自在コラム

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★弾道ミサイル発射 文大統領への揺さぶりメッセージか

2021年09月28日 | ⇒ニュース走査

   また、北朝鮮の脅威だ。けさ北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した(防衛省公式ホームページ)。NHKニュースWeb版(28日付)によると、政府高官は「発射は1発と見られるが、落下した場所も含めて現在確認を進めている」と述べた。また、政府関係者は、日本のEEZ(排他的経済水域)の内側に落下した可能性は低いという認識を示した。

   北朝鮮は今月15日にも日本海に向けて弾道ミサイル2発を発射している。落下地点は、能登半島の舳倉島の北方約300㌔の海域と推測される(同・読売新聞Web版)。舳倉島から輪島市は約49㌔の距離。つまり、能登半島の約350㌔先のEEZ内だった。

   前回の発射でさらに脅威を感じさせることが報道された。北朝鮮の朝鮮中央テレビ(9月17日付)は、弾道ミサイルは鉄道を利用した移動式ミサイル発射台から発射されたもので、その動画を公開した=写真=。安倍政権時代に北朝鮮の弾道ミサイルの発射予測を検知して事前に破壊する「敵基地攻撃能力」の保持が議論されていた。15日の弾道ミサイルは敵基地攻撃の意味がなさなくなったことを示すものだった。けさ発射された弾道ミサイルは1発だが、移動式ミサイル発射台をさらに進化させたものだったのか、どうか。

   北朝鮮はきょう28日、各地の代表を集めて最高人民会議を開催すると予告している(9月28日付・NHKニュースWeb版)。韓国の文在寅大統領は22日の国連総会での演説で、「終戦宣言こそ朝鮮半島に『和解と協力』の新しい秩序を作る重要な出発点だ」と述べ、休戦状態となっている朝鮮戦争の終戦宣言を、南北とアメリカの3者か、中国を加えた4者で行うことを提案した(9月22日付・同)。これに対し、北朝鮮の金正恩党総書記の妹、金与正党副部長は24日、「終戦宣言は悪くない」として、「長期間続いている朝鮮半島の不安定な停戦状態を物理的に終わらせ、相手に対する敵対視を撤回する意味での終戦宣言は興味深い提案であり良い発想」とする談話を出した(9月24日付・聯合ニュースWeb版日本語)。

   以下、憶測の話になる。開催される最高人民会議で金党総書記が「文大統領からの終戦宣言の提案を喜んで受ける」と表明したら、今後朝鮮半島の情勢はどのように変化していくだろうか。休戦協定の当事者であるアメリカは「先に非核化、その後に経済制裁解除と終戦宣言」が原則だ。逆に、文大統領は非核化交渉の入口として、先に終戦宣言をすることを提示している。金党総書記の狙いは、弾道ミサイルを発射したぞ、それでも終戦宣言をするんだなと文大統領に揺さぶりをかけたのではないか。アメリカと韓国の亀裂も狙ってのことだ。弾道ミサイルのきょうの発射は、文大統領に対する強烈なメッセージではないのか。

⇒28日(火)午前・金沢の天気      くもり


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