蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『吾妻橋やぶそば@浅草』さんの「わさび芋」

2013-08-30 23:47:51 | 東京23区(墨田区)

今日は社会人ラグビー「トップリーグ」の開幕日で、青山にある秩父宮ラグビー場で開幕試合が行われます。
試合は19時キックオフなので、仕事が終わり次第急いで移動すれば試合開始にはギリギリ間に合いそうですが、開幕日は開場時間(17時)に試合会場へ行きたいし、おまけに開幕カードが応援しているチームの試合ということもあり、休暇を取ることしました。

ということで、中途半端な時間に遅い昼食を取ってから試合会場へと向います。
そして昼食を取るお店(お蕎麦屋さん)ですが、折角の平日なので、「平日しか営業していないお店」または「土日に営業はしているものの常に混雑しているので平日に訪れたいお店」、という条件であれこれ検討した結果、浅草の駒形橋を渡って直ぐのところにある『吾妻橋やぶそば』さんへ行ってみることにしました。

ちなみに、「駒形橋」を渡った所にあるお蕎麦屋さんなのに、お店の名前に「吾妻橋」と付いているのは、以前は「吾妻橋」で営業していて、その後「駒形橋」に移転したことによるものらしいです。

さて、都営浅草線・浅草駅から東京スカイツリーを眺めながら隅田川に架かる駒形橋を渡ると、こじんまりとした静かな佇まいのお店が目の前に現れます。「営業中」の札が掛かっていることを確認し、「藪そば」のお店独特の看板(?)と外観の写真を撮らせて頂いてから、予定よりやや早く14時少し前に暖簾をくぐります。

「14時前だとまだまだお客さんも多いかな?。」と思いながらお店に入ると、新聞を読むなど1人静かに過しているお客さん2名とお酒(日本酒)を飲みながら楽しい一時を過している大人な男女1組が昼下がりのお蕎麦屋さんを楽しんでいるのみで、全体的にのんびりした雰囲気が漂っています。

「(空いていて)良かった!。」と思いながら2人掛けのテーブル席について早速メニューに目を向けます。
メニューを見ると、蕎麦も料理もお酒もけして多いとは言えない品数で、丼物などはありませんが、お蕎麦屋さんらしいメニューで、「これがお蕎麦屋さんのメニューだよな~。」と一人勝手に納得してしまうメニューです。


今日は、その「お蕎麦屋さんらしいメニュー」の中から、瓶ビールの大(中は無いのかな?)と、お蕎麦屋さんの定番料理「わさび芋」、藪蕎麦のお店では珍しい(?)「玉子焼」、そして「あい焼」をお願いします。

料理を待っている間に店内を見渡すと、小さなお店ではありますがゆったりしたテーブル配置で、シンプルかつサッパリした雰囲気です。また、テーブルの上にはメニューしかなく七味も醤油も爪楊枝もありませんが、それがまたサッパリした良い雰囲気を演出しているようにも思います。


そんなことを思っていると、「わさび芋」が瓶ビールと一緒に運ばれてきます。
「並木藪蕎麦」さんでいただいてからすっかりお気に入りの一品になってしまった「わさび芋」を、まずは醤油を入れずにいただいてみると、「そうそう、これこれ。」と思ってしまう弾力とネットリ感が何とも言えず美味しいです。
次に醤油を少々垂らしていただいてみると、醤油が良いアクセントになってこれまた美味しいです。

で、ここまでは良かったのですが、この後、出された醤油を全て掛けてしまい、「うっ!、(醤油が)多い。」と思った時は既に手遅れで、折角の美味しい芋がおもいっきり醤油味となってしまいました。お蕎麦屋さんでいただく芋はそれだけで十分美味しいので、味にアクセントを付ける程度の醤油で十分と思います。


次に運ばれてきたのは「あい焼」(鴨肉とネギ)で、荒塩と七味が一緒に運ばれてきます。
「荒塩か・・・。」と興味津々ではありますが、まずはそのままいただいてみると、鴨肉の柔らかさがとても良い感じです。そして「荒塩」を付けていただいてみると、「なるほど、こりゃいいや。」と納得の美味しさです。
七味については、まぁ、予想できる味わいといったところでしょうか。


そして大小2種類ある「玉子焼」。
今回は「小」(小さい方)をお願いしましたが、運ばれてきた「玉子焼」は2人で食べても十分な大きさです。また、「玉子焼」は切られておらず、そのままかぶりつきたくなる塊になっています。
なお、味は明確な甘口で、優しさの感じられる昔懐かしい「玉子焼」です。


今日の瓶ビールは大瓶でしたが、陽気も暑いことからゴクゴクいってしまい、料理がまだまだ残っているのに空いてしまいました。「時間もあるし、今日はもう1本ビールをもらおうかな?。」とも思いましたが、折角、藪蕎麦の素晴らしいお蕎麦屋さんに来ているので、ここはやはり菊正宗をいただくことにします。

とは言え、やはり暑さが厳しいので常温ではなく冷えた菊正宗があるか聞いてみたところ、「ありますよ。」とのことなので、その「冷えた菊正宗」と「わさび漬」を追加でお願いします。

呑みきりサイズの冷酒(瓶)ではなく白い徳利で運ばれてきた「冷えた菊正宗」は、冷え具合も程良く、美味しい「わさび漬」と、まだ食べ終えていないお通しの柔らかい「蕎麦味噌」と一緒に美味しくいただきました。


さて、時間は十分にありますが、そろそろ蕎麦をいただこうと思います。
ここ『吾妻橋やぶそば』さんでは、「もりそば」も「玉子焼」同様サイズが選べるようになっていて、大中小の3つのサイズから蕎麦の量を選べるようになっています。

実際の量を見ないと何とも言えませんが、インターネット上でも「小で十分」という書き込みが多くあり、また、価格からも「小」が普通盛りと思われることから「もりそば(小)」をお願いします。

そして、見た感じ普通盛りの「もりそば(小)」が運ばれてきます。
いつものようにまず蕎麦汁をなめてみると、「うっ!、辛い。」と感じる蕎麦汁で、「並木藪蕎麦」さんの辛さに比べたらまだまだですが、「池の端藪蕎麦」さんや「かんだやぶそば」さんに比べると辛いです。
まぁ、「藪」なので「これぞ藪!」といったところでしょうか?。

また、麺はしっかりした歯応えの感じられるツルツルの細麺で、何の抵抗感も違和感も感じること無く、更には辛い蕎麦汁の辛さを感じることも無くスルスルっと喉を通り過ぎていく美味しい蕎麦です。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『吾妻橋やぶそば』さんは、女将さん(?)のキビキビとしながらもおおらかで落ち着きのある接客が好印象で、清潔感の感じられるお店の雰囲気と併せて気持ちよく蕎麦前と蕎麦をいただくことの出来るお蕎麦屋さんでした。

また、料理にしても蕎麦にしても特別な物は何一つとして無い、ごくごく普通の、ごくごく当たり前のお蕎麦屋さんで、「そう、これがお蕎麦屋さんだよね。」という、基本に帰ることの出来る素晴らしいお蕎麦屋さんでした。

そして、気分良く「秩父宮ラグビー場」へと向うことができました。
ごちそうさまでした。


『前三三@横浜・港南台』さんの「鴨のスモーク三種盛」

2013-08-25 11:30:00 | 横浜市(栄区)

子供達がそろって不在となった日曜日、公共交通機関を使用して訪れるには少々難があるように思われる、JR根岸線・港南台駅と本郷台駅の中間にある『和肆楽粋 そば 前三三』(わしらくすい そば ぜんさんさん)さんへうちの奥さんと2人で行ってみました。

今日は道路が空いていたことから予定よりも早くお店に着き、お店の前で「今日は臨時休業じゃないよね?。」と少々不安を抱えながら暖簾が掛かるのを待ちます。

実は、こちらの『和肆楽粋 そば 前三三』さんを訪れるのは今回が3回目ですが、過去2回はたまたま「臨時休業」に当たってしまい、蕎麦をいただくことが出来ませんでした。

そんなことを思いながらガラス越しに店内を覗いているとライトが点き、開店時間の11:30に暖簾が掛かります。
そして落ち着いた大人の雰囲気漂う店内に入り、4人掛けのテーブル席に着きます。

席に着いて紙に書かれているメニューを眺めていると、ご主人がコップに入ったお水を持ってきてくれます。
今日は朝から小雨が降っていて、暑さを感じる陽気でもありませんでしたが、お水ですか・・・。

まぁ、それはそれで良いとして、数ある一品料理の中から「そば豆腐」と「鴨のスモーク三種盛」、そして「つけ鴨せいろ」と「野菜さまざま天せいろ」をノンアルコールでお願いします。


注文後、何の説明も無く黙って待たされること30分。
「野菜さまざま天せいろ」の天婦羅だけが、「お蕎麦、茹で上がり次第お持ちします。」という言葉と共に運ばれてきます。注文してから30分経過しているのに「茹で上がり次第」って、もしかしたら暖簾を出してから蕎麦を茹でるためのお湯を沸かしているのでしょうか?。

だとするならば、「お湯を沸かすので時間が掛かります。」と最初に一言あっても良いように思いますが・・・。

また、30分待たされるにしても、その間に一品料理の「そば豆腐」と「鴨のスモーク三種盛」をつまんでいれば何ら問題は無いように思います。
まぁ確かに、注文時に「料理を先にお願いします。」とお願いしなかった方が悪いのかもしれませんが。


そんなことを思いながらポツポツ天婦羅をつまみ始めたところでようやく蕎麦が運ばれてきます。
品数が減った天婦羅を添えて写真を撮り、やや硬めの蕎麦をいただき始めたところで「そば豆腐」と「鴨のスモーク三種盛」が運ばれてきます。


まずは「そば豆腐」。
箸を豆腐の中央に入れてみると思っていた以上に硬く、弾力の感じられる豆腐です。


次に「鴨のスモーク三種盛」。
普通のスモーク(右)に味噌味(左)と胡椒味(中央)が加わった三種盛でした。


今日、蕎麦と料理をいただいた『和肆楽粋 そば 前三三』さんは、年配のご夫婦お二人で切り盛りしているようで、女将さんの丁寧で物腰の柔らかい接客はとても好印象でしたが、他にお客さんがいない状態で料理の待ち時間30分は長いように思います。

そして、注文してから待ち時間30分+食事時間20分の計50分が経過した12:20、会計を済ませてお店を後にしました。ちなみに、開店と同時に入店し、そこからお店を出るまでの50分間に訪れたお客さんは、年配の女性客1名とお店を出る時にすれ違ったご夫婦2名の計3名のみでした。


『せんしゅう庵@伊勢原』さんの出来立て「10割り蕎麦」

2013-08-24 23:49:21 | 神奈川県(伊勢原市)

所用で神奈川県伊勢原市にある「伊勢原市総合運動公園」を訪れました。
13時半頃に所用が済んだ場合は、更に遠くへ足を伸ばしてみることも含め、昼食の選択肢が色々とありますが、14時過ぎの昼食となったことから、あれこれ動き回ることは止め、総合運動公園からわずか数分の所にある『讃岐・せんしゅう庵』さんというお蕎麦屋さんへ行ってみることにしました。

しかし、この『讃岐・せんしゅう庵』さんは15時から中休みに入るので、昼食を取る時間を踏まえるならば少し急がなければなりません。

「蕎麦売り切れました。」となっていないことを祈りながら急いでお店に向かい、14時半に到着すると、お店には丁度食事を終えたところの若い男女1組がいたのみで、なんとなく中休みに入る雰囲気です。
ご主人と目が合ったので「まだ大丈夫ですか?。」と聞いてみると、「大丈夫。」とのこと。
「良かった。」と思いながら一人席についてメニューを広げます。

今日は車なのでビールもお酒もいただきませんが、空腹なので蕎麦以外に何かいただこうと思い、おそらく手間が掛からず直ぐに出てくるだろうと思った「じゃこ天」をお願いすると、「今日は無い。」とのことです。
じゃあ、冷奴かな?と思いましたが、中休み前の営業時間残り30分ということで時間もあまりないので、残念ではありますが、今日はおとなしく最初から蕎麦をお願いすることにします。


そして、まだ残っているか確認してから「10割り蕎麦」と単品の「天婦羅」をお願いします。
天婦羅と蕎麦が出来るまでの待ち時間にメニューをもう一度眺めていると、「10割り蕎麦」は「御注文を承けてから蕎麦をつくる」と書いてあり、どうやら、注文を受けてから蕎麦を打つようです。
そのため少々時間を要しているようで、その間の時間潰しを兼ねて「やっぱり何か一品頼むべきかな?。」と思いましたが、ご主人が一人で接客と調理を切り盛りしているので声を掛けず静かに蕎麦を待ちます。


そして運ばれてきた、「十割り蕎麦の天せいろ」(十割り蕎麦+天婦羅)。
注文を受けてから蕎麦を打つとのことですが、手打ちにしては短い待ち時間で、また、手で打っている様子は感じられなかったので機械打ちかもしれません。

まず、蕎麦汁を付けず蕎麦のみをいただいてみます。
十割蕎麦なのでつなぎを使用せず純粋に蕎麦粉のみで作られていますが、やや粉っぽさが感じられるもののボソボソ感は無く、まるで二八蕎麦をいただいているかのような滑らかな喉越しで「いかにも蕎麦!」って感じです。
そして、打ち立てということもあってか、蕎麦の甘みが感じられ美味しいです。

次に少々甘めかな?と思われる蕎麦汁に付けていただいてみると、蕎麦汁が蕎麦をしっかり引き立てていて、力強い十割り蕎麦を更に美味しくいただくことが出来ました。

また、天婦羅はサクサクというよりフワフワという食感で、サラッとした印象の美味しい天婦羅でした。特に、「海老」のプリプリ感がとても良かったです。なお、下の写真では天つゆしか見えませんが、薬味の下に蕎麦汁用の蕎麦猪口があり、天婦羅は天つゆで、蕎麦は別猪口の蕎麦汁でいただきます。


今日は、蕎麦前をゆっくりいただく時間はありませんでしたが、食後に甘味をいただく時間はありそうだったので、最後に「そば寒天」をいただいて丁度15時に会計を済ませるつもりで食事を始めました。
しかし、蕎麦と天婦羅が運ばれてくると同時に暖簾を店内に移動し、ご主人もご自身の昼食を取り始めたので、結局、追加で「そば寒天」も頼むことができず、今日は「蕎麦」だけのお蕎麦屋さん訪問となってしまいました。

それにしても、中休み中のお蕎麦屋さんでご主人と2人でテレビを見ながら食事を取るのって・・・。
初めての経験で、ちょっと緊張気味で、写真も撮りにくく、なんとなく食べ難く、料理の記憶をしっかり残すことができなかったように思います。

そして、サッさとお店を出ないといけないかな?と感じてしまい、蕎麦湯も程々に会計をしようとしましたが、ここでご主人と色々お話しをする場となりました。

まず、十割蕎麦については、「(注文を受けてから作るので)蕎麦粉がある限りいつでも出来る。」とのこと、そりゃそうですね、「十割蕎麦まだありますか?」という数量限定品を頼む時の質問は愚問でした。
そして、「雨降らないよね。降ってくれないと困るんだ。」とのこと、「?」と思っていると、「薬味の葱は自家製なんだよね。俺が作ってる。」とのこと。それって食べる前に言ってほしいんですけど・・・。
だって、薬味使用しない人だから。今日だって、山葵の味見をしただけで、葱については手付けずです。知らなかったとはいえ、味見だけでもすれば良かった・・・。

最後に、「(中休みに入る直前の)時間の無い時に来てしまって・・・。」と言うと、「暇してたんだよね。」とのこと。
きっと、時間が無いからとあえておつまみは頼みませんでしたが、喜んで作ってくれたように思います。
そしてお店を出る時お店の外まで話をしながら見送りに来てくれるなど、一見、難しそうに見えるご主人ではありましたが、実はとても気さくで話し好きなご主人で、蕎麦あり、うどんあり、丼ものあり、定食あり、一品料理(おつまみ)あり、そして日本酒の品揃えが「飛露喜」、「十四代」等と、こちらも素晴らしい品揃えで、更には、地元のイベントを主催しているなど、地元に根付いた「おらが町のお蕎麦屋さん」という印象のお蕎麦屋さんでした。

まぁ、あえて言わせていただくならば、素晴らしいお酒の品揃えではありますが、公共交通機関を使用して訪れることが難しく、お酒を飲みながら美味しい料理をいただくことが出来ないというところが難点でしょうか?。


今日は時間も限られていたことから料理と蕎麦をゆっくりいただくことが出来ませんでしたが、ぜひもう一度訪れ、のんびりと、料理と蕎麦をいただきたいです。
ごちそうさまでした。美味しい十割り蕎麦でした。

そして、雨による大きな被害が日本各地で出ているので雨を期待することは不適切かと思いますが、美味しい食材が育つよう、伊勢原地区に適度な雨が降ることを静かにそっと願っています。


『そばの花@信州・上田』さんの「そばようかん」

2013-08-16 11:30:00 | 長野県(東信)

毎年夏になると訪れる菅平高原(長野県上田市)。
今年も例年同様8月上旬と中旬の2回訪れることになり、その帰宅途中、真田町にある『十割蕎麦処・そばの花』さんへ立ち寄って蕎麦をいただきました。

大きな通りから外れ、「本当にこの道で良いのだろうか?。」と不安を抱えながら細い道を進んで到着した『十割蕎麦処・そばの花』さんは、どこからどうみても普通の民家にしか見えない佇まいです。

そして、道路の反対側にある駐車場(空き地)に車を止め、入口の扉を開けるとそこは民家の玄関そのもので、どうしたらよいのか戸惑ってしまいますが、柔らかな物腰のご主人に案内され、靴を脱いで店内へ入ります。

お店は、6人程度が座れる大きなテーブル(椅子席ではなく床の上に座布団で着席。)が2つと2人用のテーブル(椅子席)が置かれているゆったりしたフローリングのフロアと、テーブルが2つ置かれている6畳程度の和室とがあり、フローリングのフロアを含めて「和」の雰囲気が感じられるゆったり落ち着いた静かな空間です。

フローリングのフロアにあるテーブル席(2人用の椅子席)に着いてメニューを眺めていると、ご主人から「大盛りは出来ない。」と説明を受けますが、元々普通盛りをお願いする予定だったので問題は無く、予定通り「もりそば」(普通盛り)と「あげ煮」をお願いします。


手打ち蕎麦のお店は、蕎麦が無くなった時点で閉店というお店も多く、「大盛りは出来ない。」というのは「1人でも多くのお客さんに食べてもらうための配慮。」と思いましたが、次に扉を開けた4人組のお客さんに「予約分を除いて蕎麦があと2人分しかないんです。」と断りの説明をしていて、確かに「1人でも多くのお客さんに・・・。」という理由ではありますが、11時開店のお店で11時半過ぎに売り切れになるお蕎麦屋さんらしく少々驚きです。
結局、その次に訪れた2人組のお客さんでこの日は売り切れ(閉店)となってしまいました。

そんなことを思っていると、箸と蕎麦汁と薬味と漬物(?)がセットされ、続いて「あげ煮」が運ばれてきます。
「あげ煮」は、濃い目の醤油味に煮込んであるのかな?と思いましたが、主役である蕎麦の味わいを壊さないためなのか、薄味でした。


しばらくして運ばれてきた「もりそば」は、良く冷えた細打ちの十割蕎麦で、キリッとした歯応えと喉越しの良い美味しい蕎麦でした。また、蕎麦汁はサッパリした辛口という印象の蕎麦汁でした。

なお、蕎麦を食べ終えた頃に運ばれてきた蕎麦湯はトロトロの濃い目で、辛口の蕎麦汁に加えても、蕎麦湯だけでいただいても美味しくいただける素晴らしい蕎麦湯でした。
きっと、蕎麦焼酎に入れて「蕎麦焼酎の蕎麦湯割り」にすると美味しいんだろうな・・・。


美味しい蕎麦湯をいただきながらホッと一息ついていると、先客のご夫婦がデザートを食べ始めます。
時計を見ると12時少し前、通常ならお昼時の忙しい時間帯のため、1人で居座っては申し訳ないと思い急いで席を空ける時間ではありますが、今日は「蕎麦売り切れ」のため新しいお客さんの来店が無いことから、もう少し信州最後の食事を楽しませていただこうと思い、「そばようかん」を追加でいただくことにしました。

待つことも無く運ばれてきた「そばようかん」は、蕎麦でつくった花形の冷えたようかんに黒蜜を掛けた物(?)で、黒蜜の程好い甘さがなかなか良い感じの、美味しい一品でした。


今日、運良く蕎麦をいただくことのできた『十割蕎麦処・そばの花』さんは年配のご夫婦二人で切り盛りしているようでしたが、お二人の上品で柔らかな接客が作り出す落ち着いた雰囲気が心地良く、「大人が静かに集うお蕎麦屋さん」という印象のお蕎麦屋さんでした。

そして前日夜、臨時休業のため予定していたお蕎麦屋さんで料理と蕎麦をいただくことの出来なかった残念さを吹き飛ばしてくれました。

ごちそうさまでした。


『よしみや@鷺沼』さんの力強い「魚沼の豆腐」

2013-08-12 23:47:53 | 神奈川県(川崎市)

家族みんながそれぞれの予定で過すことになった暑さの厳しい夏休み3日目。

特に予定も無いことから、昼食を兼ねてどこかのお蕎麦屋さんへ行ってみることにしました。
幸い今日は「平日」ということで、「平日しか営業していないお蕎麦屋さん」(例えば、巴町砂場さん。)へ行く事も可能だし、一人ということで「遠くのお蕎麦屋さん」(例えば、秦野の「くりはら」さん。月曜日休みですが。)へ行く事も可能ですが、やはり「暑い」という意識がはたらいてしまい、「それ程遠くもなく交通の便も良いが、待っていると訪れる機会はおそらくやって来ないだろう。」と思われる、東急田園都市線・鷺沼駅近くの『一番碾き蕎麦・よしみや』さんへ行ってみることにしました。

目的の『一番碾き蕎麦・よしみや』さんは駅前の少々古いマンションの地下1階にあり、階段を下りると古ぼけた薄暗いフロアで、「こんなところに、本当に、評判の高い名店があるんだろうか?。」という雰囲気です。

そして「開店50周年」を祝うランの鉢植えが所狭しと並んでいる入口の扉を開けると、地下フロアの雰囲気に全くマッチしていない明るく綺麗な店内で、おまけに思っていた以上に広々とした店内は昼時を過ぎた13時半過ぎにもかかわらず満席に近い状態で、活気と賑わいの両方が感じられます。

30席ほどあると思われるテーブル席が満席に近い状態だったことから3人用のカウンター席に着いてメニューを広げ、エビスの生と一緒に一品料理から「魚沼の豆腐」と「玉子焼」をお願いします。

まず運ばれてきた「魚沼の豆腐」。
「魚沼」と言えばコシヒカリの産地として有名(個人的には銘酒「緑川」の産地として有名。)で、「豆腐?。」と思ってしまうかもしれませんが、新潟大豆「あやこがね」を使用して作られた豆腐は有名で、きっと、その新潟大豆「あやこがね」を使用した魚沼産の豆腐ではないかと思います。

「だとするならば・・・。」と思いながら箸を入れてみると、強い弾力とネットリ感が感じられます。
「やっぱり。」と思いながら一口いただいてみると、なめらかな舌触りでキメが細かく、とってもクリーミーな食感です。そして味がギュッと凝縮されている濃厚な味わいでありながら後味がサッパリしている美味しい豆腐です。

こんなマニアックな「魚沼の豆腐」をメニューに並べているなんて、それだけで「ここの蕎麦屋はただ者ではない。」という印象です。


続いて運ばれてきた「だし巻き玉子」。
皿の中央に、黄色一色の綺麗な玉子焼が一切れドン!と置かれていて、重量感と貫禄が感じられます。
その「だし巻き玉子」を一口いただいてみると、明確な甘さの感じられる甘い玉子焼で、優しく上品な「だし巻き玉子」という印象です。


さて、ビールも無くなったので、そろそろ蕎麦をいただこうかと思いましたが、カウンター席正面にお酒とグラスを冷すための冷蔵庫があり、その中にある「純米吟醸活性にごり酒・源左衛門」というお酒がずっと気になっていて、メニューにも書かれていないのでどうしようか迷いましたが、後々後悔しそうだったので「源左衛門っていただけるんですか?。」と聞いてみると「はい、もちろん。」とのことだったので、「ハモの天ぷら」と一緒に初体験の「純米吟醸活性にごり酒・源左衛門」をお願いします。

ワイングラスのようなグラスに注がれた「純米吟醸活性にごり酒・源左衛門」は、火入れをしていない生原酒ということもあって濃厚な味わいですが、滑らかな喉越しの感じられる、後味のサッパリしたにごり酒でした。
また、肴にいただいたふんわり柔らかい「ハモの天ぷら」は、添えられていたすだちを掛けても美味しくいただけましたが、蕎麦汁の味が感じられる、そのまま飲んでも美味しい天つゆでいただくのが一番美味しかったです。


さて、今度こそ本当に蕎麦。
いつもなら「せいろ」をお願いするところですが、今日は最初から「鴨せいろ」をいただこうと決めていたため予定通り「鴨せいろ」をお願いします。

しばらくして登場した「鴨せいろ」は「鴨汁+蕎麦」ではなく「鴨の小鉢+せいろ」の形で、美味しい汁のかかった鴨料理をつまみながら「せいろ」を美味しくいただきました。

なお、蕎麦は喉越しの良い細麺ですが、量が少ないという印象です。
また、蕎麦汁は濃い目の辛汁でしたが、上品な美味しい蕎麦汁で、蕎麦湯にしても美味しくいただけました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『一番碾き蕎麦・よしみや』さんは、笑顔を絶やさない花番さんの丁寧な接客も良く、お盆休みとはいえ平日の13時半過ぎにもかかわらず満席に近い状態ということも納得できる、居心地の良いお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。