蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『蕎真@横浜・綱島』さんの「お料理の盛り合わせ」

2014-04-26 23:17:29 | 横浜市(港北区)

長期休業中だったり臨時休業だったりと、何度お店のシャッターを見に行ったことか・・・。
そしてようやく、ようやく、ようやく暖簾を潜ることが出来た『石挽きそば・蕎真』(きょうしん)さん。

お店は東急東横線・綱島駅から徒歩10分程度のところにあり、交通の便も良く駅からもそう遠くは無いことから、「休みだったら別のお店に向かい、また来れば良い。」と次に向かうお蕎麦屋さんの候補を考えながら歩いていると、遠くで静かに揺れている暖簾を確認することができます。

「お~、今日はやってる(営業している)!。」と感動(?)しながら少々早歩きでお店に向かい、外観の写真撮影は後回しにして(これが大失敗)早速お店の扉を開けます。

お店は、13時半過ぎということもあってか先客は同時に入店した若い男女1組だけで、2人掛けのテーブル席も空いていましたが、明るく落ち着いた雰囲気のカウンター席に着きます。

席に着いてメニューを手にすると、まず長期休業に対するお詫びと営業再開に関する対応(メニューはごく限られた物のみ&当分昼のみ営業)が丁寧に書かれており、おしながきに目を向けると一品料理は無く、単品の蕎麦も説明書きの通り「せいろ」、「ざる」、「かけ」、「花巻」の4品に限られています。


そんな限定メニューを眺めながら「どうしようか?。」と思いましたが、迷う要素は無く、「せいろそば」(又はかけそば)と「お料理の盛り合わせ」と「ひとくち甘味」がセットになったお勧めメニューの「お蕎麦膳」をいただくことにします。そして、一人で切り盛りしているご主人に瓶ビールと一緒に「お蕎麦膳」をお願いすると、「では、お蕎麦は後にして料理を先に出しましょうか?。」と嬉しい提案をしてくれたことから、お言葉に甘えて料理を先にいただくことにしました。

蕎麦前でいただいた「お蕎麦膳」の「お料理の盛り合わせ」は、小さめの四角い器の中に様々な料理がギッシリと詰め込まれていて、過去にいただいた蕎麦前料理の中で1番綺麗な料理かな?と思うほど美しく丁寧に盛り付けられています。

その、美しい料理は全体的に薄めの味付けと思いますが、どれ一つ取っても美味しい料理ばかりで、けして見掛け倒しではない、実に質の高い料理の盛り合わせとなっています。
中でも甘口の玉子焼が美味しく、出来立ての熱々でないことが少々残念です。


美味しい料理を楽しんだところで声掛けで「せいろそば」をお願いします。
蒸篭ではなく陶器の器に盛られた蕎麦は、細く適当な腰が感じられる蕎麦で、なかなか良い感じです。
また、蕎麦汁はキリッとした辛汁でしたが、出汁の旨みがしっかり感じられる美味しい蕎麦汁でした。


なお、最後にいただいた「ひとくち甘味」は甘さの抑えられた甘味で、お酒を飲んだ後にいただいても違和感を感じることの無い一品でした。


そして大失敗の出来事ですが・・・。
営業しているお店を見て気持ちが急いでしまったのか、外観の写真撮影を後回しにしてしまいましたが、料理をいただきながらメニューを眺めているとラストオーダーが14時となっています。

「あれ?、14時ラストオーダーだったっけ?。」と思ってはみたものの、時既に遅く、蕎麦をいただいている最中にご主人が暖簾を店内に入れてしまいました。

ということで、今回の外観写真は暖簾がない状態の写真となってしまいました。
やはり、写真は撮れるときに撮っておかないといけませんね。

■暖簾が・・・。扉の内側に見えます。■

今日、ようやく暖簾を潜ることの出来た『石挽きそば・蕎真』さんは、長期休業明けということでメニューなど限られた内容での営業ではありましたが、料理と蕎麦の質が高いだけではなく、ご主人の温かみが感じられる穏やかな接客が心地良い、食べて良し、過ごして良しの素晴らしいお蕎麦屋さんでした。

そしていつの日か、再び料理をあれこれいただくことが出来るようになった際は、ぜひもう一度訪れ、じっくり料理をごちそうになりながら憩いの一時を過ごさせていただきたいと思うお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『大空@横浜・菊名』さんの「合鴨ウィンナー」

2013-12-14 23:17:45 | 横浜市(港北区)

家族4人がそれぞれで夕食を取ることになった土曜日、「玉子焼き」が夜のメニューにしかない、東急東横線・菊名駅近くの『手打ちそば・大空』さんの暖簾をくぐってみることにしました。

お店は駅から徒歩1分程度の、人通りの多い道路沿いにあるはずですが、そんな雰囲気は感じられず、「この辺りのハズだが・・・。」と不安を感じながら歩いていると、歩道沿いに立つお店の名前が書かれた電灯を見つけます。
「ここだ!。」と思いながら電灯の横に立ってお店の玄関に続くアプローチの先に目を向けると、ありました、ありました、道路から7~8m入った所にお店が。

「これは分り難い。」と思いながら清潔感の感じられるお店の扉を開けると、カウンターの無い、テーブル席だけの綺麗で明るくスッキリしたフロアが目の前に広がります。

17時半の開店直後に訪れたということもあり、先客は夫婦1組のみで「お好きな席にどうぞ!。」と案内されましたが、一人で訪れているということもあり、2人掛けのテーブル席に着いてメニューを開きます。

今日の蕎麦前は中瓶または大瓶のビール1本だけの予定でしたが、メニューを見ると小瓶があります。
そして日本酒の欄に、蕎麦と米で造ったアッサリ辛口の「蕎麦の酒」という飲んだことの無い福島のお酒があることを発見します。これって、ビールは小瓶にしてお酒を飲めということかな?と、都合の良いように解釈し、結局、まず瓶ビールの小瓶をいただき、その後日本酒をいただくという流れに予定を変更することになりました。

ということで、まずはビールを飲みながら一度食べてみたいと思っていた「合鴨ウィンナー」をいただきます。
見た目は普通のソーセージと同じですが、パキッとした歯応えは無く、柔らかい食感の、ある意味「鴨肉」らしいとも言える大人しく穏やかな味わいですが、薫製の香りが目立っていて、これはこれで美味しいビールの肴ではありますが、「鴨」を食べているということをあまり感じないウィンナーです。


次に、甘さの抑えられた夜限定の「玉子焼き」をいただきます。
中も外も黄色一色の綺麗な玉子焼きよりも、表面に焦げ目が付いている玉子焼きの方が「玉子焼き」らしいと思っているのでなかなか良い感じですが、フンワリ感のあまり感じられない「玉子焼き」でした。

なお、「玉子焼き」を肴にいただいた蕎麦と米で造った「蕎麦の酒」は、日本酒というよりも蕎麦焼酎という印象の方が強いお酒でした。


さて蕎麦ですが、今日は純粋に「せいろ」をいただきます。
メニューに書かれている「ご案内」(説明書き)によると、北海道幌加内の小粒なそば「ほろみのり」を石臼で挽いた粉を二八で手打ちしているとのことです。

そんな説明書きを読みながら蕎麦を待っていると、黒いお盆に乗った「せいろ」が運ばれてきます。
まず、蕎麦をそのままいただいてみると、程好い歯応えの感じられる美味しい蕎麦ですが、かなりの極細麺で、蕎麦を食べているというよりも、そうめんでも食べているかのような食感でした。
また、蕎麦汁はそのスッキリ感から丁寧に作られているということが感じられる、出汁の効いたキリッとした辛口の蕎麦汁で、極細麺との相性も良く、蕎麦を美味しくいただくことのできる蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ちそば・大空』さんは、料理も蕎麦も品数こそ少ないものの、清潔感の感じられる静かで落ち着いた空間と、奥さんの丁寧で腰の低い接客がなかなか好印象の、気分良く蕎麦前と蕎麦をいただくことの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


出前もする『富嶽@横浜・綱島』さんの「玉子焼き」

2013-11-09 11:35:00 | 横浜市(港北区)

東急東横線・綱島駅から徒歩15分、スマホで場所を確認しながら向った『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さん。

車がそこそこ走っている通りから住宅街の路地に入り、そして更に細い路地に入ったところにあるお蕎麦屋さんで、路地に看板などが出ていなければ民家そのままということもあり、迷ってしまいそうなお蕎麦屋さんです。

そんな『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さんに到着したのは開店時間数分前でしたが、男性2人組が既にお店の前で開店を待っています。少し早かったかな?と思いながら路地に置かれている看板などを写して再びお店に向うと、開店時間の11時半を過ぎていますが暖簾は出ておらず、入口に置かれている札も「準備中」のままでしたが、開店を待っていた男性2人組の姿が見えないことから扉を開けてみると、目の前にご主人が。

「もう、良いですか?。」と確認してみると、「大丈夫ですが、時間が掛かります。」とのこと、開店時間に訪れて時間が掛かるって何なんだろうか?と思いながら2つあるテーブル席の1つに座ってメニューを眺めます。

最初に「時間が掛かります。」と言われたのでお昼に料理はまずいのかな?と思いながら料理を頼んでも大丈夫か聞いてみると、「出前が2軒あるので時間が掛かりますが・・・。」とのこと。

「出前やってるんだ。」と少々驚きながら時間が掛かっても良いということを伝え、遠慮して「砂肝の辛ししょうがあえ」だけをお願いしますが、やはり「玉子焼き」を外すことは出来ず、「だいぶ掛かりますが・・・。」と更に言われながらもお願いして、気長に料理を待つことにしました。


そして、注文してから20分。
まず先客男性2人組みの蕎麦が出てきて、続いて「砂肝の辛ししょうがあえ」が運ばれてきます。
運んできてくれたのはご主人で、「砂肝を、辛子、生姜、ネギと良く和えてから食べてください。」という一言を残して出前へ。なんだかとっても忙しそうです。「こんな忙しい時に蕎麦前なんてお願いしてしまって・・・。」と申し訳なく思いながらグルグルかき回して一ついただいてみると・・・。

なんと、美味しいじゃないですか!。
しっかりした歯応えが感じられながらも柔らかく、そして辛子と生姜の絶妙な味わいが何とも言えず、「忙しい時に蕎麦前なんて頼んでしまい申し訳ない。」と思ったばかりなのに、一口食べただけで、「忙しくても作ってもらって良かった。」と直ぐに気持ちが変わってしまうほど美味しいです。


そして更に20分経過。
先客の男性2人組が蕎麦を食べただけでお店を出て行き、12時を過ぎた昼時にも関わらず、貸切状態になってしまったところでアツアツの「玉子焼き」が登場です。

早速、箸で「玉子焼き」を一切れつまむと、断面から美味しそうな湯気が立ち上り、硬さを感じることの無い、箸先きで感じる弾力感がとっても良い感じの、それだけで十分美味しそうな「玉子焼き」です。

そして一口・・・。
な、な、なんとこの「玉子焼き」、過去に食べたお蕎麦屋さんの「玉子焼き」の中でベスト3に入る美味しさです。
個人的な好みではありますが、甘さ具合といい、フワフワ感と歯応えのバランスといい、申し分の無い見事な「玉子焼き」で、「だいぶ掛かりますが・・・。」と言われながらもお願いして良かったと思える、40分待つに価する美味しい「玉子焼き」です。ということで、醤油も大根おろしも使用せずそのまま美味しくいただきました。


さて、そろそろ蕎麦。
蕎麦前でいただいた料理がとても美味しかったので、天婦羅付きの蕎麦にしようと思い、「さくら海老天せいろ」にしようか、普通の「かき揚げせいろ」にしようか迷いましたが、先客の男性2人組が食べていた「かき揚げせいろ」が美味しそうだったので、「かき揚げせいろ」をお願いします。


出前も終わり、他にお客さんがいないこともあってそれ程待つことも無く運ばれてきた「かき揚げせいろ」は、ホシの入った少々色黒の蕎麦で、ボソボソしていそうな印象です。

しかし、まず蕎麦をそのままいただいてみると、ボソボソ感を感じることもなく滑らかな喉越しで、更には「硬い」と思ってしまうほどしっかりした強いコシが感じられ、「The 本物の手打ち蕎麦」といった印象の蕎麦です。

なお、蕎麦汁はやや濃い目のシャキットした美味しい蕎麦汁ですが、蕎麦の力強さの方が強く、蕎麦を付けていただいてみても蕎麦の印象ばかりが残ってしまい、少々もったいない感じです。


そしてかき揚げですが、塩と天汁の両方が付いてきたことから塩と天汁の両方でいただいてみましたが、個人的な好みもあって、やはり天婦羅は天汁でいただいた方が美味しくいただけるように思います。


今日訪れた『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さんは、ご主人と奥さん、そしてご主人のお母さんと思われるおばあちゃんに小学生(?)の女の子を加えた家族4人でこじんまりと営業している、出前もするお蕎麦屋さんでした。

お店のスタッフに小学生の女の子は通常含めないと思いますが、店内で遊んでいる女の子のその姿と、おばあちゃんと会話をしているその声が空気を和ませていて、家の中に入ってしまったのか姿を見せなくなった以降は静かな店内の空気が少々硬くなってしまったかな?という印象でした。

また、失礼な話ではありますが、その容姿から、少々怖そうな印象をついつい感じてしまったご主人は、実は物腰の柔らかい、「蕎麦に対する情熱」の感じられる方で、会計を済ませた際、「ありがとうございました!。」と背中が見える程の深々としたお辞儀をしてくださり、なんだかとっても気分良くお店を出ることが出来ました。

お店を出て振り返って見ると、やはりどこからどう見ても普通の民家にしか見えないお蕎麦屋さんで、駅から徒歩15分という距離は、「そこまでして蕎麦を食べるか?。」と思う距離かもしれませんが、「これぞ手打ち蕎麦」という蕎麦をいただくことの出来る、わざわざ蕎麦を食べるために訪れる価値のあるお蕎麦屋さんと思います。

ごちそうさまでした。
とても美味しい数々の料理と蕎麦でした。