蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『あららぎ@京成関谷』さんの充実した蕎麦の膳「せんじゅ」

2018-03-10 11:00:00 | 東京23区(足立区)

日頃訪れる機会の無い京成電鉄・京成高砂駅近くへ所用で出掛けたことから、京成電鉄沿線にある、お昼から蕎麦前を楽しめるお蕎麦屋さんに立ち寄ってみようと思い、京成関谷駅近くにある『蕎麦・あららぎ』さんの暖簾を潜ってみることにしました。

お店には、開店時間の11時丁度に到着しましたが、既に2組3人のお客さんが並んでいます。
そして、お店の入り口近くに立てられていたメニューを眺めながら開店を待っていると、開店時間を5分ほど過ぎたところで花番さんが店内から出てきて、店内へと案内されます。


開店と同時にお店に入ることができましたが、席に着く前に「時間がかかります」と言われ、更に席に着いてメニューが配られた際、今度は「料理は直ぐに出せない」と説明を受け・・・。
まぁ、時間はあるので構いませんが、いつもこのような状況なのでしょうか?。

ということで、待ち時間もあるようなので、時間をかけてメニューをじっくり眺め、「蕎麦の膳」という小箱に入った料理と天婦羅と蕎麦がセットになった「せんじゅ」という名前の膳と、単品料理の「鴨の合焼き」をお願いします。

また、いただいたことの無い日本酒がいくつかあったので、ビールはいただかずに石川県の地酒「純粋無垢特別純米酒・宗玄」(そうげん)を一緒にお願いします。


料理を待ちながら店内を見渡してみると、入口から店内奥に伸びる細長いフロアには2人掛けと4人掛けのテーブル席が5卓程並んでいて、けして広いとは言えない店内かもしれませんが、鉄道模型のレイアウトが飾られている明るくスッキリしたフロアで、なかなか心地良いです。


10分ほど経過したところで籠に入った猪口が運ばれてきて、使用する猪口を選んだところで後を追うように「純粋無垢特別純米酒・宗玄」が錫(かな?)製のチロリに入って登場です。


お通しの揚げ蕎麦をつまみながら、日本酒らしい旨味がしっかり感じられる「宗玄」をいただいていると、小箱に入った料理が目の前に置かれ、花番さんが一品一品料理の説明をしてくれます。

花番さんの説明が終わったところで早速焼き味噌をいただいてみると、香ばしい香りが食欲をそそってくれる、単品でいただきたい美味しい焼き味噌でした。また、かけ汁を使用しているという玉子焼は、これぞ玉子焼と言っても過言では無い、ほんのり甘い味わい豊かな玉子焼で、熱々でないことがとても残念です。


料理をいただき終えたところで「宗玄」が無くなったので、大阪府の地酒「生もと純米原酒・奥鹿」をいただいてみると、「宗玄」同様に旨味がしっかり感じられる日本酒で、美味しい美味しいと調子にのってグイグイいってしまうと簡単に酔ってしまいそうです。


旨味タップリの「奥鹿」と一緒にいただいた「鴨の合焼き」は、鴨らしさはあまり感じられなかったように思いますが、柔らかい食感の、空腹を満たしてくれる美味しい鴨肉でした。

なお、同時に入店した2組のお客さんには既に天婦羅が配膳され始めていましたが、鴨焼きをいただき始めたばかりなので、鴨焼きと天婦羅が重ならないよう気を使ってくれているようです。


鴨焼をいただき終えたタイミングで、蕎麦汁仕立ての天汁とピンクがかった岩塩が添えられた天婦羅3品が運ばれてきます。


いただいた天婦羅は衣も薄く、その美味しさに気分も良いので秋田県の地酒「純米大吟醸原酒・まんさくの花」を追加でお願いしますが、これがまたクリアな味わいで実に美味しいです。


天婦羅は、2回に分けて揚げたてを席まで運んでくれますが、2回目の天婦羅に入っていた海老のプリプリっとした食感がとても好印象で、納得の天婦羅でした。


絶妙のタイミングで運ばれてきた蕎麦は、程良いコシのあるやや太めの蕎麦でしたが、喉越しも良く食べ易い蕎麦でした。

また、美味しい日本酒をいただくことができたと一人満足感に浸っていると、最後にコーヒーゼリーがサービスされ、更に満足感を高めて本日の蕎麦前と蕎麦が終了となりました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦・あららぎ』さんは、お客さんごとに異なる料理の進み具合を、何気無くしっかりと見計らってくれていたり、お酒を追加しようと思い「すみません!」と声をかけただけでそれ以上言わなくてもお酒のメニューをスッと持ってきてくれたりする、一歩先を読んだ花番さんのそつの無い接客がなかなか好印象のお蕎麦屋さんでした。

更に、料理の品数こそ多くはないものの日本酒の品揃えも素晴らしく、まるで、旨味タップリの日本酒をいただきながら休日の昼下がりをのんびり過ごすために存在しているかのような、高い満足感を感じることのできたお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『千寿竹やぶ@北千住』さんの「千寿葱と鴨の相焼き」

2017-05-02 11:30:00 | 東京23区(足立区)

毎年、一人で過ごすゴールデンウィーク期間中の「平日」。
昨年と一昨年は、その連休中の平日を使って谷根千にあるお蕎麦屋さんを何軒か訪れてみましたが、今年は複数のお蕎麦屋さんを巡ることはせず、一度訪れてみたいと思っていた、北千住にある『手打蕎麦切・千寿竹やぶ』さんをピンポイントで訪れてみることにしました。

お店は、JR常磐線・北千住駅からのんびり歩いて17分程度のところにありますが、「静かな町中にあるのだろう」という予想に反して、国道4号線の大きな交差点近くにあって「こんなところに・・・」と少々驚きです。

そして、開店待ちの列ができるのではないだろうか?と思い開店20分前に到着するようお店に向かいましたが、開店前に訪れたお客さんはおらず、開店と同時に、1人のお客さんにとっては何とも過ごし易そうなこじんまりとした4人掛けカウンター席に案内されます。

席に着いて、まずは飲み物を選ぼうと思い「飲み物リスト」というお酒のメニューを開いてみると・・・。
「本日の酒」というメニューがあり、「在庫の中から一本づつ栓を抜き売り切れたら次の酒の栓を抜く」というルールで、「その日によって出会えるお酒は異り、どの酒に出会えるかは運しだい」という楽しそうなメニューがありましたが、まずは「利き酒三種」をいただいて、その後、次のお酒をどうするか考えることにします。


お酒をお願いしたところで、今度は料理を選びます。
料理は、冊子になっているメニューもありましたが、目の前に吊り下げられている小さな黒板に書かれていた季節料理の中から、迷いに迷った結果、「たけのこ・土佐煮」と「ウドの芽・天ぷら」&「ホタルイカ・天ぷら」をお願いすることにします。


料理をお願いし、そろそろお酒が出てくる頃かな?と思いましたが、出てきません。

席に着いて直ぐに出された揚げ蕎麦をポリポリとつまみ始めましたが、出てきません。

それ程混雑していないのに・・・と思いながらひたすら待ちますが、出てきません。

とうとう、お酒より先に「たけのこ・土佐煮」が運ばれてきましたが、それでも出てきません。

運ばれてきた筍からは湯気が出ていて暖かいうちにいただきたいところではありますが、美味しい料理はやはりお酒と一緒にいただきたいので、立ち上る湯気を眺めながらお酒を待っていると、筍から出ている湯気がほぼ出なくなったところで、ようやく、形の異なる猪口に注がれた三種類のお酒が運ばれてきます。

今回いただいた「利き酒三種」は、特別純米酒「田酒」(青森)、山廃純米「雪の茅舎」(秋田)、「神亀」(埼玉)の三銘柄で、穏やかな旨味たっぷりの「田酒」が一番好みに合っていたように思います。


さほど待つことも無く、盛り合わせで運ばれて来た「ウドの芽・天ぷら」と「ホタルイカ・天ぷら」は、薄っすらした衣で軽く揚げられており、程よい苦味がなかなか美味しい満足度の高い天婦羅でした。


いただいた料理はいずれも美味しくなかなかの満足感ではありますが、やや軽めのボリューム感であったことから、もう一品ボリューム感のある料理をいただこうと思い、「蕎麦屋の肉料理」から秋冬限定の「千寿葱と鴨の相焼き」を追加でお願いすることにします。

また、お酒も丁度無くなったのでお願いしようと思いますが・・・。
「席を御立ちになって酒蔵を覗くのがおすすめです」とメニューに書かれていたことから、店内中央にある酒蔵(冷蔵庫)を見させていただき、いただいた記憶の無い、福岡県の地酒「無濾過生特別純米雄町・繁桝」(しげます)を一緒にお願いします。


追加でいただいた「千寿葱と鴨の相焼き」は、想像とは異なる相焼きで、卵は必要なんだろうか?と思いましたがコクと旨味の感じられるしっかりした卵で、ほんのり感じられる山椒の風味と甘辛具合も程良く、葱の焦げ目が気にはなってしまうものの、とても美味しい鴨の相焼きでした。

また、一緒にいただいた「繁桝」は、明確な旨味が感じられる美味しい特別純米酒でした。


さて、予想に反して昼時を迎えてもそれほど混雑している様子は感じられなかったことから、もう少し蕎麦前をいただこうかと思いましたが、いつまでも飲み続けてしまいそうなので蕎麦をいただくことにします。

蕎麦をいただくために再びメニューを開いてみると、蕎麦は「十割」、「粗挽き」、「田舎」の3種類があり、どれをいただこうか迷ってしまいますが、いずれも「半もり」が用意されていたことから、順番はお任せで、三種類全てを半もりでいただくこととし、併せて、「利き酒三種」にあった「田酒」を一緒にお願いします。


初めにいただいた栃木在来種の蕎麦で打った「十割」は、柔らかめの歯応えではありましたが、蕎麦の香りが感じられる美味しい十割蕎麦でした。


続いていただいたのは、ジャキジャキした食感(?)に、いかにも穀物を食べているということが感じられる田舎蕎麦でした。それにしても、薬味の葱がとても美味しいです。


そして最後に、汁なしで提供された「粗挽き」を、味わい深く旨味のある蕎麦汁でいただき、今日の蕎麦前と蕎麦が終了となりました。


蕎麦を食べ終え、久しぶりに味わうトロトロのポタージュ系蕎麦湯をいただいていると「塩プリン」が提供されましたが、「塩」を感じさせることは無く、口の中に蜜の甘味がしっかり残る甘~いプリンでした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいただいた『手打蕎麦切・千寿竹やぶ』さんは、少々敷居が高く硬い雰囲気かと思いましたが、ご主人の料理に対する前向きな姿勢と意気込みの感じられる美味しい料理とお酒をのんびりいただくことのできるお蕎麦屋さんで、お蕎麦をいただきに来たお客さんにも、蕎麦前を楽しみたいお客さんにも余裕を持ってしっかり対応出来る、家の近くにあると嬉しい町のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


蕎麦打ち教室『藪重@梅島』さんの出来立て「そば刺」

2013-12-21 23:41:57 | 東京23区(足立区)

今日は社会人ラグビーの試合を観戦するために東京・青山へと向いますが、試合開始が14時であることから、お蕎麦屋さんで蕎麦前と蕎麦をいただいてから試合会場へ向おうと思います。

ということで、「11時開店」、「お昼に蕎麦前(酒)OK」、「東京・青山への移動時間が1時間以内」という条件でお店を検討した結果、東武伊勢崎線・梅島駅近くの『手打蕎麦・藪重』さんへ行ってみることにしました。
ちなみに、東武伊勢崎線・梅島駅とは北千住駅から春日部方面に向って3つ先の駅で、自宅最寄り駅から電車で1時間半程度掛かりますが、今日は地震の影響もあって時間が掛かり、11時半少し前の到着となりました。

お店には予定よりも遅い時間に到着したことから、外観の写真撮影も簡単に済ませ、お店の入口近くに貼ってあるメニューをザッと眺めてから2階にあるお店の扉を開けます。

今日訪れた『手打蕎麦・藪重』さんは、本格的な手打蕎麦教室を開いてプロを養成したり、蕎麦打ちを手軽に体験できる「体験コース」を開催するなどしているお蕎麦屋さんであることから、店内の半分が広い蕎麦打ち場になっていて、残りの半分が小上がりの座敷になっています。そして、そのような店内の造りになっていることから、「蕎麦打ち体験のできるお蕎麦屋さん」というよりも、「蕎麦をいただくことの出来る蕎麦打ち教室」という、どちらかというと蕎麦打ち教室がメインになっているのかな?という印象のお蕎麦屋さんです。


そんな、過去に経験した事の無い「ここって、お蕎麦屋さんだよね?。」的な何となく落ち着かない雰囲気(蕎麦打ちの作業場で蕎麦をいただく雰囲気)の中、靴を脱いで座敷に上がり、念のため、一品料理はお昼でも大丈夫か確認してから瓶ビールと一緒に「そば刺」と「玉子焼」をお願いします。

まず運ばれて来たビールを飲みながら店内を見渡してみると、ご主人がすぐ近くで何やら作業していてるなど、やはりお蕎麦屋さんの店内という雰囲気は薄いように思いますが、じっくりメニューを見直してみると、あれも食べたいこれも食べたいと思ってしまう蕎麦と料理が手頃な価格で並んでいます。


そんなことを思いながら料理を待っていると「そば刺」が運ばれてきます。
早速、初体験の「そば刺」(蕎麦生地)を1枚いただいてみると、蕎麦の味わいは控えめで、やや硬めの食感ではありますが、新鮮さの感じられるなかなか良い感じの料理です。

もしかすると、先程ご主人が近くで何やらこねていたのは「そば刺」の蕎麦生地を作っていたのかもしれません。
注文を受けてから、その場で蕎麦生地を作り、それを刺身にしていただくことが出来るようです。そのため、新鮮さの感じられるしっとりした「そば刺」になるっているのかもしれません。


なお、時間が掛かるかと思った「玉子焼」きですが、全く時間が掛からず、先に運ばれて来た「そば刺」の写真を撮り始めた頃に運ばれてきてしまいました。

食べ易いように8等分されたその「玉子焼」は、甘さの抑えられた「玉子焼」で、フンワリ感と歯応えのバランスが心地良い、お酒の肴に相応しい美味しい「玉子焼」でした。


さて蕎麦ですが、今日は「鴨せいろ」をいただきます。
いただいた「鴨せいろ」は、柚子の香りが良い感じの温かい鴨汁が美味しく、オーソドックスでありながら食べやすい「鴨せいろ」でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打蕎麦・藪重』さんは、「木鉢会」と「藪睦会」の両方に所属しているお蕎麦屋さんではありますが、やはり、お蕎麦屋さんというより蕎麦打ち教室という印象の方が強く、最初は何となく違和感の感じられるところもありましたが、時間の経過と共にその印象も変わり、座敷ということで長時間座っていると足が疲れ、更に女将さんの視線が少々気になるものの、その女将さんもとっても親切な方で、なんだかお酒を飲みながら一人でのんびり過すことが癖になりそうな、そんなお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。