自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登の旋風(かぜ)-7-

2008年09月30日 | ⇒トピック往来

 2005年4月にスタートした「自在コラム」はきょうで500回を数える。簡単な統計を算出してみる。月換算(42ヵ月)で平均11.9回を掲載。ざっと3日に1回という計算。スタート当初は毎日書いていたが、ここ1年はサボリが多くなっている。アクセス数は昨日(29日)は98、ページビューは385だった。42ヵ月の平均値はデータがないので出せないが、毎日平均アクセスはざっと80ほどか。意外な人から突然に「先日のコラムで書かれていた○○さんの話の中で…」と質問され面食らうこともある。いろいろな方に読んでいただいている、というのが実感だ。

         次なるステップへ

  さて、シリーズ「能登の旋風(かぜ)」は里山里海国際交流フォーラム「能登エコ・スタジアム2008」のイベントで拾った話題を紹介している。9月13日から17日にかけての「能登エコ・スタジアム2008」は3つのフォーラム、6つのプログラム、1つのツアーから構成されていたが、17日にシニアコース(シニア短期留学)の修了式をもって、すべてのメニューを完了した。また、同日は生物多様性条約のムハマド・ジョグラフ事務局長の能登視察も終了した。一連のイベントメニューの中でのVIP視察だった。

  今回のイベントは、キックオフシンポ(13日)であいさつに立った中村信一金沢大学学長も谷本正憲石川県知事も強調したように、2010年の国際生物多様性年に向けての予行演習の意味合いもあった。ひとまずはホップ、ステップ、ジャンプのホップを踏んだわけだが、もう次なるステップへ向けて動き出している。2009年の能登エコ・スタジアムの持ち方、それを2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の関連イベント「金沢セッション」「能登エクスカーション」に結びつけるかについての方向性だ。無から有を生じさせる、前例なき模索でもある。

  今回のイベントで印象に残った2枚の写真。持続可能なこと、それは地下に封じ込められた化石燃料を掘り出して、燃焼させ、二酸化炭素を排出することではない。二酸化炭素を吸収し、光合成によって成長した植物をエネルギー化すること。里の生えるススキ、カヤ類を燃料化する試みが始まっている。それらをペレット化して燃料、あるいは家畜の飼料にする。奥能登では戦後、1800haもの畑地造成が行われたが、そのうち1000haが耕作放棄されススキ、カヤが生い茂っている。それをなんとかしたいとの発想でバイオマス研究から実用化の段階に向けて試行が続いている。能登エコ・スタジアムのコース「バイオエコツーリズム」ではその試みに興味を持った若者たちが大勢集まってきた。そして実際にススキを刈り取り、ペレット化を体験したのである。上の写真はその刈り入れの様子だ。地域エネルギーの可能性を感じさせる光景に見えた。

  もう一枚は生物多様性条約事務局長のアハメド・ジョグラフ氏。COP10の能登エクスカーションの視察で輪島市金蔵地区を訪れた=写真・下=。里山に広がる棚田、そして律儀に働く人々の姿を見たジョグラフ氏は「日本の里山の精神がここに生きている」と痛く感動したのだった。精神論ではなく、この里山に多様な生物が生息しており、自然と共生し生きる人々の姿にジョグラフ氏は感動したのだ。このジョグラフ氏の感動をそのまま2010年の国際生物多様性年への取り組みとして具体化させることになる。

 ⇒30日(火)夜・金沢の天気    くもり

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