蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『存ぶん@都立大学』さんの「たらこ燻製」

2017-09-30 14:00:00 |  東京23区(目黒区)

9月最後の土曜日、所用で出掛けたその帰り道、東急東横線・都立大学駅すぐ近くにある『利き蕎麦・存ぶん』さんに立ち寄ってみました。

お店には14時丁度に到着しましたが、昼時を過ぎた時間にも関わらず満席に近い状況で、中休みの時間も迫っていることからさすがに今日は無理かな?と思っていると、お客さんがポツポツと席を立ち始め、花番さんが10人掛けテーブル席の真ん中に席を用意してくれています。

席に着けたのは嬉しいことではありますが・・・。
小さい女の子を連れた家族連れと若い男女に挟まれての席で、周囲を見渡してもお酒を飲んでいるお客さんはおらず、とても日本酒を頼める雰囲気では無いことから、軽く蕎麦前をいただいて早々に蕎麦をいただこうと思います。

ということで、生ビールをお願いして料理のメニューに目を向けてみると、昼用のメニューと思われ品数はそれほど多くありませんが、美味しそうな料理が並んでいます。そして、あれこれ悩んだ結果、「たらこ燻製」と「とちお揚げ葱焼き」をお願いします。


いただいた「たらこ燻製」は、おとなしい味わいながらしっかりとした燻製香と柔らかい食感がなかなか好印象で、とても美味しいです。

それにしてもこのビールグラス、グラスを口に付けてビールを飲んだだけで分かるほど薄いグラスで、飲み易いだけではなく上品さが感じられます。


次にいただいた「とちお揚げ葱焼き」は、外はカリッとしているのに中はフワフワに柔らかく、これもまたとても美味しいとちお揚げでした。


料理をいただきながら日本酒の品揃えを何気なく眺めていると、好きな日本酒の一つである秋田県の地酒「純米吟醸・春霞」の名前が・・・。

女の子を連れた家族連れと仲良く蕎麦を食べている若い男女に挟まれていて、お酒を飲み難い状況にあることから今日はおとなしくビールだけにしようと思っていましたが、天付きの蕎麦を肴に「純米吟醸・春霞」を1杯いただくことにします。


蕎麦は、定番の「二八せいろ」、「十割せいろ」、「変わりせいろ」、「二色せいろ」(二八、十割、変りせいろから二種類を選択)の他に「粗挽き太打ちせいろ」など種類も多く、通常二八での提供となる「穴子天せいろ」の蕎麦を「粗挽き太打ちせいろ」に変更できるか確認すると可能とのことなので、「穴子天せいろ」を「粗挽き太打ちせいろ」でお願いします。


蕎麦を待ちながらいただいた「純米吟醸・春霞」は、6勺ということもあり、徳利ではなく少し大きめの蕎麦猪口のような陶器製グラスに目の前で注いでくれますが、いや~、美味しいです。


「粗挽き太打ちせいろ」でいただいた「穴子天せいろ」は、まず蕎麦が用意され、追って穴子の天婦羅が運ばれてきましたが、驚いてしまうほど大きな穴子の天婦羅で、2人で分け合っても十分な量を食べることのできる大きさです。

その、穴子の天婦羅は、やや厚めに付いた衣がふっくらした食感で、塩でいただいても蕎麦汁でいただいても美味しいです。

また、「粗挽き太打ちせいろ」は、程良い歯応えと軽いジャリジャリ感がなかなか良く、蕎麦汁を付けずにそのままいただいても十分に美味しい蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『利き蕎麦・存ぶん』さんは、蕎麦の種類も多く、料理も美味しく、お酒のラインナップも期間限定酒を用意しているなど申し分なく、更に、気分良くお酒をいただくことのできる雰囲気を作っている花番さんの飾らない接客も好印象で、接客良し、酒良し、蕎麦良しの申し分の無い、夫婦でゆっくり訪れたい素晴らしいお蕎麦屋さんでした。

なお、厨房と反対側が一面大きなガラス窓となっていて、お店が2階にあることもあって目の前が一面桜の枝となっています。きっと、春になると窓際の席で花見酒が楽しめることでしょう。

ごちそうさまでした。


『神田松竹庵ます川@神田』さんの「天麩羅コース」

2017-09-29 18:20:00 | 東京23区(千代田区)

出張先の仙台から東京へ戻ってきたその足で、JR中央線・神田駅から徒歩10分程度のところにある『手打ち蕎麦・神田松竹庵ます川』さんへと向かってみました。

お店に到着し、扉のガラス越しに店内の様子を覗いてみるとお客さんの姿は無く、いかにも「仕込み中」といった様子ではありますが、間も無く18時半という時間でもあるため準備中ということも無いだろうと思い扉を開けて一人であることを告げると・・・。

コースのみですが良いですか?と問われ、了解するとどこでも好きな席にどうぞ!とのこと。
しかし、さすがに厨房正面の中央席は落ち着かないので、入口近くのカウンター左端に近い席に着き、考えることも無く「天麩羅コース」と生ビールをお願いします。


生ビールをいただきながら料理を待っていると、ガラスの皿に料理が盛りつけられた先付「季節八寸」が差し出され、早速中央にある「江戸前コハダ」をいただいてみると、酸味も程良くもう少し食べたいかな?と感じる美味しいコハダです。


先付の「季節八寸」をじっくり味わっていると、料理の進み具合に合わせて次の料理を準備しているようで、先付を食べ終え丁度良いタイミングで前菜の「お造り」が目の前に置かれます。

「お造り」は、山口の甘鯛、江戸前のカマス、長崎のノドグロとのことでしたが、いずれの魚も新鮮さの感じられる「お造り」でした。


「お造り」を食べ始めたところで生ビールが空になったので、宮城県の地酒「純米吟醸・日高見」をお願いしましたが、今更語るまでも無く、旨味とサッパリ感のバランスが良く、とても美味しいです。


「お造り」の次はメイン料理となる「天麩羅」ですが、目の前で揚げた揚げたての天婦羅を一品づつ目の前に置いてくれます。

最初の天婦羅は「活車海老」で、まず紙の上に軽い食感の頭が置かれ、続いて同じく頭が天汁の中に置かれ、そして最後に車海老の身の部分が差し出されます。


次にいただいたのは、初体験の沖縄のピーマン。


続いて天草の鱧。


そして茗荷とズッキーニ。


更に、熊本の赤茄子と続きましたが、この赤茄子、フワフワトロトロの食感かつジューシーな味わいで、「なんだこれ?」と思ってしまう程じつに美味しい赤茄子でした。


美味しい赤茄子で旬野菜の天婦羅が締めくくられ、初物の北海道昆布森のカキが差し出されます。

これがまた・・・。う~ん、美味しいです!。

こんなにたくさんの、そのうえ初めて口にする食材もあり、なかなかの満足感です。


そんな満足感の高い天婦羅に気分も良く、最後に差し出されたサクサクした車海老のかき揚げを肴に「純米吟醸・日高見」をもう一合いただき、メイン料理の「天麩羅」が終了となりました。


「天麩羅」のあとは御食事の「石臼挽き十割せいろ」ですが、田舎か江戸前かの選択となっており、江戸前をいただくことにします。

いただいた江戸前の蕎麦は、摩周の新蕎麦で打った喉越しの良い細麺で、キリリとした口当たりでありながら穏やかな味わいの蕎麦汁と一緒に美味しくいただきました。


そして、最後に季節のデザート「酒粕のコンフォートといちじく」(だったかな?)をいただき、今日の蕎麦前と蕎麦を締めくくりました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ち蕎麦・神田松竹庵ます川』さんは、入店した時、「かしこまったお店なのかな?」と感じてしまいましたが、いざ席に着いてみると堅苦しさを感じることも無く、時間が過ぎるのを忘れさせてくれるとても居心地の良いお蕎麦屋さんでした。

また、にこやかな笑顔を振りまきながらも真剣な眼差しで天婦羅を揚げているご主人(?)の姿はプロの職人さんそのもので、天婦羅を乗せる紙が汚れたら何気なくスッと変えてくれたり、お客さんの料理の進み具合に合わせて次の料理を出してくれたりするその接客に、職人さんの料理と名店の接客を堪能させていただいたと言ったところでしょうか?。

なお、伺ったところによると天婦羅は昼でも1品ずつ揚げてくれるとのことなので、今度はぜひ、平日の昼下がりに夫婦で訪れ、揚げたての天婦羅をいただきながらのんびりと過ごしてみたいです。

ごちそうさまでした。


『大庵@新宿』さんのふっくらした「虎ハゼの天ぷら」

2017-09-05 17:40:00 | 東京23区(新宿区)

新宿での仕事を終えた夕方17時半過ぎ、JR中央線・新宿駅すぐ近くにある『手打そば・大庵』さんに立ち寄ってみました。

お店に到着し、階段をあがり、そろそろ混雑し始める頃かな?と思いながら店内に足を踏み入れてみると、お蕎麦屋さんとは思えない程お洒落でモダンな店内です。

そして、若い女性の花番さんに案内され、オープンキッチン(?)前の席に着いてまず瓶ビール(プレモルの中瓶)をお願いしてから改めてゆっくりとメニューを眺めていると、花番さんが膝掛けを持ってきてくれたり、運ばれてきたビールを注いでくれたりと、緊張感と戸惑いを感じながらも心地良い一時を気分良く過ごすことのできるお店といった感じです。


そんな心地良い雰囲気の中、パラパラとメニューを行ったり来たりしますが、「京鴨ロースのカルパッチョ」や「鶏の冷製」といったワインが似合いそうな料理が並んでいるかと思えばお蕎麦屋さんの定番メニューもしっかり並んでいたりと、その充実ぶりにいただく料理を簡単に決めることができません。


ということで、長い時間迷ってしまいましたが、そんな時はお店のおすすめに任せるのが一番と思い、おすすめの「鰊の甘辛煮」と定番の人気料理「そばがきレンコン」(ピリ辛黒七味風味)をいただくことにします。


まずいただいた、上品に盛り付けられた「鰊の甘辛煮」は、甘過ぎることも辛過ぎることも無い、その甘辛具合が美味しい甘辛煮で、もう少し量がほしいかな?といったところでしょうか?。


続いていただいた「そばがきレンコン」は、サクッとした食感とほんのり感じる甘味がとても好印象で、こちらの料理もなかなか美味しいです。


お店に入り席に着いた時は緊張感と小さな戸惑いを感じていましたが、慣れてくると居心地の良さが感じられるようになり、また、空いた皿をかたづける際に塩を置いて行ってくれるなど花番さんのちょっとした気遣いも嬉しく、腹具合によっては蕎麦をいただかなくても良いかな?なんて思いながら「虎ハゼの天ぷら」と京都府の地酒「純米・澤屋まつもと」を追加でお願いします。


メニューに今月のおすすめマークが付いていた「虎ハゼの天ぷら」は、美味しいのはもちろんのこと、ふっくらした食感も良く、何も言うことの無い満足度の高い天婦羅でした。


さて、いずれの料理も美味しく、もう少しあれこれいただきたいところではありますが、やはり蕎麦はいただこうと思い再びメニューを広げてみると、「せいろ」と「田舎せいろ」に加えて、せいろと田舎の蕎麦粉半々で打った良いとこ取りの蕎麦があったので、その「野武士そば」という蕎麦をいただいてみることにしました。


それほど時間が掛からず運ばれて来た「野武士そば」は、穀物感タップリでゴツゴツ感を感じるものの、モチモチした食感でとても美味い蕎麦でした。また、蕎麦汁は辛さ抑えめで、ほんのり甘味の感じられるまろやかな味わいの優しい蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打そば・大庵』さんは、新宿駅前という場所がらもあってかお蕎麦屋さんというよりは、充実した美味しい料理を肴にお酒を楽しみ、そして最後に蕎麦をいただくことのできる大人の酒場といった印象のお店で、満足感を感じることのできる身近な所にほしいお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。