蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『さらしな総本店@中野駅北口』さんで春の食材を楽しむ

2016-03-21 11:00:00 | 東京23区(中野区)

所用で東京都心へと向かった3連休最終日、時間に余裕があったことから少し(大きく?)遠回りをして、JR中央線・中野駅から徒歩数分のところにある『手打ち蕎麦・さらしな総本店中野北口店』さんでまず昼食を取ることにしました。

お店に到着し、早速暖簾を潜ると、穏やかな笑顔の花番さんに気分良く迎えられ、カウンター席と2人掛けテーブル席が6卓ほど配置されている1階席に案内されます。

そして、入口近くの明るい2人掛けテーブル席に着いてメニューを開いてみると、山菜や筍といった春らしい食材を使った料理が目に付いたことから、今日は春を楽しむ蕎麦前にしようと思い、「菜の花のお浸し」と「若筍煮」と、「たらの芽の天婦羅」をお願いします。


開店時間の11時丁度に訪れたことから、それ程時間が掛からず最初の料理が運ばれてきましたが、最初に運ばれてきたのはすぐに出てくるだろうと思った「菜の花のお浸し」ではなく、時間が掛かるだろうと思っていた「たらの芽の天婦羅」でした。

天婦羅には塩と蕎麦汁仕立ての温かい天汁が用意されていたことから、塩でいただいたり、天汁でいただいたりとあれこれ楽しませていただきましたが、どちらでいただいても美味しい天婦羅でした。

また、今日は最初から日本酒をいただきましたが、いただいた新潟県の地酒「冷酒・雪蔵」は、日本酒らしい味わいをサッパリ味わうことのできる、まずまずの日本酒でした。


続いて運ばれて来た、器にタップリ盛られた「菜の花のお浸し」は、鰹節の風味とも相性が良く、春らしさの感じられるお浸しでした。


入口近くの席で、蕎麦前を楽しみながら続々と来店するお客さんの様子を見ていると、多くは2階席へ案内されていて、1階席は空席が目立つ状況です。中には自ら2階席を望んでいるかのように上がっていくお客さんも見られ、2階がどのようなフロアかは分かりませんが人気フロアのようです。

それにしても、そろそろ「若筍煮」が登場してもよい頃と思いますが、来ないです。
お酒も無くなってしまったし・・・。

ということで、気になる灘の地酒「凍結酒・生原酒(福寿)」という興味津々の日本酒を追加しようかと思いましたが、「冷酒・雪蔵」がなかなか美味しいので、おかわりをお願いして「若筍煮」を待つことにします。


もしかして、忘れられているのかな?とも思いましたが、おかわりの日本酒を追うように、朱色の器に入った「若筍煮」が目の前に置かれます。


どんな若筍煮なんだろうか?と期待が大きく膨らんだ「若筍煮」の蓋をそっと開けてみると、フワッと広がった白い湯気の奥にタップリ入った筍とワカメが見え、とても美味しそうです。

そして、どれどれと思いながらいただいてみると、柔らかい食感の筍と汁の優しく穏やかな味わいがとても美味しい、ホンワカ温かい嬉しさの感じられる「若筍煮」でした。


さて、美味しい料理とお酒に十分満足したところで蕎麦をお願いします。
お店の名前に「さらしな」という文字が付いていることからやはり更科にしようか、それとも四季の素材を盛り入れた三色そばにしようか迷いましたが、月変わりで提供される蕎麦(季節の変わり蕎麦)があり、3月は「草(よもぎ)切り」とのことなので、その「草切り」を単品でいただくことにしました。

二十四節季毎に季節の変わり蕎麦を変えているお蕎麦屋さんにはかなわないかもしれませんが、月変わりで季節の変わり蕎麦がいただけるのも、訪れる楽しみの一つになって良いと思います。


いただいた「草切り」は、ほんのり緑色の、ツルツルっと喉越し良くいただける蕎麦で、蕎麦汁は甘過ぎず辛過ぎずのバランスの良い蕎麦汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ち蕎麦・さらしな総本店中野北口店』さんは、お昼時ということもあってかお客さんが続々とやって来る人気店でした。

そして、席が3階まであることを考えると、同時に多くのお客さんの対応に当たっていて、多少のバタバタ状態が見られてもおかしく無い状況かと思いますが、料理に時間が掛かることも無く、終始好印象だった穏やかな花番さんの接客が雑になることも無く、「流石です」という印象のお蕎麦屋さんでした。

また、そんな好印象な雰囲気の中、春をしっかり満喫させてもらい、腹も気分も満復状態で気分良くお店を出ることができました。

ごちそうさまでした。


『吉仙@上野・御徒町』さんの「春の山菜天ぷら」

2016-03-19 14:40:00 | 東京23区(台東区)

朝から降り続いていた雨が上がったばかりの3連休初日の午後。
所用で東京都内へ出掛けたことから、久しぶりに都心のお蕎麦屋さんでのんびり遅い昼食をいただいてから帰宅しようと思い、以前から一度訪れて見たいと思っていたお蕎麦屋さんへ。

お店へ向かう途中で、「悪天候+ビジネス街にあるお蕎麦屋さん+午後14時=のんびり昼酒」という計算式を頭の中で描き、「今日は最初から日本酒だな」なんて思いながら扉を掛けると・・・。
「すみません、お蕎麦が無くなってしまいました。」とのこと。

う~ん・・・、ビジネス街なので土曜日は蕎麦を打つ量も少ないのかな?と残念に思いましたが、仕方の無いことなので、気を取り直して次のお店へ。

次に訪れたのは、JR京浜東北線・御徒町駅から徒歩数分の所にある『手打ちそば・吉仙』さんで、今度は「悪天候+午後14時半過ぎ+通し営業+本陣房系列=確実に昼酒可」という計算式を頭の中に描き、ここなら大丈夫だろうと思いながら地下1階にあるお店の扉を開けると・・・。

ジャズの流れる店内には、数組のお客さんが静かに蕎麦を食べていたりお酒を楽しんでいるのみで、何ら問題なく、2人掛けのテーブル席に案内されます。


席に着いて、まずは日本各地の地酒がズラリと並んでいる日本酒のメニューを眺めますが、その様子を見た花番さんが、別の「秋田のおすすめ酒」という秋田県の地酒が並んでいるメニューと「本日の御品書き」という料理のメニューを持ってきてくれます。いや~、流石です。


ということで、2つある日本酒のメニューをあれこれじっくり眺めた結果、一番飲みたいお酒は2杯目にすることとし、まずは飲んだこの無い秋田県山本郡の地酒「酒こまち純米吟醸・山本」をお願いします。


そして、料理は「本日の御品書き」から春を感じさせる「京都菜の花辛子あえ」と、毎年登場することを楽しみにしている「春の山菜天ぷら」をお願いします。


まずは、お通しを肴になみなみ注がれた秋田県の地酒「酒こまち純米吟醸・山本」をいただきますが、爽やかさと旨味のバランスも良く、スイスイと飲み進んでしまいアッという間に空になってしまいそうです。


少々時間が経過してから「京都菜の花辛子あえ」が運ばれて来ましたが、既に「酒こまち純米吟醸・山本」が空になっていたことから、お気に入りの日本酒、秋田県仙北郡の地酒「美郷錦純米吟醸・春霞」(生酒)を追加でお願いします。

いただいた「京都菜の花辛子あえ」は、辛さの抑えられた辛し和えでしたが、上品な口当たりと心地良い甘みを特長とする「美郷錦純米吟醸・春霞」との相性も良く、少々速いペースで「春霞」が飲み進んでしまいます。

それにしても、初めていただく「春霞」の緑ラベル。実に旨いです。


「京都菜の花辛子あえ」とサービスでいただいた甘海老を肴に「美郷錦純米吟醸・春霞」をいただいてしまったので、山菜の天婦羅が運ばれてきた時に「美郷錦純米吟醸・春霞」のおかわりをお願いします。

なお、京菜花やふきのとう、山うど、たらの芽などが具材に使われている「春の山菜天ぷら」は、時期が少し早いのか苦味も弱く、食べ易い天婦羅ではあったものの、個人的な好みで言わせていただくならもう少し苦味がほしいかな?という印象の、今年最初の山菜天婦羅でした。


さて、時間がもう少し早ければ、旬の料理「筍焼」と「春霞」をもう1杯いただいて春を満喫したいところではありますが、これ以上蕎麦前を楽しんでしまうと夕食に影響が出てしまうことから料理とお酒の追加は行わず、蕎麦をお願いすることにします。

いただいたのは季節の変わり蕎麦「ゆず切り」と「せいろもり」と「田舎もり」がいただける「三色もり」で、少し時間を空けながら3種類の蕎麦が順次運ばれてきました。


まず最初にいただいた「ゆず切り」は、歯応えも冷え具合も申し分無く、スッキリした辛口の蕎麦汁に付けても柚子の爽やかな香りが失われることのない、美味しい「ゆず切り」でした。


続いて「せいろもり」が運ばれてきます。


そして最後に「田舎もり」が運ばれてきます。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ちそば・吉仙』さんは、本陣坊系列のお蕎麦屋さんということで、お蕎麦屋さんでお酒をいただいているというよりも居酒屋でお蕎麦をいただいているという雰囲気のお蕎麦屋さんでしたが、だからと言って蕎麦がイマイチかというとけしてそのようなことは無く、香り、味わい、食感のどれを取っても何ら問題の無い蕎麦でした。

ごちそうさまでした。


『だんだん@等々力』さんの島根名産品のやき「板わさ」

2016-03-05 14:00:00 | 東京23区(世田谷区)

所用で出掛けた帰り道、お昼時を随分と過ぎていたことから、美味しいお酒でもいただきながらのんびり遅い昼食を取ろうと思い、東急電鉄大井町線・等々力駅から徒歩7~8分程度の所にある『蕎麦・だんだん』さんの暖簾を潜ってみることにしました。

お店に到着したのは昼下がり14時のマッタリした時間というこで、明るく清潔感漂う小奇麗な店内は閑散としていて、「すみません。お蕎麦が無くなってしまいました。」と言われそうな雰囲気ではありますが、そのようなことは無く、「こちらどうぞ!」とカウンター席ではなくテーブル席に案内されます。


勧められた2人掛けテーブル席について、差し出されたメニューを早速手にしてみると、蕎麦と料理のメニューの他に、カードケースになっている日本酒のメニューが添えられています。

これって、「どうぞ、飲んでいってくださいってことなのかな?」と都合の良いように解釈しながらそのメニューを見てみると、種類は多く無いものの、美味しそうな島根県のお酒が並んでいます。


ということで、お酒は島根県東出雲市の地酒「純米無濾過生原酒・王禄」をいただくこととし、料理は・・・。

料理のメニューには、「めのは」(カリカリに固くした乾燥ワカメ)と「板わさ」(のやき)という島根県の名産品が2品あり、両方いただこうかと思いましたが、「穴子の煮こごり」をいただきたかったので、島根県の名産品「板わさ」(のやき)と「穴子の煮こごり」(5個)をお願いすることにします。


口コミサイトの投稿記事によると、お店の名前である「だんだん」とは島根県の言葉で「ありがとう」を意味する言葉とのことで、今日は、島根県の言葉をお店の名前にしたお蕎麦屋さんで島根県の名産品を肴に島根県のお酒をいただくという、島根県づくしの蕎麦前となりました。


メニューをあれこれ眺めていると、まず島根県の名産品「板わさ」(のやき)が運ばれてきます。

ちなみに、この「のやき」(野焼き。煙と熱気を避けるために外で焼くこと)という料理ですが、全国有数の漁獲量を誇り、「島根県の魚」にも指定されているトビウオ(あご)の加工品(竹輪の練製品)として古くから作り伝えられてきた島根県の名産品「あご野焼き」(トビウオの野焼き)のことかと思いますが、「あご」という文字が付いていないので、別の魚の加工品なんでしょうか?。

そんなことをスマホで調べながらいただいてみると、淡白な味かもしれませんが、皮の硬い食感と弾力感の感じられる歯応えにしっかり丁寧に作られているということが感じられ、なかなか良い感じです。
それにしても、添えられている山葵が美味しく、それだけで酒の肴になる山葵でした。

また、いただいた島根県東出雲市の地酒「純米無濾過生原酒・王禄」は、スッキリした口当たりと、爽やかでありながらほんのり甘い旨味と余韻が心地良く、とても美味しいです。


3個または5個のどちらかを選択できる「穴子の煮こごり」は、大きな身がゼリー状に固められているのでは無く、細かく刻まれた穴子の身が詰め込まれていて、プルンプルンとした食感というよりアッサリした食感の、甘過ぎること無くいくらでも食べることのできそうな煮こごりでした。


さて、そろそろ料理が無くなろうとしていますが、なぜかお酒がまだまだ残っています。
確かに、メニューにはお酒の量が書かれていないことから量は分かりませんが、何となく1合以上あるように感じられます。

そのため、島根県の名産品「めのは」で残ったお酒をいただこうかと思いましたが、貸切状態の静かなお店で一人過ごしていると、「中休みは無いけど、お客さんが途切れたら中休み取ろうかな?」という状況なのかな?なんてついつい考えてしまい、結局、料理は追加せず「鴨せいろ」をお願いすることにします。

「鴨せいろ」をお願いすると、まず、薬味と七味(?)が運ばれてきて、続いて鴨汁が目の前に置かれましたが、鴨汁から漂う香りがとても美味しく感じられ、期待が高まります。

そして、蕎麦が運ばれて来たところでまず鴨汁を一口をいただいてみると、脂っぽさの感じられないサッパリした味わいながら、鴨の旨味がしっかり感じられる上品な鴨汁でした。また、蕎麦は腰のある細麺で、喉越しも良く食べ応えのある蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦・だんだん』さんは、若い御夫婦がこじんまりと営んでいる、サッパリした接客に気持ち良さの感じられるお蕎麦屋さんでした。

また、食器に拘りがあるのか、どっしりした鴨汁の器が、使っているだけで気分の良くなる器だったり、食器の扱いや整理の仕方が丁寧かつしっかりしているなど、そんなところにも好印象な要素がちりばめられている、心地良い一時を過ごすことのできるお蕎麦屋さんでした。

う~ん、やはり島根県の名産品「めのは」をいただきながらもうしばらく憩いの一時を過ごさせていただけば良かったかな?と、良い意味で後悔の残ったお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。