これでは、メダル獲得の争いというより、暑さとの戦いだ。オリンピックが始まって、東京都内では連日のように30度を超える真夏日で、24日と25日は34.4度と酷暑日に近づく暑さだった。きょう30日も真夏日の予報で熱中症情報では「厳重警戒」のマークが出ている。
アメリカの「Bloomberg」Web版日本語(28日付)は「東京の酷暑に苦しむ五輪選手、新型コロナの試練に追い打ち」の見出しで報じている。ロシア五輪委員会(ROC)のアーチェリー選手が熱中症のため一時意識を失った。メディア各社の報道によると、男子テニスのノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)は酷暑を避けるために試合開始時間の変更を求めた。ラグビー7人制女子に出場するイロナ・マー選手(アメリカ)は「冷たいタオルを使ったり、アイスキャンディーを食べたりするなど、栄養士とトレーナーが何とか体を冷やす方法を考えている」と暑さ対策について語った。
イギリスの「BBC」Web版(28日付)の記事は強烈だ。「Daniil Medvedev struggled to breathe in the Tokyo heat on Wednesday, asking the umpire who would be responsible if he died during his Olympic tennis match.」(意訳:男子テニスのダニール・メドベージェフ選手は28日、東京の暑さの中で息絶え絶えに、オリンピックの試合中に死亡した場合、いったい誰が責任を取るのかと審判に問いただした)
世界2位のメドベージェフ選手の「いったい誰が責任を取るのか」の強烈なひと言がおそらく効いたのだろう。国際テニス連盟は暑さ対策として、29日の第1試合の開始時間を当初予定していた午前11時からを午後3時に変更すると発表した。
その後のニュース。翌日29日のテニス男子シングルス準々決勝で、メドベージェフ選手はスペインの選手にストレ-ト負けを喫した。すると、ラケットを破壊し、無観客のスタンドに放り投げた(AFP通信Web版日本語)。平和の祭典のオリンピックでラケットの破壊行為はいかがなものか。これも暑さが原因だったのか。
そもそも、この真夏日になぜオリンピックを開催するのか。オリンピックの開催日程は、IOC 理事会が決める(オリンピック憲章第5章「オリンピック競技大会」Ⅰ.オリンピック競技大会の開催、組織運営、管理)。1964年の東京オリンピックは10月10日から24日の2週間だった。7月と8月の開催が定番となったのは2004年のアテネ大会からだ。なぜ、7月と8月なのか。IOCの収入は放送権料が73%、スポンサー料が18%だ。その放送権料の50%以上をアメリカのNBCが払っている。
そのアメリカでは9月と10月には、ナショナルフットボールリーグ(NFL)や野球のワールドシリーズの試合、さらに、アメリカンフットボールの大学リーグ戦なども始まる。大口のスポンサーがオリンピックは7月と8月と要請すれば、断れないだろう。「アスリートファースト」ではなく、「アメリカファースト」なのだ。きょうも何とも蒸し暑い。
⇒30日(金)午前・金沢の天気 はれ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます