自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆ブログはメディアか

2005年06月28日 | ⇒メディア時評
  よく尋ねられる。「ブログはメディアになりうるのか」と。総務省の推測だと、2005年3月末時点の国内ブログ利用者数は延べ335万人、アクティブブログ利用者(少なくとも月に1度はブログを更新しているユーザ)数は95万人、2007年3月末にはそれぞれ782万人、296万人に拡大する、と。ブログ市場はさらにすさまじい。去年の34億円(関連市場含む)から、2006年度には1377億円(同)に達すると見込んでいる。確かにメディアは情報の流れという側面を持つので、これだけ勢いが増せば一つのメディアになる可能性が出てきたと言えなくもないが、私は率直に言って、「金にはなるが、メディアにはなれない」と思う。

   「メディアになれない理由」はクレジット(信用)の問題である。これをメディアと思うか思わないかは最終的に閲覧者が判断することであるが、果たしてブログにクレジットが保証されているか、これは否である。ブログは既存のメディアより自由な発言が手軽にできるし、ある意味で、草の根の市民が記述する一次情報でもあり魅力的ではある。が、情報の信憑性を裏付けすることは難しい。テレビですらいまだに情報を発信するメディアというより、エンターテイメントの単なるツールと見られる向きが強い。

    ただし、ブログも変化していくだろう。たとえば、ドキュメンタリストやジャーナリスト、お互いが信頼しあえる市民、ビジネスマン、研究者らが集い「専用ブログ」を構築し、質の高さを保つ努力をするのであれば、評価を得るサイトになるだろう。そうなれば、ブログ本来が持つ一次情報に限りなく近い、従来のメディアにはない価値を有したメディアになる可能性もある。

    現在、ブログを提供する事業者は110社余りと言われている。サービスが基本的に無料であり、ビジネスモデルは大丈夫かと懸念されたりもしている。今後、ブロガーが事業者の選別を行い、ブログのリストラクションも起こるだろう。その過程でより進化していくのではないか。

    私個人で言えば、ブログの画面に事業者が勝手に出会い系サイトのバナーを貼り出したら、別の事業者に乗り換えることにしている。書き手は事業者が考える以上に信頼性や著作者意識にこだわるものだ。ブログの価値を高めるということは、簡単に言うとこういうことなのだ。

⇒28日(火)午前・金沢の天気  曇り
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