蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『ほりのうち@つきみ野』さんの「山古志の棒だら」

2015-07-11 16:45:00 | 神奈川県(大和市)

家族みんながそれぞれで夕食を取ることになった土曜日、東急田園都市線・つきみ野駅から徒歩5分程度のところにある『蕎麦・天麩羅 ほりのうち』さんを訪れてみました。

お店は、閑静な住宅街にあることから、昼食時と夕食時を外せばのんびりした一時を過ごすことができるだろうと思い、17時少し前に暖簾を潜ってみると、静かでゆったりしたモダンなフロアに先客の姿は無く、思った通り憩いの一時を過ごすことができそうです。

そして、花番さんの笑顔に迎えられながら、まるでバーのカウンター席のような、少々高さのあるカウンター席に着いて早速メニューに目を向けますが、メニューはカードケースになっている物や冊子になっている物など複数あり、蕎麦だけではなくお酒や一品料理もなかなかの品揃えです。


蕎麦前をいただく場合、多くは時間の掛からない料理としっかりしたメイン料理とを組み合わせてお願いしますが、今日はお店も空いているし夕食であることから、初めから空腹を満たしてくれるしっかりした料理をお願いしようと思い、生ビールと一緒に「合鴨肉のロースト」をお願いします。


いただいた「合鴨肉のロースト」は、硬過ぎず柔らか過ぎずの歯応えがなかなか良い感じで、鴨肉そのものはやや甘めの味付けではありましたが、粒マスタードと柔らかいネギを挟んでいただくと甘さも薄れ、ついついビールが進んでしまいます。


今日は、時間が早いためか貸切状態が続いていることから厨房もそれ程忙しくは無いだろうし、どんな料理をお願いしてもさほど時間が掛からず出てきそうなので、複数の料理をまとめてお願いすることはせず、一品終えたところで次の料理をお願いします。

ということで、次の料理は・・・。
最初にメニューを眺めた時に決めてあった新潟の郷土料理「山古志の棒だら」をお願いすることとし、お酒は、新潟の地酒がズラリと並ぶラインナップの中から、このお酒があるなら迷わずいただく純米吟醸雪洞貯蔵酒「緑川・緑」をお願いします。

なお、余談ではありますが、「純米大吟醸・麒麟山」(ブルーボトル)が一合で1500円とのこと。
さずがに、一合1500円のお酒は好きでもそう簡単に飲めませんが・・・・。
しかし、この「純米大吟醸・麒麟山」(ブルーボトル)、夏休みに飲もうと思って現在自宅の冷蔵庫で冷やしている最中なんですよね。そうですか、一合1500円クラスのお酒なんだ・・・。楽しみ、楽しみ。


ちなみに、口コミサイトの投稿の中に、「店名は御主人の出身地(現在の魚沼市)から付けた。」というような投稿がありました。そのため、特約店しか卸されない新潟県魚沼市の地酒「緑川・緑」をはじめ新潟県の地酒や郷土料理が充実しているということのようです。

そして、その「緑川・緑」ですが、サッパリした穏やかな旨みがとても美味しいです。
また、「山古志の棒だら」は、干した棒だらを戻して甘辛く煮付けた料理とのことですが、ほんのり甘い味付けがまずまずの、日本酒との相性がとても良い料理でした。


さて、そろそろ蕎麦かな?と思いましたが、時間が早いこともあってか店内に混雑する様子が無いことから純米吟醸雪洞貯蔵酒「緑川・緑」をもう1杯いただくことにします。そして肴ですが、何だかとっても気分が良いことからちょっと贅沢に「鱧の天麩羅」をいただくことにします。


いただいた「鱧の天麩羅」は、カラッとしているというより、どちらかというとサクサクっとしている食感でしたが、それでいて中の鱧がフンワリしているという、質の高いとても美味しい鱧天でした。


さて、しっかりした料理ばかりをいただいたこともあってか、蕎麦をいただく前に満腹という感じですが、蕎麦をいただかない訳にはいかないことから、「せいろ」をお願いします。

なお、メニューを見ると「あがり蕎麦」というお酒を飲んだ後にいただく量の少ない蕎麦もありましたが、やはり普通の「せいろ」をいただくことにします。


いただいた「せいろ」は、普通に美味しい太目の蕎麦でしたが、辛さの抑えられた控えめな蕎麦汁が美味しく、蕎麦湯を注いでもしっかりした旨みの感じられる美味い蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦・天麩羅 ほりのうち』さんは、閑静な住宅街にある普通のお蕎麦屋さんでしたが、気分良く食事が出来る雰囲気を作っていた親しみ易い花番さんの接客がとても好印象で、心地良い雰囲気に浸りながら、美味しい料理とお酒をいただくことのできるお蕎麦屋さんでした。

そして、土日祝日はお昼前から夜まで通し営業となっていることから、新潟の郷土料理を肴に純米吟醸雪洞貯蔵酒「緑川・緑」をいただきながら昼下がりのまったりした時間を一人のんびり過ごすことの出来る、良いお店に出会ったかな?という高い満足感を得ることの出来たお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『さかい@南林間』さんの心のこもった優しい「玉子焼き」

2014-07-18 13:30:00 | 神奈川県(大和市)

所用で休暇を取った平日の昼過ぎ、遅い昼食を取るために小田急電鉄・南林間駅から徒歩2~3分のところにある『手打ち蕎麦・さかい』さんへ立ち寄ってみました。

お店に到着すると、まずお店の扉横に掲示されているカードケースに目が止まります。
蕎麦の産地と品種を書いた「本日の蕎麦」という掲示は良く見かけますが、その他に、「本日の日替り酒」と「本日の一品料理」という嬉しいメニューが掲示されています。

これって、「夜はこんなメニューもあります。」という案内なのか、それとも「昼から飲んでください。」という案内なのかは分かりませんが、いずれにしてもお酒の飲めるお蕎麦屋さんであることに間違いは無いので、期待を膨らませながら扉を開けます。


店内は、4人掛けのテーブル席が4つと座敷が1卓というこじんまりとしたレイアウトですが、13時半ということもあってか先客の姿は無く、若い奥さん(?)に案内されて店内一番奥のテーブル席に着きます。


今日は所用であちこち動き回っている最中ではありますが、そのほとんどが午前中に完了していることから、昼営業のラストオーダー14時半までの約1時間、のんびりさせていただこうと思い、まず瓶ビールをお願いしてからメニューをじっくり眺めます。

メニューを眺めると、品数は多くないものの、あれもこれも食べたいと思ってしまう料理が並んでいます。
そして、そんなそそる料理の中から、お蕎麦屋さんの定番料理「玉子焼き」と会津地方の郷土料理「ニシンの山椒漬」をお願いしましたが、「ニシンの山椒漬」が品切れとのことなので、「そば味噌」をお願いします。


最初に運ばれてきた「そば味噌」は、西京味噌に炒った蕎麦の実、胡麻、大葉、七味唐辛子を練り合わせて軽く炙ったものということで、どちらかというと「焼き味噌」といった感じでしょうか?。

その「そば味噌」を早速いただいてみると・・・。
お~、これは美味い!。
お蕎麦屋さんの定番料理で、けして珍しい料理ではないかもしれませんが、大葉がとても良いアクセントになっていてなかなか美味しいです。始めから日本酒にすれば良かったかな?。


追って運ばれてきた「玉子焼き」は、甘さの抑えられた玉子焼でしたが、心を込めて作りましたということが感じられる、優しい味わいの美味しい玉子焼でした。


美味しい「玉子焼き」をいただいている最中にビールが無くなったので、お店の扉横に掲示されていて、ずっと気になっていた山形県の地酒「夏ノ純米・山形正宗」をお願いし、併せて、「かき揚げ天せいろ」を天先&蕎麦お声掛けでお願いします。

天先でいただいた「芝海老と三つ葉のかき揚げ」は、厚みのある立体的なかき揚げですが揚げムラも無く、全体がカラッと脂っこくなく揚がっていて、サッパリ美味しいくいただきました。

なお、山形県の地酒「夏ノ純米・山形正宗」は、やや甘いかな?という印象ですが、まろやかな口当たりと旨みの感じられる日本酒でした。


美味しい料理をいただきながら平日の昼下がりを一人のんびり過ごさせていただきましたが、いつの間にか4つあるテーブル席は全て埋まっていて、ラストオーダーの時間も迫ってきていることから、お声掛けでお願いした「かき揚げ天せいろ」の蕎麦をいただきます。

ご主人が働いていたらしい大森の布恒更科さんと同じく朱色の蒸篭に盛られた蕎麦は、角がキリッとしていて、かつツルツルっと気持ち良くいただくことの出来る喉越しの良い蕎麦でした。


お蕎麦屋さんには様々なスタイルがあり、老舗のお蕎麦屋さんには老舗のお蕎麦屋さんでしか味わうことの出来ない「凜」とした空気と余裕の感じられる心地良さがあるように思います。

そして、今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ち蕎麦・さかい』さんのようにこじんまりと若いご夫婦で切り盛りしているお蕎麦屋さんには、老舗のお蕎麦屋さんとは異なる親しみやすさとついつい長居してしまう柔らかい居心地の良さがあり、その親しみやすさと居心地の良さを作っているのが、ご主人の作る料理から感じられる「気持ち」であり、接客に当たっている奥さんの「気持ち」であるように思います。

ということで、『手打ち蕎麦・さかい』さんはご主人の真面目で一生懸命な「気持ち」と奥さんの優しく柔らかい「気持ち」の両方を感じることの出来るお店で、高い満足感を抱くことの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。

そうそう、席の直ぐ横に「愚直守朴(ぐちょくしゅぼく)」と書かれた置物(?)がありましたが、この「愚直」には『正直過ぎて気の利かない、言わば馬鹿正直』という意味があり、また「守朴」には『何も飾らず愚かなほどに真っ直ぐ』という意味があります。つまり、『飾ることなく真っ直ぐに、自分らしく今日を生きていく。』といったような意味を持つ言葉と解釈できるように思います。

『手打ち蕎麦・さかい』さんは、そんなお蕎麦屋さんでした。