蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『砂場@府中』さんの「府中もりあげそば」

2013-06-01 11:05:00 |  東京都(府中市)

江戸蕎麦御三家の一つ「砂場」。
その歴史を辿るならば江戸時代にまで遡ってしまう老舗中の老舗ですが、、その「歴史」や「老舗らしさ」を感じる重みのあるお店ばかりではなく、住宅街の中にポツンとある、出前もする「普通の蕎麦屋」だったり、繁華街でラーメン屋さんの隣にこじんまりとある「手軽な蕎麦屋」だったり、駅ビルの飲食街にある「使い勝手の良い蕎麦屋」だったりと、様々な形であちこちにお店が点在しています。

今回訪れた『府中・砂場』さんは、出前もする、どこにでもありそうな町のお蕎麦屋さんであり、また武蔵総社「大國魂神社」という由緒ある大きな神社の近くにあることから「大國魂神社」の門前蕎麦屋といった位置付けのお蕎麦屋さんといったところでしょうか?。

その『府中・砂場』さんに到着したのは開店直後の11時を数分過ぎたところで、早速暖簾をくぐると先客は無く、明るく元気な花番さんに迎えられながら店内一番奥の席に着いて、早速メニューを広げます。

広げたメニューをみて見ると、小鉢や丼がセットになったメニューなどもあり、品数が多いという印象です。
なお、セット物の中には「競馬場に向かうあなたに・・・」という言葉の添えられた、東京競馬場のお客さんを対象とした愛嬌のあるメニューもありましたが、サントリー府中スポーツセンター(ラグビー)のお客さんを対象としたメニューは残念ながらありませんでした。


蕎麦前の一品料理については、冊子のメニューとは別に置かれているパウチッコされた「特撰メニュー」に写真とコメント付きで並べられており、「玉子焼」は無いようですが、十分な品揃えです。

そんな中から今回は、瓶ビールと一緒に「浦安・砂場」さんで好印象だった「冷奴」、そして「焼きなす」と「じゃこ天」をお願いします。

待つことも無く運ばれて来た瓶ビールは府中らしく「モルツ」で、PREMIUMでないところが町のお蕎麦屋さんらしくて良いのではないかと思います。また、グラスがモルツというのもなかなか良いと思います。


続いて運ばれてきた「冷奴」は、薬味が初めからタップリ乗せられていたので、まずは薬味をどかして豆腐だけで食べてみると、薬味が少なくても十分美味しくいただける「冷奴」です。しかし、今回は豆腐が見えないほど薬味をタップリ乗せてサッパリ美味しくいただきました。


「冷奴」の写真を撮っている間に「焼きなす」と「じゃこ天」が運ばれてきてしまい、最近多い、「頼んだ料理が全てテープルに並んでしまう状態」になってしまったので、「冷奴」と温かい「焼きなす」を先にいただきます。
「焼きなす」は皮が剥かれていたので焼き跡は見えませんが、直火でしっかり焼いていることが感じられる味わいで、シンプルな一品ではありますが美味しい「焼きなす」でした。


最後にいただいた「じゃこ天」は、普通と言ってしまえば普通の「じゃこ天」ではありますが、ビールのおつまみには十分な一品と思います。

今日の蕎麦前は「冷奴」、「焼きなす」、「じゃこ天」の3品でしたが、いずれも醤油でいただく料理ばかりで、バランスの悪い選定だったと反省です。


さて、そろそろ蕎麦をいただこうと思いますが・・・。
ここ府中には景気と家庭と府中を盛り上げたいという願いを込めて考案された「F級グルメ・府中もりあげそば」という蕎麦があります。この蕎麦は「もりそば」と「かきあげ」を組み合わせた蕎麦で、ここ『府中・砂場』さんを含め府中市内にあるお蕎麦屋さんおよそ30店でいただくことのできる蕎麦です。

まぁ、簡単に言ってしまえば「かきあげ天せいろ」ということですが、お蕎麦屋さんが集まって「景気と家族と府中を盛り上げよう!。」と考案した蕎麦ということなので、その趣旨に賛同する意味で、今日はこの「府中もりあげそば」をいただくことにしました。

「府中もりあげそば」は「もりそば」と「かきあげ」を組み合わせた蕎麦となっていますが、お店によって多少異なっているようで、『府中・砂場』さんの「府中もりあげそば」は細切り大根の乗った2段蒸篭(下段は蕎麦のみ)に、ごぼうのかき揚げとメゴチ、インゲン、トマトの天麩羅、そして1口サイズのデザートが付いたセットでした。


なんであれ「もりそば」には違いないので、まずは蕎麦汁をなめてみます。
もり汁らしく辛目の蕎麦汁ですが、単に辛いだけではなくまろやかな味わいで美味しいです。
蕎麦は細目でザラザラ感は感じないものの、粗挽きの手打ちなのか「ホシ」(そばの実の粉砕物)の目立つ蕎麦でしたが、誰もが美味しくいただけるオーソドックスな蕎麦と言う印象です。

また天婦羅は、胡麻油(かな?)の香りが食欲を誘うサクサクの天麩羅で、柔らかいメゴチとボリューム感タップリのごぼうがとても美味しい天婦羅でした。それにしても量が多い・・・。

最後にいただいた蕎麦湯はサラッとした蕎麦湯でしたが、蕎麦汁が思いのほか力強いのか、蕎麦湯で薄めても味が崩れることなく最後まで美味しい味わいを楽しませてくれました。なお、蕎麦汁は蕎麦と天婦羅でそこそこ使いましたが、それでも蕎麦湯を2杯飲めるほどの量がありました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『府中・砂場』さんは、「町のお蕎麦屋さん」というよりどちらかというと「神社の門前蕎麦屋」という雰囲気でしたが、「一人で昼から一杯飲むお客さん」や「子供を連れて家族みんなで食事を楽しむお客さん」、そして「年配の夫婦2人でのんびり蕎麦を楽しむお客さん」など、どんなお客さんにもそつなく対応できる、そんな余裕すら感じられるお蕎麦屋でした。

ごちそうさまでした。