蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『恒@浅草吾妻橋』さんの絶品「自家製・さつまあげ」

2018-06-22 13:40:00 | 東京23区(墨田区)

所用で休暇を取得した週末金曜日の午後、東京メトロ銀座線・浅草駅から隅田川を渡った直ぐ近くにある『石臼挽き手打・恒』さんの暖簾を潜ってみました。

お店に到着したのが13時半過ぎということもあり、4人程度が座れるカウンター席と2人掛けテーブル席が4つ程度並んでいる店内には一人でお酒をいただいている女性のお客さんのみと閑散としていましたが、下町らしい温かさの感じられる雰囲気がなかなか良い感じです。

そして、店内一番奥のテーブル席に着いて早速メニューを手にしてみると、とてもお蕎麦屋さんのメニューとは思えない見事な日本酒の品揃えです。


ということで、初めから日本酒をいただいても良かったのですが、暑くて汗がダラダラとながれていたことから、とりあえず瓶ビール(中瓶)をお願いし、肴には、迷うメニューの中から「梅肉・サメ軟骨」と「自家製・さつまあげ」をお願いします。


まずいただいた「梅肉・サメ軟骨」は、梅の酸っぱさも適当で、コリコリプチプチの食感とサッパリした味わいが好印象な、汗の流れる暑い日には最適な一品でした。


続いていただいた「自家製・さつまあげ」は・・・。

フワフワでありながら程良い歯応えの感じられるさつま揚げで、醤油も生姜も付けずにそのままでいただくのが一番美味しと感じられる、素晴らしい「自家製・さつまあげ」でした。

いや~、絶品です。


瓶ビールが無くなったので日本酒をお願いしようと思いますが、「稀少酒」が並ぶ日本酒の品揃えが素晴らしいことから、あれこれいただけるよう半合でいただくこととし、まず、滋賀県の地酒「特別純米 超辛口無ろ過生・萩の露」をお願いします。

また、好物でもあるハツの、それも食べたことの無い牛ハツがメニューにあったことから、「牛ハツ炙り焼」を早目にお願いします。


いただいた「特別純米・萩の露」は、「超辛口」という文字が付いていたものの辛さはおとなしく、ほんのりと旨味の感じられる穏やかな特別純米酒でした。


「牛ハツ炙り焼」が運ばれてくる前に「特別純米・萩の露」が無くなったので、佐賀県の地酒「特別純米・鍋島」を同じく半合でお願いすると、「今日は表が品切れで裏しかない」とのこと。

日本酒の「裏」とは、酒を搾る工程の最後の方で搾られる日本酒で、一般的には雑味が出やすく「杜氏が遊んでいる酒」と言われているなかなか味わうことのできない日本酒です。

なお、「裏鍋島」があること自体すごいと思っていると、「うちでは普通で他にもある」とのことなので改めて日本酒のメニューを眺めてみると、確かに数種類の「裏」が並んでいます。

さて、「裏か・・・」と思いながらいただいた「純米吟醸生酒・鍋島」は、吟醸酒ではあるものの旨味は控えめで、爽やかで切れ味の良いまずまずの日本酒でした。


「純米吟醸生酒・鍋島」を追って運ばれてきた「牛ハツ炙り焼」は、しっかりした歯応えのとても美味しい一品で、運ばれてきた時、「塩わさびで・・・」とのことでしたが、何も付けずにそのままいただくだけでも十分美味しくいただけるように思います。


まだまだ料理もお酒もいただいていたいところではありますが、残念ながらラストオーダーの時間となってしまったことから、「江戸前・穴子天ぷら」と「外一蕎麦」をお願いし、併せて、お気に入りの日本酒でもある福島県の地酒「特別純米・飛露喜」を半号ではなく1合でお願いします。


太麺(田舎?)と細麺の選択で細麺をお願いした蕎麦は、蕎麦前をあれこれいただいた後にいただくには少々量が多いかな?と思える量でしたが、まろやかで旨味のある蕎麦汁と共に美味しくいただきました。

また、江戸前の「穴子てんぷら」は、サクッとした軽い食感で、穴子自体もフンワリしていて上品な天婦羅という印象の、美味しい穴子天婦羅でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『石臼挽き手打・恒』さんは、あれもこれもいただきたいと思ってしまう、日本酒の品揃えがとても素晴らしいお蕎麦屋さんでした。

また、初対面とは思えない、いかにも下町のおばちゃんらしい気さくで親しみやすい花番さんの接客も心地良く、更に、訪れているお客さんがみな知り合いなのか、楽しく会話をしているその下町らしい雰囲気に心が癒される、人情味あふれる心温まるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『朴仙@押上』さんのしっかりした食感の「青豆とうふ」

2018-05-30 17:35:00 | 東京23区(墨田区)

東京都心での仕事が予定よりも早く終わったため、自宅とは反対方向へ少し足を延ばして、東武鉄道&都営浅草線・押上駅から徒歩3分程度のところにある『手打ち蕎麦・朴仙』さんの暖簾を潜ってみることにしました。

お店に到着したのは17時半を少し過ぎた時間でしたが、雨の影響もあってか綺麗で落ち着いた店内に先客の姿は無く、そっと静かに仕事の疲れを癒すことができそうな雰囲気です。


そして、案内された店内一番奥の席に着いてメニューに手を伸ばしてみると、一品料理のメニューには「蕎麦屋の肴」と「夜のおつまみ」の2種類があり、驚くような料理は無いのかもしれませんが、仕事帰りに一人で蕎麦前を楽しむには十分な品揃えです。


2つのメニューを眺めながらあれこれ迷った結果、どちらのメニューにも書かれている「青豆とうふ」と、夜のおつまみに書かれていた「自家製さつま揚」を瓶ビールと一緒にお願いします。


まずいただいた「青豆とうふ」は、箸でつまんでも崩れることの無いギュッと凝縮された豆腐で、しっかりした食感とほんのり感じる甘味がなかなか美味しいです。


次にいただいた「自家製さつま揚」は、フワフワで柔らかく、それでいて中はしっとりとしているとても美味しい「自家製さつま揚」でした。


美味しい料理に気分も良くなったところで「樽酒」をお願いします。


樽酒をお願いすると、まず升と粗塩が目の前に置かれ、追って片口から升に日本酒が注がれます。
表面張力で膨れた樽酒を、こぼさないようにそっと口を付けていただいてみると、升から香る木の香りが心地良く、美味しい地酒もありましたが「これで十分!」と思える納得の樽酒でした。


BGMも無く、他にお客さんの姿も無い静かな店内で女性の花番さんと二人だけという状況に緊張感を感じてしまったものの、それでも気分の良さに料理とお酒は進み、今頃になってから「板わさ」をお願いするのは少々イマイチかな?とも思いましたが、日本酒に合う軽い肴がほしかったので「板わさ」をお願いします。


居心地の良さに満足感を感じていると、お酒と料理の両方がそろって無くなったため、もう少し蕎麦前を楽しませていただこうと思い、山形県の地酒「吟醸・出羽桜<桜花>」と「野菜の天ぷら」を追加でお願いします。

ピチピチピチピチと聞こえてくる天婦羅を揚げる音と、ほのかに香る油の香りに「これは旨そうだ!」と大きな期待を寄せた「野菜の天ぷら」は、2人でいただくことを前提としているのか5品の野菜が2つずつあり、食べ応え十分な野菜の天婦羅盛り合わせでした。


蕎麦前の料理をあれこれいただいたため、腹具合は満腹に近い状態でしたが、最後に「せいろもり」をお願いします。

いただいた「せいろもり」の蕎麦汁は、辛口ではあるものの出汁の旨味がしっかり感じられ美味しいです。また、蕎麦はまろやかな味わいで、喉越し良く食べ易い蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ち蕎麦・朴仙』さんは、外観こそ、常連さん達が毎日ように集まりみんなでワイワイガヤガヤと楽しい一時を賑やかに過ごしている下町の食堂にも見えましたが、いざ店内に入ってみると、清潔感の感じられる綺麗なフロアと静かで落ち着いた雰囲気に心地良さを感じることのできるお蕎麦屋さんでした。

また、お店の雰囲気のみならず、若いのにしっかりしている花番さんの接客も好印象だし、ご主人は訪れた時も帰る時も厨房から心のこもった元気な声で挨拶してくれるし・・・、と、一人で憩いの一時を気分良く過ごすのできるとても居心地の良いお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『吾妻橋やぶそば@浅草』さんの「わさび芋」

2013-08-30 23:47:51 | 東京23区(墨田区)

今日は社会人ラグビー「トップリーグ」の開幕日で、青山にある秩父宮ラグビー場で開幕試合が行われます。
試合は19時キックオフなので、仕事が終わり次第急いで移動すれば試合開始にはギリギリ間に合いそうですが、開幕日は開場時間(17時)に試合会場へ行きたいし、おまけに開幕カードが応援しているチームの試合ということもあり、休暇を取ることしました。

ということで、中途半端な時間に遅い昼食を取ってから試合会場へと向います。
そして昼食を取るお店(お蕎麦屋さん)ですが、折角の平日なので、「平日しか営業していないお店」または「土日に営業はしているものの常に混雑しているので平日に訪れたいお店」、という条件であれこれ検討した結果、浅草の駒形橋を渡って直ぐのところにある『吾妻橋やぶそば』さんへ行ってみることにしました。

ちなみに、「駒形橋」を渡った所にあるお蕎麦屋さんなのに、お店の名前に「吾妻橋」と付いているのは、以前は「吾妻橋」で営業していて、その後「駒形橋」に移転したことによるものらしいです。

さて、都営浅草線・浅草駅から東京スカイツリーを眺めながら隅田川に架かる駒形橋を渡ると、こじんまりとした静かな佇まいのお店が目の前に現れます。「営業中」の札が掛かっていることを確認し、「藪そば」のお店独特の看板(?)と外観の写真を撮らせて頂いてから、予定よりやや早く14時少し前に暖簾をくぐります。

「14時前だとまだまだお客さんも多いかな?。」と思いながらお店に入ると、新聞を読むなど1人静かに過しているお客さん2名とお酒(日本酒)を飲みながら楽しい一時を過している大人な男女1組が昼下がりのお蕎麦屋さんを楽しんでいるのみで、全体的にのんびりした雰囲気が漂っています。

「(空いていて)良かった!。」と思いながら2人掛けのテーブル席について早速メニューに目を向けます。
メニューを見ると、蕎麦も料理もお酒もけして多いとは言えない品数で、丼物などはありませんが、お蕎麦屋さんらしいメニューで、「これがお蕎麦屋さんのメニューだよな~。」と一人勝手に納得してしまうメニューです。


今日は、その「お蕎麦屋さんらしいメニュー」の中から、瓶ビールの大(中は無いのかな?)と、お蕎麦屋さんの定番料理「わさび芋」、藪蕎麦のお店では珍しい(?)「玉子焼」、そして「あい焼」をお願いします。

料理を待っている間に店内を見渡すと、小さなお店ではありますがゆったりしたテーブル配置で、シンプルかつサッパリした雰囲気です。また、テーブルの上にはメニューしかなく七味も醤油も爪楊枝もありませんが、それがまたサッパリした良い雰囲気を演出しているようにも思います。


そんなことを思っていると、「わさび芋」が瓶ビールと一緒に運ばれてきます。
「並木藪蕎麦」さんでいただいてからすっかりお気に入りの一品になってしまった「わさび芋」を、まずは醤油を入れずにいただいてみると、「そうそう、これこれ。」と思ってしまう弾力とネットリ感が何とも言えず美味しいです。
次に醤油を少々垂らしていただいてみると、醤油が良いアクセントになってこれまた美味しいです。

で、ここまでは良かったのですが、この後、出された醤油を全て掛けてしまい、「うっ!、(醤油が)多い。」と思った時は既に手遅れで、折角の美味しい芋がおもいっきり醤油味となってしまいました。お蕎麦屋さんでいただく芋はそれだけで十分美味しいので、味にアクセントを付ける程度の醤油で十分と思います。


次に運ばれてきたのは「あい焼」(鴨肉とネギ)で、荒塩と七味が一緒に運ばれてきます。
「荒塩か・・・。」と興味津々ではありますが、まずはそのままいただいてみると、鴨肉の柔らかさがとても良い感じです。そして「荒塩」を付けていただいてみると、「なるほど、こりゃいいや。」と納得の美味しさです。
七味については、まぁ、予想できる味わいといったところでしょうか。


そして大小2種類ある「玉子焼」。
今回は「小」(小さい方)をお願いしましたが、運ばれてきた「玉子焼」は2人で食べても十分な大きさです。また、「玉子焼」は切られておらず、そのままかぶりつきたくなる塊になっています。
なお、味は明確な甘口で、優しさの感じられる昔懐かしい「玉子焼」です。


今日の瓶ビールは大瓶でしたが、陽気も暑いことからゴクゴクいってしまい、料理がまだまだ残っているのに空いてしまいました。「時間もあるし、今日はもう1本ビールをもらおうかな?。」とも思いましたが、折角、藪蕎麦の素晴らしいお蕎麦屋さんに来ているので、ここはやはり菊正宗をいただくことにします。

とは言え、やはり暑さが厳しいので常温ではなく冷えた菊正宗があるか聞いてみたところ、「ありますよ。」とのことなので、その「冷えた菊正宗」と「わさび漬」を追加でお願いします。

呑みきりサイズの冷酒(瓶)ではなく白い徳利で運ばれてきた「冷えた菊正宗」は、冷え具合も程良く、美味しい「わさび漬」と、まだ食べ終えていないお通しの柔らかい「蕎麦味噌」と一緒に美味しくいただきました。


さて、時間は十分にありますが、そろそろ蕎麦をいただこうと思います。
ここ『吾妻橋やぶそば』さんでは、「もりそば」も「玉子焼」同様サイズが選べるようになっていて、大中小の3つのサイズから蕎麦の量を選べるようになっています。

実際の量を見ないと何とも言えませんが、インターネット上でも「小で十分」という書き込みが多くあり、また、価格からも「小」が普通盛りと思われることから「もりそば(小)」をお願いします。

そして、見た感じ普通盛りの「もりそば(小)」が運ばれてきます。
いつものようにまず蕎麦汁をなめてみると、「うっ!、辛い。」と感じる蕎麦汁で、「並木藪蕎麦」さんの辛さに比べたらまだまだですが、「池の端藪蕎麦」さんや「かんだやぶそば」さんに比べると辛いです。
まぁ、「藪」なので「これぞ藪!」といったところでしょうか?。

また、麺はしっかりした歯応えの感じられるツルツルの細麺で、何の抵抗感も違和感も感じること無く、更には辛い蕎麦汁の辛さを感じることも無くスルスルっと喉を通り過ぎていく美味しい蕎麦です。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『吾妻橋やぶそば』さんは、女将さん(?)のキビキビとしながらもおおらかで落ち着きのある接客が好印象で、清潔感の感じられるお店の雰囲気と併せて気持ちよく蕎麦前と蕎麦をいただくことの出来るお蕎麦屋さんでした。

また、料理にしても蕎麦にしても特別な物は何一つとして無い、ごくごく普通の、ごくごく当たり前のお蕎麦屋さんで、「そう、これがお蕎麦屋さんだよね。」という、基本に帰ることの出来る素晴らしいお蕎麦屋さんでした。

そして、気分良く「秩父宮ラグビー場」へと向うことができました。
ごちそうさまでした。


『蕎肆・穂乃香@両国』さんのおすすめ「鴨吟醸」

2013-02-15 23:54:47 | 東京23区(墨田区)

東京での仕事を終え、JR両国駅から傘を差しながら歩いて向った『蕎肆・穂乃香』(きょうし・ほのか)さん。

落ち着きと静けさの感じられる店構えで、傘を差している夜ということもあって、暖簾は下がっているものの普通に歩いているとお店があることに気付かず通り過ぎてしまいそうです。

お店に到着し、暖簾をくぐったのは開店直後の17:45頃でしたが先客は無く、「こちらどうぞ!。」と花のある清潔感漂う明るいカウンター席に案内されます。
静かな店内には音楽が流れ、お客さんがいつ訪れてもよいように紙のランチョンマットと箸が既に準備されていて、お蕎麦屋さんというよりは「お洒落な和風ダイニング」といった雰囲気です。

更には、フロアで接客に当たっている店員さんも気さくな若い女性で、仕事帰りの女性が一人でフラッと立ち寄って美味しい肴をつまみながら日本酒を傾けることのできるお店ではないかと思います。


そんな、お蕎麦屋さんとは思えないお洒落なお店のカウンター席に着いて、ウィスキーのロックでも注文したい雰囲気の中、まずは生ビールをお願いします。

そしてビールを待っている間に料理を選びますが・・・。
お店のメニューは、まず料理とお酒が別の冊子(メニュー)になっていて、料理メニューの一品料理のページを開きますが、「蕎麦屋ならではの肴」(定番料理)、「馳走」(こだわりの肴)、「あらかると」と大きく3つのカテゴリに分かれていて、更には「本日のおすすめ」まであって何をいただこうか迷ってしまいます。
それも、単に品数が多いだけでは無く、どれも美味しそうなそそる料理ばかりです。

しばし時間を掛けてあれこれ迷いましたが、「だし巻き玉子」(蕎麦屋ならではの肴)、「江戸千住葱のぬた」(あらかると)、「鴨吟醸」(本日のおすすめ)の3品をお願いします。なお、メニューには書かれていませんでしたが、「だし巻き玉子はハーフサイズにできますが・・・。」とのことでしたのでハーフサイズでお願いします。

まずはお通し(チーズ&酒盗)を食べる間も無く運ばれてきた「江戸千住葱のぬた」。
小鉢で登場かと思いましたが、葱の他にワカメやタコなども含まれていて思いのほか量が多く、蕎麦の実(?)が振り掛けられています。その「江戸千住葱のぬた」は冷え具合も程良く、葱の歯応えとぬたみその甘辛加減がいい感じで美味しいです。


続いて、写真を撮ったりメニューを眺めたりしているうちに運ばれてきた「だし巻き玉子」。
ハーフサイズをお願いしましたが、大きめの玉子焼が4切れあり、酒の肴としては十分な量です。

その「だし巻き玉子」ですが、大根おろしを付けずにそのままでいただくと、油を多目に使用しているのかな?という印象ではありますが、出汁の効いた控えめな甘さと程好い食感が美味しいです。


「だし巻き玉子」をいただいている間にビールが無くなったので料理とは別冊子になっている分厚いお酒のメニューを開きます。最初、「お酒のメニューがなんでこんなに厚いんだろう?。」と思いましたが、開いてみると、日本酒の品揃えがマニアックかつ豊富で、1銘柄毎に1ページを使用して丁寧に説明が書かれています。

今回は、そんな豊富な品揃えの中から、まず島根県の地酒「純米生原酒・蛍舟」を冷でいただきます。
自分で選んだ猪口でいただいた「純米生原酒・蛍舟」は、辛口(+7)の日本酒ではありますが、まろやかな味わいの感じられる優しい喉越しで、料理をつまみながらゆったりした気分でいただくことの出来る日本酒です。


最初の「江戸千住葱のぬた」がまだ残っている状態ではありますが、残る「鴨吟醸」が運ばれてきたので日本酒をいただきながら早速いただいてみます。この「鴨吟醸」も量が多く、食べ始めたばかりですが、過去考えたことも無かった「蕎麦どうしよう?。(腹に入るかな?)」という心配が頭をよぎります。

そういえば、『穂乃香』さんでは「小さいせいろ」、「小さい辛味おろし」、「小さいかけ」、「小さい玉子とじ」、そして「小さい柚子切り」と、小さい蕎麦のメニューが充実しています。

過去、お酒を楽しんだお客さんが締めにいただくために「小盛り(さくら)」のせいろを用意しているお店を見掛けたことはありますが、これほど「小盛り」が充実しているお店は初めてです。最初は「?」と思いましたが、蕎麦前が進むにつれ、その存在とありがたさがなんとなく理解できたように思います。

なお、『穂乃香』さんで量が多いのは料理だけではなくお酒も何となく多いように思います。
柔らかい「鴨吟醸」とまだ食べ切らない最初の「江戸千住葱のぬた」を食べながら「純米生原酒・蛍舟」をいただいていますが、飲んでも飲んでも無くなりません。当初予定では、週末の金曜日ということもあり、お店が混雑していなければ日本酒を2銘柄いただく予定(もう一つは秋田の「春霞・純米」と決めていたんですが・・・。)でしたが、「純米生原酒・蛍舟」だけで十分な量です。


「鴨吟醸」と最後まで食べていた「江戸千住葱のぬた」が食べ終わったところで予想通り腹八分を少し超えた状態となり、「どうしよう?。小さい蕎麦か?。」なんて思いましたが、蕎麦を食べない訳には行かないし、「小さい蕎麦」ではそのお店の「普通」が分らなくなってしまうので、ここはやはり普通に「せいろ」をお願いします。

そして「せいろ」をお願いしたところで、熱い蕎麦茶が運ばれてきました。
多くの場合、お店に入って席に着いた時点で蕎麦茶が出され、最後が蕎麦湯で終わるので蕎麦茶はそれでおしまいになるケースが多いですが、そうすると、飲み物の順序が「飲まない熱い蕎麦茶、お酒、冷えた蕎麦茶、蕎麦湯」となります。しかし、ここ『穂乃香』さんでは最初に「何かお飲みになりますか?。」と聞かれ、お酒をお願いすると蕎麦茶は出てこないので、「お酒、熱い蕎麦茶、蕎麦湯、(温くなった蕎麦茶)」という順序となり、熱い蕎麦茶が蕎麦前と蕎麦を区切ってくれるので気持ちも新たに蕎麦をいただくことが出来るように思います。

「料理とお酒の品揃えといい、蕎麦茶を出してくれるタイミングといい、酒飲みを満足させてくれる嬉しい蕎麦屋だ!。」なんて個人的な印象を勝手に描きながら待っていると、「せいろ」が二段重ねで運ばれてきました。

「蕎麦汁はやや辛めかな?。」という印象ですが、艶のある、出汁の効いたしっかりした蕎麦汁で、腰のある蕎麦を美味しくいただくことができました。
そして最後に蕎麦湯をいただき、美味しい夕食が終了となりました。

ごちそうさまでした。