先週13日から2泊3日で「能登の世界農業遺産を学ぶスタディ・ツアー」(単位科目)を実施した。スタディ・ツアーには学生9人のほかに留学生6人(ケニア、中国、インドネシア、ベトナム)が参加した。能登は国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産(GIAHS=Globally Important Agricultural Heritage Systems)に認定されている。その能登の文化や風土には独特のアジアっぽいカラーがある。能登の国際評価は学生・留学生たちにはどう見えたのか。
留学生たちが見た「能登のアジア」
最初にの国史跡「雨の宮古墳群 」(中能登町)=写真・上=を訪ね、学芸員から解説を聞いた 。北陸地方最大級の前方後方墳と前方後円墳が隣接する。4 世紀から5世紀(弥生後期)の古墳で山頂にある。邑知(おうち)地溝帯と呼ばれる穀倉地帯を見渡す位置に古墳はある。能登の王は自ら干拓した穀倉地を死後も見守りたいという思いではなかったか。
この地域は能登における稲作文化の発祥の地でもある。1987年、雨の宮古墳近くにある「杉谷チャノバ タケ遺跡」の竪穴式住居跡から、黒く炭化したおにぎりが発掘された。化石は約2000年前の弥生時代のものと推定され、日本最古のおにぎりと話題になった。また、この地域の神社3社では収穫に感謝する新嘗祭で振る舞う濁り酒「どぶろく」を連綿と造り続けている。延喜式内社でもある天日陰(あめひかげ)比咩神社でどぶろくをいただき、日本酒の成り立ちを学んだ。
山が海にせり出すリアス式海岸では神々しい光景を見ることができる。13日午後5時35分に輪島市曽々木海岸に到着した。すると、窓岩で知られる海に突き出た岩石の穴に夕日が差し込んできた=写真・中=。岩の穴と夕日がちょうど同じ大きさで、すっぽり収まったときは思わずため息が漏れるの神々しさとなる。同40分ごろから5分間の夕日と奇岩のスペクタルショーを楽しませてもらった。インドネシアの留学生は「バリ島のサンセットと同じだ」と。
中国の留学生が「能登はアジアですね」と目を輝かせたのは祭りだった。14日に半島の尖端、珠洲市を訪れ、地域の伝統的な祭礼「正院(しょういん)キリコ祭り」を見学した。能登では夏から秋にかけて祭礼のシーズン。キリコは収穫を神様に感謝する祭礼用の奉灯を巨大化したもので、大きなものは高さ16㍍にもなる。この日、輪島塗に蒔(まき)絵で装飾された何基ものキリコが地区の神社に集い、鉦(かね)と太鼓のリズムが祭りムードが盛り上がっていた。
キリコを担ぎ、太鼓をたたく若者たちがまとっているのは地元でドテラと呼ばれる衣装だ=写真・下=。もともと女性の和服用の襦袢(じゅばん)を祭りのときに粋に羽織ったのがルーツとされる。それに花鳥風月の柄が入る。祭りの心意気を感じる。インドネシアの留学生は「少数民族も祭りのときには多彩でキラキラとした衣装を着ますよ」と。
⇒17日(火)夜・金沢の天気 はれ
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