ことしよく耳にした曲と言えば、民放のオリンピック番組での解説やコメントなどスタジオのバックで流れていた桑田佳祐の『波乗りジョニー』だったが、オリンピック絡みで聴き始めたのが、あの「暴れん坊将軍」の松平健が歌う『マツケンサンバⅡ』だった。オリンピック開会式のセレモニー楽曲を担当する作曲家グループの1人だった小山田圭吾氏が過去のいじめ告白問題で7月19日に辞任して大騒ぎになったが、ヤフー・コメントなどで「マツケンサンバⅡを開会式で」との書き込みを何度か目にした。このときネットで検索して、『マツケンサンバⅡ』を動画で初めて聴いた。
~『マツケンサンバⅡ』に時代や国、民族を超えた多様性のリズム~
東京オリンピックやパラリンピックでこの曲が採用されることはなかったが、NHKの今年の大晦日の歌番組「紅白歌合戦」で2004年以来、2回目の出場が決まった。紅白歌合戦のホームページをチェックすると、「 “カラフル” 特別企画 『マツケンサンバⅡ』 松平健さんの出場が決定しました !! 大みそかの日本を明るく! 楽しく! 盛り上げます! お楽しみに!!」とPRしている。「 “カラフル” 特別企画」とあるので、かなり派手な演出でステージを盛り上げるに違いない。それにしても、NHKの番組プロデューサーもあのヤフコメやSNSでの「マツケンサンバ待望論」が気になっていたのだろうか。
7月に動画を初めて観て以来、すっかり「お気に入り」になった。サンバのリズムに乗ってテンポよく歌い踊る松平健の後ろでは、腰元と町人風のダンサーたちが乱舞する。サンバは肌を露わにしたダンサーが踊る姿をイメージするが、赤い衣装を着た腰元ダンサーの方がむしろ艶っぽくなまめかしい。この動画を観ていて、浮かぶことは「多様性」という文字だ。
江戸時代をイメージさせる役者が腰をひねらせてサンバを歌い踊る。サンバは肌を露わにしたダンサーというイメージがあるが、町人衆や腰元の衣装を着たダンサーが躍る。これは奇抜な演出というより、日本人の固定観念を取っ払った、まったく新たなステージ演出ではないだろうか。もともと江戸の町人衆は「べらんめい調」で小さなことを気にせず、無礼講で踊り明かすという風潮があったといわれる。「マツケンサンバⅡ」は個の美しさや潔さよさ、力強さが交じり合った江戸文化という時代を感じさせるのだ。江戸文化とサンバの発祥地ブラジルは時代も文化も違いはあるものの、根底には類似性があるのではないか。
そうした時代を超えて、国を超えて、文化を超えて、民族を超えて人々の気持ちがサンバのリズムで一つとなるという多様性が心を弾ませる。それが家飲みを楽しくさせてくれる。
(※写真は、YouTubeに掲載されている「マツケンサンバⅡ」公式動画より)
⇒29日(水)午後・金沢の天気 くもり時々あめ
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