蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『藪真@横浜・関内』さんのピリ辛「ごぼうみそ」

2014-02-22 23:47:06 | 横浜市(中区)

横浜市営地下鉄・関内駅から真っ直ぐ港に向って7分ほど歩いた所にある『手打ち蕎麦・藪真』さん。

今日は土曜日ということで横浜・関内のビジネス街に人の姿は少なく、「定休日は日曜・祝日のハズだが、もしかして休みだったりして・・・。」なんて思ってしまうほど閑散としています。

そんな閑散とした関内の町を歩き、14時半頃お店に到着します。
お店は、ビルに囲まれているということもあってか間口は狭く感じられ、少々地味な印象ではありますが、お蕎麦屋さんらしい落ち着いた趣のある外観で、なかなか良い感じです。

早速、扉を開けてお店の中に入ってみると・・・。
奥行きのある店内には3席ほどの小さいカウンターと4人掛けのテーブル席が6卓(だったかな?)、更には座敷まであり、間口から感じられる「狭い」という印象とは異なり「意外と広い」という印象です。

おそらく、平日の日中は、その「意外と広い」と感じた店内もビジネスマンで賑わうのではないかと思いますが、今日は土曜日、それも昼時を大きく外した14時半なので先客は年配のご夫婦とご家族の2組と空いています。しかし、ご近所の方が訪れ蕎麦を注文して行く(出前?)など、土曜日は土曜日なりの姿があるようです。


そんな雰囲気を感じながら店内奥寄りのテーブル席に座ってメニューを眺めると、「午後5時からは、お酒、酒菜等ご用意いたします。」の文字が目に止まります。
「14時半とは言え昼のお酒はまずいのかな?。」と思い、一人で接客に当たっている奥さんに確認してみると、ビールも一品料理も大丈夫とのことなので、ビールと一緒に「板わさ」と「ごぼうみそ」をお願いします。


まず運ばれて来た驚くほど量の多い「ごぼうみそ」は、すりおろしたゴボウと、八丁味噌、鳥挽肉、七味唐辛子等を練り合わせた柔らかい料理で、ピリ辛の、ビールというよりも日本酒が似合いそうな酒の肴です。


続いて「板わさ」。嬉しい厚み(小田原・鈴廣さんによると美味しい厚さは12mmとのこと。)の蒲鉾で、歯応えも良く、なかなか美味しいです。こちらは、日本酒よりもビールの方が似合いそうな肴です。


さて、そろそろいただく蕎麦を考えようかな?と思ったところで奥さんがやって来て、「お蕎麦急ぎますか?。お蕎麦が無くなり、今から打ちますので時間が掛かりますが・・・。」とのこと。

時間はあるので「大丈夫です。」と答えましたが、「そろそろ蕎麦」と思っていたのでビールも蒲鉾もお通しの柿の種も残り僅かで、結局、待ち時間(20分)を確認してビールをもう1本いただくことにしました。

まぁ、静かな店内で飲んでいれば待ち時間20分なんて直ぐですが、まず先客の2組が帰り、続いて後客の年配ご夫婦も帰り、さすがに土曜日15時では新規のお客さんも無く、テレビもBGMも無い静かな店内で一人静かに蕎麦が打ち終わるのを待っているのも、なんだか静か過ぎて落ち着かないです。

そして待つこと20分、打ちたての「せいろう」が目の前に置かれます。
まず、蕎麦汁を付けずに蕎麦だけをいただいてみると、少々粉っぽさが感じられますが、甘味と歯応えの感じられる蕎麦で、やや辛目の蕎麦汁に付けて気分良く美味しくいただきました。

なお、年季の入った湯桶で運ばれて来た蕎麦湯はサラッとしたタイプの物でしたが、甘味の感じられる蕎麦湯で、蕎麦汁抜きで蕎麦湯だけでいただいても美味しくいただける蕎麦湯でした。


今日、蕎麦前と打ちたての蕎麦をいただいた『手打ち蕎麦・藪真』さんは、大人が美味しいお蕎麦を静かにいただくための、「手打ちにこだわりを持ったお蕎麦屋さん」という印象のお蕎麦屋さんでした。
しかし、だからと言って「お酒お断り」ということはもちろん無く、蕎麦前を楽しむお客さんに対しても、心のこもった控え目な接客で、何だかとても居心地の良い、満足感の高いお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『吉田@日本橋』さんのかぶりつきたい「にしん煮」

2014-02-16 23:14:57 | 東京23区(中央区)

東京には、創業が江戸時代に遡る老舗のお蕎麦屋さんや地元の方々に愛されている町のお蕎麦屋さんなど様々なお蕎麦屋さんが数多くあり、それら全てを合わせると星の数ほどあると言われています。
そのため、いつでもどこでもお蕎麦をいただくことが出来そうですが、都心になればなるほど日曜日休業のお店が多く、「日曜日営業&11時開店」と時間まで指定するとその数も限られてしまいます。

そして今回、東京・青山で行なわれるラグビーの試合(日本選手権)を観戦する前に蕎麦前と蕎麦をいただこうと思い、その条件に更に条件を加えた「日曜日営業&11時開店&東京メトロ銀座線沿い」という条件でお蕎麦屋さんを検討した結果、何軒かのお蕎麦屋さんが候補に上がり、その中から日本橋三越本店の真ん前にある『日本ばし・吉田』さんを訪れてみることにしました。

お店に到着したのは開店したばかりの11時数分過ぎということもあって、先客は年配のご夫婦1組のみと空いていましたが、これから混雑するかもしれないと遠慮して2人掛けのテーブル席に着きます。そして、花番さんに一品料理は昼でも大丈夫か確認してから瓶ビールと一緒に「にしん煮」と「玉子焼」をお願いします。

ビールを飲みながらメニューを眺めているとまず「にしん煮」が運ばれてきます。
鰊は、お店によっては大きな一切れだったり、包丁で一口サイズに切ってあったりしますが、こちらの鰊は半身に近い大きさの鰊がお皿にドン!と乗っています。その姿を見て、「そのままかじってしまおうか?。」と思いましたが、温かく柔らかい鰊だったので、箸で小さく崩しながら美味しくいただきました。


「にしん煮」をいただきながら店内を見渡すと、カウンター席の無い小奇麗な店内はテーブル席がギッシリ詰め込まれているという印象で、荷物を持ちながらテーブルの奥側に出入りするには少々狭いかな?という感じです。

そんなことを感じていると「玉子焼」が目の前に置かれます。
早速一切れいただいてみると、出汁の効いたやや甘めの玉子焼ではありますがくどくなく、ベタベタ感の残らない、まずまずの一品です。


さて、今日は一人ということもあって長居することなく軽く切り上げようと思い、蕎麦をお願いします。
当初は基本の「もり」をお願いしようと思っていましたが、「鴨せいろ」だけが写真付きの別メニューとなっていたことから、その「鴨せいろ」をいただくことにしました。


さほど時間が掛からず運ばれてきた「鴨せいろ」は、思いのほか鴨肉が多く、つくねも入っています。
そのため、蕎麦汁としては少々濃い目かと思いますが、鴨の旨みがしっかり出ているまろやかな味わいの鴨汁で、結構美味しいです。

また、鴨肉は硬くもなく柔らか過ぎることもない絶妙な歯応えで、鴨汁だけで酒の肴(いわゆる「鴨抜き」ですね。)に十分なる美味しい鴨汁でした。なお、蕎麦はやや柔らかめの食感で、普通という印象の蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『日本ばし・吉田』さんは、場所柄、平日のお昼時はサラリーマンで賑わっているのではないかと思いますが、今日は日曜日ということでサラリーマンの姿は無く、代わりに日本橋で買い物を終えた品の良い年配のお客さんが、蕎麦を食べながら聞き上手な女将さんや花番さんと会話を楽しみ、そして笑顔でお店を出て行くという風景の見られるお蕎麦屋さんでした。

そして、そんな風景の中に「これぞ日本橋」という街風情を垣間見ることの出来るお蕎麦屋さんでもありました。

ごちそうさまでした。


『薮伊豆総本店@日本橋』さんの「三ツ葉のわさび和え」

2014-02-01 23:16:52 | 東京23区(中央区)

社会人ラグビーの試合観戦後、うちの奥さんと2人で日本橋にある『薮伊豆総本店』さんを訪れました。

訪れた『薮伊豆総本店』さんは江戸時代に創業した老舗のお蕎麦屋さんで、当初は「伊豆本」という名前で京橋にお店を構えていましたが、その後「かんだやぶそば」さんの経営が絡んだことから「薮伊豆」という名前になり、現在に至っているとのことです。

そんな『薮伊豆総本店』さんの門前に立ってお店を眺めると、「えっ?。お店、変えようかな?。」と思わず思ってしまう、まるで高級料亭のような外観です。

しかし、老舗のお蕎麦屋さんは見た目が高級そうでも敷居は高く無いので、予定を変更せずに扉を開けてみると、4人掛けのテーブル席がいくつか並んでいる1階フロアは店員さんを含めて無人で、物音1つ聞こえません。
そして、目の前にある「2階へどうそ」の案内に従って階段を上がって行くと、2階は清潔感の感じられるスッキリした明るいフロアで、男性の花番さんが1人で接客に当たっています。

訪れた時間が土曜日の16時半近くということもあってか店内は空いていて、「お好きな席にどうぞ。」と案内されたことから写真の撮りやすそうな明るい席に着き、メニューを広げます。

メニューは冊子になっているメニューとパウチッコされたメニューとがあり、一品料理も定番物をはじめ様々な料理が用意されていて、どうしようか迷ってしまいますが、とりあえず、プレミアムモルツの中瓶と一緒に定番料理の「玉子焼」と「鰊甘露煮」と「そば寿し」、そして暖かい料理から「鰯のつみれ揚げ出し」をお願いします。



さて、見た目がピーナッツ味噌みたいな、なかなか美味しいお通しの「蕎麦味噌」をいただいていると、にしんそば発祥の店でもある京都・松葉さんの「鰊甘露煮」が目の前に置かれます。
早速、その美味しそうな鰊をいただいてみると、派手さは無いものの、穏やかな落ち着いた味わいがとても美味しく、日本酒がほしくなってしまいます。

ということで、残りのビールはうちの奥さんに任せ、菊正宗の上撰本醸造を常温でお願いします。


次に運ばれて来た「鰯のつみれ揚げ出し」は、予想と異なるさつま揚げのような料理で、これはこれで良いのですが、揚げ出し豆腐のような温かい汁物の料理をいただきたかったので、少々残念です。


続いて運ばれてきた「玉子焼」は、黄色一色の綺麗な玉子焼で、ほんのり甘い味わいと程好いフンワリ感がなかなか良い感じの、日本酒の肴にもなる納得の玉子焼です。


最後に運ばれてきた、思いのほか時間の掛かった「そば寿し」は、蕎麦と玉子と椎茸が一緒に巻かれている海苔巻きで、見た目の印象で「普通かな?。」と思ってしまったことからあまり味を気にすることもなくいただいてしまいましたが、うちの奥さんに、「この蕎麦寿司、ちゃんと酢の味がする。初めてかな?。」と言われてじっくり味わってみると、確かに酢の味が感じられます。今まであまり気にしなかったけど、どうだったんだろうか?。

見た目で味を判断せず、一品一品じっくり味わっていただかなければいけないと、反省です。


お願いした料理は全ていただきましたが、2人で食べているということもあってもう少し食べたいという腹具合だったことから、軽い料理と思われる「三ツ葉のわさび和え」と菊正宗を追加でお願いします。

追加した「三ツ葉のわさび和え」は、三つ葉のサッパリ感と、「おろしたてのわさび・・・」というコメントが付いている通り、ツ~ンとくるワサビの新鮮な辛味にインパクトが感じられる、なかなか美味しい一品です。


さて、最後に蕎麦をいただきますが、メニューの価格を見ると「せいろそば」が480円と驚くほど低価格だったことから、「せいろそば」(冷)と「花まき」(温)の両方をいただくことにします。

まずは「石臼挽き自家製粉」の蕎麦粉で打った「せいろそば」をお願いします。
蕎麦はやや柔らか目で、「普通の蕎麦」という印象です。また、蕎麦汁は濃口辛目の、どちらかというと辛いというより「しょっぱい」と感じる「藪」らしい蕎麦汁で、うちの奥さんに「藪」を味わってもらうことが出来て良かったです。
そう言えば、「藪」のお店に連れて行ったことがないな・・・。


「せいろそば」を食べ終えてからお願いした「花まき」。
お願いした時、「ありがとうございます!。」とお礼を述べる花番さんの嬉しそうな笑顔がとっても印象的で、注文した方も「良い事したのかな?。」と何だか気分が良いです。そして、蓋のある独特の器で登場した「花まき」。


蓋を開けると磯の香りが・・・。と言いたいところではありますが、海苔が少な目という印象です。
しかし、汁をしっかり吸った海苔がとても美味しく、鴨抜きならぬ「海苔抜き」は無いのかな?と思ってしまうほど美味い海苔です。それだけに、蕎麦に海苔をタップリ絡めていただきたかったです。


なお蕎麦湯ですが、ややピンク色の入った蕎麦湯だったことから花番さんに聞いてみたところ、「そばなえ」(蕎麦の芽)のピンクが出ているとのことでしたが、メモを取らなかったため記憶が曖昧になってしまい、そばなえのピンクがどういう流れで蕎麦湯に入るのかが今となっては「不明」となってしまいました。
う~ん、せっかく花番さんが熱心に説明してくれたのに、なんだか今日は反省が多いな。

今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『薮伊豆総本店』さんは、立派な門構えから「敷居の高さ」をついつい感じてしまいますが、実際には一人でふらりと立ち寄って手軽に蕎麦をいただくことのできる普通のお蕎麦屋さんでした。

そして、清潔感の感じられる手入れの行き届いた店内や花番さんの丁寧な接客、更にはつり銭の千円札が番号続きの新券だったりと、何気ない所にそっと老舗らしさが感じられる、老舗のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。