蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『満留賀@幸町・川崎』さんの柔らかい「そばの薩摩揚げ」

2015-09-26 16:45:00 | 神奈川県(川崎市)

京浜急行電鉄・京急川崎駅から徒歩10分程度の所にある『石臼挽き蕎麦・満留賀』さん。

平日は中休みがあるようですが、土曜日は中休みが無いことから、一人で夕食を取ることになった土曜日の夕方、暖簾を潜ってみました。

お店に到着したのが、夕食には少し早い17時前ということもあってか清潔感の漂う店内は閑散としており、「お好きなところにどうぞ!」との案内だったことから、入口近くの窓際4人掛けテーブル席に着きます。


席に着いて、早速メニューに目を向けると、丁寧に書かれたそのメニューから、何をいただいても美味しそうな雰囲気が感じられます。そして、そんなメニューの中から、直ぐに出て来ると思われる「山葵菜のおひたし」と、どんな薩摩揚げなんだろうか?と興味を引かれた「そばの薩摩揚げ」をお願いします。


まずいただいた「山葵菜のおひたし」は、しっとりとした柔らかい食感で、ピリリと感じる辛さがなかなか良い感じで、申し分の無い冷え具合の生ビール「熟撰」を、より美味しくしてくれます。


興味津々でお願いした「そばの薩摩揚げ」は、外はカリカリで中はフワフワという、たこ焼きの様でもありがんもどきを焼いたような感じでもあり・・・、といった想像とは異なる食感の料理でした。また、味については何と表現したら良いのか迷ってしまいますが、メニューに「これを食べなきゃ帰れない!」と説明書きされているその言葉通りの、かなり美味い薩摩揚げでした。


ビールが無くなったところで冷酒でもいただこうかと思い再びメニューを広げましたが、どうしよう?と迷ってしまうお酒のメニューだったことから、ぜひ一度、お蕎麦屋さんでいただいてみたいと思いながらも一度も飲んだことの無い「(蕎麦)焼酎のそば湯割り」をこの機会に飲んでみることにしました。

いただいた蕎麦焼酎の蕎麦湯割りは、期待したトロミのある「ポタージュ系蕎麦湯で作った蕎麦焼酎の蕎麦湯割り」ではなく、サラリとした普通のお湯割りに近い状態で、少々残念ではありましたがとても美味しい蕎麦焼酎で、これはこれで満足させてくれました。

と、そんなことを思いながら飲んでいると、最後にトロミがでてきました。
どうやらトロミが沈んでいたようです。箸で掻き回しながら飲まなければならなかったのか・・・。


「そばの薩摩揚げ」がなかなか好印象だったことから、もう少し料理をいただこうと思い、蕎麦汁で煮込んだ「そば屋の牛すじ煮」を追加でお願いします。

いただいた牛すじ煮は、蕎麦汁で煮込んでいるとのことですが、蕎麦汁の味わいは感じられませんでした。
しかし、甘辛い味付けの、柔らかく美味しい煮込みで、板そばを絡めて一緒に煮込んでいるという、なかなか面白い料理でした。


さて、最後にいただく蕎麦ですが、こちらの『石臼挽き蕎麦・満留賀』さんは、全国で提供できるお蕎麦屋さんが現在15店舗しかないという、商標登録されている「きざみ鴨せいろ」をいただくことのできるお蕎麦屋さんであることから、その「きざみ鴨せいろ」をいただいてみることにしました。

いただいた「きざみ鴨せいろ」は、蒸篭2段に盛られている二八の蕎麦を、刻んだ鴨肉の入った鴨汁でいただく蕎麦ですが、鴨汁は手で持つことが出来ない程の熱さで、更には、小さな器に刻んだ鴨肉がタップリと入っていることから蕎麦を入れ難く、少々食べ難いという印象をどうしても抱いてしまいますが、鴨の旨味をしっかり味わうことの出来るとても美味しい鴨汁でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『石臼挽き蕎麦・満留賀』さんは、場所柄もあって、平日の日中はビジネスマンで混雑するのか、平日の昼営業時間帯は蕎麦前不可のお蕎麦屋さんではありますが、中休みの無い土曜日は、清潔感漂う気持ちの良い店内で、特長ある美味しい料理をいただきながらのんびりした一時を一人静かに過ごすことのできるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『大黒屋@山梨・猿橋』さんの「鮎うるか・三種盛」

2015-09-20 10:15:00 | 山梨県

所用で山梨県の都留市へ向かうその途中、日本三奇橋のひとつ「猿橋」に立ち寄り、昼食には少々早い時間ではありましたがその「猿橋」のすぐ目の前にある『大黒屋』さんで蕎麦をいただくことにしました。

お店には、開店直後の10時少し過ぎに到着しましたが、時間が早いこともあって先客の姿は無く、また、時間にも余裕があることからビールでも飲みながらのんびり出来る状況ではありましたが、車で訪れていることからノンアルコールで「鮎うるか・三種盛」と馬肉の竜田揚げが付いた「忠治そば」をお願いします。


いただいた「鮎うるか」は、鮎の内臓のみを塩漬けにした「にがうるか」と鮎の身と内臓を塩漬けにした「身うるか」、更に落ち鮎の真子、白子の塩漬けである「子うるか」という3種類のうるかが楽しめる盛り合わせになっていて、いずれのうるかも苦味が美味しく、中でもサンマのはらわたのような苦味の「にがうるか」(写真左端)は苦いと感じながらも箸の止まらない美味しさで、熱燗が欲しくなってしまいます。


馬肉の竜田揚げが付いた「忠治そば」は、ツルツルっとした喉越しの良い蕎麦で、やや蕎麦汁が甘いかな?という印象でしたが、歯応えの良いまずまずの蕎麦でした。

また、肉団子のように丸くした馬肉の立田揚げは、揚げているということもあってか馬肉の味わいは感じられませんでしたが、柔らかい食感の、ビールが欲しくなってしまう美味しい竜田揚げでした。


今日、蕎麦をいただいた『大黒屋』さんは、国定忠治も宿泊したことのある旅館だったとのことで、1階にはテーブル席、座敷席の他に土産コーナーもあるというかなり広いフロアのお蕎麦屋さん(?)でした。

そして、鮎の塩焼きや自家製こんにゃくなどの料理もメニューに並んでいて、紅葉シーズンにハイキングでもしながら、ちょっと一休みして喉の渇きを潤すには丁度良いお店ではないかと思います。

ごちそうさまでした。


『泰明庵@銀座』さんのじっくり煮込まれた「黒むつ煮」

2015-09-18 16:45:00 | 東京23区(中央区)

過去、何度か足を運んでいるものの、訪れるのが毎回週末ということもあってかいつも混雑していて、結局一度も暖簾を潜ることのできていない銀座『泰明庵』さん。

その『泰明庵』さんに、所用があって休暇を取得した小雨ぱらつく平日の夕方に訪れてみると、店内は数組のお客さんがお酒を飲んだり蕎麦を食べたりしていましいたが、それほど混雑しておらず、相席になることもなく1人で4人掛けのテーブル席に着くことができました。

いつもなら、席に着いて「早速メニューを広げて・・・」となりますが、こちらの『泰明庵』さんは使い込まれたテーブルにメニューは置かれておらず、所狭しと壁に貼られている短冊状のお品書きの中から料理とお酒、そして蕎麦を選びます。

「さて、何をいただこうか?」と思いながらとりあえず銘柄(メーカー)を選ぶことのできる瓶ビールをお願いすると、今日は刺身と厚岸の牡蠣が美味しいと年配の花番さんから勧められますが、生ものはパスさせていただき、「みょうが天」と「黒むつ煮」をお願いすることにします。

それにしても驚きの品数で、料理を選ぶだけでも大変な作業です。
ということで、ホッと一息ついて、改めてお願いした料理を振り返ってみると、いずれも時間の掛かる料理であることに気付いたため、直ぐに出てきそうな「豆苗ひたし」を追加でお願いします。


さほど待つことも無く「豆苗ひたし」が目の前に置かれましたが、併せて、テーブルの端に置かれている醤油をサッと差し出してくれます。そんな何気ない心づかいに気分を良くしながら「豆苗ひたし」をいただいてみると、家のキッチンにも置かれている豆苗ではありますが、シャキシャキっとしながらもしっとりした食感がなかなか良い感じで美味いです。


しばらくして「みょうが天」が運ばれてきましたが、注文時に「お塩で食べますか?。」と聞かれて「塩で食べます。」と答えたので天汁は出てきませんでしたが、今度は「醤油でもどうぞ。」と一言添えられて、手を伸ばせば取ることができる位置に置かれている塩と醤油をサッと近くに差し出してくれます。

料理が運ばれてきた時に、「醤油でどうぞ」とか「塩でどうそ」とかの一言が添えられることは普通にありますが、テーブルの上に置かれているそれらを取ってスッと目の前に置いてくれるなんて、簡単な何気ない動きではありますが、なかなか嬉しく感じてしまいます。

さて、その「みょうが天」ですが、適当な苦みと温かさがとても好印象で、もう少し食べたいかな?と思ってしまう美味しい天婦羅でした。


「黒むつ煮」が運ばれて来る前にビールが無くなったので、料理同様壁に貼られている日本酒のお品書きの中から「辛口・出羽桜」をお願いします。

そして、小皿の上に乗せたコップになみなみと注がれた「辛口・出羽桜」を一口すすったところで「黒むつ煮」が運ばれてきましたが、「スプーン、あった方が良いですね。」と、小皿に取り分けた身にタレを掛けるための小さなスプーンを持ってきてくれます。いや~、ホント、かゆい所に手が届く心づかいが素晴らしいです。

なお、いただいた黒ムツは、注文してから煮付けるため少々調理に時間を要しましたが、身はもちろん柔らかく、スッキリ爽やかな喉越しでありながら旨味が感じられる出羽桜と一緒に美味しくいただきました。


ポツポツとお客さんの出入りが見られるものの、混雑するまでにはもう少し時間がありそうですが、この後予定があることから蕎麦をいただくことにします。

いただいたのは「鴨せいろ」で、焦げ目の付いた鴨肉とやや甘目で旨味の感じられる鴨汁が美味いです。
また、蕎麦はごくごく普通の蕎麦という印象ですが、歯応えも喉越しも良く、ツルツルっと気分良くいただくことのできる食べ易い蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『泰明庵』さんは、銀座にある老舗のお蕎麦屋さんではありますが、堅苦しく気取った雰囲気は全く感じられず、若い女性が2人で芋焼酎のグラスを傾けているなどお客さん個々が思い思いの時間を楽しく過ごしているという印象の、下町風情溢れる町のお蕎麦屋さんでした。

また、お蕎麦屋さんの定番料理はもちろんのこと種類豊富な一品料理の品揃えと、花番さんの何気ない心づかいが嬉しく、いつ来ても満席に近い状態であることが納得できるお蕎麦屋さんでした。

ちなみに、日本酒も黒ムツも価格が明示されていませんでしたが、これだけ飲み食いしても驚くような価格ではなく、逆に「安い!」と感じた支払いでした。

ごちそうさまでした。


『長寿庵@銀座』さんの鰻が暖かい「うなぎの山かけ」

2015-09-03 17:55:00 | 東京23区(中央区)

仕事で都内を訪れる機会が少なくなったことから、併せて、平日夜営業の時間に都内のお蕎麦屋さんを訪れることもめっきり少なくなってしまいました。

ということで、久しぶりに都内で仕事を終えた小雨ぱらつく平日の夜、銀座一丁目(東京都中央区)にある老舗蕎麦屋『銀座長寿庵』さんの暖簾を潜ってみました。

お店に到着したのは18時前で、そろそろ仕事を終えたビジネスマンが集まり出す時間かな?と思いましたが、先客は馴染みのお客さんらしい年配男性2人組のみで閑散としており、また、2人掛けテーブル席が無い(?)こともあって、4人掛けのテーブル席を一人でゆったり広々と使わせていただくことにします。


席について早速メニューを広げてみると、蕎麦の種類が豊富なのはもちろんのこと、一品料理も、お蕎麦屋さんならではの料理に加えて築地市場の刺身や焼き物、そして揚げ物、煮物、サラダ、季節の肴と続き、更に店内の壁にお品書きの張り紙が貼られているなど、何をいただこうか迷ってしまうほどの品数です。

そんな、豊富な一品料理の中からあれこれ悩んだ結果、「海鮮巣ごもり」と、壁に貼られていたお品書きの中から「うなぎの山かけ」をいただくことにします。


まず運ばれてきたのは蕎麦汁が添えられた「うなぎの山かけ」で、どれどれと思いながら器の中に目を向けてみると、ほほ~、なるほど美味しそうです。

で、まず鰻を一切れいただいてみると、ほんのり温かいです。また、山芋も程良いネットリ感でなかなか美味しいです。次に蕎麦汁を掛けてからいただいてみましたが、掛けた蕎麦汁の量が多かったのか、蕎麦汁の味が目立ってしまい、鰻も山芋も美味しいので蕎麦汁は少なめに掛けるのが良いようです。


さて、「うなぎの山かけ」をいただいている途中でビールが無くなってしまったので、日本酒をいただこうと思い再びメニューを広げますが、日本酒はメニューの他に銘柄が書かれた短冊状の紙が壁にも貼られていて、その両方を交互に眺めながら「生酒」にしようか「樽酒」にしようか迷い、最終的には山形県の地酒「特別純米辛口樽酒・住吉」をいただくことにしました。

それにしても・・・。
銘柄を見る限り驚くような価格の日本酒は無いと思われますが、価格表示の無い日本酒を選ぶのってチョットドキドキかもしれません。そういえば、「うなぎの山かけ」っていくらなんだろうか?。


コップから溢れ枡の中までタップリ注がれた「住吉」を一口ズルズルッといただいたところで楽しみにしていた「海鮮巣ごもり」が運ばれてきましたが、予想を超える量(大きさ)で、これを食べた後に蕎麦を食べることが出来るのだろうか?と少々不安な気持ちを抱きながら食べ始めてみると・・・。

日本酒よりビールの方が似合いそうな料理でしたが、なかなか美味しく、思いのほか減りが早いです。
なお、辛子とお酢が添えられていましたが、この料理もそのままで十分かな?といった感じでした。

いただいた山形県の地酒「特別純米辛口樽酒・住吉」は、もう少し冷たい方が良いかな?という印象ではありましたが、辛口でありながらしっかりした旨みの感じられるまずまずの日本酒でした。


完食したら満腹になってしまい、蕎麦を食べることができないかな?と思った「巣ごもり蕎麦」でしたが、いざ食べ終えてみると腹八分目ながら蕎麦なら食べることの出来る腹具合だったことから、国産鴨肉を使った「元祖・鴨せいろ」をいただくことにします。

さほど待つことも無く登場したボリューム感タップリの「鴨せいろ」は、出汁の旨味がしっかり感じられる温かい鴨汁がとても味しいです。また、北海道江丹別町産の蕎麦は、箸でつまんで持ち上げても蕎麦の端が出てこない程長い蕎麦で、少々手繰り難い印象はありましたがツルツルっと食べ易い細麺でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『銀座長寿庵』さんは、創業昭和10年の「元祖鴨せいろ」のお店とされているお蕎麦屋さんであり、4つの会派からなる「長寿庵」という暖簾の頂点に立つお蕎麦屋さんの一軒でもありますが、男性の花番さんにも「以前どこかでお会いしました?。」と思ってしまうような、まるで居酒屋の店員さんのような馴染み易さが感じられるなど、老舗でありながら敷居の高さを感じることのない、仕事帰りに一人でフラリと立ち寄って「ちょっと一杯」いただきくなるご町のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。