蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『布屋太兵衛麻布総本店』さんの温まる「そば湯豆腐」

2013-03-30 23:57:26 | 東京23区(港区)

麻布十番には、老舗蕎麦屋の「総本家更科堀井」さんや同じく老舗蕎麦屋の「布屋太兵衛 麻布総本店」さんに加えて以前訪れた「麻布永坂 更科本店」さんなど更科蕎麦のお店が集っています。
そして、真冬のような寒さとなった3月最後の土曜日、その麻布十番のお蕎麦屋さんで遅い昼食(蕎麦前&更科蕎麦)をいただきました。

今回、蕎麦前と蕎麦をいただいたのは、寛政元年(1789年)に初代布屋太兵衛という方が江戸麻布永坂に「信州更科蕎麦処 布屋太兵衛」の看板を掲げたのが店の始まりという老舗の『布屋太兵衛 麻布総本店』さんで、身近なところにも支店がいくつかあるお蕎麦屋さんです。

お店に到着したのがお昼時を大きく過ぎた15時過ぎということもあってか、お店の扉を開けて一歩店内に入ると、目の前に空席も目立つゆったりとした清潔感漂うフロアが広がり、花番さんに案内されて1人で広々としたテーブルの4人席に着きます。

早速メニューを広げ、一品料理のページを眺めながら店内を見回すとお酒を飲んでいる方が少なく、普通にお蕎麦をいただいている方が目に付きます。「そうなんだ・・・。」と思いましたが、気にせず瓶ビール(複数の種類からエビスを選択)と一緒に「玉子焼」と温かい「そば湯豆腐」をお願いします。

まず、ビールを一口飲んでホッと一息ついていると、「玉子焼」が驚くほど早く運ばれてきます。
目の前に置かれた「玉子焼」は色ムラの無い綺麗な黄色で、更にはまるで機械で作ったかのような四角く細長い「玉子焼」で、登場する早さと併せて「作り置きかな?。」と思ってしまいましたが、いただいてみるとやや甘目の美味しい「玉子焼」で満足させてくれる一品です。

また、運ばれてきた「玉子焼」には大根おろしが添えられていましたが、既にタレ(?)の掛けられている大根おろしで、「玉子焼」に乗せずにそれだけを食べても十分美味しいです。なお、「玉子焼」と一緒に食べてみましたが・・・。「玉子焼」は「玉子焼」、大根おろしは大根おろしで別々に食べた方が良いように思います。


「玉子焼」をいただきながらメニューなどを眺めていたら、総本店限定食材「鮪の酒盗」という単品の別メニューを見つけました。「きっと湯豆腐は時間が掛かるだろう。」と思い、直ぐに出てくることを確認してお願いしたところ、酒盗の注文とすれ違いに「そば湯豆腐」が運ばれてきてしまいました。
まぁ、「鮪の酒盗」は冷める訳でも無いのでいいか・・・。

ということで、温かいうちに食べたい「そば湯豆腐」を先にいただきます。
まずは汁(味ポン?)を少しだけ付けていただいてみると、美味しいです!。
いや~、この豆腐(そば豆腐?)、めちゃくちゃ美味しいです。
結局、汁はほとんど使用せず、薬味も使用せず、温かい豆腐を美味しくいただきました。


そしてようやく順番が回ってきた「鮪の酒盗」。
いや~、これも美味しいです。日本酒をいただいてしまおうかな?。お店も空いているし・・・。
で、お酒のメニューを見て見ると、正直微妙なラインナップですが、飲んだことの無い兵庫県の地酒「本醸造・黒松白鷹」という日本酒があったのでいただいてみることにしました。

常温でいただいた「本醸造・黒松白鷹」は日本酒度+5.5と好みの辛さ具合で、「鮪の酒盗」と一緒に美味しくいただきました。


さて、そろそろお蕎麦。
更科蕎麦のお店に来たからにはやはり「御前そば」(更科蕎麦)をいただきます。

『布屋太兵衛』(総本店に限らず)さんの特長は、蕎麦に「あま汁」と「から汁」の2種類の汁が付いてくることで、まず「あま汁」をなめてみると、砂糖の甘さなのか個人的には少々甘過ぎるように思います。
次に「から汁」。馴染みのあるしっくり来る汁といったところでしょうか?。
なお、口コミサイトなどを見てみると、2週類の汁を好みに調合していただいている記事を見かけますが、今日は調合せず「から汁」だけでいただくことにします。

その「から汁」でいただいた「御前そば」は、硬さも適当で、サッパリしていて食感がとても良いです。そして、見た目の印象よりも蕎麦の量は多いように感じられ、食べ応え十分という感じです。


蕎麦も食べ終わり、最後に2種類の蕎麦汁で蕎麦湯をいただき、遅い昼食が終了となりました。

今日は15時過ぎの訪問ということもあって、お客さんの少ないお店で美味しい料理をいただきながらのんびりさせていただきました。

また、今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『布屋太兵衛 麻布総本店』さんは一品料理と蕎麦が美味しいのはもちろんのこと、蕎麦をいただく時に「おてもと換えましょう。」と言って箸を換えてくれるなど、心温まる接客の花番さんが心地良い空間を作ってくれていて、ホッと一息つける居心地の良いお店でした。

そんな居心地の良い雰囲気もあって、ついつい長居(気が付いたら1時間経過していました。)をしてしまいましたが、美味しい一時を過させていただきました。

いや~、それにしてもホントに美味しい「そば湯豆腐」でした。

ごちそうさまでした。


『蕎菜@横浜・伊勢佐木町』さんの「だるまいか」

2013-03-23 23:16:27 | 横浜市(中区)

休前日の仕事帰り、憩いの一時を求めて京浜急行電鉄・日ノ出町駅から徒歩10分程度の所にある『そば処・蕎菜』(きょうさい)さんへと向いました。

なお、口コミサイトの情報によると、お店の名前に使用している『蕎菜』という言葉は、中国語で「蕎麦と肴」という意味とのことで、美味しい蕎麦と蕎麦前(肴)が期待できそうです。

さて、花見客で混雑している大岡川を渡り、人通りの多い伊勢佐木モールを超えて静かに佇んでいるお店の前に立つと、ガラス扉から店内の様子を伺うことができ、幸いにも空いていてゆったり席に着けそうです。

早速扉を開けて店内に入ると、入り口からまっすぐ奥に向って延びている、厨房と向かい合っているカウンター席6席しか見えず、思っていた以上に狭いという印象です。(他に4人程度が座れるテーブル個室が1つあります。)

そして、常連さんらしいお客さん1人のみが座っているカウンター席に座り、メニューを広げます。
メニューは冊子とカードケースの2つで、日本酒とお勧め&季節料理がカードケースになっていて、定番料理が冊子になっているようです。

居酒屋の雰囲気が感じられる、達筆で書かれたお勧め料理のメニューを見ると、あれもこれも食べたいと思ってしまう品揃えで、どれにしようか悩んでしまいますが、今回はその中から口コミサイトでよく見かける「だるまいか」(さしみ)と、「浅蜊・ほうれん草芥子和え」と「あすぱら天」を瓶ビールと一緒にお願いします。


待つことも無く運ばれてきた瓶ビールは「赤星」で、これだけで十分気分が良いです。
そして、お通しは鯛の身(?)が入った小鉢で立派な一品です。

「赤星」とお通しの写真を撮っていると「浅蜊・ほうれん草芥子和え」がカウンタ越しに差し出され、続いて「だるまいか」が登場してしまいました。少々スピードを上げてビールと料理をいただき、「浅蜊・ほうれん草芥子和え」をいただいた時点で日本酒をお願いすることにしました。


お酒のメニューを見ると、飲んだことの無い日本酒ばかりで、料理同様どれにしようか迷ってしまいますが、個人的に馴染みの薄い九州(大分)の地酒「辛口純米・豊潤」をお願いします。

新鮮でねっとりした食感の「だるまいか」は、素材そのものの白さが美しく、盛り付けも綺麗で美味しいです。
見て良し食べて良しの一品ってとこでしょうか?。


写真を撮りながらのんびりいただいていることもあって「だるまいか」が食べ終わらないうちに「あすぱら天」が並んでしまいましたが、味が混ざらないように一品ずついただきたいので、「だるまいか」を食べ終えてから「あすぱら天」を荒塩でいただきます。

そして一緒にいただいた九州(大分)の地酒「辛口純米・豊潤」ですが、けして悪くはありませんが個人的な好みとは「ちょっと違う・・・。」という印象だったことからさっさと飲み干し、「あすぱら天」をいただいている途中で山形の地酒「純米・惣邑」(そうむら)に切り替えます。


お願いした料理が出尽くしたのにお酒が残っているという、食べ過ぎるパターンになりつつあることを認識しながら、気になって仕方の無かった「針魚(サヨリ)・のれそれ・ほたるいか盛り合わせ」を追加でお願いします。
爽やかな皿に盛り付けられた「針魚・のれそれ・ほたるいか盛り合わせ」は、「だるまいか」同様綺麗に盛り付けられていて、春らしい雰囲気の一品です。

なお、小さな器に盛り付けられている「のれそれ」ですが、早春の2月に最盛期を迎えるアナゴの稚魚のことで、高知で呼ばれている名前です。あまりいただく機会のない「のれそれ」ですが、透き通った葉っぱの形(?)をしていて、その容姿のごとく淡白ではありますが、粘膜状の食感と喉越しがなかなか良い感じです。


と、「針魚・のれそれ・ほたるいか盛り合わせ」をいただいている最中に「純米・惣邑」がなくなってしまいました。
今度は先程とは逆に、お酒が無くなったのに料理が残っているという、飲み過ぎるパターンに陥っていますが、「明日は休みだ!。」と自分自身に言い聞かせ、高知の地酒「特純・しらぎく」を追加でお願いします。
しかしきっと、今度は料理が足りなくなるだろうと思い、量が少なく軽い一品だろうと思われる「竹輪焼き」を一緒にお願いします。


3酒目でようやくしっくりきた日本酒と「竹輪焼き」をいただき、最後に「もりそば」をお願いすると、「うちの蕎麦は量が多いので、お酒を飲んだ方には小盛を勧めています。」とのこと。
まぁ、確かにいつもの倍の量を食べて飲んでいるので小盛で十分かな?と思い、お任せして待っているとしばらくして手元に蕎麦が運ばれてきました。

これで小盛?。どこからどう見ても大盛りです。

始めは少々きついかな?と思いましたが、しっかりした歯応えの細麺で、滑らかな喉越しが心地良く、何の迷いも無くガツガツ一気に食べることの出来る美味しい蕎麦でした。
また、蕎麦汁はカツオの出汁が効いていて、飽きの来ないとても美味しい蕎麦汁でした。

食べ終えた頃、ご主人に「足りたでしょ?。」と声を掛けられましたが、いや~、十分過ぎるくらい十分です。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『そば処・蕎菜』さんは、個人的には全体的に薄味という印象ではありましたが、一品料理の品数が多く、特に刺身のラインナップが充実していて、おまけにどれも良心的な価格に設定されているように思います。

また、お店はご主人とおばさんの二人で切り盛りしていましたが、料理を担当しているご主人の活気と丁寧な仕事振り、そしてフロアを担当しているおばさんの人当たりの良さと人柄が好印象で、そんな心地良い雰囲気に包まれながらついつい食べ過ぎ飲み過ぎてしまいますが、酒飲みのサラリーマンが仕事帰りに憩いの一時を過すことのできるお蕎麦屋さんではないかと思います。

またいつの日か、休前日の仕事帰りに、一人憩いの一時を求めて立ち寄ってみたいです。

ごちそうさまでした。腹一杯です。


山里の蕎麦屋『和か菜@葉山』さんの「そば団子」

2013-03-17 23:17:37 | 神奈川県(三浦半島)

横須賀から葉山へと向う山の中の道路沿いには意外とお蕎麦屋さんがあって、交通の便が必ずしも良くはありませんが、中にはいつ行っても混雑している(らしい)お店もあります。

そして桜の花がポツポツと開き始めた穏やかな日曜日、うちの奥さんと二人で田園風景が広がる葉山の山里にある『手打そば・和か菜』さんへ行ってみました。

訪れた方々の訪問記などを事前にインターネットで調べてみると、「いつ行っても混雑している。」、「待たずに入れることが無い。」という声が目に付いたことから早目に家を出て、開店25分前の11:05に到着しましたが、駐車場で車の誘導をしてくれているおじさんに名前と人数と席の希望(テーブル/座敷)を伝えると3番目でした。

開店までは少し時間があるためお店の裏手に広がる棚田を眺めたり、付近に咲いている梅を眺めたりと、山里の風景を楽しみながら時間をつぶしていると、開店5分前に名前が呼ばれ、キビキビと動いている女性の店員さんに案内され、2人席に着きます。

■裏手に広がる棚田。左端の建屋が『和か菜』さんです。■

『手打そば・和か菜』さんは、「胡麻豆腐」と季節の変わり蕎麦「柚子切り」、そして「せいろ」と「芥子切り」と「茶そば」がセットになった「三色(そば)」に人気が集まっているようですが、今日は天ぷらが食べたかったことから「天ぷら盛り合わせ」と「三色(そば)」をいただくことにし、うちの奥さんは「鴨せいろ」をいただくことにしました。

なお、今日は車で来店したことからノンアルコールですが、メニューを見ると、「限定純米吟醸・東北泉」や「純米吟醸冷酒・独楽蔵」といったこだわりの感じられる日本酒が並んでいます。

また、一品料理の欄が「酒友」という名前だったりと、酒飲みの心を揺さぶるメニューではありますが、ほとんどのお客さんが車で来店しているということもあってかノンアルコールのお客さんが多く、蕎麦前を楽しむお蕎麦屋さんというより、純粋に蕎麦を楽しむお蕎麦屋さんという雰囲気です。また、窓からは裏手に広がる棚田を眺めることができ、お蕎麦を食べるための山里のお蕎麦屋さんという感じです。

そんなことを感じながら清潔感の漂う落ち着いた店内を見渡すと、開放感のある高い天井には和の雰囲気が感じられるライトとシーリングファンが取り付けられていてなかなかお洒落です。

そしてしばらくすると「天ぷら盛り合わせ」が運ばれてきました。
和食器に丁寧かつ綺麗に盛り付けられている「天ぷら盛り合わせ」は、ししとう、しいたけ、レンコン、海老、蟹、イカなど具材の種類も多く、食べる前に目で楽しむことの出来る一品で、ほんのり感じられる胡麻油の香りがとても良いアクセントになっていて美味しいです。


追って運ばれてきた「三色(そば)」は、「せいろ」と抹茶の味わいがしっかり感じられる「茶そば」と「芥子切り」の山が並んだ蕎麦で、食べ応えのある蕎麦です。なお、蕎麦汁は少々濃い目ですがスッキリした蕎麦汁でした。


お蕎麦屋さんを訪れる時の多くは、まず料理とお酒を蕎麦前でいただき、最後に蕎麦で締めるという流れですが、今日はお酒をいただいていないということもあり、蕎麦をいただいた後に「そば団子」をいただくことにしました。

「そば団子」は、田舎あんをそばがきでくるみ、その上に黄粉をまぶした団子で、柔らかいのにしっかりとした歯応えのある、甘さ控えめの団子でした。


最後にほうじ茶をいただきながらホッと一息ついていると、順番を待っているお客さんがお店の中だけではなく屋外の庭にもたくさんいることに気付きました。さすがに待っているお客さんがたくさんいるとなるといつまでものんびりしている訳にもいかないため、慌ただしく席を立ちました。

「噂通り混雑がすごいや!。」なんて思いながら帰路に着きましたが、駐車場を出る際にも続々と車がやってくる状況で、あまり時間を掛けずに蕎麦を食べて帰宅する方には良いですが、棚田の広がる山里の風景を眺めながらお酒と料理と蕎麦をのんびり楽しみたい方には、残念ながらもしかしたら不向きなお店かもしれません。

ごちそうさまでした。


『萬寿庵@深川』さんの春を感じる「春の山菜天ぷら」

2013-03-16 23:17:21 | 東京23区(江東区)

河津桜を撮影するために、早朝から東京都江東区にある「木場公園」を訪れ、撮影終了後、蕎麦前をいただくために東京メトロ東西線・門前仲町駅に近い『手打ちそば 深川・萬寿庵』さんへと向いました。

お店に到着したのは開店時間の11:30で、先客はお店の写真を撮影している間に入店した2組のみと、広くゆったりした店内は閑散としている状態でしたが、一人ということもあって10名程度が座れそうな、中央に花が生けられている相席用の大きなテーブル席に案内されます。

席に着いて冊子やカードケースになっているメニューを眺めると、おつまみのページが2ページあって、その他にカードケースになっている「おすすめニュー」があるなど蕎麦前料理が充実しています。

今回は、そんな充実したメニューの中から「玉子焼き」と「あさりのぬた」、そして「おすすめメニュー」から「春の山菜天ぷら」を生ビールと一緒にお願いします。

さほど時間が掛からず運ばれてきた「あさりのぬた」はアサリと葱とわかめの取り合わせで、ピリ辛の味付けがなかなか良い感じです。そして、アサリもたくさん入っていて食べ応えもあり、程良く冷えたビールが進んでしまう美味しい一品です。


続いて登場した「玉子焼き」は色味も綺麗な甘さ控えめの「玉子焼き」で、「あさりのぬた」がまだまだ残ってはいますが、アツアツのうちに一気に美味しくいただいてしまいます。


「玉子焼き」を食べ終えたところでお酒をいただこうと思い、お酒のメニューを見てみると、貴、王禄、五凛といった飲んだことの無い日本酒がズラリと並んでいて、個人的には「そそる品揃え」といった感じです。

「どうしよう。」と少しだけ悩んだ末、「超辛純米・無濾過本生」という肩書きが決め手となって島根県の地酒「王禄」を冷でお願いすると、少々大きめの徳利に入れられて運ばれてきました。メニューには一合と書かれていますが、一合以上入っているという印象です。そして追って運ばれてきた「春の山菜天ぷら」と一緒にいただくと、辛口らしいピリッとした口当たりではありますが、旨味とのバランスも良く、まずまずの日本酒です。

塩でいただく「春の山菜天ぷら」は、蕗のとうなど春らしい青々とした味わいの素材や、竹の子(かな?)など歯応えの良い素材など品数も多く、桜の開花日に春を感じながらいただくに相応しい春らしい料理でした。


「春の山菜天ぷら」と最後まで残っていた「あさりのぬた」を食べ終えたところで「せいろ」をお願いします。

「せいろ」は蕎麦の盛りも多く、少々硬目かな?という印象ではありますが、しかっりした歯応えの感じられる蕎麦で、スルスルっと喉を通っていく喉越しの良い蕎麦でした。また、蕎麦汁は運ばれて来ただけで出汁の香りがプ~ンと薫る蕎麦汁で、蕎麦を引き立てるだけではなく、自分自身をしっかり主張していた美味しい蕎麦汁でした。


今日は朝から穏やかな青空が広がり、河津桜の撮影を行なったり、ここ『手打ちそば 深川・萬寿庵』さんで春らしい蕎麦前と美味しい蕎麦をいただいたりと、目と口で春を感じた充実の1日となりました。

ごちそうさまでした。


『桑名屋@横浜・保土ヶ谷』さんの重箱入り「そば寿司」

2013-03-09 23:49:55 | 横浜市(保土ヶ谷区)

JR保土ヶ谷駅からわずか数分の、ビルの谷間にある『宿場そば・保土ヶ谷宿桑名屋』さん。

歴史を感じる店構えのお蕎麦屋さんは多々ありますが、少々趣の異なる宿場風の店構えです。
『宿場そば・保土ヶ谷宿桑名屋』さんの建屋は、保土ヶ谷が宿場町だった頃に建てられた物ではなく、東海道五十三次「保土ヶ谷宿」の絵の中に「二八」の看板(蕎麦屋?)があったことから、4代目店主が江戸時代の保土ヶ谷宿を再現したく、現在の建屋に建替えたとのことです。

そんなお店に到着したのは開店時間の11時を1~2分過ぎたころでしたが、扉のガラス越しにお店の中を覗いて見ると女の子が座敷の掃除をしていていかにも準備中です。
暖簾が出ていたこともあり、とりあえず確認してみると、「すみません、あと5分くらいです。」とのこと。

まぁ、急いでいる訳でも無く時間もあるのでお店の写真を撮りながら待ちますが、それにしても見れば見るほど良く出来ている建屋です。まるで、宿場町だった頃に建てられた建屋がそのまま現代まで残っているかのようです。

メニューを開いて「安倍川餅」と「みたらし団子」しかなかったらどうしよう・・・。
なんて、そんな雰囲気です。

そして「お待たせしました。」と、掃除をしていた女の子に声を掛けられお店に入ります。
お店に入り、まず靴を脱いで銭湯の下足箱のような、扉に東海道五十三次の宿場名が書かれた大きな下足箱に靴を入れて奥の座敷へ向かいます。

窓の無い座敷には4人掛けのテーブルが4つあり、暗くはありませんが、外部とは完全に遮断された空間で、BGMに昭和初期(?)の歌謡曲が流れているなど、ここがJR保土ヶ谷駅の直ぐ近くということを忘れてしまう、ちょっとした異空間です。


そんなことを感じながらメニューを開くと、写真が添えられている活字の綺麗なメニューで、宿場町のお店を再現したという雰囲気にはちょと似合わない現代風のメニューです。

さて、何をいただこうか。
まずはビールとして、お酒も飲むのか?。地酒は「十四代」か・・・。
馬刺しが美味しいのか・・・。締めは「せいろ」かな?。ならばそこそこ食べても大丈夫かな?。
と、あれこれ悩んだ末、充実した一品料理の中から「そば寿司」と「鴨焼ロース」をお願いします。

まず運ばれてきたのは川崎宿の絵(東海道五十三次の絵ではありません。)が描かれた重箱です。
これって、もしかして日本橋と三条大橋を含めて55個すべてあるのでしょうか?。


重箱に描かれている絵をまずはじっくり眺め、そして蓋を開けてみると中に「そば寿司」が5個入っています。
早速いただいてみると、海苔はしっとりしていて、少々薄味ではありますがまずまずです。


続いて「鴨焼ロース」が美味しそうな香りを漂わせながら登場です。
味付けは濃い目で、黒コショウが効き過ぎかな?。という印象ではありますが、お酒のおつまみにはこれくらいのインパクトがあっても良いのかもしれません。


その「鴨焼ロース」を食べ始めた頃にビールが無くなったのでやはりお酒をいただくことにします。
日本酒は「八海山」、「十四代」、「高清水」というラインナップで、普通に考えると「十四代」ですが、お勧めの「宿場冷酒」(1合525円)という安価なお酒が気になったので、いただいてみることにしました。
また、食欲が黒コショウに刺激されたのか、もう少し蕎麦前をいただきたい感じだったので、壁に貼ってあった「春野菜天ぷら」を一緒にお願いしようと思い女の子を探すと、お店の外で入口の扉を掃除しています。

そういえば、「そば寿司」を食べている時に廊下の雑巾掛けをしていたような?。
もしかして、開店時間の11時にとりあえず暖簾は掛けますが、お客さんが訪れ始めるのはお昼前頃からで、それまでは実質準備中だったりして・・・。お店に入って30分ほど経過していますが、他にお客さんはいないし。

そんなことを考えながら気付いてくれるのを待っていると、人柄の良さそうな女将さんがその様子に気付いてくれてホッと一安心です。
徳利で運ばれてきた注目の「宿場冷酒」というお酒は、もう少し冷たくしたいところではありますが、口当たりまろやかな美味しい日本酒でした。また、「抹茶塩でどうぞ!。」と運ばれてきた「春野菜天ぷら」は、420円という価格を踏まえれば妥当なところでしょうか?。


蕎麦前を楽しみ、そろそろ「せいろ」をいただこうと思いましたが、障子に貼ってあった「桜そば」という張り紙が目に止まったことから「せいろ」ではなく、「桜そば」をいただくことにしました。

小さな蒸篭一段で運ばれてきた「桜そば」(桜切り蕎麦)は、桜の葉を更科粉に打ち込んだということで、麺の所々に緑色のツブツブを見ることができます。その「桜そば」はみずみずしく柔らかいという印象で、長さが短かい(柔らかいので切れてしまう?)ため食べ難いという点はどうしても感じてしまいますが、蕎麦汁に付けずそのままいただくと、ほのかに桜の味わいが感じられ、まずまずの蕎麦と思います。

なお、蕎麦湯は濃い目で美味しくいただきましたが、ポットに入っていて、少々情緒に欠けるようにも思います。
宿場町の雰囲気を前面に出しているお蕎麦屋さんなので、もうひとひねり「らしさ」がほしいところでしょうか?。


最後に会計を済ませる際、女将さんに「お待たせしてしまってすみません。」と何度も声を掛けられました。
最初は、「待たされた?。」と何のことか理解できませんでしたが、開店時のこと(開店時間なのに掃除中で10分程待たされた。)を言っていたようです。

その程度の事はたいした事ではありませんが、そんなちょっとした出来事に対しても、事務的ではなくそっと気を使ってくれる、「古き良き時代」を感じさせてくれるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。