蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『川むら@日暮里』さんの出汁の効いた見た目も綺麗な「玉子焼」

2018-06-17 11:30:00 | 東京23区(荒川区)

うちの奥さんと、所用で日暮里へ出掛けた日曜日、まずは昼食を取ろうと思いJR山手線・日暮里駅から徒歩2~3分のところにある『そば・川むら』さんへと向かいました。

お店には開店時間の30分前に到着しましたが、他に開店を待つお客さんも見当たらないことから、付近をブラブラして開店15分前に再びお店に向かってみると、2組4人のお客さんが開店を待っていたため、確実に1巡目のお客さんとなるよう並んで待つことにします。

そして開店時間の11時半、暖簾が掛かり開店を待っていた5組10名(うち8名が女性)のお客さんがお店の中へと案内されます。

席に着いてまずは店内を見渡してみると、店内は清々しさすら感じられる綺麗な店内で、夫婦二人で気分の良い一時を過ごすことができそうです。

ということで、壁に掛けられているメニューとテーブルの上に置かれているメニューとを眺め、瓶ビール(キリンラガーと一番搾りとの選択)と一緒に「はも板わさ」、「せりごま合え」、「玉子焼」をお願いします。


まず運ばれてきた、胡麻の風味がなかなか好印象な「せりごま合え」の写真を撮っていると、「はも板わさ」が後を追うように運ばれてきたので、2品並べて撮影です。


「はも板わさ」と「せりごま合え」の写真を撮り終え、いざいただこうとすると、時間が掛かるだろうと思っていた「玉子焼」が目の前に置かれます。

結局、3品揃ってからいただくことになってしまったため、温かい玉子焼からいただいてみると、甘さは控えめながら出汁の効いた見た目も綺麗な玉子焼で、なかなか美味しいです。


料理をいただきながら日本酒の冷蔵庫に目を向けてみると、なかなか美味しそうな日本酒が並んでいたことから、ビールはうち奥さんに任せて日本酒をいただこうと思いますが、メニューが見当たらないので、席からラベルが確認できる静岡県の地酒「特別純米・喜久醉」をお願いします。

最近いただく機会の多い「特別純米・喜久醉」は、いくらでも飲めてしまいそうな水のようにスッキリした味わいでしたが、爽やかな喉越しでとても美味しいです。


美味しい日本酒をいただきながらもう少し蕎麦前をいただきたいと思い、「合鴨くんせい」と、佐賀県の地酒「純米吟醸山田錦生酒・鍋島」をお願いします。

いただいた「合鴨くんせい」は、優しくおとなしい味わいでしたが、軽く香る燻製香がなかなか良い感じです。また、一緒にいただいた「純米吟醸山田錦生酒・鍋島」は、「喜久醉」に比べて見た目もやや黄色が強いことから日本酒らしさがグッとくるかな?と思いましたが、穏やかな香りと旨味を感じながらも爽やかな喉越しで、レベルの高いかなり美味しい日本酒でした。


そろそろ蕎麦をいただこうと思い、改めて壁のメニューを眺め、「生桜えび天ざる」を富山県の地酒「吟醸・立山」(富山)と一緒にお願いします。


いただいた「生桜えび天ざる」は、桜海老の香りがしっかり感じられるかき揚げが美味しく、個人的な好みで言うなら「海苔」は不要ですが、まずまずの蕎麦でした。また、初めて見掛ける赤ラベルの「吟醸・立山」は、けして悪くはありませんが、「特別純米・喜久醉」や「純米吟醸山田錦生酒・鍋島」に比べると、少々おとなしい味わいの日本酒でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『そば・川むら』さんは、昔ながらの街並みが残る「谷根千」にあるお蕎麦屋さんでもあることから、複数の人数で訪れていいる女性のみのお客さんや年配の男女二人で訪れているお客さんの姿も多く見られるなど混雑していることも多いように思われますが、お酒を飲まない食事のお客さんも多いようで、見ている限り、混雑しているもののあまり待つこともなく席に着くことができているようです。

そんなお蕎麦屋さんではありますが、美味しい日本酒を揃えているという意味で日本酒の品揃えが素晴らしいことから、休日に夫婦で付近を散策した後に、休憩を兼ねてゆっくり蕎麦前を楽しみたいお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『とお山@日暮里』さんの美味しい自家製「とうふ」

2018-03-17 11:30:00 | 東京23区(荒川区)

JR山手線・日暮里駅から徒歩3分程度の所にある『手打蕎麦・とお山』さん。
お店を訪れたのは開店時間の11時半でしたが、地下にあるお店へと向かう階段近くにある内照式の電灯にはほんのりと柔らかい明かりが灯っていて、まるで、人目を避けてそっと隠れ家に潜り込んでいくといった様相です。


そして、階段を下りてお店の扉を開けてみると、「お客さんが来るのをずっとこうして待っていました!」と言わんばかりの姿で女の子の花番さんがこちらを真っ直ぐ見つめて立っています。

その様子に少々驚きながら、案内された2人掛けのテーブル席に着いてメニューを手にしてみると、定番の「一品料理」に加えて日付の入った「おしながき」が用意されていて、お店の雰囲気やメニューの内容から、お蕎麦屋さんというより普通の居酒屋といった感じです。


そんな、馴染みやすい落ち着いた雰囲気に心地も良く、更に天気も良い(地下なので感じませんが)ので春らしい料理をいただこうと思い、まずは、「菜の花おひたし」をいただくことにします。

また、「自家製」という文字に目が止まった「とうふ」が気になったので、おひたしと共に「とうふ」とグラスサイズの生ビールを一緒にお願いします。


最初にいただいた「菜の花おひたし」は、濃い緑色が印象的な一品で、柔らかい食感でありながらしっかりした歯応えも感じられ、添えられている辛子を軽く付けて美味しくいただきました。


次にいただいた自家製「とうふ」は、想像とは異なりカップに入ったひんやり冷えた豆腐で、スパっと切れ味のよい辛口醤油を垂らしていただくと、豆腐の旨味と茗荷の爽やかな風味が絶妙に絡み合った何とも言えない素晴らしい料理となる、とても美味しい自家製豆腐でした。


ビールが無くなったところで日本酒をいただこうと思い、なかなか見事な品揃えの地酒の中からオーソドックスな銘柄ではありますが、山形県の地酒「桜花吟醸・出羽桜」をお願いし、併せて、お店に入った時から最後にいただこうと決めていた「春野菜の天ぷら」をお願いします。


先にいただいた料理がいずれも素晴らしい料理であったことから、大きな期待を抱きながら待っていた「春野菜の天ぷら」は、見た目も豪華なあれこれ盛り込まれた嬉し過ぎる山菜の天婦羅盛り合わせで、中でも蕗の薹の春を感じさせてくれる程良い苦味が心地良く、高い満足感を感じることのできた「春野菜の天ぷら」でした。


入店早々は来店するお客さんも少なく、目立たない隠れ家のようなお店だからなのかな?と思いましたが、お昼近くになると「谷根千」の散策に訪れたお客さんなのか複数人数で訪れる年配女性のお客さんが増え、12時を過ぎるとさすがに満席に近い状態となりました。

そうなるといつまでものんびりしている訳にはいかなくなり、もう少しお酒をいただきたいという思いをグッと抑え、蕎麦をお願いすることにします。

いただいた蕎麦は季節の変わりそば「あおさ切り」で、辛目の蕎麦汁と共にサッパリした味わいを楽しませていただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打蕎麦・とお山』さんは、けして広いとは言えないコンパクトな造りのお蕎麦屋さんでしたが、木の温もりを感じることのできる落ち着いた雰囲気と若い花番さんのしっかりした心温まる接客に居心地の良さが感じられるお蕎麦屋さんでした。

また、料理と日本酒も充実しており、お蕎麦屋さんというよりも、親しみ易い行きつけの居酒屋といった印象を強く感じたお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


下町の『砂場@南千住』さんでいただく感動の蕎麦前

2013-02-10 23:17:34 | 東京23区(荒川区)

東京の老舗蕎麦屋の中で最も長い歴史を持っていると言われている「江戸三大流派」の一つ「砂場」。
その「砂場」の歴史を遡ると、1804年に発祥の地である大阪からまず糀町へ移転し、その後1912年(大正元年)に三ノ輪橋へ移転したとあります。

ということで、行ってきました。
三ノ輪橋にある「砂場」の総本家『南千住砂場』さんへ。

事前に営業時間を調べたところ午前10:30開店との事でしたが、さすがに10:30から蕎麦前もどうかと思ったので、11:00頃到着するように向いました。

都電・三ノ輪橋駅近くにあるアーケードの商店街「ジョイフル三の輪」に到着し、自転車が頻繁に行き交う昭和の香り漂う商店街の中を進むと、ありました。独特の存在感を放ちながらもしっかり下町に馴染んでいるお店が。


なるほど、この建屋ですか・・・。
昭和29年に近所の大工さんと相談して建てた、総檜造りの数奇屋風木造建築のお店というのは。

いや~、何がスゴイかって、「虎ノ門・砂場」さんとは異なり、風格の感じられる建屋が町中の一角ではなくアーケードの商店街の中にあるということがスゴイです。更に、その風情ある建屋は荒川区の文化財に指定されているとのことですが、違和感無く、ごくごく普通の「下町のお蕎麦屋さん」としてそこに存在しています。

お店の前で写真撮影を行なってから11:00少し過ぎに暖簾をくぐると先客は無く、4人掛けのテーブル席に着いて、まずは瓶ビールと「やきとり」をお願いします。

ビールを飲みながらお店の中を見渡すと・・・。
なるほど、訪れた方々の書かれている報告や記事の通り、様々な古い本や昭和の匂いの感じられる数々のおもちゃが所狭しと並べられています。そして、それら数々のおもちゃ達を眺めながら、「おっ、サンダーバード2号発見!。」なんて楽しんでいると、「やきとり」が運ばれてきました。


運ばれてきた「やきとり」は串焼きではなく、白髪ネギが添えられた箸でいただくお蕎麦屋さんの焼鳥で、ボリューム感たっぷりです。
早速温かいうちにいただいてみると、肉は柔らかく、タレの甘辛加減も絶妙で、「なんだこれ!!!。」と驚いてしまうほど美味しい「やきとり」です。


「やきとり」をつまみながら更に店内をキョロキョロ見渡すと、あちこちにメニューが貼られています。
事前に口コミサイト等でメニューを確認し、「蕎麦前のおつまみは少ないのかな?。」と思っていましたが、店内に貼られているメニューを見ると、確認できなかった「鴨ぬき」や、「さすがに3000円近い天婦羅は食べることが出来ない。」と思っていた「天ちらし」(天婦羅)の1人前(それも990円とお手頃価格です。)などもあるようです。

ということで、ビールも丁度なくなってきたので、その1人前の「天ちらし」と生酒をお願いしようとしたところ、「生酒は少々量が多いですが・・・。」とのこと。「二合ですか?。」と聞くと「二合弱です。」との回答。なるほど、つまり飲み切りサイズの瓶ってことですね。全く問題無いので生酒をお願いすると、予想通り飲み切りサイズの「菊正宗・生貯蔵酒」が運ばれてきましたが、なんと、温くならないように氷の入った桶の中に入れられていました。

そんなちょっとした気遣いに喜んでいると、「どうぞ!。」と異なる2種類のお通し(?)が新たに運ばれてきました。
通常、お通しは1人1回なのでビールと一緒に運ばれてきたお通しで終わりですが、お酒を追加した時にもいただいてしまいました。それも2品も。


お通しを2回も、それも合計3品もいただいてしまい恐縮していると、1人前の「天ちらし」が運ばれてきました。
具材を見ると、大きな海老、南瓜、舞茸(?)、芋、たまねぎ(?)と量が多いです。
「これで990円?。じゃあ、いったい3000円の天ちらしってどんなの?。」と思いながら湯気の立ち上がる天汁に南瓜を付けていただくと、カラッとしたサクサク感が素晴らしいです。と、これまた驚きの「天ちらし」です。

この「天ちらし」、サクサクしているだけではなく、臭みの無いクリアな油の香りが食欲を誘い、更には温かい天汁も美味しく、いつまでも冷たい「菊正宗・生貯蔵酒」と一緒に美味しくいだだきました。


感動続きの蕎麦前をいただいているうちにお店も混雑し始めてきたので、締めの「もり」をいただくことにしました。
蕎麦汁は徳利ではなく初めから蕎麦猪口に入れられているので、蕎麦と蕎麦湯をこの1杯でいただくことになりますが、思いのほかタップリ入っているので大丈夫そうです。

蕎麦をいただく前にまず蕎麦汁をなめてみると、普通に美味しいです。
次に蕎麦を摘んで持ち上げてみると、長いです。しかし麺が絡まることも無く、ほど良いしっとり感を保ったまま喉を通り過ぎて行き、なかなか心地良い食感です。

そして最後にとろみのある蕎麦湯をいただき、感動の蕎麦前と蕎麦が終了となりました。
いや~、質の高い素晴らしい料理を美味しくいただきました。

ごちそうさまでした。


最後に、今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『南千住砂場』さんは11:30頃には席がほぼ埋まってしまうほどの盛況振りでしたが、丁寧に、ゴクゴク普通に接している接客の様子と、蕎麦前と蕎麦を楽しんでいるお客さんの様子を見ていると、気軽にフラッと立ち寄ることの出来る、地元に根付いた親しみやすさと安心感みたいなものが感じられます。もしかすると、その親しみやすさと安心感は江戸時代から代々受け継がれ、長い年月を掛けて築き上げられた物なのかもしれません。

きっと、『南千住砂場』さんはこれからもずっと「ただの下町のお蕎麦屋さん」で、そして、その姿と姿勢は誰に何を言われようが何が起ころうが、その時代時代の流れに合わせながらもずっと変わらないのだろうと思います。
まぁ、それを「伝統」というのかな?。

いつまでも、今のままでいてほしいです。