蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『神田まつや』さんでいただく蕎麦屋の「焼鳥」

2014-08-29 16:25:00 | 東京23区(千代田区)

遠い訳でも交通の便が悪い訳でも無いのに一度も訪れたことの無かった『神田まつや』さん。
「いつ行っても混雑している」という印象があることから、平日の午後に訪れようと考え、その機会を待っていたというのが未だに訪れていない理由ですが、8月最後の平日、休暇を取って都心へ行く機会が訪れたことから、この機会に『神田まつや』さんへ向かってみることにしました。

お店に到着したのは夕方16時半前で、さすがにお店の外に並んでいるお客さんの姿はありませんでしたが、入口の扉を開けてみてビックリ。約60席程あるテーブル席はギッシリほぼ埋まっている状態です。

ちなみに、「東京都選定歴史的建造物」に指定されてるお店には出入口の扉が2つあり、指定されている訳ではありませんが、向かって右の扉が入口で左の扉が出口となっています。

さて、「空席待ちかな?。」と思いながら花番さんに一人であることを告げると、「さすがに6人で座るのは少々厳しく(狭く)ないか?。」とついつい思ってしまう6人掛けテーブル席の壁側一番奥に1席空席があり、その席を指定されます。そして、前後左右のお客さんに迷惑を掛けないよう奥の席に入れていただき、瓶ビールと一緒に「ゆばわさび」と「焼鳥(タレ)」をお願いします。


お通しの「そばみそ」を肴に、ビールを飲みながら店内を改めて見渡してみると、ギュウギュウ詰めの満席に近い状態の中でみんな思い思いにワイワイガヤガヤと楽しく飲んでいて、老舗らしい風格が漂っているものの、大衆酒場のような庶民的で馴染みやすい雰囲気が感じられます。


そんな雰囲気を感じながらまず「ゆばわさび」をいただいてみると、ペラペラかな?という予想に反してしっかりした歯応えで、蕎麦汁のような辛口のタレをタップリ付けていただくとなかなか美味しいです。


続いて「焼鳥」が運ばれてきましたが、丁度ビールが切れたので御酒を冷や(常温)でいただきます。

小さめの白い徳利に入った御酒と一緒にいただいた「焼鳥」は、かえしを使用して作った少々辛口のタレが掛けられたお蕎麦屋さんらしい焼き鳥で、柔らかくふっくらした鶏肉の食感と、こんがり焼けた皮のカリカリ感が美味しいです。また、添えられているネギが鶏肉に負けない美味しさで、量と質の両面で高い満足感を得ることの出来る納得の「焼鳥」でした。


それにしても・・・。
『神田まつや』さんっていつ来たら空いているんでしょうか?。まぁ、混雑していない『神田まつや』さんを望んでいた訳でもありませんが、平日夕方なのにお客さんの出入りが途切れることは無く、まるでビジネス街の昼時のようにずっとほぼ満席で、6人程いる花番さんはバタバタと常にフル稼動状態です。

さて、最初は「思った以上に賑やか」という印象を持ったものの、時間の経過と共に身体がすっかりその雰囲気に馴染んでしまい、気が付けば心地良さを感じながら1時間という時間が経過していました。
そんな心地良さに浸ってしまうと、ついつい「鰊を肴にもう少し御酒をいただこうかな?。」なんて思ってしまいますが、この後に予定もあることから「もり」(蕎麦)をいただくことにします。

いただくことを楽しみにしていた「もり」ですが、蕎麦汁は濃い目でキリッと辛く、麺は少々柔らかい印象ですが喉越しが良く、かなり美味い蕎麦でした。ちなみに、薬味は葱のみで山葵は付いていませんでした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『神田まつや』さんは、平日の夕方にもかかわらず常に満席に近い状態の、ワイワイガヤガヤ賑やかなお蕎麦屋さんでした。

しかし、雰囲気が悪いとか落ち着かないということは全く感じられず、忙しく動き回りながらも無駄無くテキパキと接客に当たっている花番さんの手馴れた対応と、そつの無い気配りに満足感が感じられ、充実した楽しい一時を過ごすことの出来る素晴らしいお蕎麦屋さんでもありました。

ごちそうさまでした。


『布恒更科@築地』さんの「ささみとみょうがの梅和え」

2014-08-23 14:05:00 | 東京23区(中央区)

社会人ラグビー「トップリーグ」の開幕日を、その年の個人的な「蕎麦前始めの日」としており、その開幕節の試合観戦前に訪れるお店が、その年の「蕎麦前始めのお蕎麦屋さん」としています。そして今年は8月22日がトップリーグ開幕日で、翌23日が開幕節の試合観戦日となりました。

ということで、試合開始時刻(16:40)と試合会場の位置を踏まえ、今年はどこのお蕎麦屋さんに立ち寄ろうかあれこれ考えた結果、築地にある『手打そば 築地・布恒更科』さんに立ち寄ってみることにしました。
まぁ、「今年の初詣はどこの神社に行こうかな?。」的な感覚かと思います。

ちなみに、昨年は浅草の「吾妻橋やぶそば」さん、一昨年は日本橋の「室町砂場」さんでした。

さて、試合開始時刻から逆算して14時頃お店に到着してみると、「そろそろ空席が増える頃かな?。」という予想に反してほとんどのテーブル席が埋まっている状態でしたが、運良く入口近くの4人掛けテーブル席が空いていて、待つことも無く席に着くことができました。


席に着いて、まず瓶ビールをお願いしてからメニューを広げると、お蕎麦屋さんの定番料理を中心に美味しそうな料理が並んでいて、少々迷いはしましたが、サッパリ美味しそうな「ささみとみょうがの梅和え」と、大井の布恒更科さんでパスしたことを未だに後悔している「玉子焼」を頂くことにします。

なお、玉子焼は「卵4個分と大きいので、ハーフサイズにもできますが・・・。」とのことだったので、ハーフサイズでお願いします。そう、「玉子焼は大きい」というその一言でパスしてしまったんですよね。

料理の注文を終えたところで清潔感の漂う店内を見渡してみると、混雑しているにもかかわらず静かで、落ち着きと品の良さが感じられます。

そんな、堅苦しくは無いものの、背筋がピンと伸びそうな「凜」とした雰囲気の中でまず「ささみとみょうがの梅和え」をいただきましたが、シャキシャキッとしたミョウガの歯応えと程良い梅の酸味に夏らしさが感じられる、満足感を得ることの出来る一品でした。


続いてハーフサイズでいただいた「玉子焼」ですが、ホンワカした温かさと甘さ具合がなかなか良い感じで、大根おろしと併せていただくと更に美味しさが増す玉子焼でした。

そうそう、添えられている大根おろしは上半分だけに醤油が染みていて、本当の意図はわかりませんが、醤油の濃さを調整できる大根おろしでした。


今日はこの後予定が入っていることから、お酒は瓶ビール1本だけと考えていましたが、「布恒更科の蕎麦前に合うお酒」として新潟県の地酒「特別本醸造・越乃松露」が紹介されており、「ささみとみょうがの梅和え」もまだまだ残っていることから、その「越乃松露」をいただいてみることにしました。

ガラスの酒器でいただいた「越乃松露」は、まろやかな口当たりで日本酒らしい味わいでしたが、サッパリした後味で、程良い酸味の「ささみとみょうがの梅和え」と相性の良い日本酒でした。


さて、そろそろ蕎麦をいただこうと思いますが、店内に掲示されている「季節の変わりそば トマト切り」という文字に目が止まってしまったことから、メニューを開くことも迷うことも無く、季節の変わりそば「トマト切り」をいただくことにします。

初めていただく季節の変わりそば「トマト切り」は、これもまた夏の熱い日差しが似合いそうな、赤というよりも濃いピンクに近い色合いの蕎麦でした。

そして布恒更科さんといえば何といっても蕎麦汁。色濃くキリッとした辛さの感じられる蕎麦汁ですが、単に辛いだけではなく、出汁の旨みがしっかり感じられる蕎麦汁で、大井同様実に美味しい蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打そば 築地・布恒更科』さんは、気軽に立ち寄れる町のお蕎麦屋さんという雰囲気ではありましたが、土曜日の14時過ぎということもあってかサラリーマンの姿は無く、年配の御夫婦が二人で静かにお酒を飲んでいる姿がとても良く似合う大人のお蕎麦屋さんでした。

そして、仕事を終えた金曜日の夜に、一人静かにのんびり憩うことのできるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『東都庵@信州・上田』さんの信州料理「馬刺し」

2014-08-14 17:10:00 | 長野県(東信)

JR上田駅前に建つビルの地下1階にある創業明治20年の『生蕎麦・東都庵』さん。

信州・菅平高原は、毎年夏に訪れることが我が家の恒例行事となっている場所であり、今年は通い始めて丁度10年目の夏となります。そして、その間JR上田駅近くで夕食を取る機会も多々ありましたが、『生蕎麦・東都庵』さんの暖簾はこれまで一度も潜ったことがありませんでした。

ということで、今年は東都庵さんへ行くということを必須条件として計画を練り、菅平高原を訪れた初日の夜にその暖簾を潜ってみました。

暖簾をくぐって店内に入ってみると、カウンター席あり、テーブル席あり、座敷ありと、ギッシリと席が詰め込まれているように見えますが、窮屈さは感じられず、「そこそこ広い・・・。」という印象です。


暖簾を潜ったのは開店直後の17時少し過ぎということもあってか先客は1名のみと空いていたことから、奥さんのおすすめに従いながら広々としたテーブル席に着かせていただき、早速メニューを眺めます。

メニューは、テーブルの上に置かれているカードケースの他に店内の壁にも貼られていて、料理とお酒の充実具合から、お蕎麦屋さんというより居酒屋に近い印象です。そして、そんな充実した料理の中から、「わさび菜のおひたし」と信州料理の定番とも言える「馬刺し」をお願いします。


まずいただいた「わさび菜のおひたし」は、ピリ辛かな?と思いましたが辛さを感じることは無く、胡麻の風味が食欲をそそるサッパリした料理でした。なお、お通しの山菜は量も多く、冷たくシャキッとした食感がなかなか良い感じの、単品でお願いしたいと思ってしまう美味しい山菜でした。


次にいただいた信州料理の定番「馬刺し」は、臭みも癖も無く、個人的にはもう少し旨味がほしいかな?というところではありますが、「中トロ」と添え書きされている通り柔らかく、なかなか美味しい馬刺しでした。


なお、馬刺しをいただいている途中で生ビールが無くなったので、「おすすめの冷酒」の中から飲んだことの無い長野県の地酒「善光寺秘蔵酒」をいただきましたが、このお酒、本醸造のようですがサラリとしたサッパリ感と旨味のバランスが抜群で、「今日はこの銘柄だけで良いかな?。」と思うほど旨い日本酒でした。


馬刺しが無くなりかけたタイミングで稚鮎の天婦羅をいただこうと思いましたが、稚鮎が切れているとのことなので、「あなご天ぷら」と長野県の地酒「藤村のにごり酒」をお願いします。

いただいた穴子の天婦羅は、ごくごく普通の天婦羅でしたが酒の肴には十分で、にごり酒と一緒に美味しくいただきました。また、「藤村のにごり酒」は優しい辛口で、ベタベタ感を感じないにごり酒でした。


美味しい料理とお酒をいただいたところでそろそろ蕎麦かな?というタイミングでしたが、せっかくなので地元上田市の地酒をいただこうと思い、「特醸・瀧澤」と「砂肝」をお願いします。

価格からしてそれ程多くは無いだろうと予想した「砂肝」は、予想に反して量が多く「食べ過ぎかな?。」という感じでしたが、やや甘い味付けと柔らかい食感がなかなか美味しく、綺麗にいただいてしまいました。

また、地元上田市の地酒「特醸・瀧澤」は、サッパリ爽やかというよりは、どちらかというとまろやかな味わいの日本酒らしい日本酒でした。


さて、最後にいただいた「もり」ですが、蕎麦汁はやや濃い目の辛口という印象ですが、出汁の旨味が感じられるなかなか美味しい蕎麦汁でした。また、肝心の蕎麦は普通といってしまえば普通でしたが、腰もあってツルツル感も程好く、十分満足できる美味しい蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『生蕎麦・東都庵』さんは、場所柄もあってか新幹線の待ち時間に利用するお客さんが多いようで、場合によっては時間を気にしている賑やかな観光客に混ざって蕎麦をいただくという、少々落ち着かない雰囲気の中で蕎麦をいただくこともあるのかな?という印象のお蕎麦屋さんでした。

しかし、奥さんのくつろげる接客も料理も蕎麦もまずまずで、馴染みのお客さんを含めて続々と来客があり、常に満席に近い状態ということが納得できる質の高いお蕎麦屋さんでもありました。そして、なんでもっと早く訪れなかったのだろうか?という気持ちが湧き上がってくるお蕎麦屋さんでした。

また来年もぜひ立ち寄らせていただこうと思います。
ごちそうさまでした。


『よし田@銀座』さんのコロッケ料理「コロッケ抜き」

2014-08-09 13:55:00 | 東京23区(中央区)

東京都内で開催されていたイベントを覘いたその帰り道、久しぶりに銀座のお蕎麦屋さんへ行ってみようと思い、地下鉄に乗って銀座へと向かいます。

訪れたのは、木鉢会に所属している銀座7丁目の『そば所・よし田』さんで、創業が明治18年(1885年)ということから、かれこれ130年近く蕎麦を打っている老舗のお蕎麦屋さんです。

老舗の佇まいが感じられるお店に到着して早速暖簾を潜ると、昼時を過ぎた14時ということもあってか店内はさほど混雑しておらず、花番さんの案内に従って店内端の席に着いてとりあえず瓶ビールをお願すると、箸とお通しと一緒に葱のみの薬味皿が置かれます。

この、葱だけの薬味皿ですが、最初に蕎麦の薬味を出してしまうのかと思いましたがそうでは無く、結局それが何であるかは最後まで分かりませんでしたが、お通しの一つなのかもしれません。

そんなことをあれこれ考えながら、テーブルの上に置かれているお蕎麦屋さんらしいメニューをじっくり眺めますが、そう、このメニュー価格が書いてないんです。

そのメニューを見て、「驚くような価格だったりして・・・。」なんて思いもよぎりましたが、町のお蕎麦屋さんらしい親しみやすい風情を色濃く残しているお店なので、銀座とはいえ、おそらく驚く価格ではないだろうと予想し、深く考えることも無く「にしん棒煮」と「やきとり」をお願いします。


ここ『そば所・よし田』さんの名物は、創業当時から親しまれている「コロッケそば」ですが、コロッケといってもジャガイモで作ったコロッケでは無く、鶏肉、卵、山芋を混ぜて揚げたつくねのようなもので、これをかけ蕎麦の上に乗せている蕎麦です。

その、名物「コロッケ」ですが、料理として提供されていないかメニューを確認しましたが、コロッケの料理はありませんでした。しかし、料理の注文を取りに来ていた花番さんにコロッケは蕎麦だけか確認してみたところ、単品もできますとのこと。「それって、抜きに出来るってことですか?。」と聞いてみると、当たり前のように即答で「できますよ。」との回答。ということで、一緒に「コロッケ抜き」をお願いします。

料理の注文を終えたところで冷えたビールをいただきながら改めて店内を見渡してみると、銀座という言葉から描く高級なイメージとは異なる庶民的な雰囲気が感じられます。そして、混雑しているというほど席は埋まっていないものの、1組帰っては1組来店するといった状況で、5名体制で接客に当たっている親しみやすい花番さんのテキパキとした動きと併せて活気と賑わいが感じられます。


そんな、肩肘張らない親しみやすさと活気のある雰囲気を感じていると、「にしん棒煮」が運ばれてきたので早速いただいてみると、柔らかくて美味しいです。


続いて、蓋の付いた小さな器(丼?)で「コロッケ抜き」が登場したので、蓋を開けてまず汁をすすってみると、やや濃い目ではありますが出汁が効いていてとても美味しいです。また、主役のコロッケはつくねに近い食感で、冬の寒い日に心身ともに温まれる一品ではないかと思います。


次に運ばれてきた「やきとり」は、甘いタレの掛かっていないサッパリした焼鳥でしたが、肉の柔らかさと、所々にあるコゲのカリッとした食感がとても美味しい焼鳥でした。


なお、「やきとり」を食べ始めたところで冷えたお酒をいただこうと思いメニューを確認しますが、メニューにお酒は書かれていません。そのため、おばちゃんの花番さんに冷酒があるか確認してみると、「300ml瓶の菊正宗だけど良いか?。」と確認されましたが、何ら問題は無いのでお願いしますが・・・。

帰宅後、口コミサイトを確認するとお酒のメニュー(写真)がアップされており、その写真を見ると・・・。
「今日はエビス2本だったかな?。」と思わず思ってしまう冷酒でしたが、でもまぁ、久しぶりに飲む生貯蔵酒の「菊正宗」で、冷え具合も良く、美味しくいただくことが出来たので良かったです。

また、最初に料理をお願いした時、玉子焼があることに気付きませんでしたが、メニューに手書きで追記されていることに気付いたため、冷酒と一緒に名物「玉子やき」をお願いします。

良く冷えた冷酒を飲みながらいただいた名物「玉子やき」は、甘さも出汁の味わいもあまり感じられませんでしたが、大根おろしを乗せていただけば十分な酒の肴となり、これはこれで良いように思います。


さて、今日はいつもより多く料理をいただいていることから既に腹具合は満腹に近い状態ではありますが、蕎麦はいただきたいので、最後に「もり」をお願いします。


それにしても600円は安いように思いますが、おもいっきり少ないのかな?。
なんて思いながら蕎麦を待っていると目の前に「もり」が置かれますが、少ないという印象は無く、良心的な価格設定ということのようです。そして、いつものように箸で蕎麦をつまんで持ち上げますが・・・。

んっ?。つまんだ量が多かったのか持ち上げ切れなかったので、持ち上げた蕎麦を一旦降ろし、つまむ量を少なくして再度持ち上げますが、やはり蕎麦の端が出てきません。

そのため、長いのかな?と思いながら蒸篭の上で蕎麦を寄せて、寄せた固まりを箸でつまんでいただきましたが、少々食べ難い長さかな?という印象の蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『そば所・よし田』さんは、130年近く蕎麦を打っている老舗のお蕎麦屋さんではありますが、難しいことを考えず、肩肘張らずにフラッと気軽に立ち寄ることの出来る、「町のお蕎麦屋」という印象のお蕎麦屋さんでした。

そして、遠くからでも小さく手を上げれば「はい、はい。」みたいな感じでササッときてくれる花番さん達も気さくな人柄の方ばかりで、お蕎麦のお客さんにも、お酒のお客さんにも、どちらのお客さんにも手馴れた接客でそつ無く対応しており、「好みによって評価が大きく分かれるお蕎麦屋さん」かもしれませんが、個人的にはとても落ち着く、仕事帰りにちょくちょく立ち寄りたいお蕎麦屋さんでした。

なお、価格表示の無い一品料理ですが、いつもより1品多く、冷酒が少々高いという2点を踏まえるならば支払いは驚くほどの高額では無く、確認はしていませんが、蕎麦屋を飲み歩いている者の感覚からすればごくごく普通の価格だったのではないかと思います。

ごちそうさまでした。


『一東庵@東十条』さんの「とうもろこしのかき揚げ」

2014-08-02 13:35:00 | 東京23区(北区)

JR埼京線・十条駅近くに所用が生まれたことから、所用を済ませた13時半過ぎ、うちの奥さんと2人で一度訪れてみたいと思っていた『石臼挽手打蕎麦・一東庵』さんの暖簾を潜ってみることにしました。

お店はJR京浜東北線・東十条駅から徒歩2~3分程度の所にありますが、人通りの少ない静かな路地にそっと佇んでいて、落ち着きのあるその外観から、「昼でものんびり飲めそうだ。」と期待が高まります。

そして、早速お店の中に入ってみると、店内は明るく、床やテーブルは白木で統一されていて、木の温もりと落ち着いた心地良さが感じられます。


今日は休日ということもあってお店は混雑しているかと思いましたが、予想に反して店内は空いていて、明るい窓際のテーブル席に着いてとりあえず生ビールをお願いしてからメニューを広げます。

一品料理は冊子になっているメニューの他に、紙に書かれたメニューが壁に貼られているなど品数も多く、どうしようか迷ってしまいますが、直ぐに出てきそうな「わさび二点盛」と、あればいただく「焼き玉子」、そして空腹を満たしてくれる「鴨ロース炙り」をいただくことにします。


まず最初にいただいた「わさび二点盛」は、2種類のワサビが盛られていて、どちらが好みか確認しながらじっくり味わいましたが、甲乙つけることの出来ない、どちらも同様に美味しいワサビでした。


続いて運ばれてきた「焼き玉子」は、焦げ目の無い綺麗な玉子焼で、甘さは感じられないものの出汁の旨みがそっと感じられる、丁寧に作られた美味しい玉子焼でした。


さて、暑さもあってビールの減りも速く、玉子焼に手を付け始めたところでビールが無くなってしまったため、冷たい日本酒をいただこうと思い再びメニューを開きます。

メニューには、見掛けることの多い馴染みのある銘柄から初めて見掛ける銘柄まで約10種類ほどの日本酒が並んでいて、間違い無く美味しい日本酒もありましたが、「今日はこれだ!。」と心が動かされる銘柄が無かったことから、結局、何度か飲んでいるにも関わらず、味の記憶が薄く「どんな味だったっけ?。」という思いが湧き上がった栃木県の地酒「特別純米・四季桜」をいただくことにします。

なお、お酒は5勺からお願いできるとのことでしたが、5勺ではしっかり味わう前に無くなってしまうので、迷うことも無く1合でお願いします。


いただいた栃木県の地酒「特別純米・四季桜」は、穏やかな旨味の感じられる味わいで、もちろん美味しい日本酒ではありますが、暑さ厳しい日にサッパリ爽やかにいただく日本酒ではなかったかもしれません。

が、しかし・・・。
最後に運ばれてきた「鴨ロース炙り」が絶妙な塩加減の美味しい一品で、旨味の感じられる「四季桜」との相性も良く、結果、鴨ロースとお酒の両方を美味しくいただくことが出来たように思います。


今日は、混雑していることを想定してお昼時を大きく外して訪れましたが、時間をずらし過ぎたため思いのほか早くラストオーダーの時間(14時)を迎えてしまいます。

まぁ、美味しい料理を十分いただいたので問題はありませんが、時間に余裕があれば飲んだことの無い宮城県の地酒「純米吟醸・伯楽星」をいただいてみたかったかな?と思います。

さて、ラストオーダーなので蕎麦をお願いしようと思いますが・・・。
うちの奥さんが店内に掲示されていた「とうもろこしのかき揚げ」を食べたいというので、「とうもろこしのかき揚げせいろ」にしようと考え、「とうもろこしのかき揚げ」と「せいろ」をお願いしたところ、かき揚げだけが先に出てきてしまい、結局、「とうもろこしのかき揚げ」を単品でいただくことになりました。

結果単品でいただいた「とうもろこしのかき揚げ」は、とうもろこしが衣でしっかり包まれていましたが、ボテッとしておらず、とうもろこしの甘みを感じながらサクサクッと美味しくいただきました。

なお、かき揚げにはやや茶色の塩が添えられていましたが、単純な岩塩でもなさそうで・・・と、それが何であるかは分かりませんでしたが、まろやかな塩味で天婦羅を美味しく引き立ててくれました。


最後にいただく蕎麦ですが、メニューを見ると「産地せいろ」と「二八せいろ」という2種類のせいろ(どちらも石臼引き手打ち)が基本となっていますが、その違いは明記されておらず、産地の異なる2種類や、せいろとかけを食べ比べることの出来るメニューになっているようですが、正直、分かり難く、書かれているメニューの名称で蕎麦をお願いすると何が出てくるのか分からない状況です。


ということで、「美味しいお蕎麦屋さんは十割を頼まなくても、二八で十分美味しい。」という自分なりの考えに基づき、どれが自分の食べたい蕎麦かなんて考えることもせず、ただ単に「2つの異なる産地の冷たい二八蕎麦を食べたい。」と自分の食べたい内容をそのまま花番さんに伝えると、「でしたら、二八と産地二種盛です。」と教えてくれたので、その「二八と産地二種盛」をお願いします。

そして運ばれてきた1枚目の二八蕎麦(せいろ)は栃木県益子産のひたち秋蕎麦で、食べ慣れている普通の蕎麦という印象でしたが、喉越しも良く何ら抵抗感無く美味しくいただきました。


2枚目の二八蕎麦(せいろ)は福井県産の大野在来で、甘みの感じられる蕎麦でした。
また、うちの奥さんは「二八せいろ」(単品)をいただきましたが、同じく福井県産の大野在来でした。

なお、蕎麦汁は雑味の感じられないクリアな蕎麦汁で、蕎麦を美味しく食べさせてくれる、上品で程良い辛さの蕎麦汁でした。ただ、せいろ二枚と蕎麦湯をいただくにはもう少し量がほしいかな?と思います。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『石臼挽手打蕎麦・一東庵』さんは、雑誌等で取り上げられることも多いことから、混雑を避けるため意図的に遅めの時間に訪れましたが、先客は1人で訪れているお客さん2名のみで、過剰に混雑を意識し過ぎることはないのかな?という感じでした。

そのようなこともあり、静かでゆったりした「大人の空間」で、美味しい料理と蕎麦をのんびりいただくことの出来るお蕎麦屋さんではないかと思います。

ごちそうさまでした。