帰省した実家でお蕎麦の出前を取る時に利用する「長寿庵」さん。
この、「長寿庵」というお蕎麦屋さんは関東を中心に200店以上あると言われており、意外と身近な所にもあるかもしれないお蕎麦屋さんです。そして、その「長寿庵」という暖簾には4つの会派があり、それぞれの会派毎に、頂点に立つお店があります。
ということで、雨の降る平日夜、4つある頂点の1つ、『茅場町長寿庵』さんの暖簾を潜ってみました。
東京メトロ東西線&日比谷線・茅場町駅の真上にあるお店に到着したは開店時間の17時を少し過ぎた時間で、落ち着きのある若い花番さんに迎えられ、4人掛けのテーブル席に着きます。
メニューは、テーブルの上に2種類置かれていますが、席に着く際「お飲みになりますか?。」と確認され、「飲みます。」と応えたことからお酒のメニューと別冊になっている今日の料理(?)のメニューが追加されたので、合計4種類のメニューをあれこれ眺めながらお酒と料理を選びます。
それらのメニューを見てみると、築地が近いためか刺身など魚料理が充実しているようですが、雨天ということもあって陽気も冷え込んでいることから温かい物が欲しく、価格表示の無いメニューから温かそうな「木の葉煮」とお決まりの「玉子焼」を小サイズの瓶ビールと一緒にお願いします。
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瓶ビールですが、まずは冷たいビールをグッと飲みたいときや、「今日はビール!」という時は中瓶や大瓶でも良いですが、寒い日や日本酒の前にとりあえず飲む場合などは軽くあれば十分なので、いただくお酒と料理の組み立て方に広がりが出来るという意味でも、そして1杯飲みながらお蕎麦を待とうという場面にも有効ということからも、小サイズの瓶ビールやグラスビールの存在はとても良いと思います。
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さて、最初に運ばれてきた「玉子焼」ですが、どっしりとした見るからに美味しそうな玉子焼で、甘過ぎることの無い程良い甘さがなかなか好印象です。
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追って運ばれてきた「木の葉煮」は、筍、椎茸、蒲鉾、タマネギ、三つ葉を具材とした玉子とじで、少々濃いめの味付けではありますが、三つ葉がとても良いアクセントになっていて、ビールとも日本酒とも相性の良い美味しい一品でした。ただ、お皿に盛り付けられていることから比較的短時間で冷めてしまい、お酒を飲みながらじっくり味わっていると最後は冷めてしまうのが少々残念かな?と思います。
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「木の葉煮」を食べ始めたところでビールが空いてしまったことから、男性の花番さんに読み方を教えてもらった新潟県(糸魚川)の地酒「純米吟醸・奴奈姫(ぬなひめ)」をいただきましたが、穏やかで控えめなまろやかさと、心地良い余韻の残る日本酒でした。
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居心地の良さもあってもう少しお酒をいただこうかな?、「めごち天ぷら」も美味しそうだし・・・、と思いましたが、思っていた以上に腹具合が満たされていたことから蕎麦をお願いすることにします。
蕎麦は、メニューをチラッと見て「花巻か・・・。」と思いながらも深く考えずに「せいろ」をお願いしましたが、蕎麦を待っている間にメニューを今一度よく見てみると、「温かい蕎麦の追加にどうぞ」という一言が添えられている「おかわり小せいろ・汁付」というメニューに気付きます。これって、「花巻+小せいろ」という注文ができるということで、老舗のお蕎麦屋さんなので、「追加の小せいろを先に出していただき、声掛けで花巻。」なんてわがままも聞いてくれるかもしれないので、そうすれば良かったと少々後悔です。やはり、何を食べるのか決めていたとしても、メニューはしっかり確認しないといけませんね。
それにしても、ビールの小瓶があったり、汁付きの小せいろがあるなど、料理とお酒と蕎麦の楽しみ方をあれこれ自分なりにアレンジすることのできるお蕎麦屋さんで、場所柄もあってのことかもしれませんが、ビジネスマンにも優しいお蕎麦屋さんという印象です。
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いただいた「せいろ」は北海道産の秋新そばで、やや硬めの食感でしたが風味の良さが感じられます。
また、白い蕎麦猪口に注ぐと濃い茶色なのに透き通っているように見える綺麗でクリアな蕎麦汁は、ほんのり甘さの感じられる甘辛い味わいで、蕎麦との相性も良く美味しい「せいろ」でした。
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今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『茅場町長寿庵』さんは、創業明治40年(1907)の「木鉢会」にも所属している老舗のお蕎麦屋さんで、地下1階にあるお店の入口に置かれている鉢植えや、スッと掛けられている暖簾に凛とした老舗の風格が感じられますが、老舗であることを意識させない、「和風」を上手く取り入れたモダンな作りのお蕎麦屋さんでした。
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また、けして広くは無いもののゆったり&シンプルにまとめられている店内には落ち着きと清潔感が漂い、ゆったりくつろぐことのできる雰囲気がとても心地良いです。
そして、そんな居心地の良さと、丁寧にしっかりした作られた料理と、接客のいずれにも何一つとして不満の無い、老舗の実力がしっかり感じられるお蕎麦屋さんでした。
ごちそうさまでした。
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