蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『あん彦@逗子』さんの越前直送料理「へしこ」

2013-04-21 22:15:07 | 神奈川県(逗子市)

今日は早朝から雨の中所用で出掛け、所用を済ませた後に京浜急行電鉄・新逗子駅の裏にある越前蕎麦をいただくことの出来る『そば席御清水庵・あん彦』さんで一人昼食を取りました。

お店に到着して扉を開けると、開店時間の11:00を少し回ったところということもあって先客は無く、「お好きな席にどうぞ。」と案内されたので、テーブル席でも良いか確認してから明るい2人席に着きます。

「木」を基調とした落ち着いた内装のテーブル席に着いて早速メニューを広げます。
今日は初めから「越前づくし」と考えていたので越前直送料理のページを確認し、お茶を持ってきてくれた愛想の良い女の子に「へしこってお昼から食べれます?。」と確認すると、「(出汁巻き卵などの)17時以降の夜メニュー以外は大丈夫です。」とのこと。しかし、お店のご主人らしき方が、「時間があるから(夜メニューも)大丈夫ですよ。」と言ってくださったので、お言葉に甘えて本来は17時以降の料理である「出汁巻き卵」と、越前直送料理の中から「へしこ(鯖のぬか漬け)」と「ホタルイカの沖漬け」をお願いします。
そして今日はビールを飲まずに最初から福井県の地酒「黒龍」をいただいてしまいます。

まず運ばれてきたのは「ホタルイカの沖漬け」で、特別変わった様子の無い、どこにでもある普通の「ホタルイカの沖漬け」という印象ではありますが、味の濃い新鮮さの感じられる美味しいホタルイカで、キリッとした旨口の本醸造「黒龍」がついつい進んでしまいます。


続いて登場した、今日一番の楽しみであり、初体験でもある「へしこ」。
「へしこ」とは鯖のぬか漬けのことで、ふぐ刺しのように薄~くスライスされて出てきました。その「へしこ」を1枚食べてみると薄味ですが、2枚一緒に食べてみるとこれまたお酒の進んでしまう、実に美味しい料理です。


最後に運ばれてきた「出汁巻き卵」は、甘さの抑えられた玉子焼きでしたが、湯気がモクモクと立ち上る温かくホッと落ち着くことのできる「出汁巻き卵」で、厚みを感じるどっしりとした食感と共に美味しくいただきました。


温かいうちにいただきたい「出汁巻き卵」を先にいただいてしまいましたが、「ホタルイカの沖漬け」と「へしこ」がもう少し残っていたので「黒龍」と同じ福井県の地酒「雲の井」を追加でお願いします。また、併せて越前直送料理の「花らっきょう」もいただこうかと思いましたが、お客さんの出入も多くなってきた事から一品料理の追加はせず、越前の郷土料理「おろしそば」を一緒にお願いします。

「おろしそば」をお願いする時、「田舎蕎麦にも出来ますが・・・。」と聞かれましたが、始めて訪れたお店ということもあって普通の蕎麦でお願いしました。また、プラス200円で「とろろ昆布おにぎり」と「きび団子」を付けたセットに出来るようなので、セットでお願いすることにしました。

なお、初めていただいた福井県の地酒「雲の井」は、淡麗やや辛口という印象ですが、まろやかな旨味と造り手の酒造りに対する愛情の感じられる、優しい日本酒でした。

料理が無くなり、「とろろ昆布おにぎり」がまず運ばれてきて、続いて「おろしそば」が運ばれてきました。
目の前にドン!と置かれた「とろろ昆布おにぎり」は、御飯がまったく見えない程、大量のとろろ昆布で覆われていて、香りがとても良く食欲をそそります。


メインの「おろしそば」は、タップリの薬味と大根おろしの入った蕎麦汁と太目の蕎麦の組み合わせです。
まず大根おろしの入った蕎麦汁をなめてみると、確かに辛いです。
続いて何も付けずに蕎麦をいただいてみると、しっかりした歯応えの感じられる蕎麦で美味しいです。
次に、普通のもりそばのように蕎麦をつまんで大根おろしの入った蕎麦汁に付けて食べてみると、辛さと蕎麦の相性が良くとても美味しいです。

そして、残りは全てぶっかけ。
蕎麦が蒸篭ではなく深みのある皿に盛られているので大根おろしの入った蕎麦汁を全て蕎麦に掛けてしまい、更にはタップリあるカツオ節をパラパラ控えめに振り掛けていただきます。

「大根の辛さは季節によって異なり4月は普通。」(ちなみに「夏は激辛」)と説明書きに書かれていますが、適当な辛さと思います。そして一般的な「おろし蕎麦」や「辛味大根蕎麦」とは異なる美味しさです。

確かに適当な辛さの美味しい蕎麦ではありますが、食べているうちに辛さが感じれるようになります。
で、そこで登場するのが、「どうやって飲むんだろうか?。」と思っていた、湯呑みに入って蕎麦と一緒に運ばれてきた蕎麦湯。この蕎麦湯は色々な飲み方がありそうですが、ぶっかけで蕎麦をいただきながら「辛い!。」と思ったらそのまま飲むという飲み方もありなのかな?と思います。


そして蕎麦を食べ終えた頃に「蕎麦湯を注ぐ形でお持ちしましょうか?。」と声を掛けられたので「お願いします。」と思わず応えてしまいましたが、大根おろしの入った蕎麦汁は蕎麦に掛けてしまったので蕎麦猪口は空っぽだし、そのまま飲むのも有りとは思いますが、やはり蕎麦汁と蕎麦湯を合わせていただきたいです。
ということで、結局、大根おろしの入った蕎麦汁を皿から蕎麦猪口にまた戻し、そこに蕎麦湯を注いでいただきましたが、少々行儀の悪い飲み方をしてしまったように思います。

そう思うと、やはりぶっかけにせず、普通に蕎麦を大根おろしの入った蕎麦汁に付けながらいただき、辛いと感じたら湯呑みの蕎麦湯を飲み、そして最後に蕎麦湯をいただいて蕎麦猪口で飲むのが良いのかもしれません。
まぁ、どうやって食べるか、どうやって蕎麦湯を飲むかは人それぞれの好みと思いますが。

そうそう、セットの「きび団子」ですが、口の中いっぱいに広がった「辛さ」を和らげてくれる、甘さのくどくない美味しい「きび団子」でした。

今日は『そば席御清水庵・あん彦』さんで美味しい越前料理とお酒をいただきながら日曜日のお昼をのんびり過させていただきました。また、料理はどれ一つ取っても丁寧に作られているという印象の美味しい料理ばかりで、「訪れて良かった!。」と満足させてくれるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『富の蔵@新宿御苑』さんの「鴨九条葱焼」

2013-04-13 23:54:52 | 東京23区(新宿区)

今日はうちの奥さんと2人で朝から新宿御苑を訪れ、2時間ほどブラブラと桜見物をしてから新宿御苑・大木戸門近くにある『手打ちそば・富の蔵』さんへ向いました。

お店に到着したのは開店時間を少し過ぎた11:35頃でしたが、暖簾が掛かっておらず準備中のようです。
扉が開いていたので中を覗いてみると、「中でお待ちください。」と声を掛けられ、明るく清潔感漂うゆったりした店内で待たせていただくことにしました。

待っている間に店内を見渡してみると、セラー(?)の中で出番を待つ瓶ビールに描かれている赤い星に目が止まりました。どうやら、瓶ビールをお願いすると「赤星」が出てくるようです。また、テーブルに置かれているカードケースのメニューを見てみると、蕎麦も一品料理も品数が多く、どんな料理をいただくことが出来るのか楽しみです。


さて、料理をお願いする時間になったことから、瓶ビールと一緒に「出汁巻玉子焼」、「あさりしぐれ煮」、「鴨九条葱焼」、「穴子天ぷら」をお願いします。少々多いかな?とも思いましたが、今日は2人だし、蕎麦前のために朝食を抜き、新宿御苑内でも水分を取らずに訪れたので、きっとあっさり食べてしまうことでしょう。

まず登場した「赤星」(サッポロラガービール)とお通しの「揚げ蕎麦」ですが、味に集中しながらいただいてみると、シナモン(?)のような香りが微かに感じられる「揚げ蕎麦」で、お土産に購入することも出来るようだったので、購入してくれば良かったかな?と思う美味しい「揚げ蕎麦」でした。
 
追って運ばれてきた「あさりしぐれ煮」は、こちらも注意深くいただいてみると、生姜だけではなく山椒(?)のようなピリッと感じる味付けがされているようです。事実は不明ですが・・・。
 

まだまだ蕎麦前が始まったばかりではありますが、今日はうちの奥さんが同行しているので残りの瓶ビールは任せてしまい、さっさと日本酒に切り替えることにします。
 
ということで、カードケースになっている日本酒のメニューを見てみると、「影虎」、「黒龍」、「獺祭」、「十四代」、「磯自慢」といった、「確かに美味しいけど・・・。」というラインナップです。
 
「どうしようかな?。」と迷いましたが、そんな銘酒達に混ざって、飲んだことの無い神奈川県の地酒「吟望・天青」と飲む機会を何度も逸している秋田県の地酒「一白水成」があったので、「一白水成」をお願いします。
 
しかし、残念ながら「昨日の夜、天青と一白水成はみんな出ちゃったんですぅ~。」と愛想の良いお店の女の子に言われてしまいます。やはり「一白水成」には縁が無いんだろうか?と思っていると、「実はメニューに書いていない日本酒があって・・・。」と切り出され、「おっ!。」と期待しましたが、「酔鯨があります。」と続けられ、悪くはありませんが飲んだことの無い日本酒を期待していただけに少々ガッカリです。

「今日は日本酒やめとこうかな?。」と思いましたが、気持ちが日本酒になってしまっているので「酔鯨」と「黒龍」でどちらにするか悩み、「黒龍」をお願いします。
ちなみに、悩んだのは「どちらにするか。」ではなく、「どちらを先に飲むか。」です。

そんなやり取りをしているうちに「出汁巻玉子焼」が運ばれてきます。
頼んだのは1つでしたが、2人ということで半分ずつ2皿に分けてくれたようです。
 

そんなちょっとした心づかいを嬉しく思っていると、続いて「鴨九条葱焼」が登場します。
早速一ついただいてみると、焼き加減も絶妙で、鴨肉の柔らかさがとても美味しいです。もちろん、肉自体が美味しいと思いますが、まるで炭火で焼いているかのような味わいが何とも言えず美味しいです。
 
先程、日本酒のやり取りをしたお店の女の子に「炭火ですか?。」と確認しましたが、「厨房の中に入ったことがないので分らないです。」とのこと。結局、答えはわかりませんでした。
 

「出汁巻玉子焼」と「鴨九条葱焼」をいただき、残るは「穴子天ぷら」ですがもう少し時間が掛かりそうです。
そして、このまま待っているのもどうかと思ったので、お店の女の子お勧めの「酔鯨」と一緒に「もろみ豆腐、」をお願いします。


時間が掛からず出てきた「もろみ豆腐」は、クリーミーな、まるでチーズのような食感で、「まぁ、日本酒のおつまみだからこんなんかな?。」という感じです。
 
そしてようやく登場した「穴子天ぷら」をサラッと美味しくいただいて、蕎麦をお願いします。
 

いつもなら「せいろもり」をいただくところですが、季節の変わりそばがあったので、度々登場するお店の女の子に「季節の変わり蕎麦は何んですか?。」と聞いてみたところ、「しそ切りです。」とのこと。

「ちなみに一つ前は何?。」と聞いてみると、「桜切りです。」との答え。
「やっぱりそうだったか、残念!。」と思っていたら、「かすかに桜の味がして美味しいんですぅ~。」と桜切りが美味しいということを説明してくれます。「でも、無いから頼めないんでしょ?。」って思いながら説明を聞き、その説明を聞き終えたところで「しそ切り」をお願いします。
なお、うちの奥さんは「鴨九条葱焼」が好印象だったことから「九条葱おろしそば」をいただくことにしました。

せいろ2段で運ばれてきた「しそ切り」は、キリッとした食感と喉越しがなかなか良い感じで、思っていた以上に美味しい蕎麦です。なお、蕎麦汁は甘過ぎず辛過ぎずの美味しい蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ちそば・富の蔵』さんは、料理に少々時間が掛かるかな?という印象でしたが、美味しい蕎麦前と蕎麦をあれこれ楽しくいただくことの出来るお蕎麦屋さんでした。

また、若いのにしっかりお客さんと接することのできる女の子の接客も、『手打ちそば・富の蔵』さんの特徴の一つかもしれません。確かに、「居酒屋のノリ」に近い物があるかもしれませんが、何ら問題は無く、美味しい料理とお酒を楽しく食べたり飲んだりすることの出来る明るい雰囲気を作ってくれているように思います。

そんな明るく馴染みやすいお店の雰囲気は、会計を済ませてお店の外に出た時、通用口からわざわざ外に出てきて「ありがとうございました。」と挨拶してくれたご主人の人柄からも感じられるように思います。

そんなことを思いながら、スッキリした気分でお店を後にしました。
楽しい一時と美味しい料理をごちそうさまでした。


『しながわ翁@品川』さんの「そら豆の塩茹で」

2013-04-12 23:54:11 | 東京23区(品川区)

東海道五十三次の一番目の宿場町「品川宿」。
今では最先端の高層ビルが立ち並び、東海道新幹線が停車するなど大きく発展している町ではありますが、その大きく発展している地域からほんの少し外れると、雑居ビルや古い住宅がまだまだ立ち並んでいる、昭和を感じる昔ながらの風景を見ることが出来ます。

今日はそんな品川で仕事を済ませた後、一人のんびり1週間分の疲れを癒そうと、屋形船の停泊場所近くにある『手打そば・しながわ翁』さんへと向いました。ちなみに、下の写真はお昼休みに撮影した写真です。


夜営業の開店時間に合わせてお店に向かい、暖簾をくぐって扉を開けると、2人掛けのテーブル席と4人掛けのテーブル席がいくつか並んでいる店内は想像していたよりもこじんまりしているという印象ですが、無駄の無いシンプルな作りで落ち着いた雰囲気です。

花番さんに案内され、2人掛けのテーブル席に着いて早速メニューを広げると、一品料理はオーソドックスながらも季節の料理があるなどバランスの良い品揃えで、どれも美味しそうです。

そんな一品料理の中から、瓶ビール(エビス)と一緒に「玉子焼き」と「そら豆の塩茹で」をお願いすると、「玉子焼きは2/3の小さいサイズにも出来ますが。」とのことだったので、その「2/3量」をいただくことにしました。
メニューをもう一度見直してみると、メニューの端っこに「おひとり様用」という欄があって、「鴨ロース(約半分)」、「玉子焼き(約2/3量)」、「お新香(約半量)」という一人用のメニューが並んでいます。これは、「一人で食べるには量が多いから。」という理由の他に、「色々食べたいから。」という理由にとっても良い事と思います。

さほど待つことも無く運ばれてきた「そら豆の塩茹で」は、ビールに合うおつまみの一つと思っているので、思っていた以上に量が多く嬉しい限りです。いただいた「そら豆の塩茹で」は、シンプルな一品ではありますが、茹で過ぎて柔らかくなっていることも無く、程良い歯ごたえの食感でホッと一息つくことのできる心休まる一品です。


続いて登場の「玉子焼き」。
約2/3量というおひとり様用を選びましたが、十分な量です。「玉子焼き」は温かいうちにいただきたいので、ビールを飲みながら一気にいただいてしまいましたが、フワフワな「玉子焼き」でありながら箸で更に半分にして持ち上げても形の崩れ無いしっかりした「玉子焼き」で、程良い甘さと出汁の旨味(?)がとても美味しいです。


美味しい料理が続き、「そら豆の塩茹で」がまだまだ残っているので、季節の日本酒から特別純米生「四季桜・花の宴」という栃木県の地酒と「鴨ロース」(おひとり様用ではなく通常サイズ)をいただきます。

運ばれてきた「鴨ロース」には白髪葱が添えられていましたが、柔らかくて美味しい鴨肉だったことから、葱を巻かずにそのままいただきました。そら豆と鴨肉という美味しい料理をいただいていると、ついついお酒も進んでしまい、「そら豆の塩茹で」もまだ残っていることから普通の本醸造「四季桜」をいただきます。

後からいただいた本醸造「四季桜」は、先にいただいた特別純米生「四季桜」に比べて口当たりがまろやかで飲み易く、個人的には本醸造の方が好みにフィットするかな?という感じです。


美味しい料理とお酒をいただきながらのんびりしていると、いつの間にか店内は満席に近い状態になっていて、「これから伺います。」といった予約の電話もポツポツと掛かってきているようなので、蕎麦をお願いします。

いただいた「もりそば」は細めで喉越しの良い「上品な蕎麦」という印象で、スルスルっと気持ち良く喉を通り過ぎていきます。蕎麦汁は、カツオ出汁の効いた、どちらかというとやや辛めの蕎麦汁で、蕎麦が大人しいこともあって蕎麦よりも蕎麦汁の方が印象に残ったかもしれません。


今回、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打そば・しながわ翁』さんは、お店を出る時に明るい声で「ありがとうございました!。」とみんなが声を出してくれるなど接客のレベルが高く、中でも接客に当たっていた花番さん(男性)の丁寧で親切な心づかいがとても気持ちの良いお蕎麦屋さんでした。

また、蕎麦前を楽しみながら憩いの一時を過すためにお蕎麦屋さんへ足を運んでいる者からすると、蕎麦だけではなく、お酒と肴を美味しくいいただけるお店をどうしても求めてしまいますが、こちらの『手打そば・しながわ翁』さんは花番さんの接客も、そして料理とお酒の美味しさも申し分なく、一人ホッと一息ついて蕎麦前を楽しむことの出来るお蕎麦屋さんと思います。

ごちそうさまでした。