蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『滝乃家@千駄ヶ谷』さんの春を感じる「おひたし」

2014-03-29 11:10:00 | 東京23区(渋谷区)

新宿御苑で桜の撮影を行ない、帰宅する前に新宿御苑から徒歩5~6分程度のところにある『蕎麦處 千駄ヶ谷・滝乃家』さんへ立ち寄ってみることにしました。

お店に到着したのは11時を少し過ぎた時間で、昼食にはまだ少し早い時間ということもあってか清潔感の漂う静かな店内に先客の姿はありませんでしたが、テーブル席は利用せず、コの字型のカウンター席に着きます。

席に着いて、目の前にある冊子のメニューを広げますが、店内はお蕎麦屋さんという雰囲気の感じられないモダンな作りで何となくお酒を飲み難い雰囲気です。そのため、一品料理はお昼でも大丈夫か確認してから、瓶ビールと一緒に「おひたし」と「かまぼこ」と「厚焼き玉子」を願いします。


今日は暖かい陽気の中、2時間近く新宿御苑の中をウロウロと歩き回っていたことから喉が乾いていて、最初の料理「おひたし」が出てきた時点でビールは既に半分程度消費されいます。

「(ペースが)ちょっと早いかな?。」と思いながら「おひたし」をつまんでみると、簡単な料理ではありますが、シャキっとした食感と鰹節の風味が良い感じで、歩いていると薄っすら汗ばむ春らしい陽気に相応しい一品です。


続いて小田原・鈴廣さんの「かまぼこ」。
弾力感の感じられる蒲鉾で、「やはり蒲鉾は多少高価でも・・・。」と思う納得の蒲鉾です。なお、お店は「少々敷居が高そう。」という雰囲気の感じられる外見であることから「高価かな?。」と思ってしまいますが、凝った料理こそ無いものの、お蕎麦屋さんらしい料理を良心的な価格で提供してくれています。


そして、お店が空いているということもあってもそれほど待つこともなく運ばれてきた「厚焼き玉子」。
目の前に置かれた玉子焼は、フワリとしたボリューム感と焼き色の付き具合がなかなか良い感じの綺麗な玉子焼で、甘さは控えめでしたが、食べ応えのある玉子焼でした。


最初の料理が運ばれて来た時点でビールの残りが半分程度だったことから、「今日は陽気が暖かいのでビールもう1本かな?。」と思いましたが、料理がテンポ良く運ばれてきたことからビールは追加せず、料理を食べ終えた時点で丁度ビールが空になりました。

ということで、12時も近くなり、ポツポツとお客さんが訪れ始めたことから締めの「せいろ」をお願いします。
「滝」という文字の書かれた蒸篭に2山に盛られてきた「せいろ」は、やや柔らかめの細麺でしたがツルツルっと食べ易い蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦處 千駄ヶ谷・滝乃家』さんは、JR代々木駅から徒歩5分程度のところにある、明治通りと1本内側に入った路地に挟まれているお蕎麦屋さんで、駅に向いている明治通り側と新宿御苑に向いている路地側の両面に入口がある(見出し写真は路地側の入口)、一見、少々変わった作りのお蕎麦屋さんに見えますが、新宿御苑から来るお客さんと駅から来るお客さんの、両方のお客さんにとって便利な作りになっているのではないかと思います。

また、外見は少々敷居の高そうなお蕎麦屋さんに見えますが、広々とした店内には花が活けられているなど、全体的に大人な落ち着きの感じられる、若い女性が一人で気軽に訪れることのできるお洒落なお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。

■JR代々木駅に向いている明治通り側の入口■

『増田屋@神宮前』さんの無濾過生純米酒「春霞」

2014-03-22 14:25:00 | 東京23区(渋谷区)

今日は朝から東京・青山にある秩父宮ラグビー場で7人制ラグビーの国際大会を観戦です。
7人制ラグビーの試合は1試合約15分で1日に多数の試合が行なわれることから、観たい試合だけを観るならば大会の途中でゆっくり食事を取る時間を作ることも出来ます。そのため、一旦試合会場の外へ出て、再び試合会場に入れる「再入場可能」という対応が取られる場合があります。

ということで、13時半過ぎから約2時間、昼食をゆっくり取る時間が出来たことから「再入場可能」という対応を利用して、秩父宮ラグビー場近くにある中休みの無い『増田屋・神宮前店』さんへ行ってみることにしました。

お店に到着したのは14時過ぎでしたが、店内は満席で更に1組のお客さんが席を待っている状況です。
そんな状況に「どうしようかな?。」と迷いましたが、お店を変えるほどの時間的余裕は無いし、食事を終えたお客さんの姿も見えることから待つことにしました。

そして待つこと約10分、明るい2人掛けのテーブル席が空いたので、席に着いてまず瓶ビールと「そば屋の玉子焼き」をお願いし、瓶ビールが運ばれて来た時に「いたわさ」と「鴨と葱の塩焼き」を追加でお願いします。


ビールを飲みながら店内を眺めてみると、14時半にもかかわらずお客さんが次から次へと途切れることなく来店し、常に2組程度のお客さんが席を待っている状態です。

そんな繁盛振りに少々驚いていると、「そば屋の玉子焼き」が運ばれてきます。
小さめに切られた玉子焼を一切れいただいてみると、正直、見た目は「ちょと・・・。」という印象ではありますが、甘さ具合も柔らかさも適当で、なかなか美味しい玉子焼です。


続いて、混雑していることから料理は時間が掛かるだろうと思い、直ぐに出てくる料理としてお願いした「いたわさ」ですが、400円という料金通りの「いたわさ」だったかな?と思います。
というよりも、「直ぐに出てくる料理」としてお願いしたので、玉子焼よりも後に出てくるなら不要でした。


次に、「いたわさ」の写真を撮っている最中に「鴨と葱の塩焼き」が運ばれて来ます。
結局、お願いした3品全てがテーブルの上に並んでしまい、時間が掛からず玉子焼と鴨焼が出てくるならやはり「いたわさ」は不要だったとモヤモヤ感を募らせてしまいましたが、「まぁ、仕方ない、こんなこともある。」(実はよくある。)と気を取り直して日本酒をいただくことにします。

メニューには「地酒各種」とだけ書かれていて、店内に銘柄の書かれた張り紙も無いことから、「地酒のメニューってあるんですか?。」と花番さんに確認してみると、混雑しているにもかかわらず嫌な表情一つ見せず別メニューになっているお酒のメニューを持ってきてくれました。

早速お酒のメニューを開いてみると、種類は多くありませんが美味しそうな日本酒が並んでいたので、その中から秋田県の地酒「無濾過生純米酒・春霞」をいただくことにしました。
そして、グラスから溢れるほど注いでくれた「無濾過生純米酒・春霞」を一口いただいてみると、優しくまろやかな味わいで、その上後味のスッキリしている実に美味しいお酒です。


「無濾過生純米酒・春霞」の旨さを味わっているといつの間にか15時を過ぎていて、ようやく空席も見られる状況となったことからのんびりしても大丈夫かな?と思い、「無濾過生純米酒・春霞」のおかわりをお願いし、併せて「春野菜と海老の彩りせいろ」をお願いします。

それほど待つこともなく運ばれてきた「春野菜と海老の彩りせいろ」の天麩羅は、天汁、塩、カレー塩の3種類でいただくことが出来ますが、天汁が一番美味しかったかな?という感じでした。また、蕎麦は柔らかめの細麺ででしたが、キリッとした口当たりなのにまろやかな蕎麦汁と一緒に美味しくいただきました。


「増田屋」さんという暖簾のお蕎麦屋さんは、東京都内を中心に200店舗以上あると言われている庶民的な「町のお蕎麦屋さん」という印象のお蕎麦屋さんで、今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『増田屋・神宮前店』さんもその中の1店ですが、お店の雰囲気も花番さんの接客も良く、蕎麦もまずまずのくつろげるお蕎麦屋さんでした。

そして、美味過ぎる「無濾過生純米酒・春霞」を2杯いただき、蕎麦も「春野菜と海老の彩りせいろ」をいただいたことから久しぶりに高額の支払いとなってしまいましたが、「えっ!、なんで?。」と思うことも無い、納得の蕎麦前と蕎麦をいただくことのできるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。

そうそう、『増田屋・神宮前店』さんは、お店の外に掛けられている大きな暖簾が特長の一つですが、その暖簾を見ることは出来ず、また、店内に掛けられていた「増田屋のれん会」の大きな看板も席が離れていたことから写真に収めることが出来ず、少々残念でした。


『なむいち@横浜・下飯田』さんの「一口おつまみセット」

2014-03-21 22:37:15 | 横浜市(泉区)

横浜市営地下鉄・下飯田駅から徒歩13分程度のところにある、フルに肩書きを付けると店名がとても長くなる『石臼挽き・自家製粉・手打ち蕎麦 坊ノ上・なむいち』さん。

営業時間が11:30~14:30と短く、更には口コミサイトなどを見ても評判が良く、いつ行っても混雑していると思われることから「行ってみよう!。」という気持ちになかなかなりませんでしたが、たまたま近くまで行く用事ができたことから、用事を済ませた後に訪れてみることにしました。

お店に着いたのは丁度昼時で、駐車場は予想通り満車でしたが、10人程度が座れる大きな相席用のテーブル席が空いていたことから、待つことも無く席に着くことが出来ました。

席に着いて店内を見渡すと、ご夫婦で訪れているお客さんが多く、3つある4人掛けのテーブル席は2人づつ3組のお客さんで埋まっています。また、皆さんビールを飲むことも無く純粋にお蕎麦を食べています。

確かに、単品の天婦羅や漬物はありますが、板わさや玉子焼といった一品料理は無く、何となく「昼から飲むの?。」的な雰囲気が感じられることから飲み難い状況ではありますが、「ビールをお召し上がりのときにいかがですか?」という一言が添えられている「本日の一口おつまみセット」という料理がメニューにあることから、気にせず瓶ビールと一緒に「本日の一口おつまみセット」と「単品天ぷら」をお願いし、併せて、蕎麦が無くなってしまわないよう、おかわりの蕎麦(もりそば替え)を付けて「もりそば」をお願いします。

まずは時間も掛からずビールと「本日の一口おつまみセット」が運ばれてきます。
このおつまみセット、料金が200円と驚くほどの低価格ですが、しっかりした内容のあるおつまみで、ビール1本ならこれだけでも十分な内容です。


そして時間が掛かると言われた「単品天ぷら」が、待つことも無く運ばれてきます。
塩でいただく天婦羅は、品数の多い野菜が太い海老を取り囲んでいるように盛り付けられていて、一つ一つの具材も大きく食べ応えがあります。中でもインゲンの天婦羅は素材の味が活かされていて、美味しいです。


天婦羅をいただきながら再び店内を見てみると・・・。
お店の外で順番待ちをしているお客さんがいますが、店内に混雑しているという雰囲気は無く、4人掛けのテーブル席は相席をしていないので2人×3組で着席率50%、利用している10人掛けの相席用テーブル席は、みんなが席の両側に荷物を置いても他のお客さんに迷惑が掛からない状態です。

つまり、混雑していて待つことを前提とした方が良いと思いますが、「大きなテーブル席で良い。」とするならば、夫婦二人で訪れてもさほど待つことなく席につけるのかもしれません。蕎麦前のお客さんも見掛けないし・・・。

そんな事を考えていると、ビールを飲み終える前に「もりそば」が運ばれてきます。
注文時、ビールと料理と蕎麦を全て一緒にお願いしたのは、蕎麦が出てくるまで30分以上待つこともあるためでしたが、「待った。」という感覚は無く、どちらかというと「早い。」という感じです。


なお今回は、初めからおかわりの蕎麦(もりそば替え)を付けて「もりそば」をお願いしました。
これは量が少ないからではなく、「替え」(おかわり)をお願いすると、最初の「もりそば」と産地が異なる蕎麦を出していただけるという、お店の配慮を楽しむためです。

ということで、1枚目の「もりそば」は北海道産の「牡丹」で、コシが強く旨味が感じられます。


2枚目の「もりそば替え」は長野県の黒姫で、十割蕎麦とは思えないツルツルっとした滑らかな喉越しの美味しい蕎麦です。なお、蕎麦汁はスッキリした、蕎麦にタップリ付けても辛くない蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『坊ノ上・なむいち』さんは、昼営業のみで営業時間も短く、更にはいつ行っても混雑しているという印象を持っていたことから敬遠していたお蕎麦屋さんでしたが、「もりそば」を2枚お願いすると対照的な2種類の蕎麦をいただくことが出来るなど、蕎麦を楽しむことの出来るお蕎麦屋さんでした。

そして、接客に当たっている女性店員さんの対応が好感の持てる丁寧な対応で、更には混雑しているのにバタバタと焦っている様子も見せず、もっと早く訪れれば良かったと後悔する気持ちが湧き上がってくるほど良い印象を持ったお蕎麦屋さんでした。

まぁ、夫婦で静かに蕎麦を楽しむことの出来るお蕎麦屋さんってとこでしょうか?。

ごちそうさまでした。


天空の蕎麦屋『しげそば@横浜・岡村』さんの「たこ刺身」

2014-03-15 23:14:30 | 横浜市(磯子区)

インターネット上でみつけた「天空の蕎麦屋」と言われている、金曜日から月曜日までの週約半分しか営業していないお蕎麦屋さん、『しげそば@横浜・岡村』さん。

その肩書きが気になり、「ぜひ一度・・・。」と思いながらお店のある場所を確認してみると、自宅からはそれ程遠くない横浜市磯子区だったことから、家族4人がそれぞれで行動することになった天気の良い週末、一人『天空の蕎麦屋・しげそば』さんへと向いました。

目指す『天空の蕎麦屋・しげそば』さんは、京浜急行電鉄・弘明寺駅から丘を越えて「横」に徒歩25分進み、到着した天空の入口から今度は「縦」に80段以上の階段を登ったところにあるお蕎麦屋さんで、ランドマークタワーを望むことの出来るテラス席(民家のバルコニー)からは岡村の町並みを見下ろすことができます。


まず、天空の入口に掛けられている1つ目の暖簾(見出し写真)を潜り、タヌキやカエルの置物に迎えられながら急勾配の階段を登り、2つ目の暖簾を潜ると・・・。ごくごく普通の民家の玄関にたどり着きます。

民家を改築したお蕎麦屋さんは珍しくありませんが、いずれも玄関先に暖簾や看板など「ここが入口です。」という明確な目印がありますが、今回は何も無く「う~ん・・・。」と、扉を開けることを過去最大に躊躇します。

しかし、間違ってはいないはずなので思い切って扉を開けると・・・。
民家を改築したお蕎麦屋さんの多くは玄関の扉を開けると目の前にお蕎麦屋さんのフロアが広がりますが、今回目の前に現れたのは普通の玄関で、靴を脱いで廊下を進むと、大きな8人掛けのテーブル席と、4掛けのテーブル席が2つ配置されたリビングが現れます。

そして、フロア奥の4人掛けテーブル席に着いて、ビールと一緒に、厨房近くに掲示されていた手書きメニューの中から「たこ刺身」をお願いします。

まず運ばれて来た瓶ビールとお通しの「大根の煮物」。
瓶ビールは大瓶でしたが、「中瓶1本600円」という感覚なので、「大瓶1本550円」という価格は良心的です。
また、「大根の煮物」は箸で簡単に崩せるほど柔らかく、味がしっかり付いていて美味しいです。


美味しい大根をいただきながらくつろいでいると、予想以上に立派な「たこ刺身」が目の前に置かれます。

丁寧に盛り付け(並べ)られた刺身を早速1切れいただいてみると、冷え具合も歯応えも良く、美味しいです。
特に、添えられているシャキッとしたワカメに微かな磯の香りと新鮮さが感じられなかなか良い感じです。


煮物と刺身が好印象だったことから天婦羅もいただいてみようと思い、「しこいわし天ぷら」と日本酒を追加でお願いします。なお、日本酒は越乃寒梅と〆張鶴の2種類で、迷わず〆張鶴をお願いしますが、吟醸の〆張鶴が丁度切れたところで、「本醸造になってしまいますが・・・。」とのことだったので、越乃寒梅をいただくことにします。


越乃寒梅が半分ほど無くなったところで運ばれて来た「しこいわし天ぷら」。
この「しこいわし」という魚は「カタクチイワシの若魚」で、春にしか出回らない魚(?)とのことです。そして、その「しこいわし」の天婦羅は、ホクホクした食感で、箸が止まらないほど美味しいです。
ということで、初めからこうなることは分っていましたたが、途中で〆張鶴(本醸造)をお願いします。


美味しい煮物と刺身と天婦羅を肴にビール(大)と越乃寒梅と〆張鶴をのんびりいただき、腹も気分も十分満足したところで「もり」をお願いします。

やや大き目の綺麗な陶器の皿に盛られた蕎麦は、食べ易いように6つの山に分けられていましたが、皿に直接盛られていたこともあってか少々水分が多いかな?という印象でした。また、蕎麦汁はやや濃い目でしたが、蕎麦を美味しくしてくれる蕎麦汁で、アッと言う間に6口で食べ終えてしまいました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『天空の蕎麦屋・しげそば』さんは、海の似合いそうな人柄の良い年配のご主人と奥さんの2人で切り盛りしている、頭上では無く目の前に青空の広がるお蕎麦屋さんでした。

そして、一品料理の品数も限られてはいますが、どれ一つとっても心のこもったおもてなしの心が感じられる美味しい料理ばかりで、和やかな雰囲気の中、何だかついついくつろいでしまう居心地の良いお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『浅野屋@大船』さんの自分で調理する「鴨焼ロース」

2014-03-08 23:16:55 | 神奈川県(鎌倉市)

朝から一人で出掛けたその帰り道、昼食を取るためにJR東海道本線・大船駅から徒歩10程度の所にある、大正11年創業の『浅野屋』さんに立ち寄りました。

「昼食を取るために・・・。」と言っても暖簾を潜ったのは14時で、駅から離れていることもあって空いているだろうと思いましたが、店内は夫婦2組と1人のお客さん3人が蕎麦を食べていて、2人掛け、4人掛け、8人掛けとあるテーブル席がほぼ使用されている状況です。

「時間をずらしてもお客さん多いんだ。」と思いながら運良く1つだけ空いていた入口近くの4人掛けテーブル席に着き、瓶ビールと一緒に、初めから決めていた「鴨焼ロース(1人前)」と「板わさ」をお願いします。

そして、さほど待つことも無くビールとお通しの枝豆が運ばれてきて、続いて「鴨焼ロース」が・・・。
と言いたいところですが、こちらの『浅野屋』さんの鴨焼きは調理された鴨焼きが運ばれてくるのではなく、注文すると、まず旅館の食事で使われるような卓上用小型固形燃料のコンロが登場し、続いて生の鴨肉が、長葱、レモン、大根おろしと一緒に運ばれてきます。つまり、自分で鴨肉を焼いていただくというスタイルです。


ということで、早速網の上に鴨肉を乗せますが、乗せると鴨肉の脂が炎の上に垂れ落ち、パチパチという音と共に炎の勢いが増し、併せて煙が登り始めます。

他のお客さんは皆静かにお蕎麦を食べていることから、少々恥ずかしさを感じながらもそんなことを気にする余裕は無く、悪戦苦闘しながら鴨肉を焼き続けます。


そうなんです、この鴨焼き・・・。
炎が網の上まで舞い上がるほど火力が強いことからのんびり眺めていると焦げてしまい、おまけに肉が網から離れ難いのでいつの間にか割り箸も焼けてしまい・・・。と、他のお客さんのことを気にする余裕など無く、悪戦苦闘しながらいただく鴨焼きなんです。しかし、2枚、3枚と焼いているうちに焼き方にも慣れてきて、最後は焼き加減を好みに調整しながら、焼きたての鴨肉を美味しくいただきました。


さて、鴨焼きに悪戦苦闘していたため手付けずの状態で放置されていた「板わさ」ですが、横浜・関内の「利久庵」さんと同じく小田原「丸う」さんの蒲鉾で、食べ応えのある厚みと弾力が嬉しい「板わさ」です。


「鴨焼ロース」と「板わさ」をいただいているうちにビールも無くなり、気が付けばいつの間にか店内は貸切状態となっていて、花番さん達・・・、というよりお店のおばちゃん達のホッとさせてくれる話し声と笑い声だけが聞こえる、昼下がりらしい、のんびりしたゆる~い空間となっています。

そんな、のんびりした雰囲気が漂っていますが、長居せずそろそろ蕎麦をいただこうかな?と思っていると、「次はどうしますか?。焼酎の蕎麦湯割りとか日本酒とかありますが・・・。」と花番さんに声を掛けられます。

声を掛けられたというよりお酒を勧められたという感じですが、そう言われて「いえ、蕎麦にします。」と答える理由も無く、冷酒と「岩のり」を追加でお願いします。まぁ、14時に一人で来店して鴨焼きを注文する客なので、蕎麦を食べに来た客ではなく、飲みに来た客という認識ということですね。その通りですが。

そして、時間も掛からず運ばれて来た「岩のり」は、磯の香りがあまり感じられない「岩のり」でしたが、「朝、江ノ島へ行って取ってきた。直ぐ近くだし。」みたいな自然な香りと味わいで、まずまずです。


良く冷えた冷酒と「岩のり」をいただいたところでお酒のおかわりはせず、「もりそば」をお願いします。

目の前に置かれた「もりそば」は、更科ほどではありませんがやや色白で、柔らかい太麺いという印象です。
また、蕎麦汁は出汁の効いた甘汁でしたが、蕎麦を美味しくいただくことのできる蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『浅野屋』さんは、ビールと日本酒の冷え具合が良く、気分良くお酒をいただくことが出来ました。そして、凝った料理やお洒落な料理は無いかもしれませんが、あれも食べたい、これも食べたいと思ってしまう、そそる酒の肴を良心的な価格で提供してくれるお蕎麦屋さんでした。

また、ビールが無くなったら「次はどうしますか?。」と声を掛けてくれ、冷酒をお願いしたら「生もありますが・・・。」と声を掛けてくれた、更には「もりそば」をいただく時、鴨を焼いた時に焦がした箸を換えてくれた花番さん達の、お酒を飲むお客さんに優しい、気さくで肩肘張らない自然な接客が好印象の、高い満足感を得ることの出来る何だかとっても良いお蕎麦屋さんでした。

美味しい料理とお酒と心地良い一時をごちそうさまでした。