蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『和楽庵@上野・御徒町』さんの季節の逸品「鰆ふき味噌焼き」

2018-05-02 13:45:00 | 東京23区(台東区)

ここ数年、ゴールデンウィーク期間中にある平日を利用して、ぜひ一度訪れてみたいお蕎麦屋さんや日頃なかなか訪れることのできないお蕎麦屋さんを巡っていますが、今年は予定が合わず、平日のお蕎麦屋さん巡りは出来ないと考えていました。

しかし、東京都心を訪れた連休中の平日午後に空き時間ができたため、JR山手線・御徒町駅から徒歩数分の所にある『手打ちそば・和楽庵』さんの暖簾を潜ってみることにしました。

お店の最寄り駅に到着したのは14時近くで、忙しさのピークは過ぎているだろうと思われる時間であったことからのんびりした一時を過ごすことができるかな?なんて思いながら歩いていましたが、前を歩くご夫婦がお店に入ったことで「もしかして14時でも混雑しているのかな?」と焦りを感じてしまい、お店の外観を写さず(失敗でした)慌てて扉を開けます。

少々焦りながら店内に入ってみると、思いのほかこじんまりとしていると感じた店内はほぼほぼ席が埋まっていて、14時前という時間を考えるならば賑わっているという感じです。

そのため、相席かな?と思いながら一人であることを花番に伝えると、店内奥の、広々とした小奇麗で静かなフロアへと案内されます。


勧められた2人掛けのテーブル席に着いて早速メニューに手を伸ばしますが、一品料理よりも先に「春野菜のベジ天もり」という料理に目が止まります。


「春野菜」という文字を見ると、野菜なのか好物の山菜なのかを確認したくなりますが、山菜であることが明確に書かれているため、本陣房系列のお店に対しては愚問であると思いながらも、一応、天先が可能か確認してから「春野菜のベジ天もり」を天先でお願いし、併せて「炙り明太子」と宮城県の地酒「日高見」をお願いします。


蕎麦前の料理とお酒をお願いしてから改めて店内を見渡していると、お通しの揚げ蕎麦とタオル地のおしぼりが差し出されます。席に着いた時に紙製のおしぼりをいただきましたが、手が汚れるとの配慮からなのか、お酒のお客さんだからなのかは分かりませんが、別途タオル地のおしぼりをいただいたことが何だかとっても嬉しいです。

そして、待つことも無く升に入ったグラスが用意され、グラスに「日高見」が注がれていきますが、グラスが満杯になり、グラスから溢れた「日高見」が今度は升の中に溜まり始め、もうこれ以上入らないという、グラスのみならず升も表面張力で膨れ上がるまで注がれましたが、それでもテーブルに1滴もこぼすことなく注いだ花番さんの腕前は見事しか言いようがありません。

ちなみに、いただいた「日高見」は、美味しいことは分かっているので驚きはありませんが、やはり素直に美味いです。


時間が掛かるかな?と思ったもののさほど待つことも無く運ばれてきた「炙り明太子」は、ヒリヒリ感を感じるほどの辛さで、「日高見」がスイスイと進んでしまいます。


「炙り明太子」を追うように運ばれてきた「春野菜の天ぷら」は、山菜の苦味はそれほど感じられませんでしたが、真ん中に横たわっている、食べ応えのある海老のプリプリ感がなかなか美味しいです。


のんびりと蕎麦前をいただいていると、いつの間にかお客さんの姿も少なくなり、そろそろ蕎麦をお願いしようかと思いましたが、目の前に掲示されている「鰆ふき味噌焼き」が気になってしまい、昼でもお願いできるのか確認したところ大丈夫とのことでしたので、いただくことにします。


料理を追加したので併せてお酒も追加しようと思い、品揃えが素晴らしい日本酒のメニューを再び眺め、福島県の地酒「純米吟醸生原酒・國権」をお願いします。


「日高見」同様、升とグラスの両方が表面張力で盛り上がるまで注いでくれた「國権」は、ほんのり感じられる旨みが素晴らしい、なかなか美味しい日本酒でした。

また、追加でいただいた「鰆ふき味噌焼き」は、少々淡泊な味わいでしたが、それだけでも一品料理になれるまずまずのふき味噌と一緒に美味しくいただきました。


最後にいただいた蕎麦は、やや中太の食感でしたが喉越しの良い食べ易い蕎麦で、2段重ねの蕎麦がアッという間に無くなりました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ちそば・和楽庵』さんは、日本酒の品揃えが居酒屋に負けないほど素晴らしく、清潔感漂う小奇麗な店内と、花番さんの痒い所に手の届く親しみの感じられる接客がとても好印象な、ついつい長居をしたくなってしまう居心地の良いお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『蕎上人@浅草・駒形』さんのちょっと贅沢な「鴨ロース焼」

2017-01-06 17:35:00 | 東京23区(台東区)

年明け早々仕事で東京都内へ出掛け、飲食店が混雑するには少々早い時間に仕事が終ったことから、一度訪れてみたいと思っていた、都営浅草線・浅草駅近くにある『駒形・蕎上人』(そばしょうにん)さんに立ち寄ってみることにしました。

お店に到着し、早速引き戸を開けてみると、4人掛けのテーブル席が2つと8人掛けのテーブル席が配置されているフロアと、数段の階段を登った所にテーブル席を見下ろせる、まるで低いロフトのような小上がりの座敷フロアがあるという、個性的な造りの店内が目の前に広がります。

そして、「座敷でもテーブル席でも、どちらでもどうぞ」との案内だったことから、その、楽しそうな(?)座敷フロアにしようかとも考えましたが、やはり楽に座れる椅子席に着くことにします。


席に着いてメニューを眺めながら何をいただこうか考えますが・・・。

人気も評判も高い蕎麦の名店であることから、お蕎麦屋さんらしい料理で蕎麦前を楽しませていただこうと思い、エビス生ビール(大グラス)と一緒に「板わさ」と「玉子焼」をお願いします。


料理の注文を終え、お正月の雰囲気がタップリ感じられる店内を見渡してみると、訪れた時間が早いということもあってか先客は女性2人組と1人で訪れている女性の計3名で、抜けた正月気分が戻ってきてしまいそうな憩いの一時を、一人静かにのんびり楽しむことができそうです。


まず目の前に置かれた「板わさ」は、噛むと反発してくるしっかりした弾力感(歯応え)に質の高さが感じられ、その歯応えとみずみずしい味わいがとても美味しいです。


続いて運ばれてきた「玉子焼」は、焦げ目も無く、三つ葉が透けて見える綺麗な玉子焼で、見るからに美味しそうです。そして、一口いただいてみると、フワフワでありながらも歯応えのある食感で、甘さ控えめながら丁寧さの感じられる美味しい玉子焼でした。


美味しい料理を気分良く楽しんでいると、先客の2組3名の女性が続けてお店を出てしまい、お正月らしい琴の音色が響く店内は貸切状態となってしまいました。

他にお客さんのいない貸切状況になると、それはそれで落ち着かないことも多々ありますが、名店でのんびりできるせっかくの機会でもあることから、もう少し蕎麦前を楽しませていただくことにします。

ということで、「エビス生ビール(大グラス)」のおかわりと、『選び抜かれた逸品「蔵王地鶏」を使った・・・』という張り紙に書かれた文字がずっと気になっていた、その「鴨ロース焼」をいただくことにします。

と、追加の料理をお願いしようと思い「すみませ~ん!」と、席から離れた厨房近くにいる花番さんに声を掛けると、ハイハイ何でしょう?と言わんばかりの笑顔を振り撒きながら小走りでやって来ます。

そんなに急がなくても大丈夫ですよ!と声を掛けたくなる感じですが、腰の低い人当たりの柔らかい花番さんで、心のこもった一生懸命さがとても好印象です。

追加でお願いした「鴨ロース焼」は、固形燃料を使用した小さな七輪(?)でいただくなかなか立派な姿であったことから、まずはじっくり写真に納めさせていただきます。


そして、一口いただいてみると・・・。

お~っ!!!。

旨味タップリの味わいとしっかりした歯応えに、いかにも「肉」を食べているということが感じられます。
また、葱のトロリとした甘さに素材の良さが感じられ、山椒が添えられましたが使用する必要の無い、美味しく食べ応えのあるちょっと贅沢な逸品でした。


さて、数々の美味しい料理をいただき満腹に近い状態ではありますが、やはり蕎麦をいただかない訳にはいかず、予め決めていた「五色そば」を予定通りいただくことにします。

いただいた「五色そば」は、せいろ、芥子切り、柚子切り、茶切り(茶そば)、田舎の五色で、全体的に「腰が強い」という印象です。また、変わり蕎麦は、いずれも素材の味と特長がしっかり前面に押し出されていて、特に、芥子切りは穀物を食べているかのような食感と味わいで、とても美味しい芥子切りでした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『駒形・蕎上人』さんは、風情漂うその外観から上品さと敷居の高さを感じてしまいましたが、いざ席に着いてみると、そつの無いしっかりした接客に名店であることが伺えるものの、思わず背筋が伸びてしまうような緊張感や堅苦しさを感じることは無く、清潔感漂う明るい店内で、静かに憩いの一時をゆったり過ごすことのできる、落ち着いた大人のお蕎麦屋さんでした。

なお、支払い時に「お年賀」の七味をいただきました。

ごちそうさまでした。


『やなか@谷中』さんの「わさびのおろし和え」

2016-05-02 13:40:00 | 東京23区(台東区)

昨年同様、下町のお蕎麦屋さんをいくつか巡ってみようと思い訪れた「谷根千」。

まずは11時の開店時間に合わせて根津の「蕎心」さんを訪れ、その後「谷根千」の町をぶらぶらと散策し、そろそろお昼のお客さんも一段落した頃かな?という時間を見計らって、今度は谷中にある『手打ち蕎麦・やなか』さんを訪れてみました。

お店に到着し、スリッパに履き替えピアノの音色が流れる明るく綺麗なフロアに上がってみると、13時半過ぎという時間ではありましたが満席で、1組2人のお客さんが席を待っています。しかし、それほど待つことは無いだろうと思い蕎麦打ち場の前に用意されている椅子に座って席を待っていると、5分程度の待ち時間でコの字型をした6人掛けのテーブル席に案内されます。


席に着いてメニューを眺めながら、谷根千の町をぶらぶらと歩き喉が乾いていたことからやはりビールかな?なんて思いもしましたが、今日の蕎麦前は日本酒と美味しい料理で「平日の昼酒」を楽しもうと決めていたので、山形県の地酒「桜花吟醸本生・出羽桜」をお願いします。

そういえば、「蕎心」さんでいただいた「羽前白梅」も山形県の地酒で、先月訪れたお蕎麦屋さんでいただいた日本酒も山形県の地酒と、意識はしていませんが最近山形県の地酒が続いていますね。


次に料理ですが、「本日のおつまみ」というメニューに「手作り そばとうふ」という、赤文字で書かれたいかにもオススメ看板料理という料理があったのでお願いすると、「品切れです。」とのこと。

まぁ、品切れは仕方の無いことなので、「いたわさ」と「わさびのおろし和え」をいただくことにします。


つい数時間前に蕎麦前と蕎麦をいただいたばかりであるため、軽い料理にしようと思いお願いした「いたわさ」は、噛むと反発してくるしっかりした弾力感の感じられる蒲鉾で、「蕎心」さんでいただいたばかりではありますが、食べ飽きることの無い美味しい蒲鉾でした。

また、いただいた山形県の地酒「桜花吟醸・本生 出羽桜」は、華やかでフルーティーな味わいと、いつ飲んでも安定している落ち着きのある旨さがなかなか美味しく、とても満足です。


「何だろう?」と思いいただくことにした「わさびのおろし和え」は、細かく刻まれた山葵だけをつまんでいただいてみるとそれ程辛くはありませんが、大根おろしと一緒にいただくと結構な辛さで、更に、醤油を軽く垂らして海苔を混ぜると、ツ~ンとくる辛さに海苔の風味が加わりとても美味しいです。


さて、そろそろお客さんも少なくなってきたので蕎麦をいただこうと思い、季節限定早春の変わりせいろ「よもぎ切りせいろ」をお願いすると、こちらも品切れで「せいろそば」しか無いとのこと。

う~ん、そうですか・・・。
と、少々残念に思いながら「せいろそば」をツルツルっといただき、今年の「下町のお蕎麦屋さんを飲み歩く」が終了となりました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ち蕎麦・やなか』さんは、少々遠くからでも「あっ、あそこだ!」と気付く大きめの看板が目印になっていますが、「下町」という言葉から勝手に想像する下町風情のイメージとは少々異なる、モダンな佇まいのお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『吉仙@上野・御徒町』さんの「春の山菜天ぷら」

2016-03-19 14:40:00 | 東京23区(台東区)

朝から降り続いていた雨が上がったばかりの3連休初日の午後。
所用で東京都内へ出掛けたことから、久しぶりに都心のお蕎麦屋さんでのんびり遅い昼食をいただいてから帰宅しようと思い、以前から一度訪れて見たいと思っていたお蕎麦屋さんへ。

お店へ向かう途中で、「悪天候+ビジネス街にあるお蕎麦屋さん+午後14時=のんびり昼酒」という計算式を頭の中で描き、「今日は最初から日本酒だな」なんて思いながら扉を掛けると・・・。
「すみません、お蕎麦が無くなってしまいました。」とのこと。

う~ん・・・、ビジネス街なので土曜日は蕎麦を打つ量も少ないのかな?と残念に思いましたが、仕方の無いことなので、気を取り直して次のお店へ。

次に訪れたのは、JR京浜東北線・御徒町駅から徒歩数分の所にある『手打ちそば・吉仙』さんで、今度は「悪天候+午後14時半過ぎ+通し営業+本陣房系列=確実に昼酒可」という計算式を頭の中に描き、ここなら大丈夫だろうと思いながら地下1階にあるお店の扉を開けると・・・。

ジャズの流れる店内には、数組のお客さんが静かに蕎麦を食べていたりお酒を楽しんでいるのみで、何ら問題なく、2人掛けのテーブル席に案内されます。


席に着いて、まずは日本各地の地酒がズラリと並んでいる日本酒のメニューを眺めますが、その様子を見た花番さんが、別の「秋田のおすすめ酒」という秋田県の地酒が並んでいるメニューと「本日の御品書き」という料理のメニューを持ってきてくれます。いや~、流石です。


ということで、2つある日本酒のメニューをあれこれじっくり眺めた結果、一番飲みたいお酒は2杯目にすることとし、まずは飲んだこの無い秋田県山本郡の地酒「酒こまち純米吟醸・山本」をお願いします。


そして、料理は「本日の御品書き」から春を感じさせる「京都菜の花辛子あえ」と、毎年登場することを楽しみにしている「春の山菜天ぷら」をお願いします。


まずは、お通しを肴になみなみ注がれた秋田県の地酒「酒こまち純米吟醸・山本」をいただきますが、爽やかさと旨味のバランスも良く、スイスイと飲み進んでしまいアッという間に空になってしまいそうです。


少々時間が経過してから「京都菜の花辛子あえ」が運ばれて来ましたが、既に「酒こまち純米吟醸・山本」が空になっていたことから、お気に入りの日本酒、秋田県仙北郡の地酒「美郷錦純米吟醸・春霞」(生酒)を追加でお願いします。

いただいた「京都菜の花辛子あえ」は、辛さの抑えられた辛し和えでしたが、上品な口当たりと心地良い甘みを特長とする「美郷錦純米吟醸・春霞」との相性も良く、少々速いペースで「春霞」が飲み進んでしまいます。

それにしても、初めていただく「春霞」の緑ラベル。実に旨いです。


「京都菜の花辛子あえ」とサービスでいただいた甘海老を肴に「美郷錦純米吟醸・春霞」をいただいてしまったので、山菜の天婦羅が運ばれてきた時に「美郷錦純米吟醸・春霞」のおかわりをお願いします。

なお、京菜花やふきのとう、山うど、たらの芽などが具材に使われている「春の山菜天ぷら」は、時期が少し早いのか苦味も弱く、食べ易い天婦羅ではあったものの、個人的な好みで言わせていただくならもう少し苦味がほしいかな?という印象の、今年最初の山菜天婦羅でした。


さて、時間がもう少し早ければ、旬の料理「筍焼」と「春霞」をもう1杯いただいて春を満喫したいところではありますが、これ以上蕎麦前を楽しんでしまうと夕食に影響が出てしまうことから料理とお酒の追加は行わず、蕎麦をお願いすることにします。

いただいたのは季節の変わり蕎麦「ゆず切り」と「せいろもり」と「田舎もり」がいただける「三色もり」で、少し時間を空けながら3種類の蕎麦が順次運ばれてきました。


まず最初にいただいた「ゆず切り」は、歯応えも冷え具合も申し分無く、スッキリした辛口の蕎麦汁に付けても柚子の爽やかな香りが失われることのない、美味しい「ゆず切り」でした。


続いて「せいろもり」が運ばれてきます。


そして最後に「田舎もり」が運ばれてきます。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ちそば・吉仙』さんは、本陣坊系列のお蕎麦屋さんということで、お蕎麦屋さんでお酒をいただいているというよりも居酒屋でお蕎麦をいただいているという雰囲気のお蕎麦屋さんでしたが、だからと言って蕎麦がイマイチかというとけしてそのようなことは無く、香り、味わい、食感のどれを取っても何ら問題の無い蕎麦でした。

ごちそうさまでした。


町の蕎麦屋「弁天@浅草」さんの「自家製にしん煮」

2015-12-12 14:45:00 | 東京23区(台東区)

お昼を跨いで行われた社会人ラグビーの試合観戦終了後、遅めの昼食を取ろうと思い、お昼からお酒の飲める通し営業のお蕎麦屋さんをあれこれ検討した結果、試合会場の最寄駅から乗り換え無しで訪れことのできる『そば処・弁天』さんへ向かってみることにしました。

お店は、浅草・浅草寺の裏手にあって、東京メトロ銀座線・浅草駅から真っ直ぐ向かえば徒歩10分程度で到着することができますが、仲見世商店街~浅草寺~花やしき辺りをブラブラしながら向かったため、昼食を取る時間としては少々遅い14時半過ぎの到着となってしまいました。


お店の到着が少々遅い時間になってしまったこともあってか、先客は地元のおじさん達3人組みのみと閑散としていましたが、花番さんから店内中央にある横向きの小さなカウンター席を案内されたことから、そのカウンター席一番奥の厨房に最も近い席に着きます。

店内は、縦に並ぶ3人掛けの小さなカウンター席(表現が難しい)が中央にあり、左側に4人掛けテーブル席が2卓、右側に掘りごたつ式のテーブル席が4卓あるという造りになっていて、いずれの席もゆったりくつろぎながら蕎麦前を楽しむことができそうです。

そんな、馴染み易い庶民的な雰囲気を感じながらメニューを眺め、「自家製にしん煮」と「焼とり」を瓶ビールと一緒にお願いします。


山椒と一緒に運ばれて来た「自家製にしん煮」は、じっくり煮込まれたと思われるその色濃い見た目から、「硬めでやや辛いかな?」と思いましたが、いざいただいてみると箸を入れただけで簡単に崩れる柔らかさで、辛さも思ったほど辛く無く、程良い甘辛具合でした。


空腹を満たそうと思いお願いした「焼とり」は、大きく切られた脂身の無い鶏肉がボリューム感タップリに盛り付けられていましたが、お蕎麦屋さん独特の「かえし」で造ったタレは掛けられておらず、鶏肉らしいクニュッとした食感の感じられない、サッパリした焼鳥でした。


料理をいただきながら貸切状態となった店内を改めて見渡してみると、壁にはお酒の銘柄が書かれた紙があちこちに貼られていて、何となくお酒が進んでしまう雰囲気です。

そして、そんな雰囲気に後押しされて、「にごり酒」をいただこうかな?と心が揺れ動きますが、美味しいお酒を一口味わってしまうと「じゃあ、どぶろく仕込ってどうなんだろう?。」とついつい飲み過ぎてしまいそうなので、ここ浅草から自宅へ帰ることを考え、お酒の追加はせず大人しく蕎麦をいただくことにします。

う~ん・・・。
天然水仕込みで、コクがあるのにサッパリした喉越しの「にごり酒」ですか・・・。


ということで、もやもや感を残したままメニューの「冷たい麺」というページを開くと、基本の蒸篭盛りは「もり」と「ざる」の2種類が用意されています。

「もり」と「ざる」の2種類が並んでいる事は珍しくありませんが、その違いは、多くの場合「海苔の有無」とされているのかな?と思います。しかし、ここ『そば処・弁天』さんでは蕎麦汁を変えていて、それぞれ用に「もり汁」と「ざる汁」の2種類が用意されています。


両者の違いについては、メニューの添え書きを引用させていただくと、もり汁は「かつおだしがストレートに味わえる」で、一方のざる汁は「もり汁にこくとうまみを加えた味」とのことです。

確かに、「あま汁」はあまり好みではないので汁の違いで蕎麦を選ぶこともできましたが、結局は海苔の有無で選ぶことになり、海苔の掛かっていない「もり」をいただきました。

う~ん・・・。
折角の機会だったので、別途蕎麦汁代を払って「ざる汁」もいただいてみれば良かったかな?。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『そば処・弁天』さんは、気軽に蕎麦前と蕎麦を楽しむことのできる、中休みの無い下町情緒溢れる町のお蕎麦屋さんでした。

また、今回はいただきませんでしたが、「蛤」や「牡蠣」といった季節の素材を使った料理や蕎麦もメニューに並んでいて、お酒を飲みながらのんびり四季を味わうことのできるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。