蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『吉田屋@旧東海道・立会川』さんの甘い「玉子焼」

2017-05-12 17:30:00 | 東京23区(品川区)

東京都内での仕事が予定より早く終わったことから、旧東海道・立会川にある創業安政3年の老舗『蕎麦処・吉田屋』さんに立ち寄ってみることにしました。

お店は、京浜急行電鉄・立会川駅から徒歩5分程度のところにあって、老舗らしさを感じる落ち着いた店構えではありますが、周囲の雰囲気に違和感なく溶け込んでいるように思います。

そして、気持ちが引き締まるキリっとした暖簾をそっと潜ってみると・・・。

17時半という、混雑するには少々早いかな?という時間ながら予約席を含めるとほぼほぼ埋まっているようで、一瞬「満席」という2文字が頭をよぎりましたが、運良く2人掛けのテーブル席が空いていたことから、待つことも無く席に着くことができました。

席に着いて、お蕎麦屋さんらしい料理が並ぶメニューを相手にあれこれ悩んだ結果、生ビール(中グラス)と一緒に、「玉子焼」と「馬刺し」をいただくことにします。


老舗・吉田屋さんの玉子焼ってどんな味わいなんだろうか?と興味津々でいただいた「玉子焼」は、見た目も美しく、フンワリした食感も素晴らしいです。また、甘過ぎるかな?と思ってしまう程甘い味わいの玉子焼でしたが、高い満足感を得ることのできるかなり美味しい玉子焼でした。


美味しい「玉子焼」をいただきながら改めてメニュー眺めていたとこら、「こちらもどうぞ」と、花番さんから「皐月の一品」という季節料理のメニューが差し出されます。

「なんだ、季節の料理があるのか・・・。なんだ、鰹があるじゃないか!」と残念に思いながらふと裏側を見てみると、テーブルの上に置かれていた季節のお蕎麦を紹介したメニューで、なんだ、裏もあったのか!って感じです。


1900円という価格に迷ったものの、きっと美味しいだろうと予想してお願いした「馬刺し」は、ツヤのある綺麗な赤身で、臭みなど全く無くなかなか美味しいです。


ということで、いただいた料理がいずれも美味しかったことから、季節の料理もいただいてみようと思い、生ビール(小グラス)と「蛍烏賊燻製」を追加でお願いします。

自家製の粒辛子マヨネーズが添えられた、これまた庭っで作っている(らしい)自家製の「蛍烏賊燻製」は、一匹箸でつまんで鼻に近づけてみると、燻製らしい香がとても香ばしく美味しそうです。

そして、いざいただいてみると、中身は「生」のように柔らかく、「新鮮さの感じられる燻製」といった感じの2種類の美味しさを楽しめる一品でした。


さて、最後に「もり」をいただいて今日の蕎麦前と蕎麦を〆ようと思いましたが、天婦羅もいただいてみたくなり、「桜えびのかき揚げそば」をお願いすることにします。

いただいた蕎麦は香りが良く、旨味の感じられる辛汁で美味しくいただきました。また、桜えびのかき揚げはもちろんのこと、添えられていたワサビも申し分なく、気分良く今日の蕎麦前と蕎麦を終えることができました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦処・吉田屋』さんは、落ち着きの中にも活気の感じられる雰囲気の中、数々の美味し料理をいただくことのできる大人のお蕎麦屋さんでした。

また、テーブルに醤油が垂れていたら何気なくサッと拭いてくれたり、写真を撮っていたら「お写真好きなんですか?」と声掛けられるなど、パタパタと忙しく動き回る花番さんのかゆい所に手が届く親しみやすい接客がとても好印象で、ぜひ夫婦でのんびり訪れたいお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『千寿竹やぶ@北千住』さんの「千寿葱と鴨の相焼き」

2017-05-02 11:30:00 | 東京23区(足立区)

毎年、一人で過ごすゴールデンウィーク期間中の「平日」。
昨年と一昨年は、その連休中の平日を使って谷根千にあるお蕎麦屋さんを何軒か訪れてみましたが、今年は複数のお蕎麦屋さんを巡ることはせず、一度訪れてみたいと思っていた、北千住にある『手打蕎麦切・千寿竹やぶ』さんをピンポイントで訪れてみることにしました。

お店は、JR常磐線・北千住駅からのんびり歩いて17分程度のところにありますが、「静かな町中にあるのだろう」という予想に反して、国道4号線の大きな交差点近くにあって「こんなところに・・・」と少々驚きです。

そして、開店待ちの列ができるのではないだろうか?と思い開店20分前に到着するようお店に向かいましたが、開店前に訪れたお客さんはおらず、開店と同時に、1人のお客さんにとっては何とも過ごし易そうなこじんまりとした4人掛けカウンター席に案内されます。

席に着いて、まずは飲み物を選ぼうと思い「飲み物リスト」というお酒のメニューを開いてみると・・・。
「本日の酒」というメニューがあり、「在庫の中から一本づつ栓を抜き売り切れたら次の酒の栓を抜く」というルールで、「その日によって出会えるお酒は異り、どの酒に出会えるかは運しだい」という楽しそうなメニューがありましたが、まずは「利き酒三種」をいただいて、その後、次のお酒をどうするか考えることにします。


お酒をお願いしたところで、今度は料理を選びます。
料理は、冊子になっているメニューもありましたが、目の前に吊り下げられている小さな黒板に書かれていた季節料理の中から、迷いに迷った結果、「たけのこ・土佐煮」と「ウドの芽・天ぷら」&「ホタルイカ・天ぷら」をお願いすることにします。


料理をお願いし、そろそろお酒が出てくる頃かな?と思いましたが、出てきません。

席に着いて直ぐに出された揚げ蕎麦をポリポリとつまみ始めましたが、出てきません。

それ程混雑していないのに・・・と思いながらひたすら待ちますが、出てきません。

とうとう、お酒より先に「たけのこ・土佐煮」が運ばれてきましたが、それでも出てきません。

運ばれてきた筍からは湯気が出ていて暖かいうちにいただきたいところではありますが、美味しい料理はやはりお酒と一緒にいただきたいので、立ち上る湯気を眺めながらお酒を待っていると、筍から出ている湯気がほぼ出なくなったところで、ようやく、形の異なる猪口に注がれた三種類のお酒が運ばれてきます。

今回いただいた「利き酒三種」は、特別純米酒「田酒」(青森)、山廃純米「雪の茅舎」(秋田)、「神亀」(埼玉)の三銘柄で、穏やかな旨味たっぷりの「田酒」が一番好みに合っていたように思います。


さほど待つことも無く、盛り合わせで運ばれて来た「ウドの芽・天ぷら」と「ホタルイカ・天ぷら」は、薄っすらした衣で軽く揚げられており、程よい苦味がなかなか美味しい満足度の高い天婦羅でした。


いただいた料理はいずれも美味しくなかなかの満足感ではありますが、やや軽めのボリューム感であったことから、もう一品ボリューム感のある料理をいただこうと思い、「蕎麦屋の肉料理」から秋冬限定の「千寿葱と鴨の相焼き」を追加でお願いすることにします。

また、お酒も丁度無くなったのでお願いしようと思いますが・・・。
「席を御立ちになって酒蔵を覗くのがおすすめです」とメニューに書かれていたことから、店内中央にある酒蔵(冷蔵庫)を見させていただき、いただいた記憶の無い、福岡県の地酒「無濾過生特別純米雄町・繁桝」(しげます)を一緒にお願いします。


追加でいただいた「千寿葱と鴨の相焼き」は、想像とは異なる相焼きで、卵は必要なんだろうか?と思いましたがコクと旨味の感じられるしっかりした卵で、ほんのり感じられる山椒の風味と甘辛具合も程良く、葱の焦げ目が気にはなってしまうものの、とても美味しい鴨の相焼きでした。

また、一緒にいただいた「繁桝」は、明確な旨味が感じられる美味しい特別純米酒でした。


さて、予想に反して昼時を迎えてもそれほど混雑している様子は感じられなかったことから、もう少し蕎麦前をいただこうかと思いましたが、いつまでも飲み続けてしまいそうなので蕎麦をいただくことにします。

蕎麦をいただくために再びメニューを開いてみると、蕎麦は「十割」、「粗挽き」、「田舎」の3種類があり、どれをいただこうか迷ってしまいますが、いずれも「半もり」が用意されていたことから、順番はお任せで、三種類全てを半もりでいただくこととし、併せて、「利き酒三種」にあった「田酒」を一緒にお願いします。


初めにいただいた栃木在来種の蕎麦で打った「十割」は、柔らかめの歯応えではありましたが、蕎麦の香りが感じられる美味しい十割蕎麦でした。


続いていただいたのは、ジャキジャキした食感(?)に、いかにも穀物を食べているということが感じられる田舎蕎麦でした。それにしても、薬味の葱がとても美味しいです。


そして最後に、汁なしで提供された「粗挽き」を、味わい深く旨味のある蕎麦汁でいただき、今日の蕎麦前と蕎麦が終了となりました。


蕎麦を食べ終え、久しぶりに味わうトロトロのポタージュ系蕎麦湯をいただいていると「塩プリン」が提供されましたが、「塩」を感じさせることは無く、口の中に蜜の甘味がしっかり残る甘~いプリンでした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいただいた『手打蕎麦切・千寿竹やぶ』さんは、少々敷居が高く硬い雰囲気かと思いましたが、ご主人の料理に対する前向きな姿勢と意気込みの感じられる美味しい料理とお酒をのんびりいただくことのできるお蕎麦屋さんで、お蕎麦をいただきに来たお客さんにも、蕎麦前を楽しみたいお客さんにも余裕を持ってしっかり対応出来る、家の近くにあると嬉しい町のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。