蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『津右衛門@蒲田』さんの炙りながらいただく「桜干し」

2017-01-27 19:20:00 | 東京23区(大田区)

羽田空港に降り立った金曜日の夜、出張の疲れを癒してから帰宅しようと思い、京浜急行電鉄・蒲田駅から徒歩数分のところにある『蕎麦・津右衛門』(つゑもん)さんに立ち寄ってみました。

お店に到着し、小さめながら温もりの感じられる和風の暖簾を潜ってみると、フロアに並べられている椅子やテーブルがお洒落で、一人一人にランチョンマットが用意されているなど、マンションの広告に出てきそうな和風モダンなリビングといった雰囲気が感じられます。


そして、店内一番奥の2人掛けテーブル席に着いてメニューを眺めていると、目の前に野沢菜(?)が置かれたので、お通しを兼ねた一品で、お酒を注文しなくてもいただけるのかと思いましたが、後で蕎麦味噌が差し出されたので、お通しを兼ねている訳では無く、訪れたお客さん全員に野沢菜が提供されるようです。


お店に到着したのが19時半前で、ラストオーダーまで45分ということなので、初めからお酒にして料理も時間の掛からない物で軽く・・・と考えましたが、「富山県氷見港より直送」という文字に目が止まってしまったことから、魚の味醂干しらしい「桜干し」と「鴨の南蛮焼」を、瓶ビールと一緒にお願いします。


蕎麦前の注文を終え、再びメニューをじっくり眺めていると、ご主人は信州出身の方なのか、蕎麦が戸隠産だったり、醤油が小諸で造られている物だったり、いただいた野沢菜が和田峠の麓の物だったりと、お酒や蕎麦を盛り付ける器も含め、信州産の物を使用しているようです。


「飛騨こんろであぶってお召し上がりいただきます」とメニューに説明書きされている通り、小さなコンロで炙られながら運ばれてきた「桜干し」は、シシャモ、イワシ、アジという3種類の味醂干しを自分で炙りながらいただく料理で、口の中が火傷だらけになりながらも止めることのできないとても美味しい味醂干しでした。

いや~、それにしても、「こんなに美味しい味醂干しが750円だなんて・・・」と、そのコストパフォーマンスの高さにも十分満足です。



純和風な雰囲気の「桜干し」」と打って変わって洋風な雰囲気の「鴨の南蛮焼」は、控えめな山椒の風味がなかなか心地良い、柔らかく食べ易い鴨焼きでした。


味醂干しをいただいている途中でビールが空になったことから、長野県の地酒をいただかないといけないかな?と思いながらも新潟県の地酒「純米吟醸酒・天神囃子」をいただいてしまいましたが、やや甘目の口当たりながらおとなしい旨味がとても美味しく、いくらでも飲めてしまいそうな日本酒でした。


料理もお酒も美味しく、もう少し蕎麦前を楽しみたいところではありますが、20時半の閉店時間も迫っていることから、おすすめメニューにある海老2本の「海老天せいろ」ではなく、海老1本の普通の「天せいろ」と天神囃子のおかわりをお願いします。


木曽檜で特別に作った箱に盛り付けられた戸隠産の蕎麦は、コシのある程良い歯応えの蕎麦で、出汁の効いた穏やかな辛汁に付けて美味しくいただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦・津右衛門』さんは、信州の物にこだわったお蕎麦屋さんではありましたが、いただいた富山県産の味醂干しにしても、新潟県の地酒にしても、その一つ一つに「良い物を・・・」という味に対するこだわりの感じられるお蕎麦屋さんでした。

そして、出張の疲れをそっと癒すことのできる、どうしてもっと早く足を運ばなかったのだろうか?と少々後悔ぎみに思ってしまった、心安らぐ大人のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『御清水庵清恵@日本橋』さんの福井づくしの蕎麦前

2017-01-19 17:45:00 | 東京23区(中央区)

出張先での仕事が順調に進み、予定より早く東京駅に帰着したことから、東京駅近くのお蕎麦屋さんに立ち寄ってみようと思い、東京メトロ銀座線・三越前駅直ぐ近くにある福井県の厳選食材と越前蕎麦をいただくことのできる『本手打ち越前そば・御清水庵清恵』(おしょうずあんきよえ)さんへと向かいましいた。

お店に到着したのは、そろそろ混雑が始まる頃かな?という18時少し前でしたが、先客は2名のサラリーマン1組のみと予想に反して閑散としています。そして、良かった!と思いながら一人であることを告げると、人当たりの良さそうなご主人から「19時半前までなら・・・」との一言が・・・。

どうやら、空いている席は予約で埋まっていて、19時半に来店するお客さんの席を来店するまで使わせてくれるとのことでした。まぁ、1時間半あれば十分であるため、ありがたく使わせていただくことにします。

指定された大きなテーブル席に着いて早速メニューを広げると、「本日のおすすめ」というページとは別に、「福井直送 酒の肴」というページがあり、今日はこれらの中から料理をいただいてみようと思います。

ということで、生ビールと一緒に「へしこ」と「ほたるいか三種盛」をお願いしますが、沖漬けが無く二種盛りになるとのこと。しかし、無いのが沖漬けならばそれ程大きな問題では無いことから、二種盛でお願いします。


まずいただいた、塩漬けにした鯖を更に糠漬けにした若狭地方の郷土料理「へしこ」は、臭みとしょっぱさが感じられますが、日本酒との相性が良さそうな美味しい一品でした。


沖漬けが無いことから一夜干しと黒作りの二種盛となってしまった「ほたるいか三種盛」は、一夜干しの温かさと程良い苦味がなかなか良い感じで、これもまたお酒がほしくなる美味しい肴でした。


「へしこ」も「ほたるいか三種盛」も日本酒がほしくなる料理であったことから、残ったビールを飲み干し日本酒のメニューを手にしてみると、予想通り福井県の地酒「黒龍」中心のラインナップではありましたが、何ら問題の無い充実した品揃えで、まずは「黒龍・いっちょらい」を常温でお願いします。


常温でいただいた「黒龍・いっちょらい」は、まろやかで丸い旨味がとても美味しくアッという間に空になってしまったことから、黒龍の「純吟」と福井直送の「昆布屋さんの昆布巻」を追加でお願いします。

鰊を昆布で巻いた「昆布屋さんの昆布巻」は、少々薄めの味付けかな?という印象ではありましたが、冷え具合も美味しく後味のサッパリした昆布巻きでした。


18時を過ぎてから予約のお客さんが徐々に集まり始めましたが、タイムリミットまではまだまだ十分に時間があることから、腹に溜まる料理をいただこうと思い「だしまき玉子」をお願いします。

出汁が滲み出ている「だしまき玉子」は、日本酒よりビールが似合いそうな、出汁の効いた甘くトロリとした味わいの玉子焼でした。


さて、そろそろ蕎麦をいただこうと思いますが、福井県の料理と地酒をいただいた後なので、迷うことも無く、「(越前)おろしそば」をお願いします。

いただいた「おろしそば」は、太めで腰が強く、鰹節と大根おろしに絡めていただいてみると口の中がヒリヒリするほどの辛さでしたが、クセになる止められない辛さで、とても美味しい「おろしそば」でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『本手打ち越前そば・御清水庵清恵』さんは、日本橋三越前直ぐ近くという立地条件の良さもあってか、仕事を終えたビジネスマンが集まり始める時間になると予約の電話も多数掛かって来るようになり、それまでの美味しい料理とお酒を静かにいただくことのできる店内が、居酒屋のような賑やかな雰囲気に変わるお蕎麦屋さんでした。

しかし、料理もお酒も食器(越前焼)も福井県の物に拘った、福井県の美味しい料理とお酒を楽しめることに変わりは無く、居酒屋のような明るく賑わう雰囲気の中にも満足感を感じるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『みぞれ@学芸大学』さんの郷土料理「さばのへしこ」

2017-01-15 14:15:00 |  東京23区(目黒区)

所用で朝から出掛けた日曜日、一度訪れてみたい思いながらも訪れたことの無いお蕎麦屋さんが何軒かある、東急東横線・学芸大学駅へと向かいました。

週末の昼時を過ぎた午後ということもあり、営業しているかどうか気になるため営業時間を確認しながらどこのお蕎麦屋さんで昼食をいただこうかあれこれ考えた結果、昼食には少々遅い14時となってしまったことから、駅に最も近い『おろしそば・みぞれ』さんでいただくことにしました。

お店に到着し、階段を登って2階にあるお店の扉を開けてみると、14時という昼時を大きく外した時間にも関わらず、お蕎麦屋さんとは思えないお洒落なフロアにゆったり配置されているテーブル席は家族連れや若い男女でほぼ埋まっていて、更にカウンター席でも年配の御夫婦が食事を取っているなど、14時過ぎという時間を踏まえるならば「賑わっている」といったところでしょうか?。


そんな状況の中、案内された2人掛けテーブル席に着いて早速メニューを広げてみると・・・。

カタカナ名の料理や創作料理が並んでいそうなお店の雰囲気ではありますが、お蕎麦屋さんらしい料理も並んでいるメニューで、一部の料理は「夜のみ」となっているものの多くは昼でもいただけるとのことなので、限られた時間ではありますが、「みぞれ風だし巻」と若狭地方の郷土料理「さばのへしこ」を肴に福井県の地酒「純米吟醸・花垣」をいただいて蕎麦前を楽しませていただくことにします。


まずいただいた「さばのへしこ」は、鯖に塩を振り掛けて塩漬けにし、更に糠漬けにした郷土料理で、これまで何度かいただいたことがありますが、これまでにいただいたへしこの中で一番生々しく、しっかり糠に漬かっているという印象の、とても美味しい「さばのへしこ」でした。


また、福井県の地酒「純米吟醸・花垣」は、控えめな華やかさと落ち着きのある味わいが美味しく、メニューに書かれている添え書きの通りずっと飲んでいられる日本酒でした。


次にいただいた「みぞれ風だし巻」は、切られていない塊状(?)になっている玉子焼であることから、フンワリしていない歯応えのしっかりしたオムレツという姿で、正直、目の前に置かれたときは「?」と思ってしまいましたが、いざいただいていると出汁がしっかり効いていて、甘い味わいのとても美味しい玉子焼でした。


さて、ラストオーダーの時間が近づいて来ていることから、「花垣」のおかわりと「かもせいろ」をお願いしようと思いますが、メニューを見ると「酒のアテに鴨を先につまむのも粋」との添え書きがあります。

ということで、「鴨せいろを鴨先で」という注文ができそうですが、残念ながら時間も無く、鴨と蕎麦とお酒を一緒にお願いします。


目の前に置かれた「かもせいろ」は、添え書きから想像した通り、酒のアテにできる鴨焼きとせいろの組み合わせで、蕎麦汁を付けなくても美味しくいただくことのできる細麺の蕎麦がなかなか美味しいです。

また、蕎麦汁はキリッとした辛さが強く印象に残る辛汁でしたが、ただ単に辛いだけではなく、旨味のしっかり感じられる美味しい蕎麦汁でした。

なお、酒のアテにもなると添え書きされている鴨焼きは、葱の甘さも鴨肉の美味しさも申し分無く、その添え書き通り酒のアテになる美味しい鴨焼きでした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『おろしそば・みぞれ』さんは、東急東横線・学芸大学駅近くという場所柄もあり、また、若い方が気軽に立ち寄ることのできる和風モダンな作りであったことから、席に着いた時はお洒落な雰囲気を重視した普通のお蕎麦屋さんかと思いましたが・・・。

いざ、蕎麦前と蕎麦をいただいてみると、いずれの料理も蕎麦も美味しく、何一つとして不満の無い立派なお蕎麦屋さんでした。そして、「鴨先でいただくかもせいろ」をいただかなかったことに悔いを残してしまった、改めてじっくり訪れたいお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『蕎上人@浅草・駒形』さんのちょっと贅沢な「鴨ロース焼」

2017-01-06 17:35:00 | 東京23区(台東区)

年明け早々仕事で東京都内へ出掛け、飲食店が混雑するには少々早い時間に仕事が終ったことから、一度訪れてみたいと思っていた、都営浅草線・浅草駅近くにある『駒形・蕎上人』(そばしょうにん)さんに立ち寄ってみることにしました。

お店に到着し、早速引き戸を開けてみると、4人掛けのテーブル席が2つと8人掛けのテーブル席が配置されているフロアと、数段の階段を登った所にテーブル席を見下ろせる、まるで低いロフトのような小上がりの座敷フロアがあるという、個性的な造りの店内が目の前に広がります。

そして、「座敷でもテーブル席でも、どちらでもどうぞ」との案内だったことから、その、楽しそうな(?)座敷フロアにしようかとも考えましたが、やはり楽に座れる椅子席に着くことにします。


席に着いてメニューを眺めながら何をいただこうか考えますが・・・。

人気も評判も高い蕎麦の名店であることから、お蕎麦屋さんらしい料理で蕎麦前を楽しませていただこうと思い、エビス生ビール(大グラス)と一緒に「板わさ」と「玉子焼」をお願いします。


料理の注文を終え、お正月の雰囲気がタップリ感じられる店内を見渡してみると、訪れた時間が早いということもあってか先客は女性2人組と1人で訪れている女性の計3名で、抜けた正月気分が戻ってきてしまいそうな憩いの一時を、一人静かにのんびり楽しむことができそうです。


まず目の前に置かれた「板わさ」は、噛むと反発してくるしっかりした弾力感(歯応え)に質の高さが感じられ、その歯応えとみずみずしい味わいがとても美味しいです。


続いて運ばれてきた「玉子焼」は、焦げ目も無く、三つ葉が透けて見える綺麗な玉子焼で、見るからに美味しそうです。そして、一口いただいてみると、フワフワでありながらも歯応えのある食感で、甘さ控えめながら丁寧さの感じられる美味しい玉子焼でした。


美味しい料理を気分良く楽しんでいると、先客の2組3名の女性が続けてお店を出てしまい、お正月らしい琴の音色が響く店内は貸切状態となってしまいました。

他にお客さんのいない貸切状況になると、それはそれで落ち着かないことも多々ありますが、名店でのんびりできるせっかくの機会でもあることから、もう少し蕎麦前を楽しませていただくことにします。

ということで、「エビス生ビール(大グラス)」のおかわりと、『選び抜かれた逸品「蔵王地鶏」を使った・・・』という張り紙に書かれた文字がずっと気になっていた、その「鴨ロース焼」をいただくことにします。

と、追加の料理をお願いしようと思い「すみませ~ん!」と、席から離れた厨房近くにいる花番さんに声を掛けると、ハイハイ何でしょう?と言わんばかりの笑顔を振り撒きながら小走りでやって来ます。

そんなに急がなくても大丈夫ですよ!と声を掛けたくなる感じですが、腰の低い人当たりの柔らかい花番さんで、心のこもった一生懸命さがとても好印象です。

追加でお願いした「鴨ロース焼」は、固形燃料を使用した小さな七輪(?)でいただくなかなか立派な姿であったことから、まずはじっくり写真に納めさせていただきます。


そして、一口いただいてみると・・・。

お~っ!!!。

旨味タップリの味わいとしっかりした歯応えに、いかにも「肉」を食べているということが感じられます。
また、葱のトロリとした甘さに素材の良さが感じられ、山椒が添えられましたが使用する必要の無い、美味しく食べ応えのあるちょっと贅沢な逸品でした。


さて、数々の美味しい料理をいただき満腹に近い状態ではありますが、やはり蕎麦をいただかない訳にはいかず、予め決めていた「五色そば」を予定通りいただくことにします。

いただいた「五色そば」は、せいろ、芥子切り、柚子切り、茶切り(茶そば)、田舎の五色で、全体的に「腰が強い」という印象です。また、変わり蕎麦は、いずれも素材の味と特長がしっかり前面に押し出されていて、特に、芥子切りは穀物を食べているかのような食感と味わいで、とても美味しい芥子切りでした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『駒形・蕎上人』さんは、風情漂うその外観から上品さと敷居の高さを感じてしまいましたが、いざ席に着いてみると、そつの無いしっかりした接客に名店であることが伺えるものの、思わず背筋が伸びてしまうような緊張感や堅苦しさを感じることは無く、清潔感漂う明るい店内で、静かに憩いの一時をゆったり過ごすことのできる、落ち着いた大人のお蕎麦屋さんでした。

なお、支払い時に「お年賀」の七味をいただきました。

ごちそうさまでした。