蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『能登治@新橋』さんの季節の一品「桜えび辛味おろし」

2013-10-29 23:51:34 | 東京23区(港区)

都内での仕事を終えた夕方17時半過ぎ、幕末の安政年間に創業し、その後明治16年頃に新橋に移転したという、木鉢会所属の老舗蕎麦屋『おそば 芝新橋・能登治』さんを訪れてみました。

お店のある新橋には多くのお蕎麦屋さんがありますが、曜日や天気に関わらず夜は常に混んでいるというイメージがあることから、今回も空席を求めてお店を転々とすることになるのだろうか?と不安を抱えながら暖簾をくぐってみると、先客はおらず、物腰の柔らかそうな女性の花番さんが1人でお客さんを迎える準備を進めています。

「実は予約で満席ってことは無いよね?。」と思いながら1人であることを伝えると、笑顔で「どちらでもどうぞ。」とのことなので、1人で4人掛けのテーブル席を使わせていただくことにしました。

席に着いてまず瓶ビールをお願いしますが、ここ『おそば 芝新橋・能登治』さんではサッポロラガーとキリン一番搾りの2種類から好きな方を選ぶことができるため、迷うことも無く「赤星」(サッポロラガー)をお願いします。

料理はテーブルの上に置かれているメニューにも書かれていますが、ビールをお願いすると紙に書かれた別のメニューを持って来てくれます。その、別書きのメニューを見ると定番の料理以外に、あれも食べたいこれも食べたいと思ってしまうそそる季節の料理が並んでいます。


そんなそそるメニューの中からまず定番の「玉子焼き」と季節の一品「桜えび辛味おろし」をお願いします。

料理を頼み、「赤星」を飲みながら店内を見渡すと、10卓ほどあるテーブル席がゆったりと配置されていて、また、装飾品がさりげなく飾られているなどついつい長居してしまいそうな居心地の良さが感じられます。


そんなことを感じていると、まず季節の一品「桜えび辛味おろし」が運ばれてきます。
運ばれてきた小鉢を覗いてみると、綺麗なピンクと緑が絡み合っていて、見て楽しめる一品に仕上がっています。
そして、桜海老と三つ葉を一緒にいただいてみると、三つ葉の爽やかさがとても良い感じです。


続いてアツアツの「玉子焼き」が運ばれてきます。
断面を見てみると、色ムラの無い綺麗な黄色一色の「玉子焼き」で、甘過ぎない甘さが美味しいです。


「赤星」と、見て良し食べて良しの美味しい料理で蕎麦前を楽しんだことからそろそろ蕎麦をいただこうと思いましたが、料理も美味しく貸切状態のお店は居心地が良いことからもう少しお酒と料理をいただこうと思い、冷酒「尾張男山」と季節の一品「蕎麦みそ大葉巻」を追加でお願いします。

「蕎麦みそ大葉巻」は予想通り蕎麦味噌を大葉で包んだ料理ですが、大葉の香りと味わいが強く、ほぼ大葉を食べているような印象でした。


さて、今度こそ蕎麦をお願いしようと思います。
いつもなら「もり」をお願いするところですが、美味しい蕎麦前と心地良い憩いの一時を過ごさせていただいたことから気分も良く、少々奮発して桜海老の天麩羅と辛味大根が盛られた「桜おろし」をいただくことにしました。

日頃いただくことの無いぶっかけの「桜おろし」は、桜海老の天麩羅が蕎麦の上に散りばめられていて、見るからに美味しそうです。そして、ぶっかけなので蕎麦汁の味はよく分かりませんが、天麩羅と喉越しの良い細麺が美味しく、納得の一品です。


蕎麦をいただき時計を見ると、間もなく18時半になろうとしている時間で混雑しそうな時間ではありますが、「全面禁煙」という一言が影響しているのか店内は常連さんらしき少人数のお客さん一組がお酒を飲んでいるのみで閑散とした状況は変わっていません。

そんな、新橋にありながら新橋らしくない雰囲気の中、物腰の柔らかい花番さんの接客と、丁寧さの感じられる美味しい料理と蕎麦を静かに味わっていると、お店の外へ出たくないと思うようになってしまいます。

しかし、そんな訳にも行かず、蕎麦湯の後に運ばれてきた緑茶を飲み干し、満足感をタップリ感じながら席を立ち、そして賑わう新橋の街へと出て行きました。

ごちそうさまでした。


『巴町砂場@虎ノ門』さんの「コンニャクと山椒の実」

2013-10-25 23:51:47 | 東京23区(港区)

「江戸蕎麦御三家」と言われている「砂場」、「藪」、「更科」のうち、最も古い歴史を持つ老舗蕎麦屋の「砂場」。

今回訪れた『そば処・巴町砂場』さんは、平成元年に今の場所に移転したことからお店自体は新しく綺麗ですが、数ある「砂場」系列のお蕎麦屋さんの中でも創業が江戸初期と古く、歴史ある老舗のお蕎麦屋さんです。

ということで、ぜひ一度訪れたいとずっと思っていながら営業日の壁(土日祝日が休みで平日のみ営業)に阻まれなかなか訪れることが出来ませんでしたが、たまたま仕事で芝公園近くに出掛ける予定が入ったことから、仕事を終えた夕方17時過ぎ、東京メトロ日比谷線・神谷町駅近くにあるお店へ、足を運んでみました。

まずは外観の写真を撮らせて頂き、撮り終えたところで早速暖簾をくぐってみると、開店直後ということもあって先客のいない店内はとても静かで、そして明るく気持ちの良い清潔感が店内いっぱいに漂っています。

そんな心地良い雰囲気を感じながら広々とした4人掛けのテーブル席に着き、まずビールをお願いしてから料理のメニューに目を向けます。

メニューはお蕎麦屋さんの定番料理が中心のメニューで、とりあえず「月見芋」と「玉子焼」をお願いします。


ビールと一緒に運ばれてきたお通しは「枝豆」でしたが、お年を召されていると思われる女将さん(?)が「召し上がってみてください。」と、コンニャクと山椒の実をあえた料理を出してくれたのでいただいてみると、山椒の風味と味わいが食欲を刺激する、何とも言えない美味しい料理で、これだけでお酒が進んでしまいそうです。

そんな、メニューに無い素晴らしい料理に感動していると「月見芋」が運ばれてきます。

まず、そのまま芋だけをつまんでみると、ネットリした弾力が感じられまずまずです。
そして「卵が少し大きいかな?。(卵の味が強く出てしまうかな?)」と思いながら醤油を少々垂らしてグルグルとかき混ぜていただいてみると、色味は卵のオレンジ色が強く出ていますが、卵の味はあまり感じられず、食感の良い美味しい「月見芋」です。


また、「月見芋」を食べ始めたところで運ばれて来た「玉子焼」は、程好い甘さとフワフワした優しい食感がなかなか良い感じの、オーソドックスな美味しい「玉子焼」です。


席に着いてからここまで20分ほど時間が経過しましたが、BGMの無い無音の店内に他のお客さんはおらず、また、透明のガラス扉に目を向けるとお店が面している片側2車線の国道1号線を走る車が見えますが、その音が聞こえることはほとんど無く、1週間分の疲れを洗い流してくれる心地良い時間が静かに流れていることから、もう少しのんびりさせて頂こうと思い、「生貯蔵酒・菊正宗」(冷酒)と「焼き鳥」を追加でお願いします。


「冷酒」をお願いすると、先程の女将さんらしき方が今度は「鮪の刺身」を持って来てくれます。
南千住の砂場さんもそうでしたが、お酒をお願いするたびに料理をサービスしていただき、それもサービスにしては立派過ぎる刺身で、嬉しい限りです。


さて、他にお客さんがいないことから予想通りさほど待つことも無く「焼き鳥」が運ばれてきますが、スライスしたような鳥肉で、これはこれで食べ易くて良いと思いますが、トロミのあるタレが掛けられた鶏肉を想像していただけに、珍しさの感じられる「焼き鳥」です。


お酒と美味しい料理を十分いただいたので、そろそろ蕎麦をお願いします。
お願いした「せいろ」の蕎麦は、ツヤツヤツルツルの食べやすく喉越しの良い蕎麦で、出汁の味わいがしっかり感じられるやや甘めの蕎麦汁と一緒に美味しくいただきました。


今日は、『そば処・巴町砂場』さんで美味しい蕎麦前と蕎麦をいただきながら心地良い憩いの一時を過させていただきましたが、心地良さの一番の要因は、静かな凛とした空気が感じられながらもホッと一息つける穏やかな雰囲気と、随分とお年を召されていると思われる女将さんの大らかで親しみやすい人柄による気さくで気持ちの良い接客ではないかと思います。

そして、これからもずっと「心地良い」お蕎麦屋さんでいてほしいです。

ごちそうさまでした。


『松翁@神保町』さんの心温まる優しい「卯の花」

2013-10-24 23:45:17 | 東京23区(千代田区)

都内での仕事を終え、お蕎麦屋さんでビールでも飲んでホッと一息ついてから帰宅しようと思い、JR水道橋駅から小さなビルが寄り添いながら立ち並ぶ路地を一人クネクネウロウロと進んでいきます。

そして辿り着いた『手打蕎麦切・松翁』(まつおう)さん。
ビルの谷間にひっそり静かに佇んでいるその姿は、どこにでもある町のお蕎麦屋さんといった店構えで、失礼ではありますが、どう見ても老舗のお蕎麦屋さんには見えません。

そんな『手打蕎麦切・松翁』さんの暖簾をくぐると、雨の平日17時半という事もあって、テーブル席のみが並んでいる庶民的な雰囲気の店内は空いていていましたが、女将さんは何となく困った様子です。
その表情をを見て、お店変えようかな?と思いましたが、「こちらの席しかありません。」と端っこの2人掛けテーブル席を勧められたので、その勧められたテーブル席に座らせていただきます。

端っこのテーブル席に座って差し出されたメニューを眺めながら店内を見渡すと、どのテーブルにも箸と小皿とメニューが用意されています。どうやら今日は予約で満席らしく、座れただけでもラッキーということのようです。

ということで、活気の感じられる厨房の様子が伺える席でメニューを広げ、料理とお酒を選びます。

ビールは、生が珍しい「琥珀エビス樽生」だったので迷わず生ビール。
そして、今日は軽く頂こうと思い、「卯の花」と「穴子の煮凍り」をお願いします。

まず運ばれてきた「穴子の煮凍り」。
薄味ではありますが、しっかりした旨味の感じられる一品です。そして、口の中でふっくらした穴子の身が崩れていく食感がなかなか良い感じです。また、大きさも大きく、食べ応えのある「穴子の煮凍り」です。


続いて「卯の花」。
ホンワカした優しい温かさで、薄味ながらボソボソ感の無いしっとり落ち着いた味わいで美味しいです。
いや~、この「卯の花」、素晴らしい逸品です。


美味しい料理が続いたので、もう少し料理をいただきたくなり、またビールも無くなりそうだったので、お店に入った時から気になっていた「ふろふき大根」と埼玉県の地酒「手作り純米・神亀」を追加で頂くことにしました。

輪切りでは無く、高さのある予想しなかった形と大きさ(いずれの料理も量が多い)で登場した「ふろふき大根」。
過去に味わったことの無い、甘くまろやかな味噌に絡めて美味しくいただきました。


さて、蕎麦。
毎日変わるという変わり蕎麦と並そば(生粉打ち)が盛られた「二色もり」をお願いします。
そして、こちらの『手打蕎麦切・松翁』さんでは濃口と薄口の2種類ある蕎麦汁から好みの蕎麦汁を選択しますが、今回は塩分控えめな濃口をお願いします。

蕎麦を注文すると、まず、ネギ、ワサビ、大根おろし、ゴマが乗った薬味皿と蕎麦猪口、そして蕎麦汁の入った徳利が運ばれてきて、その後しばらくしてざるに盛られた「二色もり」が運ばれてきます。

蕎麦を頂きながら薬味をつまんでみると、ワサビは爽やかな辛みが感じられ、また、フワフワに盛られたネギは辛味を感じることも無く新鮮で、どちらもそれだけでいただくことの出来る美味しい薬味です。

また、濃口の蕎麦汁はキレの良いキリッとした辛口ですが、まろやかさの感じられる美味しい蕎麦汁です。

そしてメインの「並そば」。
生粉打ちとのことですが、ボソボソ感は全く感じられず、滑らかでしっとりとした食感で美味しいです。
そして何よりも、濃い口の蕎麦汁との相性が抜群で、蕎麦汁をしっかり絡めて美味しくいただきました。

なお、今日の変わり蕎麦は「紫蘇切り」で、ほのかに紫蘇の香りが感じられる美味しい蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打蕎麦切・松翁』さんは、揚げた天婦羅を1つの皿に盛って1度に全てを運んで来ることをせず、揚げた順に1品ずつ運んでくれる天婦羅が人気で、今日もご主人が忙しそうに店内を行ったり来たりしながら席まで天婦羅をこまめに運んでいました。
また、各地の美味しい日本酒の品揃えもなかなかのもので、それらの美味しいお酒を飲みながらのんびり揚げ立ての天婦羅をいただくことの出来る、贅沢な一時を過すことの出来るお蕎麦屋さんです。

今回は1人で訪れたことから天婦羅はいただきませんでしたが、ぜひ一度、揚げ立ての美味しい天婦羅を肴に日本酒をいただいてみたいです。

ごちそうさまでした。


『薮そば@浜町』さんの「月見いも」

2013-10-19 23:54:40 | 東京23区(中央区)

東京・青山にある秩父宮ラグビー場で社会人ラグビーの試合を観戦した後、遅い昼食を取るために地下鉄を乗り継いで人形町へと向いました。

東京都内には星の数ほどお蕎麦屋さんがあるので、何もそんなに遠くまで移動しなくてもお蕎麦をいただくことは出来ますが、ぜひ一度訪れたいと思っていながら未だに足を運んでいない、木鉢会に所属する藪蕎麦の老舗があることから、足を伸ばして人形町まで行くことにしました。

そして14時半、明治座近くにある『浜町・薮そば』さんへ到着しました。

この、『浜町・薮そば』さんは明治37年(1904年)に「かんだやぶそば」さんから暖簾分けして開店したお蕎麦屋さんで、藪系列のお蕎麦屋さんで構成されている「藪睦会」の中でも歴史が古く、また、江戸蕎麦御三家の一つ「藪」の直系店という、歴史のあるお蕎麦屋さんです。

そんな『浜町・薮そば』さん・・・。
綺麗なビルの1階(ビルの名前が「浜町薮ビル」。自社ビルってこと?。)にあり、扉も自動扉で、その外観からは歴史のある老舗ということは感じられません。

早速、暖簾をくぐって店内に入ると、14時半という中途半端な時間ということもあってモダンな造りの店内は空いていて、一人で4人掛けのテーブル席を使わせていただきます。


席に着いてテーブルの上に置かれているメニューを眺めると、「お蕎麦屋さんらしいメニュー」と思っているシンプルな内容ではありますが、問題は無く、瓶ビールと一緒にマイブームになっている「藪で芋」の「月見いも」、そして少々涼しい陽気なので温かい料理が食べたいと思い「親子煮」をお願いします。

ビールをグッと一杯飲み干し、そして二杯目を飲み始めたところで「月見いも」が運ばれてきます。
「思っていたよりも卵が大きい・・・。」と思いながら写真を撮っていると、時間が掛かると思っていた「親子煮」も運ばれてきます。

冷めないうちに温かい「親子煮」をいただこうと思いましたが、「月見いも」を楽しみにしていたので醤油を入れる前に芋だけちょっと食べてみます。

芋はやや緩めで芋の味わいも強くはありませんが、とても滑らかな舌触りでまろやかです。
次に、入れ過ぎないよう注意しながら醤油を注ぎ、均一になるまでグルグルと良く混ぜてからいただいてみると、卵の味がやや強いように感じられ、まぁ、これはこれで良いのですが、芋の旨みとネットリした食感が少々薄くなってしまったかな?という印象です。


続いて「親子煮」。
柳川のようにドンッ!と来るのかと思いましたが、思っていたほど大きくはなく、やや辛目の味付けと併せて酒の肴に適した一品と思います。ただ、今日に関しては、涼しい陽気だったことからもう少しアツアツの状態で、フーフーしながらいただきたかったかな?と思います。


さて、締めの蕎麦ですが、藪蕎麦の老舗におじゃましているので、ここはやはり「せいろそば」をいただいて蕎麦汁を楽しませていただこうかと思いましたが、正面の壁に貼ってある「鴨せいろ」の張り紙がずっと気になっていて、気持ちが揺れてしまいます。

お蕎麦屋さんでは、必ず「せいろ」をいただくと決めている訳ではないので、気になるなら「鴨せいろ」をいただけば良いのですが、今日は気持ちが揺れます。

なぜ揺れるかと言うと、その揺れる要因は「価格」。
もう一度メニューを確認しますが、価格が「せいろ+花巻<鴨せいろ」となります。
ということで、「鴨せいろ」をいただくなら、蕎麦汁を楽しみたい「せいろ」と身体の温まる「花巻」をいただいた方が良いのではないか?と一人ブツブツ長考に入りますが、後悔しないよう、やはり初志貫徹(?)で「鴨せいろ」をいただくことにします。

店内が貸切に近い状態ということもあり、さほど待つことも無く運ばれて来た「鴨せいろ」は、見た目こそ少々物足りないと感じる量の蕎麦かもしれませんが、蕎麦前をいただいた後に鴨肉もいただくので、十分な量です。

なお、蕎麦はやや色白の細麺で、コシは弱いように感じられますが、あっさりした上品な喉越しで、旨味十分の鴨汁にタップリ付けて美味しくいただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『浜町・薮そば』さんは、その外観からも、またモダンな店内の雰囲気からも「老舗」という雰囲気はあまり感じられませんでしたが、着物姿の女性が一人で訪れ、「せいろ」をサッと食べて静かに去っていく風景を見ることの出来る風情あるお蕎麦屋さんで、また、しっかり気を遣いながらも近過ぎず離れ過ぎずの程好い距離感でそつなく接客してしている花番さんの姿にも好感を持つことの出来る、普通に「良い店」と感じることの出来るお蕎麦屋さんでした。

まぁ、それが「老舗であることを感じさせない老舗の実力」ってとこでしょうか?。

ごちそうさまでした。


『砂場@吉祥寺』さんの「小田巻き蒸し」

2013-10-12 23:55:34 | 東京都(武蔵野市)

人が多くて思うように歩くことの出来ない土曜日昼過ぎの吉祥寺。
そんな繁華街の中に、そっと静かに佇んでいる『おそば 吉祥寺・砂場』さん。

人通りの多い路地から階段を下りて、地下1階にあるお店の扉を開けると、お昼時を過ぎた14時ということもあってか広々とした店内は閑散としていて、外の雑然とした雰囲気とは異なる静かでゆったりした雰囲気です。

そして、うちの奥さんと二人で店内奥の4人掛けテーブル席に着き、まずは暑さでカラカラになっている喉を潤すために生ビールをお願いし、待っている間に蕎麦前の料理を考えます。

今日は昼食の時間をシフトさせていることから少々空腹で、腹に溜まる料理を中心に選んでも良かったのですが、「砂場」系列のお蕎麦屋さんということもあり、定番の「玉子焼」、うちの奥さんに一度食べさせたいと思っていた蕎麦屋の「やきとり」、メニューにあっても時間が掛かるためなかなか注文する機会に恵まれない「小田巻き蒸し」、という定番とも言える3品をお願いします。


お通しの「あさり」を肴にビールを飲みながら料理を待ちますが、BGMの無い店内には蕎麦をすする音のみが響き渡っていて、静か過ぎる雰囲気に緊張感を感じてしまいます。

そんな雰囲気の中、思っていた程待つことも無く「やきとり」が運ばれて来ます。
お蕎麦屋さんの「やきとり」なので鳥肉は串に刺さっておらず、少々甘さが強い印象ですが、柔らかく、空腹のお腹に優しい、ビールがついつい進んでしまう「やきとり」です。


「やきとり」の写真を撮っている間に運ばれて来た「玉子焼」は、甘さ控え目のフワフワ感がとても心地良い「玉子焼」で、満足感を感じることの出来る一品です。


今日は空腹ということもあって箸の進みも速く、また、もう少し食べたいと思ったことから追加で「わさび芋」と冷酒「緑川」をお願いします。

「わさび芋」は弾力感の緩い柔らかい芋でしたが、良く冷えていて、同じくお猪口まで良く冷えている冷酒「緑川」と一緒に美味しくいただきました。


「わさび芋」に続いて運ばれてきた「小田巻き蒸し」は、それが何であるかを伝えられなければ見るからに普通の茶碗蒸しで、「美味しい、美味しい。」と思いながらいただいていると、中からうどんが出てくるので確かに「小田巻き蒸し」ではありますが、見た目といい、味わいといい、やはり「茶碗蒸し」という印象です。

まぁ、「そういう料理です。」と言われてしまえばそれまでですが、小鉢や小さなドンブリなど茶碗蒸しとは異なる器を使用するとまた違った印象になるのかもしれません。


さて、締めの蕎麦。
「さすがにそこそこ食べたかな?。」という腹具合だったことから、普通の「もり」をいただきます。
運ばれて来た「もり」は、丸でも四角でもない湾曲している蒸篭に蕎麦が盛られていて、蕎麦前を十分いただいていることもあり、十分な量です。

そして、いただいた蕎麦はしっかりした腰のある美味しい蕎麦でしたが、蕎麦汁は辛く、蕎麦を控え目に付けても辛いと感じる蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『おそば 吉祥寺・砂場』さんは、「吉祥寺」という場所柄と、お店のある地下に降りるアプローチ部分の雰囲気から高級感の漂うお蕎麦屋さんという印象ではありますが、実は堅苦しくない普通のお蕎麦屋さんで、のんびり静かに憩いの一時を過すことの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。