蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『くら家@高円寺』さんの柔らかく旨い「焼鴨と九条葱」

2015-10-10 11:05:00 | 東京23区(杉並区)

東京・青山で行われる社会人ラグビーの試合を観戦する前に、蕎麦前と蕎麦をいただこうと思い、少々遠回りではありますが、JR中央線・高円寺駅から程近い『手打ちそば・くら家』さんへと向かいました。

お店に到着したのは開店したばかりの午前11時を少し過ぎたところでしたが、こじんまりとした細長い造りの店内には既に数名のお客さんが席に付いていて、若い男性の花番さんが料理のメニューを各テーブルに置き始めるところでした。

そして、席に着くと同時にそのメニューが差し出されますが、これって夜のメニュー?と思ってしまう程充実している品揃えで、更にお酒の品揃えがこれまた・・・。


ということで、さすがにお昼からこれら全ての料理がOKってことは無いだろうと思い、花番さんに確認してみたところ、刺身を含めて全ての料理がOKとのこと。

それはすごいと思いながら改めてメニューに目を向けていると、「飲み物はどうしますか?。」と声を掛けられたので、お気に入りの日本酒でもある三重県の地酒「特別純米・而今」をお願いします。


用意されている料理は、あれも食べたいこれも食べたいと迷ってしまう程豊富な品揃えですが、25年程前、出張で訪れた釧路でいただいたハッカクのネギ味噌焼きが美味しかったと今でも記憶に残っている、そのハッカクの刺身があったことから、本鴨を使用した「焼鴨と九条葱」と一緒にお願いすることにしました。

少々時間を要したことから、「やはり昼に刺身は迷惑だったかな?」と思った「はっかく刺」ですが、刺身だけではなく骨揚げ(?)が添えられて、盛り付けの丁寧さと併せて時間が掛かることに納得です。

そして、まず塩が振り掛けられ味付けされているという骨揚げをいただいてみると、パリパリの食感と塩加減が程良く、実に美味しいです。また、刺身はコリコリというよりもやや柔らかめかな?という食感の、ビールではなく初めから日本酒にして良かったと思える、日本酒との相性が絶妙の素晴らしい料理でした。


追って運ばれてきた「焼鴨と九条葱」は、肉の柔らかさといい、タレの旨味といい、思わず「旨い!」と唸ってしまう、絶品と言っても過言では無いとても美味しい鴨焼きでした。


美味しいお酒と料理をいただき高い満足感に浸っていると、16人程で満席となる店内はいつの間にか蕎麦を食べに来ている若いカップル、ご夫婦、子供連れの家族等で埋まっていて、そろそろ席を空けなければならないかな?と思っていると、花番さんに「お酒どうします?。」と声を掛けられたので、「するめいかげそ肝焼」に心が揺れ動いたものの、最後に「東洋美人」をいただいて蕎麦前を終えることにしました。

にこやかに微笑む花番さんに「口開けです。」と言われながら、山口県の地酒「純米吟醸・東洋美人」がグラスに注がれる光景を眺めていると、何だかとっても贅沢な時間を過ごしているように思え、これを「至福のひととき」というのかな?と思ってしまいます。

さて、席を待っているお客さんはいないもののお客さんの出入りが多く常に8割程度席が埋まっている状態であることから、まだお酒が残っている状況ではありますが「せいろもり」をお願いします。

蒸篭2段重ねで運ばれてきた蕎麦は、子供から年配の方まで幅広い年齢層の方に広く受け入れてもらえる食べ易く喉越しの良い蕎麦で、蕎麦汁は雑味の感じられないクリアで綺麗な味わいでした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ちそば・くら家』さんは、気さくでほのぼのとした雰囲気の感じられる、子供から大人までみんなから愛される町の小さなお蕎麦さんでした。

そして、「酒」良し、「接客」かなり良し、「料理」はずば抜けて良しの3拍子揃った満足度の高いお蕎麦屋さんで、何も言うことの無い素晴らしいお蕎麦屋さんでした。まぁ、マイナス要素をあえて無理やり探すとするならば、「混雑している」というところくらいかな?。

美味しい料理と心地良い憩いの一時をごちそうさまでした。


『紅葉川@京橋』さんの温かさが嬉しい「鴨の柳川」

2015-10-07 19:30:00 | 東京23区(中央区)

出張で仙台へと出掛けたその帰り道、ビールでも飲んでホッと一息ついてから帰宅しようと思い、東京駅からそれ程遠くは無いお蕎麦屋さんへ足を運んでみたところ、な、な、な、なんと満席。

それも、ビジネスマンのみならず、年配の御夫婦や子供連れの家族など、どこにでもある町のお蕎麦屋さんらしい光景が広がっていて、みんな楽しそうにお酒を飲んだり蕎麦を食べたりしています。そして、そんな楽しそうな光景を目にすると残念さが増してしまいますが、仕方の無いことなのであきらめることしました。

と、残念に思いましたが、ここはお蕎麦屋さんが数多く点在している「京橋・日本橋」エリア。
途方にくれることもなく、気持ちを切り替え京橋にある『石臼挽き手打ちそば 京橋・紅葉川』さんへと足を運んでみたところ、先客の姿もほとんど無く、何ら問題無く4人掛けテーブル席に着くことができました。

清潔感漂う静かなテーブル席に着いて早速メニューを広げ、とりあえずビールをお願いしようかと思いましたが、300ml飲みきりサイズの「菊正宗冷酒」があったことから、ビールではなく最初からお酒をいただくこととし、併せて「にしん京煮」と日本酒が似合いそうな「鴨の柳川」をお願いすることにしました。


待つことも無く、お通しと一緒に「菊正宗冷酒」が運ばれて来ましたが、その際、着物姿の花番さんがキャップを開け、「どうぞ」とお酌してくれます。予想していなかった対応に一瞬「えっ?」と思いはしましたが、業務的では無い自然な接客でなかなか好印象です。

まずいただいた「にしん京煮」ですが、気になったので「京煮」という言葉をインターネットで調べてみると、「醤油・砂糖・みりんでじっくりと甘味に煮込んだ料理」で「関東の濃口醤油で煮込むのは京煮とは言わない」と解説されていて、いただいた鰊煮はその解説の通り薄目に味付けされた柔らかく美味しい鰊煮でした。


温かい料理をいただこうと思いお願いした「鴨の柳川」は、グツグツとはしていないものの期待通りの温かい料理で、温かい料理が嬉しく感じる季節かな?なんて思いながら美味しくいただきました。


さて、最後にいただく蕎麦ですが、こちらの『石臼挽き手打ちそば 京橋・紅葉川』さんは鴨料理を特長としているお蕎麦屋さんであることから、鴨せいろをいただこうかと思いましたが、鴨は柳川でいただいたので基本の「もり」をお願いすることにしました。

いただいた「もり」は、食べ易い一般的な普通の蕎麦でしたが、キリリとした辛口でありながら旨みの感じられる蕎麦汁が美味しく、今日の蕎麦前&蕎麦を気分良く締めくくってくれました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『石臼挽き手打ちそば 京橋・紅葉川』さんは、高さのある仕切りで各テーブル席が区切られている半個室風の席が並んでいる造りになっていましたが、窮屈感や狭さを感じることは無く、隅々まで手入れの行き届いた清潔感漂うテーブル席は居心地が良く、人当たりの良い花番さんの手馴れた接客を受けながら、一人でゆったりと憩いの一時を過ごすことの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『黒澤@東京・永田町』さんの「黒豚三枚肉の麹漬け」

2015-10-03 13:50:00 | 東京23区(千代田区)

東京・青山で行われた社会人ラグビーの試合を観戦したその帰り道、東京メトロ銀座線・溜池山王駅直ぐ近くにある『永田町・黒澤』さんに立ち寄って、うちの奥さんと二人で遅い昼食を取ることにしました。

お店の前に立って、元々料亭だったという、その純日本家屋の立派な門構えを眺めてみると、「お店変えようかな?」と躊躇してしまいますが、折角来たのだからと思いながら門を潜って進んでいくと、男性の花番さんが現れ、「蕎麦ですか?、トンカツですか?。」と聞かれます。そして、蕎麦であることを伝えると1階フロアへと案内されます。ちなみに、トンカツと答えると2階へと案内されるようです。

案内された1階フロアは、やや暗めの落ち着いた板の間で、なかなか趣のある空間ではありますが、先客のいない貸し切り状態ということもあってか、背筋を伸ばして静かに蕎麦前や蕎麦をいただくといったお行儀の良さが求められる雰囲気です。


そんな緊張感を感じながらメニューを眺めてあれこれ考えた結果、プレミアムモルツの生ビールと一緒に、料理長のおすすめメニューの中から「鮟肝豆腐」と「黒豚三枚肉の麹漬け」をお願いすることにしました。


一口で食べてしまうことが出来そうな「鮟肝豆腐」は、味の付いた豆腐というよりチーズでも食べているかのようなネットリした食感で、熱燗が似合いそうな酒の肴でした。


さて、続いて登場する予定の「黒豚三枚肉の麹漬け」ですが、花番さんに「まだ出ていませんよね?。」と途中で確認されるほど時間を要していて、「鮟肝豆腐」はもちろん、ビールも無くなりつつあったことから、直ぐに出てくると思われる「にしんの柔らか煮」と神奈川県の地酒「特別本醸造 天青<風露>」(てんせい・ふうろ)を追加でお願いします。


すると、まず「特別本醸造 天青<風露>」が目の前に置かれ、次に「にしんの柔らか煮」が運ばれてきましたが、それらの後を追う様に「黒豚三枚肉の麹漬け」も登場してしまったことから、手を付けていない料理が2つ同時に並んでしまいました。

ということで、温かいうちにいただきたい「黒豚三枚肉の麹漬け」を先にいただいてみると、焼き加減も程良くとても美味しいです。また、五百万石で造られた「特別本醸造 天青<風露>」は、辛口のスッキリした味わいながらなめらかな旨味の感じられる、とても美味しい日本酒でした。


追加でいただいた「にしんの柔らか煮」は、甘辛く焚き上げたとのことですが、どちらかというと上品さの感じられる控えめな味わいで、口の中でホロリと崩れる柔らかい鰊でした。


訪れた時間が中途半端な時間ということもあってか、パラパラとお客さんが来店するものの混雑はしておらず、静かにくつろげる雰囲気ではありましたが、腹具合も丁度良いことから蕎麦をいただくことにします。

冷たい蕎麦は、二八と田舎の2種類があり、更に、いずれの蕎麦も蒸篭1枚と2枚のどちらかを選べるようメニュー書きされていたことから、せいろ2枚で1枚を田舎にできるか花番さんに確認したところ「できます」とのことだったので、二八と田舎を一枚ずついただくことにしました。


お店の名前である「黒澤」という文字が大きく書かれたオリジナル(?)の蕎麦猪口でいただいた二八は、抵抗感無くツルツルっと喉越し良くいただくことのできる蕎麦でした。


2枚目にいただいた田舎は、太過ぎず硬過ぎずの程良いコシで、キリリとした辛口でありながら旨味タップリの蕎麦汁に付けて美味しくいただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『永田町・黒澤』さんは、黒澤映画の美術担当の方が映画「用心棒」をイメージして改装を手掛けたお店ということもあってか、なかなか凝った造りのお蕎麦屋さんでした。

そして、程良い緊張感とやや暗めの落ち着いた雰囲気を感じながら、じっくりと美味しい料理とお酒をいただくことのできるお蕎麦屋さんでもありました。

ごちそうさまでした。