蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『渡邊@西新宿』さんの味わいが豊かな「あさりと菜の花の煮びたし」

2018-03-29 18:20:00 | 東京23区(新宿区)

JR新宿駅すぐ近くにある、『手打蕎麦・渡邊』さん。
中休みの無い通し営業のお蕎麦屋さんであることから、平日の昼下がりに訪れてまったりした一時を過ごさせていただこうと思っていたお蕎麦屋さんでしたが、なかなか訪れる機会に恵まれないことから、東京都心での仕事を終えた平日の夕方に訪れてみました。

お店に到着したのが18時半近くであったことから、仕事を終えたビジネスマンで混雑しているかと思いましたが、年配ご夫婦の姿も数多く見られ、予想とは少々異なる雰囲気であったものの明るく賑やかに盛り上がっています。

そして、案内されたカウンター席に着いて早速メニューを広げますが、けして悪い雰囲気ではないものの何となくのんびりできる雰囲気でもないことから、蕎麦前は軽くいただこうと思い、「あさりと菜の花の煮びたし」と「かしわと三つ葉のわさび和え」をいただくこととし、お酒はビールをパスして春の純米「純米生酒・大雪渓」をお願いします。


店内を眺めたり、メニューを眺めたりしながら待つこと15分。
目の前に、同じ器(かな?)に盛り付けられた「かしわと三つ葉のわさび和え」と「あさりと菜の花の煮びたし」とが同時に並べられます。

まずいただいた「かしわと三つ葉のわさび和え」は、三つ葉の風味はあまり感じられませんでしたが、山葵の風味が心地良く、まずまずです。また、一緒に運ばれてきた「あさりと菜の花の煮びたし」は、浅蜊の味わいがなかなか良い感じで、これもまたまずまずです。


「今日の蕎麦前は軽く」と思っていましたが、さすがにもう少し腹に溜まるものをいただこうと思い、「鴨の合い焼き」と「清酒(菊正)」をお願いしたところ、愛想良く親しみやすい若い女の子の花番さんから、「温度どうしますか?」という一言が・・・。

お店がしっかりと教育しているのだろうと思いますが、とても自然なお酒の温度に関するやりとりに少々感動しながら、「ひや」でお願いします。

目の前に置かれた「清酒(菊正)」は、冷酒に近いよく冷えた瓶入りの菊正宗でしたが、「これで十分!」という安定した旨さがなんだかとっても嬉しい菊正宗でした。


「清酒(菊正)」と一緒にお願いした「鴨の合い焼き」は、甘辛のタレに包まれた、ボリューム感の感じられる食べ応えのある鴨焼きでした。


時間が早ければもう少し菊正宗をいただきたいところではありますが、今日は蕎麦前もほどほどに蕎麦をいただくことにします。

いただいた「せいろ」は低価格だったことから量が少ないのかな?と思えばそうでもなく、ごくごく普通にいただくことのできる喉越しの良い食べ易い蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打蕎麦・渡邊』さんは、新宿駅すぐ近くという場所にあるお蕎麦屋さんで、仕事を終えたビジネスマンのみならず、年配のご夫婦や一人で訪れているお客さんの姿が多く見られる、どんなお客さんにも対応できる中休みの無いお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『椿@京急川崎』さんの春夏の逸品「鴨ロースたたき」

2018-03-24 17:55:00 | 神奈川県(川崎市)

一人で夕食を取ることになった週末土曜日の夜。
所用で出掛けたその帰り道に、京浜急行電鉄・京急川崎駅から徒歩数分のところにある『蕎麦 酒肴 京鴨・椿』さんに立ち寄ってみました。

お店の前に立ち、扉に貼ってある貼り紙を見てみると、「夜の営業は居酒屋になるのでお蕎麦だけの注文は昼の部でお願いしております」とのこと。

その貼り紙を見て、もしかして混雑しているかな?と思いながら扉を開けてみると、先客はカウンター席に座っている男性客一人のみと閑散としており、好きなところにどうぞ!との案内をいただいたことから、2人掛けのテーブル席に着くことにしました。

席に着いて、早速メニューを広げてみると、お店の名前にも「鴨」という文字が付いている通り鴨料理が「おすすめ」のようなので季節限定料理の「鴨焼き」をいただいてみようかと思いましたが、残念ながら「4月から」とのことなので「鴨ロースたたき」をいただいてみることにし、併せて「酒肴三品盛」と生ビールをお願いします。


まずいただいた「酒肴三品盛」は、板わさ、玉子焼き、焼き味噌の盛り合わせで、2枚に見えたものの実は4枚だった蒲鉾のプリプリっとした弾力のある歯応えがなかなか好印象です。また、玉子焼の甘さ具合も程良く、満足感を感じることのできる三品盛でした。


続いていただいた「鴨ロースたたき」は、これもまた美味しく、もっと量が欲しいです。
なお、鴨に掛けられているソースそのものも美味しく、ソースを付けていただいたり付けずにいただいたりと、2種類の食べ方を楽しむことのできた「鴨ロースたたき」でした。


いただいたビールが小グラスだったということもあり簡単に無くなってしまったことから、日本酒をいただこうと思い再びメニューを開きますが、「これしかない!」という一本を既に決めていることから、迷うことも無く「春限定」と書かれている日本酒の中から、栃木県の地酒「<春限定>特別純米 生原酒 五百万石・四季桜」をお願いします。


目の前で一升瓶からグラスに「四季桜」が注がれている様子を何気なく眺めていると、「写真撮りますか?」とのこと。撮らせてもらうことはあってもお店の方から言われることはあまり無いように思いますが、聞いた話によると写真を撮る方が多く、よく言われるとのことでした。
まぁ、確かに写真を撮りたくなる品揃えではないかと思います。

ということで、その、栃木県産の五百万石100%で造られた「<春限定>特別純米 生原酒 五百万石・四季桜」をいただいてみると、安定した旨味とサッパリした爽やかな後味が感じられる切れの良い日本酒で、何も言うこと無く旨いです。


料理と「四季桜」の両方が無くなったため、「山独活の天婦羅」と、魚沼産という産地で選んだ新潟県魚沼の地酒「純米大吟醸 無調整生原酒 一本〆・高千代」をお願いします。


いただいた「純米大吟醸 無調整生原酒 一本〆・高千代」は、キリリとした口当たりと飲んだ後に感じる日本酒らしい旨味が絶妙な、満足度の高いかなり旨い日本酒でした。


美味しい日本酒と共にいただいた「山独活の天婦羅」は、素材の良さが伺える天婦羅で、しょっぱ過ぎないサラサラの塩に付けて美味しくいただきました。


このままずっと美味しい日本酒を飲み続けたいところではありますが、飲み過ぎてしまいそうなので、最後に「せいろ蕎麦」と「純米大吟醸 無調整生原酒 一本〆・高千代」をもう一杯だけいただいて、今日の蕎麦前と蕎麦を〆ました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦 酒肴 京鴨・椿』さんは、一見強面にも見えますがとても親しみ易い男性の花番さんの接客を受けながら、夜な夜な一人で美味しい鴨料理を肴に拘りの感じられる素晴らしいラインナップの日本酒をいただくことのできるお蕎麦屋さんでした。

そして、「蕎麦を食べるために訪れるならお昼にお願いしています」というその貼り紙に書かれていた言葉の意味が何となく理解できると共に、どうしてこのお店が週末の夜なのに空いているのか不思議に思ってしまう、そんなお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『とお山@日暮里』さんの美味しい自家製「とうふ」

2018-03-17 11:30:00 | 東京23区(荒川区)

JR山手線・日暮里駅から徒歩3分程度の所にある『手打蕎麦・とお山』さん。
お店を訪れたのは開店時間の11時半でしたが、地下にあるお店へと向かう階段近くにある内照式の電灯にはほんのりと柔らかい明かりが灯っていて、まるで、人目を避けてそっと隠れ家に潜り込んでいくといった様相です。


そして、階段を下りてお店の扉を開けてみると、「お客さんが来るのをずっとこうして待っていました!」と言わんばかりの姿で女の子の花番さんがこちらを真っ直ぐ見つめて立っています。

その様子に少々驚きながら、案内された2人掛けのテーブル席に着いてメニューを手にしてみると、定番の「一品料理」に加えて日付の入った「おしながき」が用意されていて、お店の雰囲気やメニューの内容から、お蕎麦屋さんというより普通の居酒屋といった感じです。


そんな、馴染みやすい落ち着いた雰囲気に心地も良く、更に天気も良い(地下なので感じませんが)ので春らしい料理をいただこうと思い、まずは、「菜の花おひたし」をいただくことにします。

また、「自家製」という文字に目が止まった「とうふ」が気になったので、おひたしと共に「とうふ」とグラスサイズの生ビールを一緒にお願いします。


最初にいただいた「菜の花おひたし」は、濃い緑色が印象的な一品で、柔らかい食感でありながらしっかりした歯応えも感じられ、添えられている辛子を軽く付けて美味しくいただきました。


次にいただいた自家製「とうふ」は、想像とは異なりカップに入ったひんやり冷えた豆腐で、スパっと切れ味のよい辛口醤油を垂らしていただくと、豆腐の旨味と茗荷の爽やかな風味が絶妙に絡み合った何とも言えない素晴らしい料理となる、とても美味しい自家製豆腐でした。


ビールが無くなったところで日本酒をいただこうと思い、なかなか見事な品揃えの地酒の中からオーソドックスな銘柄ではありますが、山形県の地酒「桜花吟醸・出羽桜」をお願いし、併せて、お店に入った時から最後にいただこうと決めていた「春野菜の天ぷら」をお願いします。


先にいただいた料理がいずれも素晴らしい料理であったことから、大きな期待を抱きながら待っていた「春野菜の天ぷら」は、見た目も豪華なあれこれ盛り込まれた嬉し過ぎる山菜の天婦羅盛り合わせで、中でも蕗の薹の春を感じさせてくれる程良い苦味が心地良く、高い満足感を感じることのできた「春野菜の天ぷら」でした。


入店早々は来店するお客さんも少なく、目立たない隠れ家のようなお店だからなのかな?と思いましたが、お昼近くになると「谷根千」の散策に訪れたお客さんなのか複数人数で訪れる年配女性のお客さんが増え、12時を過ぎるとさすがに満席に近い状態となりました。

そうなるといつまでものんびりしている訳にはいかなくなり、もう少しお酒をいただきたいという思いをグッと抑え、蕎麦をお願いすることにします。

いただいた蕎麦は季節の変わりそば「あおさ切り」で、辛目の蕎麦汁と共にサッパリした味わいを楽しませていただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打蕎麦・とお山』さんは、けして広いとは言えないコンパクトな造りのお蕎麦屋さんでしたが、木の温もりを感じることのできる落ち着いた雰囲気と若い花番さんのしっかりした心温まる接客に居心地の良さが感じられるお蕎麦屋さんでした。

また、料理と日本酒も充実しており、お蕎麦屋さんというよりも、親しみ易い行きつけの居酒屋といった印象を強く感じたお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『あららぎ@京成関谷』さんの充実した蕎麦の膳「せんじゅ」

2018-03-10 11:00:00 | 東京23区(足立区)

日頃訪れる機会の無い京成電鉄・京成高砂駅近くへ所用で出掛けたことから、京成電鉄沿線にある、お昼から蕎麦前を楽しめるお蕎麦屋さんに立ち寄ってみようと思い、京成関谷駅近くにある『蕎麦・あららぎ』さんの暖簾を潜ってみることにしました。

お店には、開店時間の11時丁度に到着しましたが、既に2組3人のお客さんが並んでいます。
そして、お店の入り口近くに立てられていたメニューを眺めながら開店を待っていると、開店時間を5分ほど過ぎたところで花番さんが店内から出てきて、店内へと案内されます。


開店と同時にお店に入ることができましたが、席に着く前に「時間がかかります」と言われ、更に席に着いてメニューが配られた際、今度は「料理は直ぐに出せない」と説明を受け・・・。
まぁ、時間はあるので構いませんが、いつもこのような状況なのでしょうか?。

ということで、待ち時間もあるようなので、時間をかけてメニューをじっくり眺め、「蕎麦の膳」という小箱に入った料理と天婦羅と蕎麦がセットになった「せんじゅ」という名前の膳と、単品料理の「鴨の合焼き」をお願いします。

また、いただいたことの無い日本酒がいくつかあったので、ビールはいただかずに石川県の地酒「純粋無垢特別純米酒・宗玄」(そうげん)を一緒にお願いします。


料理を待ちながら店内を見渡してみると、入口から店内奥に伸びる細長いフロアには2人掛けと4人掛けのテーブル席が5卓程並んでいて、けして広いとは言えない店内かもしれませんが、鉄道模型のレイアウトが飾られている明るくスッキリしたフロアで、なかなか心地良いです。


10分ほど経過したところで籠に入った猪口が運ばれてきて、使用する猪口を選んだところで後を追うように「純粋無垢特別純米酒・宗玄」が錫(かな?)製のチロリに入って登場です。


お通しの揚げ蕎麦をつまみながら、日本酒らしい旨味がしっかり感じられる「宗玄」をいただいていると、小箱に入った料理が目の前に置かれ、花番さんが一品一品料理の説明をしてくれます。

花番さんの説明が終わったところで早速焼き味噌をいただいてみると、香ばしい香りが食欲をそそってくれる、単品でいただきたい美味しい焼き味噌でした。また、かけ汁を使用しているという玉子焼は、これぞ玉子焼と言っても過言では無い、ほんのり甘い味わい豊かな玉子焼で、熱々でないことがとても残念です。


料理をいただき終えたところで「宗玄」が無くなったので、大阪府の地酒「生もと純米原酒・奥鹿」をいただいてみると、「宗玄」同様に旨味がしっかり感じられる日本酒で、美味しい美味しいと調子にのってグイグイいってしまうと簡単に酔ってしまいそうです。


旨味タップリの「奥鹿」と一緒にいただいた「鴨の合焼き」は、鴨らしさはあまり感じられなかったように思いますが、柔らかい食感の、空腹を満たしてくれる美味しい鴨肉でした。

なお、同時に入店した2組のお客さんには既に天婦羅が配膳され始めていましたが、鴨焼きをいただき始めたばかりなので、鴨焼きと天婦羅が重ならないよう気を使ってくれているようです。


鴨焼をいただき終えたタイミングで、蕎麦汁仕立ての天汁とピンクがかった岩塩が添えられた天婦羅3品が運ばれてきます。


いただいた天婦羅は衣も薄く、その美味しさに気分も良いので秋田県の地酒「純米大吟醸原酒・まんさくの花」を追加でお願いしますが、これがまたクリアな味わいで実に美味しいです。


天婦羅は、2回に分けて揚げたてを席まで運んでくれますが、2回目の天婦羅に入っていた海老のプリプリっとした食感がとても好印象で、納得の天婦羅でした。


絶妙のタイミングで運ばれてきた蕎麦は、程良いコシのあるやや太めの蕎麦でしたが、喉越しも良く食べ易い蕎麦でした。

また、美味しい日本酒をいただくことができたと一人満足感に浸っていると、最後にコーヒーゼリーがサービスされ、更に満足感を高めて本日の蕎麦前と蕎麦が終了となりました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦・あららぎ』さんは、お客さんごとに異なる料理の進み具合を、何気無くしっかりと見計らってくれていたり、お酒を追加しようと思い「すみません!」と声をかけただけでそれ以上言わなくてもお酒のメニューをスッと持ってきてくれたりする、一歩先を読んだ花番さんのそつの無い接客がなかなか好印象のお蕎麦屋さんでした。

更に、料理の品数こそ多くはないものの日本酒の品揃えも素晴らしく、まるで、旨味タップリの日本酒をいただきながら休日の昼下がりをのんびり過ごすために存在しているかのような、高い満足感を感じることのできたお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。