自在コラム

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☆参院選で「選ばれし人」のこと

2022年07月10日 | ⇒ニュース走査

   ネットで「はじめての投票用紙」というページを見つけた。大阪府の公式サイトで掲載されているもので、読むと面白い。投票用紙は合成樹脂(プラスチック)でできていて、以下の3つの特徴があると説明している。「(1)勝手に開く」。投票用紙は、折って投票箱に入れられることが一般的だが、樹脂製なら投票箱の中で勝手に開くため、開票作業にかかる時間を大幅に短縮することができる。「(2)偽造防止」。簡単には手に入らない特殊な素材のため、偽造しにくくなっている。「(3)丈夫な素材」。破れにくく、水に濡れても平気。

   じつは自身も投票用紙が合成樹脂でできていることを初めて知った次第。きょう参院選の投票所に行き、「(1)勝手に開く」を試してみた。これまで投票用紙を投票箱に折り曲げて入れていた。他人に見られたくないという思いと、折り曲げた方が入れやすいと感じていたからだ。そこで、今回は折り曲げたものを投票箱に入れずに手のひらに置いた。すると、用紙がまっすぐ伸びて、元どおりの平らな用紙に戻る。3回繰り返したが同じだった。投票箱の近くには立会人が2人いて、けげんそうな表情でこちらを見ていたので、それ以上はせずに、投票用紙を投票箱に入れてその場を立ち去った。

   参院選の開票作業が始まるのは午後8時以降だが、NHKなどメディア各社は投票所での出口調査などをもとに続々と「当選確実」を放っている。当地の石川選挙区でも自民の岡田直樹氏が早々と「当確」となった=写真=。NHKの出口調査では67%の投票数を獲得し、18%の立憲民主の候補者を大きく引き離している。岡田氏は金沢出身の東大卒、地元新聞の記者や県議を経て、2004年に参院初当選で今回4選となる。選挙戦では、2019年9月から安倍、菅内閣の官房副長官を2年間つとめ、新型コロナウイルスの感染対策や、東京オリンピック・パラリンピックの開催に取り組んだ実績をアピールしていた。

   岡田氏のイメージは「毅然とした態度」の人物評ではないだろうか。人柄を表すエピソードがある。参院議員になって翌年の2005年6月だった。当時のテレビ朝日の番組「報道ステーション」で事実に反する内容が取り上げられたとして、訂正放送と謝罪を求める通知書を局側に送り抗議した。

   北朝鮮への経済制裁を検討する参院拉致問題特別委員会で、参考人として呼んだ拉致被害者の家族代表の横田滋さん夫妻に、岡田氏は「聞くに忍びないことをお聞きしますけれども」と前置きし、北朝鮮に経済制裁をすれば、めぐみさんが本当に殺されるかもしれない、その覚悟のほどはどうですか、と尋ねた。それに対し、横田氏は「それを恐れていれば結局このままの状況が続く」と経済制裁を強く求めた。ところが、このニュースを取り上げた「報道ステーション」で、古舘キャスターは岡田氏の質問に対し、「北をとっちめたいと思うあまり、まるで非常に苦しい立場にいるご夫妻に、この覚悟はありやなしやと聞いているふうに聞こえる」などとコメントし、「無神経な質問」と決めつけた。

   切り取られた映像だけを見れば、無神経な質問に見えるかもしれない。しかし、前後の文脈をきちんと伝えてこそニュースとしての論理が成立するのである。岡田氏は「事実とは違う」と謝罪と訂正放送を求めたのだった。これに対し番組の中で古舘キャスターが謝罪し、一応けりがついた。「正すべきは正す」。岡田氏には政治家にふさわしい毅然とした人柄がにじんでいる。

⇒10日(日)夜・金沢の天気    はれ


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