自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆日本型移民政策

2018年06月08日 | ⇒トレンド探査

    最近金沢でも外国人の働き手が増えている。先日、近所の「auショップ」に行くと、「イラッシャイマセ」と声をかけてきた男性スタッフがいた。聞けばネパール人でこの4月から社員として働いている。英語が堪能で「いろいろなお客さん(外個人)に対応しています」と。その後も自転車に乗って近所を走る姿をたまに見かける。近くの「ローソン」でもネパール人の女性がレジを担当している。「アリス学園(金沢にある日本語学校)で特訓中です」と。外国人労働者が身の回りにいることは日常の光景になりつつある。

    政府は先日(5日)の経済財政諮問会議で、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案を公表した。各紙に目を通すと「日本型移民政策」の構図が浮かんでくる。特徴的なのは、新たな在留資格だ。これまで最長5年の「技能実習」を終えた人や、一定の語学力や技能を持った人が対象で、最長で5年間滞在できる。主に5分野で、農業、介護、建設、宿泊関連、造船が想定されている。家族の帯同は基本的には認めていないが、期間中に専門性が認められた場合は在留期間の上限を取り除き、家族帯同を認めることも検討するとしている。5分野で2025年までに50万人の就業を想定している。

    率直にこの政府方針は有効なのだろうか。25年までに外国人労働者を50万人受け入れると言っても、まったく不足している。何しろ、日本の労働人口は毎年30-40万人減少している。数百万の規模で外国人労働者を受け入れる準備をしなけらば日本の経済は成り立たないではないかと推測している。

    実はもう一つの「日本型移民政策」が動いている。政府は、2020年を目途に留学生受入れ30万人を目指す「留学生30万人計画」を外務省や文部科学省に指示して推進している。たとえば、金沢大学でも2023年までに外国人留学生2200人の受け入れを目指している。日本の大学で専門性を身につけた留学生に日本の企業で就職してもらう取り組みも並行して行われている。2016年の統計だが、留学生による日本企業への就職は1万9435人で過去最高となった(法務省入国管理局まとめ)。法務省は留学の在留資格を発行していて、留学生がさらに国内の企業へ就職する場合は在留資格の変更許可を申請することになるので数値として把握している。

   日本企業に就職した留学生の国籍・地域別の上位は、中国1万1039人と圧倒的に多く、ベトナム2488人、韓国1422人、ネパール1167人、台湾689人とアジア諸国が95%を占める。主な職務内容は「翻訳・通訳」7515人、「販売・営業」4759人、「海外業務」3103人、「技術開発(情報処理分野)」1990人など。

        確かに、留学生の中でも日本での就職の期待度は高い。昨年6月に金沢市で開催された留学生と地場企業による交流会に120人の留学生が参加した=写真=。社員52人のうち28人が外国人という繊維会社(インテリア、スポーツ衣料)では生産管理と品質管理、営業はベトナムや中国人スタッフが担当し、金沢本社とアジアの生産工場を往復する。留学生からは働き方、休日の過ごし方などに質問が相次いだ。

   海外に生産拠点を置く企業だけでなく、国内のサービス産業やITベンチャー企業も外国人採用枠を増やしている。少子高齢化の日本経済の行方は外国人動労者の確保にかかっている。ドイツではすでに人口の15%程度の外国人労働者を受け入れている。

⇒8日(金)朝・金沢の天気     はれ


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