一面が黄色に染まっている。私はメガネをかけているが、それでも花粉のせいだろう、目が痛くなる。金沢だけでなく、能登半島でもことしはこの黄色が気になる。セイタカアワダチソウのことである。
帰化植物(外来種)。北アメリカ原産の多年草で、土手や荒れ地、休耕田に群生している。植物に詳しいスタッフに聞くと、明治ごろに渡来し、観賞用に栽培されたものが野生化し、戦後急速に全国に広がったそうだ。北九州地方では炭坑の閉山にあわせて繁殖したので「閉山草」ともいわれているとか。花期は10-11月で、ちょうど今ごろ列島を黄色に染める。
ところで、この外来種が在来種を押しのけて、どのようにオールジャパン化したのだろうか。再度フタッフに聞く。セイタカアワダチソウは、1本に5万個の種子をつけ、これらが風に飛ばされ生息地を開拓していく。もうひとつ勢力を拡大したは地下での攻防だ。冬の間に地下茎が地中を横に伸ばし、その先に新しい芽をつけるのだ。しかも他の植物が育つのに害となる物質(アレロパシー)を分泌する。つまり、他の植物の生長を妨げながら、空中と地下でローラー作戦を展開していくのである。この方法で百年余り、全国制覇を達成した。
しかも、草丈も2-3㍍と高く、このことも他の植物の生長を妨げる原因となる。在来種を駆逐する勢いはまるで、戦後一躍、全国津々浦々に店を構えた外食チェーンの外資を彷彿させる。ちなみにアメリカでは、セイタカアワダチソウはケンタッキー州の州花だそうだ…。
ところが、磐石かに見えるセイタカアワダチソウだが、在来種であるススキが自生していたところでは、一時群生したセイタカアワダチソウものちに劣勢になり、最終的にススキが巻き返すそうだ。その理由として自らが分泌したアレロパシーで自家中毒を起すことが考えられている。弱ったところで、ススキとの攻防が始まり、8年ぐらいでススキが優位を取り戻す。
それにしても、在来植物たちをガッカリさせているのはミツバチの裏切りである。セイタカアワダチソウの黄色に目がくらみ、ハチが在来種に寄り付かなくなるのも、在来種が勢力を弱める原因といわれる。
かつて手紙の季語で「ススキが穂を上げ…」と書いたものだ。が、「セイタカアワダチソウが野山を黄色に染め…」なんて、季語にはならない。近づいて観賞する気にもなれない。あの黄色には繊細さがないからである。
⇒29日(日)夜・金沢の天気 はれ
web-kursの松田です!
実はいつもブログを拝見させていただいていたのですが…(笑)
よく見かける、黄色いこの花、セイタカアワダチソウというんですね☆初めて知りました。
アレロパシー…
なんだか恐ろしい物質ですね。
在来種を押しのけて地に根を張るは…
ご出張おつかれさまでした。
夏の間ほかの草にまぎれて、秋になると急に存在を主張し、ススキをどんどん駆逐して勢力を伸ばしていくアワダチソウに毎年不安を覚えていましたので、ススキ復活の可能性はとてもうれしいニュースでした。
能登の自然学校の周りに、ススキ野原の向こうに光る海が見えるような場所があれば、そこに立ってみたいと思います。