビ朝日あてに送っていた問題は、「報道ステーション」(4日放送)の番組の中で古舘伊知郎キャスターが岡田氏に謝罪し、一応けりがついたかっこうだ。

     いきさつはこうだった。6月10日、北朝鮮への経済制裁を検討する参院拉致問題特別委員会で、参考人として呼んだ拉致被害者の家族代表の横田滋さん夫妻に、岡田氏は「聞くに忍びないことをお聞きしますけれども」と夫妻の心境を気遣いながらも、北朝鮮に経済制裁をすれば、めぐみさんが本当に殺されるかもしれない、その覚悟のほどはどうですか、とたずねた。それに対し、横田氏は「それを恐れていれば結局このままの状況が続く」と経済制裁を強く求めた。岡田氏とすれば、「家族はリスクを覚悟して経済制裁を求めている。だから、政府もやるべきだ」というセオリーで、慎重な言い回しだった。これには、横田夫妻も、参考人として発言の機会が与えられたことに対して、岡田氏に感謝をしていた(6月16日付「救う会全国協議会ニュース」)。

    ところが、横田さん夫妻が参考人として出席した特別委員会の様子をニュースとして取り上げた10日夜の「報道ステーション」で、古舘キャスターが、岡田氏の質問に対し、「北をとっちめたいと思うあまり、まるで非常に苦しい立場にいるご夫妻に、この覚悟はありやなしやと聞いているふうに聞こえる」などとコメントし、「無神経な質問」と決めつけたことから、岡田氏は「事実とは違う、名誉を毀損された」と謝罪と訂正放送を求めていた。

    確かに映像の一部だけを見れば、無神経な質問に見えるかもしれない。しかし、前後の隠れた文脈をきちんと伝えてこそニュースとしての論理が成立するのである。自分に都合のよい部分の映像を抜き取って構成すれば、ただのプロパガンダ映像である。

    謝罪が言い訳がましかったりすると、謝罪の価値が半減するどころか、かえって相手を反発させることになるものだ。その点、4日の古舘キャスターの「訂正」は「前後(の文脈)を忖度(そんたく)せずに発言してしまった」「今後は、ご本人の真意を問いただし、その上でコメントしたい。岡田議員および関係者に多大な迷惑をかけたことをおわびします」と素直に謝罪していた。見ていて違和感はなかった。かえって、「古舘は成長したのではないか」と思わせるほど。すがすがしい謝罪だった。

 ⇒5日(火)午前・金沢の天気  雨

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☆老翁のつぶやき

2005年07月03日 | ⇒キャンパス見聞
   ワシは家じゃ。金沢大学の角間におる。老体を押して、この春、コブシの花が咲くころに白峰の山から、前田(利家)さんの金沢に下りてきたのじゃ。長生きをしてみるもんじゃ。ワシが越前におるころ、前田さんが金沢にきたのじゃ。あのお方は越前の武生にもおられさったのでよう知っとる。剛毅なお方じゃが、口が軽てな、「家康を殺れ」と死出の床でいうたもんで、お松さまは江戸に人質にとられる、その話を聞いた家来は目を突かれ耳を切られて大変じゃった。三代さんは鼻毛まで伸ばしておどけて見せ江戸の将軍さんに恭順したのじゃ…。この話でおわかりのとおり、ワシはもう四百年余りも生きているのじゃ。


   茶がほしいの~。昔、家はみな働き者でな、ワシはもともと養蚕農家だった。蚕を育てとった。今でも白峰に牛首紬というのがあるじゃろ、あの蚕糸はワシらがつくっとたんじゃ。老若男女が寄り添ってのお、それはそれはにぎやかじゃった。2階の天井を見上げみなされ、梁(はり)が合掌造りになっておろう、それがワシがもともと養蚕農家という証拠じゃて~。

   冬もにぎやかじゃったよ。1階の奥に仏間にあるじゃろ。ワシらは仏間とは呼ばん、「ドウジョウ(道場)」と言うのじゃ。ご法師さんがござって説教をされる、それを何度も何度も繰り返して空で覚えるのじゃ。極楽浄土を思えば、現世の苦などなんでもない。ひたすら念仏を唱えるのじゃ。大学に来てからはセミナールームと呼ばれておるが、今も昔も心して学ぶもんのドウジョウじゃ、あの部屋は…。

   そういえば、珍しい客人が大勢ござったのお、亜米利加のプリンストンとかいう大学の。餅をついて楽しそうじゃった。女子(おなご)でも体格がいいのはキネを軽々と持ち上げとったのお~。米一俵を持たせてみてもよかったかの。たくましいもんじゃ。長生きはするもんじゃ。餅の話をしたら喉が枯れてしもうた、お茶がほしいの~。

   ワシのことを言うとった何とかという副大臣がおったのお。そう、塩谷という名前じゃった。ワシはあと百年ほど生きれそうじゃと人づてに聞いて、「100年たった周囲の建物はなくなってとる」と言われたお方じゃ。ワシはあと百年生きたら、死なせてほしい。どうしても、もう一度というのなら、今度は海の夕日の見える丘の上に建ててほしいのじゃ。どっぷり暮れる夕日を眺めれば、五百年も生きた昔をうつらうつらと思い出だすじゃろ。もう、眠いワイ。

※プリンストン大学の学生45人の来館は6月30日、塩谷文部科学副大臣の来館は6月6日

⇒3日(日)午前・金沢の天気  曇り
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★「ノアの箱舟」の梅雨

2005年07月02日 | ⇒ニュース走査
   少年期に「ノアの箱舟」をテーマにした映画を見た。映画のタイトル名などは覚えていない。雨の恐怖とでも言おうか、大雨が来ると人類は洗い流される、と思ったものだ。それ以来、私にとって雨は恐怖の概念の中にある。

  「降れば土砂降り」とはこのことを言うのだろう。何しろ激しい雨である。北陸地方は先月28日から大雨。ここ金沢大学角間キャンパスもその例外ではない。きのう1日に撮影した写真(左)のように、私が「角間渓谷」と勝手に名づけている人造川もご覧の通り濁流が怒涛のように押し寄せ、水は赤茶けている。石積みは大丈夫か、と心配になる。そして、記念館「角間の里」前に市民ボランティアや養護学校の子供たちが植えたアワやキビ、トウモロコシなどの雑穀の畑の一部も水流にえぐり取られ、痛々しい。


   しかし、金沢地方気象台のきょうの予報は外れたようだ。朝までにまとまった雨となっていたが、すでにきのう夜半には峠を越し、きょうは青空も出て、梅雨の中休み。ところで、向こう一週間は、前線や気圧の谷の影響で曇りや雨の日が多く、期間の前半は前線の活動が活発となるため、降水量の多くなるところがある。最高気温は平年より高い日が多い。降水量は、平年より多い見込み。以上は、気象台のきょう午前11時発表の週間予報。来週も雨が降り、そして蒸す~。

⇒2日(土)午後・金沢の天気 晴れ
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☆NHKのクッキー

2005年07月01日 | ⇒メディア時評
   先日、NHK金沢放送局の中継が金沢大学角間キャンパスの記念館「角間の里」であり、取材に協力したお礼にとクッキーをいただいた。缶入りで、NHKの焼印入りのクッキー=写真=も。お菓子をいただいたからという訳ではないが、新聞(30日付)で掲載された「受信料制見直しも」の記事についてはNHKにちょっと同情する。

   記事によると、政府の規制改革・民間開放推進会議は今月末にまとめる中間報告に、NHKを念頭に置いた「公共放送のあり方(受信料制度の見直し)」を盛り込む方向で検討に入り、地上波放送で、受信料を支払った世帯にだけ見せる「スクランブル化」の実現に向けた議論を行うというのだ。受信料を支払っている人と不払いの人との間で生じている公平性を保つため、スクランブル化の導入は不可欠という。

   NHKの受信契約数は昨年度末で初めて前年度割れし、前年度比28万件減の3662万件。受信料収入は74万件に達した不払い・保留の影響で前年度比1.1%減の6410億円だった。番組プロデューサーによる横領事件など一連の不祥事に対する視聴者の怒りが具体的な数字として表れてきたのは確かだ。

   しかし、視聴者が怒っているのは不払いの人とそうでない人のアンバランスではない。「ピンと背筋を立てて国営放送の使命を全うせよ、綱紀をただせ」と視聴者は言っているのだ。私自身は、現在の受信料収入ですべて賄うコスト改革を行い、税金を使わない経営をせよ、と言いたい。これが問題ともなっている政治家の介入をまねかない唯一の方策だ。また、NHKの防災・災害報道は情報収集力、持久力など民放は真似できない。「いざというときのNHK」であってほしい。

   スクランブルをかけるかけないの論議になると、実は地滑り的な受信料の不払い運動が起きる可能性があると想像する。「私はNHKを見ていない」と言う視聴者でも多少は見ているものだ。だから不払いにしようかどうかと迷っていても結局は払っている。スクランブルはそういう迷っている層の背中を押すことになる。「オレは払わない。来月から見ないからスクランブルをかけろ」の一言で受信料の支払いを拒否できる。

   こんなことが全国的で起き始めたらどうなるだろうか。受信料収入を維持するために膨大な数の営業スタッフを投入し、番組にかける経費が減らされるだろう。番組の質の低下がさらに受信料の不払いにつながり、それこそ「デフレ・スパイラル」になる。こうなると、大幅な税金投入が不可欠となり、政治家の関与の口実を与えてしまうことになるのだ。この意味で、スクンラブルが政治家に食べさせるクッキーになりはしないかと懸念するのである。

⇒1日(金)午後・金沢の天気 雨
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