蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『総本家・更科堀井@麻布十番』さんの「そば寿司」

2013-11-30 23:56:18 | 東京23区(港区)

「藪」、「砂場」と並ぶ江戸蕎麦3大系列のひとつ「更科」。

この「更科」という蕎麦は、寛政2年(1790年)に信州の織物行商人が麻布永坂町(現在の麻布十番あたり)に「信州更科蕎麦所・布屋太兵衛」という蕎麦屋を創業したのがその始まりとされています。

そして今日、麻布十番にあるその直系店の『総本家・更科堀井』さんへうちの奥さんと2人で訪れてみました。
インターネットで事前に調べてみると、いつも混雑しているようなので開店時間少し前に到着してみましたが、開店を待つお客さんはおらず、「開店時間に来れば空いているんだ。」なんて思っていると、タクシーで来店するお客さんがいるなどポツポツと集まりだし、自分では並んでいたつもりはありませんでしたが、いつの間にか多数のお客さんが自分達の後ろに並んでいて、その人気の高さに驚きです。

開店時間となり、1番客でお店に入ると大勢の花番さんが笑顔で迎えてくれ、「こちらどうぞ!。」と4人掛けのテーブル席を進めてくれます。お言葉に甘えて4人掛けのテーブル席に2人で座り、蕎麦だけを注文するお客さんが多数いる中、「赤坂生ビール」と一緒に「玉子焼」と「豚のかえし煮」と「そば寿司」をお願いします。


「赤坂生ビール」という予想外に美味しい生ビールを飲みながら店内を見渡すと、相席用の大きなテープル席を中心に2人掛けと4人掛けのテーブル席が多数あり、更には座敷も多くそれなりに席数がありますが、その多くが既に埋まっている状態で、賑わっている様子が伺えます。

そんな賑わっている様子を少々驚きながら眺めていると、綺麗な「そば寿司」が目の前に置かれます。

まずは「へ~!。」と驚き。
過去にいただいた「そば寿司」の海苔巻きは、その全てが普通の二八蕎麦で作った海苔巻き(そもそも更科蕎麦のお店でそば寿司をいただいたことがありませんが。)ですが、こちらの『総本家・更科堀井』さんの海苔巻きは更科蕎麦で作った海苔巻きで、まるで炊き立ての新米で作ったかのように白く輝いています。

その海苔巻きをボロボロこぼさないようにパクリと一口でいただいてみると、歯応えを感じながらも柔らかい食感と大人しい味わいがとても美味しいです。また、いなり寿司も更科蕎麦のいなり寿司で、控え目ないなり寿司らしい味わいがとても美味しく、最初の料理から満足感の高い料理となりました。


次に運ばれて来た「玉子焼」。
見た目も中も均一の黄色で美しく、フワッとした軽い口当たりの、薄味ながらも明確に甘い「玉子焼」で、予め醤油(?)を吸わせてある大根おろしと一緒に美味しくいただきました。


「玉子焼」をいただいている最中に生ビールが無くなったのでお酒をお願いします。
別メニューの日本酒もありましたが、「お店が定番としている日本酒」をいただこうと思い、メニューの最初にあった福島県の地酒「純米吟醸・名倉山」をお願いします。

すると、「飲み方はどうしますか?。」と花番さんに聞かれたので、「冷(ひや)で。」と答えると「常温ですね?。」と確認されましたが、その一言に「美味しく飲んで行ってほしい。」という気遣いが感じられます。
「燗(かん)」と言えば「温めた熱いお酒」と誰もが想像しますが、「冷(ひや)」と言うと「冷たく冷したお酒」を想像する方もいるのではないかと思います。しかし、それは「冷酒(れいしゅ)」であって「冷(ひや)」は「常温のお酒」と解釈するのが正しいのではないかと思います。そのようなことから、「冷酒を頼んだつもりなのに常温のお酒が出てきた。」とならないよう、「常温ですね?。」と確認するのは必要かつ正しい確認と思います。

そして最後に運ばれて来た「豚のかえし煮」。
簡単に言うと「豚肉の角煮」ではありますが、脂っこく無く、うちの奥さんから「どうやって作るとこうなる?。」という言葉が出るほど柔らかい、口の中でとろけてしまいそうな胃にも優しい一品です。


今回は2人で料理をいただいているということもあって、もう少し料理を食べることの出来る腹具合ではありますが、蕎麦を楽しみたいという思いがあったことから料理は追加せず、蕎麦をお願いします。
席を待っているお客さんが店内に列を作っている状況でもあるし・・・。

ということで、再びメニューを広げて蕎麦を選びます。
当初は、食べたことの無い「柿の葉切りそば」という季節の変わりそばをいただこうかと思いましたが、更科蕎麦の老舗蕎麦屋に来ているので、やはり基本の更科蕎麦をいただくことにします。
また、以前から「花まき」を老舗蕎麦屋で食べてみたいと思っていたことから、出す順番とタイミングをお願いすることが出来るか確認し、うちの奥さんが選んだ「かけ」と一緒に、「さらしなそば」と「花まき」を「更科を先&声掛けで花巻」でお願いすることにしました。

まずは「さらしなそば」。
更科蕎麦の特長といえば、蕎麦の実の芯だけを使った更科粉で打っていることによるその「白さ」と思いますが、今までにいただいた更科蕎麦の中で一番の白さではないかと思います。
早速、その「さらしなそば」を上品な「あまくち汁」(甘い蕎麦汁)に付けていただいてみると、冷たくサッパリしていて、歯応え良し、喉越し良しの実に美味しい蕎麦で、何も言うことがありません。


そして温かい蕎麦に海苔を振り掛けた「花まき」。
運ばれて来た「花まき」は、運んでくる間に海苔(磯)の香りが逃げないよう木蓋付きの器で登場し、薬味は山葵のみという基本形に則った「花まき」です。


まずは蓋を取って、閉じ込められていた海苔の香りを楽しみます。
次に海苔だけを食べてみると、フンワリした海苔の味わいがとても良い感じです。


そして、今度は汁を吸ってしんなりした海苔と蕎麦を一緒にいただいてみると、海苔の風味をタップリ味わいながら蕎麦をいただくことができ、とても美味しいです。多くの場合、「せいろ」をいただいていますが、「蕎麦を楽しみながら美味しくいただく」という点では癖になりそうな美味しい食べ方ではないかと思います。
ちなみに、「花まき」には生海苔を使用した物と焼海苔を使用した物とがありますが、『総本家・更科堀井』さんの「花まき」は手でちぎった焼海苔を使用していました。


今日、美味しい蕎麦前と蕎麦をいただいた『総本家・更科堀井』さんは、麻布十番というお洒落な街にある老舗のお蕎麦屋さんではありますが、庶民的で気さくな雰囲気のお蕎麦屋さんでした。

また、常に席を待つお客さんが列を作っている状況にも関わらず、接客に当たっている花番さん達はバタバタすることもなく、食事中のお客さんに対しても席を待っているお客さんに対しても、温かみの感じられる手慣れた対応で、なかなか心地良い高い満足感を得ることの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『柳屋@神保町』さんの「上板わさ」

2013-11-26 23:52:48 | 東京23区(千代田区)

今日はお昼前から東京の九段下へ外出し、仕事を終えた夕方18時前、夕食を取るために一人お蕎麦屋さんへと向かいました。

九段下からの徒歩圏内には老舗のお蕎麦屋さんも多く、どこのお蕎麦屋さんへ行ってみようか迷うところではありますが、今回は九段下・水道橋(猿楽町)・神保町近辺にあるお蕎麦屋さんの中から、訪れることが難しい「平日のみ営業」の『神保町・柳屋』さんを訪れることにしました。

訪れた『神保町・柳屋』さんは、木鉢会に所属する老舗のお蕎麦屋さんではありますが、東京メトロ半蔵門線&都営三田線・神保町駅近くの高層ビル1階にお店があり、入口が大きなガラス扉になっているなど、「老舗」という言葉からイメージする雰囲気とは少々異なる店構えです。

お店に到着し、ガラス扉を開けて店内に入ると先客は年配の男女3人1組のみで、とても静かです。
そして、席の指定が無かったことから、遠慮して4人掛けのテーブル席を避けて8人掛けの大きなテーブル席に着きましたが、この遠慮が後々苦労することになる大失敗でした。

席に着いてとりあえず瓶ビールをお願いし、ビールを待っている間に一品料理の欄を眺めていると、「板わさ」に目が止まります。「板わさ」そのものは珍しくありませんが、普通の「板わさ」の隣に「上板わさ」という料理があり、小田原・鈴廣さんの蒲鉾を使用していることが明記されています。


「板わさ」にこだわりがある訳ではありませんが、「上」という文字と「小田原鈴廣」という文字に心が動いてしまい、その「上板わさ」と「玉子焼き」を花番さんにお願いすると、玉子焼きは小さいサイズも出来るとのこと。ならば「玉子焼き」は小さいサイズにしてもらい、もう1品「焼き鳥(たれ)」をお願いすることにしました。

お通しの「揚げそば」を肴に、ビールを飲みながら改めて店内を見渡してみると、ゆったりくつろげる和風の演出が細部に見られ、更には天井が高く体育館のように湾曲していてなかなかお洒落です。


のんびり店内を眺めていると、楽しみにしていた「上板わさ」が運ばれて来たので早速いただいてみると・・・。
歯応えは十分に感じられるもののそれほど感動も無く、「普通」という印象の蒲鉾です。


なお、食べる前に写真を撮ろうと思いカメラを向けたところ、頭上にある電球がテカテカ光る濃い茶色のテーブルに映ってしまい、おまけに逆光に近い状態となり撮るのがとても難しいです。

ちなみに、4人掛けのテーブル席は明るい茶色のテーブルで、電球の光も反射せず、おまけに雰囲気が明るく4人掛けのテーブル席にすれば良かったと大きく後悔です。しかし、今更そんな理由で席を変わることもできず、苦労しながらなんとか撮りましたが、今回の写真は全体的に不本意な出来栄えとなってしまいました。

あれこれ苦労しながら「上板わさ」を撮影していると、「玉子焼き」が運ばれてきます。
小さいサイズをお願いしましたが、1人でいただくには十分な大きさで、甘い「玉子焼き」です。


最後に運ばれてきた「焼き鳥」は、長葱としし唐が添えられている、甘いタレの掛かったお蕎麦屋さんならではの「焼き鳥」でしたが、夕食ということを踏まえるならばもう少し量がほしいかな?という感じです。


さて、蕎麦前をいただき、蕎麦をいただくタイミングとなったことから「もり」をお願いします。
「もり」の蕎麦汁はピリッと引き締まった辛口でしたが、蕎麦湯を注いで薄めるとまろやかな味わいとなる、最後まで楽しむことの出来る蕎麦汁でした。また、蕎麦はツルツルっと食べることの出来る食べやすい蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『神保町・柳屋』さんは歴史のあるお蕎麦屋さんではありますが、店舗は平成14年12月に新装オープンした(らしい)ことから綺麗で、お客さんが少なかったということもあって静かに落ち着く一時を過すことのできるお蕎麦屋さんでした。
しかし、あまりにも静か過ぎて、他にお客さんがいない時間帯などは花番の視線が気になってしまい、一人静かに落ち着くことの出来る雰囲気でありながら落ち着かない一時になってしまったように思います。

ごちそうさまでした。


気さくな『海望@横浜・本牧』さんの「にしんの甘煮」

2013-11-23 23:17:54 | 横浜市(中区)

JR根岸線・山手駅から25分ほど歩いた所にある『手打ち蕎麦切り・海望』(うみ)さん。

「隠れ家的蕎麦屋」と言われているお蕎麦屋さんで、料理が美味しいという評判もあって仕事を終えた金曜日の夜に一人静かに訪れてみたいお蕎麦屋さんでしたが、一人で過す土曜日のお昼、「行ってみようかな?。」と思い満席&出直し覚悟で訪れてみることにしました。

お店に到着して、静かに揺れる暖簾をくぐってお店に入ると、「満席かな?。」という予想に反して先客は5名と空いていましたが、合計4つある2人掛けと4人掛けのテーブル席は全て使用している状態だったことから、5人掛けの大きなテーブル席を使わせていただくことになりました。

さほど混雑していないことからのんびり出来そうですが、こちらの『手打ち蕎麦切り・海望』さんは中休みがあるため、時間を意識しながらまず生ビールと一緒に「蕎麦屋の卵焼」と時間が掛からないだろうと思われる「ねぎぬた」をお願いします。なお、お通しは2種類の中から選択するようになっていたので、「ゲソ」をお願いします。


ビールを待ちながらメニューを眺めていると、小さい女の子を連れた3名の家族が来店して相席となりました。
相席そのものは全く問題ありませんが、小さい女の子の前でお昼からお酒を飲むのってなんとなく教育上良くないかな?なんて感じてしまい、おまけに初対面にも関わらず「こんにちは!。」なんて挨拶までされてしまい、何となく罪悪感を感じてしまいます。悪いことは何もしていないんだけど・・・。

そんなことを考えながら「ゲソ」を肴にビールを飲み始めると、蕎麦の実(?)が散りばめられた「ねぎぬた」が目の前に置かれ、早速いただいてみると、甘さ具合も程良くなかなか美味しいです。


続いて、思っていた程待つことも無く「蕎麦屋の卵焼」が運ばれてきます。
こちらの『手打ち蕎麦切り・海望』さんのメニューには「蕎麦屋の卵焼」と「だし巻き卵」の両方が並んでいて、更には小さいサイズもあることから、思わず「蕎麦屋の卵焼」と「だし巻き卵」の両方を頼んでみようかと思ってしまいますが、今回は「蕎麦屋の卵焼」(小サイズ)をいただくことにします。

その「蕎麦屋の卵焼」は硬さ具合も程好く、やや甘い味付けですがビールと一緒に美味しくいただきました。


今日は時間の制約もあり、また昨晩もお酒の席だったことから蕎麦前は軽くビール1本と2品で終わりにしようと思っていましたが、「ねぎぬた」にしても「蕎麦屋の卵焼」にしても、どちらかというと控え目な味付けで、優しさと丁寧さの感じられる美味しい料理だったことから、もう少し料理をいただいてみたようかな?と時計を見ながら迷っていると、奥さんらしき方から「何かお酒お持ちしますか?。」という悪魔のささやきが・・・。

ということで、ビールのおかわりと、時間が掛からないだろうと思われる自家製「にしんの甘煮」(小サイズ)を追加でお願いすることにしました。

「温めますか?。」と聞かれましたが、時間を節約するため常温でいただいた「にしんの甘煮」は、キラキラした綺麗な鰊で、見ただけで美味しそうです。
そして、その鰊を一口いただいてみると、程好い歯応えと、他の料理同様上品な味わいの感じられる美味しい鰊で、「こでらんに」(飲んだことのない福島県の日本酒)をいただけば良かったかな?と少々後悔です。


さて、中休みの時間が近付いてきたことから「せいろ」をいただくことにします。
いただいた「せいろ」は、やや太目で腰の強いしっかりした歯応えの麺で、蕎麦を引き立ててくれる蕎麦汁と絡めて美味しくいただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ち蕎麦切り・海望』さんは、一つ一つの料理から感じられる丁寧さと併せて、時々顔を見せるご主人の大らかな雰囲気が好印象で、更には、帰っていくお客さん一人一人に対して出口まで足を運んで「ありがとうございました。」と深々と頭を下げている奥さん(かな?)の、丁寧でありながらも営業的にならない自然な接客に温かさと気さくさが感じられ、「ぜひもう一度訪れたい。」と心の底から思える気持ちの良い素晴らしいお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


横浜の老舗『利久庵@関内』さんの「いなごの佃煮」

2013-11-16 23:42:18 | 横浜市(中区)

JR根岸線・関内駅の近くにある、1948年創業の老舗蕎麦屋『かんない蕎麦処・利久庵』さん。

関内という場所柄から「高級」というイメージを描いてしまい、地元横浜にあるお蕎麦屋さんでありながら過去一度も暖簾をくぐったことがありませんでした。しかし、「一度は訪れておきたい。」という思いが湧いてきたことから、一人で過すことになった秋晴れの土曜日、昼時を外した中途半端な時間に訪れてみることにしました。

お店に到着し、早速暖簾をくぐって中に入ってみると、広いという印象はありませんが、4人掛けを中心としたテーブル席がギッシリと並んでいて、けして少ない座席数ではありませんがそのほとんどが埋まっています。
そして、数名の花番さん達が忙しそうに動き回っているその様子と併せて活気と賑わいが感じられます。

そんな店内の様子を見ながら「14時半なのにもしかして満席?。」と少々驚いていると、ご主人らしき方が目の前に現れ「こちらどうぞ。」とタイミング良く入れ替わりで空席となった4人掛けのテールブル席を勧めてくれます。
ほぼ満席に近い状態なので、相席用の大きなテーブル席でも良いのに・・・。と思いましたが、せっかくのお勧めなのでありがたく使わせていただくことにします。

席に着いてメニューを広げてみると、十分過ぎる一品料理がズラリと並んでいます。
そんなメニューの中から、とりあえず瓶ビール(大・中・小とある瓶ビールの中から中瓶を選択。)と、あれば外すことの出来ない「厚焼き玉子(自家製)」と日頃あまりいただかない「板わさ」をお願いします。

ビールは、後で菊正宗の樽酒をいただきたいので中瓶にし、通常あまり頼まない「板わさ」は、おせち料理に使わせていただいている小田原「丸う」さんの蒲鉾だったのでいただいてみることにしました。


まずはお通しとプレミアムモルツの中瓶が目の前に置かれます。
お通しは、蕎麦味噌かと思いましたが海苔の佃煮で、「へ~、悪くないじゃん。」という感じです。


そして、それほど時間も掛からず運ばれて来た「板わさ」は、2種類の蒲鉾と山葵漬けのセットで、しっかりした歯応えの感じられる美味しい「板わさ」です。
今までは、「結局は蒲鉾だよね。」という思いもあって「板わさ」を注文することはほとんどありませんでしたが、「ビールの肴には良いのかもしれない。」と、気持ちが動いた美味しい「板わさ」でした。

なお、先日「百人町・近江家」さんでさつま揚げをいただいた際、山葵漬けが付いていてどうするのか迷いましたが、今回は迷うことも無く、そのまま食べたり蒲鉾に乗せて食べたりして楽しませていただきました。

山葵漬けをワサビの代わりに蒲鉾の上に乗せていただくと、普通のワサビを使用した場合とは異なる味わいを楽しむことができ、なんだかクセになってしまいそうです。今度自宅で試しにやってみて、美味しかったらおせち料理に加えてみようかと思います。


次に、お店が混雑しているということもあって時間が掛かるかと思った「厚焼き玉子」ですが、思いのほか時間は掛からず、「板わさ」の写真を撮っているうちに運ばれてきました。
その「厚焼き玉子」をアツアツのうちにいただいてみると、フワフワというより柔らかいという印象の、甘さ控え目な玉子焼きでした。


「厚焼き玉子」を食べ終え、瓶ビールが無くなったところで当初の予定通り菊正宗の樽酒と山形県真室川産の「いなごの佃煮」をお願いします。

過去の経験から「甘いかな?。」と思いながらイナゴを一匹いただいてみると、甘過ぎないサラっとした味わいとサクっとした食感がなかなか美味しく、「イナゴって、こんなに美味しかったっけ?。」と思ってしまう、日本酒との相性がバツグンに良い一品です。


「う~ん、美味い、美味い。」と思いながら気分良く菊正宗をいただいていると、アッと言う間に一合徳利が空になってしまいます。しかし、「いなごの佃煮」はまだまだ残っているし、「板わさ」だって残っているし、おまけにお通しの「海苔の佃煮」も残っていて、更にはあれ程混雑していた店内が15時になると空席が目立つようになり、いつの間にか活気ある空間が時計の止まった心地良い空間に姿を変えています。

ということで、菊正宗の樽酒をおかわりし、「海苔の佃煮」、「板わさ」、「いなごの佃煮」を肴に、イナゴの写真を撮るなどしながらのんびりした憩いの一時を過させていただきます。


しばし憩いの時間を過させていただいた後、蕎麦をいただこうと思い再びメニューを広げますが、特に迷うことも無く「せいろう」をお願いします。

いただいた「せいろう」は、やや甘めかな?と思う蕎麦汁とオーソドックスな麺の組み合わせで、おそらく多くの方々に受け入れてもらえるだろうと思われる優しい蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『かんない蕎麦処・利久庵』さんは、「高級」というイメージから今まで一度も訪れていなかったお蕎麦屋さんでしたが、いざ訪れてみると、お店から感じられる活気と賑わいがとても良い感じで、更には賑わいが引いた時に感じられる居心地の良さに老舗の貫禄のような落ち着きが感じられ、週末の昼下がりをのんびり優雅に過ごすことのできるお蕎麦屋さんでした。

そして、忙しく動き回っている花番さん達の丁寧な接客と、店内に顔を出してお客さんと接しているご主人の姿がとても好印象で、「高級」なんて言葉とはかけ離れたなんだかとっても温かい雰囲気のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


出前もする『富嶽@横浜・綱島』さんの「玉子焼き」

2013-11-09 11:35:00 | 横浜市(港北区)

東急東横線・綱島駅から徒歩15分、スマホで場所を確認しながら向った『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さん。

車がそこそこ走っている通りから住宅街の路地に入り、そして更に細い路地に入ったところにあるお蕎麦屋さんで、路地に看板などが出ていなければ民家そのままということもあり、迷ってしまいそうなお蕎麦屋さんです。

そんな『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さんに到着したのは開店時間数分前でしたが、男性2人組が既にお店の前で開店を待っています。少し早かったかな?と思いながら路地に置かれている看板などを写して再びお店に向うと、開店時間の11時半を過ぎていますが暖簾は出ておらず、入口に置かれている札も「準備中」のままでしたが、開店を待っていた男性2人組の姿が見えないことから扉を開けてみると、目の前にご主人が。

「もう、良いですか?。」と確認してみると、「大丈夫ですが、時間が掛かります。」とのこと、開店時間に訪れて時間が掛かるって何なんだろうか?と思いながら2つあるテーブル席の1つに座ってメニューを眺めます。

最初に「時間が掛かります。」と言われたのでお昼に料理はまずいのかな?と思いながら料理を頼んでも大丈夫か聞いてみると、「出前が2軒あるので時間が掛かりますが・・・。」とのこと。

「出前やってるんだ。」と少々驚きながら時間が掛かっても良いということを伝え、遠慮して「砂肝の辛ししょうがあえ」だけをお願いしますが、やはり「玉子焼き」を外すことは出来ず、「だいぶ掛かりますが・・・。」と更に言われながらもお願いして、気長に料理を待つことにしました。


そして、注文してから20分。
まず先客男性2人組みの蕎麦が出てきて、続いて「砂肝の辛ししょうがあえ」が運ばれてきます。
運んできてくれたのはご主人で、「砂肝を、辛子、生姜、ネギと良く和えてから食べてください。」という一言を残して出前へ。なんだかとっても忙しそうです。「こんな忙しい時に蕎麦前なんてお願いしてしまって・・・。」と申し訳なく思いながらグルグルかき回して一ついただいてみると・・・。

なんと、美味しいじゃないですか!。
しっかりした歯応えが感じられながらも柔らかく、そして辛子と生姜の絶妙な味わいが何とも言えず、「忙しい時に蕎麦前なんて頼んでしまい申し訳ない。」と思ったばかりなのに、一口食べただけで、「忙しくても作ってもらって良かった。」と直ぐに気持ちが変わってしまうほど美味しいです。


そして更に20分経過。
先客の男性2人組が蕎麦を食べただけでお店を出て行き、12時を過ぎた昼時にも関わらず、貸切状態になってしまったところでアツアツの「玉子焼き」が登場です。

早速、箸で「玉子焼き」を一切れつまむと、断面から美味しそうな湯気が立ち上り、硬さを感じることの無い、箸先きで感じる弾力感がとっても良い感じの、それだけで十分美味しそうな「玉子焼き」です。

そして一口・・・。
な、な、なんとこの「玉子焼き」、過去に食べたお蕎麦屋さんの「玉子焼き」の中でベスト3に入る美味しさです。
個人的な好みではありますが、甘さ具合といい、フワフワ感と歯応えのバランスといい、申し分の無い見事な「玉子焼き」で、「だいぶ掛かりますが・・・。」と言われながらもお願いして良かったと思える、40分待つに価する美味しい「玉子焼き」です。ということで、醤油も大根おろしも使用せずそのまま美味しくいただきました。


さて、そろそろ蕎麦。
蕎麦前でいただいた料理がとても美味しかったので、天婦羅付きの蕎麦にしようと思い、「さくら海老天せいろ」にしようか、普通の「かき揚げせいろ」にしようか迷いましたが、先客の男性2人組が食べていた「かき揚げせいろ」が美味しそうだったので、「かき揚げせいろ」をお願いします。


出前も終わり、他にお客さんがいないこともあってそれ程待つことも無く運ばれてきた「かき揚げせいろ」は、ホシの入った少々色黒の蕎麦で、ボソボソしていそうな印象です。

しかし、まず蕎麦をそのままいただいてみると、ボソボソ感を感じることもなく滑らかな喉越しで、更には「硬い」と思ってしまうほどしっかりした強いコシが感じられ、「The 本物の手打ち蕎麦」といった印象の蕎麦です。

なお、蕎麦汁はやや濃い目のシャキットした美味しい蕎麦汁ですが、蕎麦の力強さの方が強く、蕎麦を付けていただいてみても蕎麦の印象ばかりが残ってしまい、少々もったいない感じです。


そしてかき揚げですが、塩と天汁の両方が付いてきたことから塩と天汁の両方でいただいてみましたが、個人的な好みもあって、やはり天婦羅は天汁でいただいた方が美味しくいただけるように思います。


今日訪れた『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さんは、ご主人と奥さん、そしてご主人のお母さんと思われるおばあちゃんに小学生(?)の女の子を加えた家族4人でこじんまりと営業している、出前もするお蕎麦屋さんでした。

お店のスタッフに小学生の女の子は通常含めないと思いますが、店内で遊んでいる女の子のその姿と、おばあちゃんと会話をしているその声が空気を和ませていて、家の中に入ってしまったのか姿を見せなくなった以降は静かな店内の空気が少々硬くなってしまったかな?という印象でした。

また、失礼な話ではありますが、その容姿から、少々怖そうな印象をついつい感じてしまったご主人は、実は物腰の柔らかい、「蕎麦に対する情熱」の感じられる方で、会計を済ませた際、「ありがとうございました!。」と背中が見える程の深々としたお辞儀をしてくださり、なんだかとっても気分良くお店を出ることが出来ました。

お店を出て振り返って見ると、やはりどこからどう見ても普通の民家にしか見えないお蕎麦屋さんで、駅から徒歩15分という距離は、「そこまでして蕎麦を食べるか?。」と思う距離かもしれませんが、「これぞ手打ち蕎麦」という蕎麦をいただくことの出来る、わざわざ蕎麦を食べるために訪れる価値のあるお蕎麦屋さんと思います。

ごちそうさまでした。
とても美味しい数々の料理と蕎麦でした。