蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『ひさ奈@蒲田・糀谷』さんの出汁の効いた「だしまき」

2016-02-19 20:15:00 | 東京23区(大田区)

「羽田空港に降り立った出張帰りにふらりと立ち寄れるお蕎麦屋さん」を調べていた際に見つけた、京浜急行電鉄空港線・糀谷駅近くにある『粋場蕎麦・ひさ奈』(すいばそば・ひさな)さん。

お店は、こじんまりとした商店街にありますが、そのお洒落な門構えとお店の作りから、町のお蕎麦屋さんでも小料理屋さんでもなく、「しっとりした大人の酒場」という佇まいです。

なお、お店の肩書きにある「粋場」という文字が気になったので、インターネットで「粋」という文字について調べてみると、「粋」という文字は「いき」とも「すい」とも読むことができ、「粋:いき」とは気持ちや身なりがさっぱりとあか抜けていて色気があること、「粋:すい」とは世情や人情に通じものわかりが良くさばけていること、とのことで、読み方によって微妙に意味合いが異なるようですが、外観から感じられる雰囲気の通り、「大人の酒場」といったお店ではないかと思います。


そんな雰囲気の漂うお店に到着し、落ち着きのある外観を撮らせていただいてからお店の扉をそっと開けてみると、20時過ぎという時間もあってか店内に先客の姿は無く、「お好きなところにどうぞ。」との案内だったことから、4人掛けテーブル席をゆったり使わせていただくことにします。

そして、席に着いて早速メニューに手を伸ばしてみると・・・。
オレンジ色のメニューです。そう、目の前に見える厨房の入口に掛けられている暖簾もオレンジ色。お店の入口に掛けれれている暖簾も落ち着いたオレンジ色。更に、差し出された箸の袋もオレンジ色と、オレンジ色を基調とした色使いとなっていて、その理由までは分かりませんが、店内の落ち着いた雰囲気とマッチしていてなかなか良い色と思います。


さて、メニューを開いてみると、蕎麦前の料理はレギュラーメニューを並べた「一品」と刺身を中心とした「本日の馳走」に分かれていたので、両方から一品ずついただこうと思い、とりあえず「あか貝菜の花ぬた」と「だしまき」を瓶ビールと一緒にお願いします。


まず運ばれてきた「あか貝菜の花ぬた」は、味噌の味は控えめで、柚子の香りと赤貝のコリコリ感がなかなか好印象な、日本酒が恋しくなる料理でした。


注文する際、「小さいサイズにもできますが・・・。」と言われてハーフサイズでお願いした「だしまき」は、甘い玉子焼が好きな者にとってはもう少し甘くても良いかな?と思ってしまう玉子焼でしたが、箸を入れると皿にジワリと出汁が溢れ出てくる程出汁の効いた玉子焼で、ハーフにせず普通サイズにすれば良かったと思う旨味タップリの玉子焼でした。


お店は駅から徒歩数分の所にありますが、20時半過ぎということもあってか他にお客さんはおらず、また、お店の前を行き交う人の姿も少ないことから物音一つしない静まり返った空間となっていて、静か過ぎて緊張感を感じてしまうもののたまには一人静かに過ごすのも良いかな?と思い、何だろう?と思った「煮やっこ」とふくよかな旨口が特徴らしい福島県の地酒「純米無濾過原酒7号酵母・あけぼの」を追加でお願いします。


その名前から湯豆腐のような料理かと思った「煮やっこ」は、蕎麦汁(かな?)で煮込まれた温かい料理で、汁の味はあまり感じられませんでしたが、揚げ玉のサクサクした食感がなかなか良い感じでした。

また、福島県の地酒「あけぼの」は、フンワリした甘味が心地良い美味しいお酒でした。


福島県の地酒「あけぼの」が美味しかったのでもう1杯いただこうかと思いましたが、既に21時近くになっていることからのんびりもしていられず、蕎麦をお願いするために再びメニューを広げますが・・・。

テーブルの上に置かれている「御前せいろはゆずきりです」という紹介が美味しそうだったことから、その「ゆずきり」が含まれている「三色せいろ」をいただくことにします。


いただいた「三色せいろ」は、しっかりした歯応えと蕎麦の風味が感じられる「せいろ」と、強過ぎず程良い腰の強さが美味しい荒挽き十割生粉打ちの「いなか」、そして「これは美味い、いただいて良かった!」と素直に思える美味しい季節の変わり蕎麦「ゆずきり」の3つが1つのざるに相乗りしていましたが、いずれの蕎麦も蕎麦汁を付けずにそのままいただいても十分に美味しい蕎麦でした。
なお、適当な辛さと出汁の効いた蕎麦汁もなかなかの美味しさで、納得の「三色せいろ」でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『粋場蕎麦・ひさ奈』さんは、料理にもお酒にもこだわりの感じられる品揃えで、蕎麦も二色や三色、そして基本となるせいろ、いなか、御前せいろ、更には温かいかけやたぬき、きつねにまで小サイズがあるという、美味しい蕎麦前をしっかり楽しんで蕎麦を軽くしたり、蕎麦前を軽くして納得の蕎麦をしっかりいただくなど、どんな状況にも対応できるお蕎麦屋さんでした。


また、店内は清潔感の感じられる、静かにジャズの音色が流れる落ち着いた空間で、出張帰りに疲れを癒しながら一人静かに憩いの一時を過ごすことのできるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『寿美吉@蒲田』さんのお酒が進む「牡蠣の塩辛」

2016-02-06 13:50:00 | 東京23区(大田区)

羽田空港に降り立った出張帰りにふらりと立ち寄れるお蕎麦屋さんが無いか調べていたところ、見つけてしまいました、「昼から飲めます」のお蕎麦屋さん。

まぁ、お蕎麦屋さんは昼間から飲める所と思っていますが、あえてそのことを大々的に掲げているところが何だかとっても興味津々で、ならばぜひ昼間に訪れてみなければと思い、所用で出掛けた土曜日のお昼過ぎ、京浜急行電鉄・京急蒲田駅とJR京浜東北線・蒲田駅のほぼ中間に位置する『蕎麦居酒屋・寿美吉』(すみよし)さんを訪れてみました。


お店に到着したのは昼時を過ぎた間も無く14時という時間でしたが、隣の有名とんかつ屋さんは入店を待つお客さんが長蛇の列を作っています。そして、その長蛇の列をチラリと眺めてから、お客さんの来店を静かに待っている暖簾を潜ってみると・・・。

店内は、右半分が厨房になっていて、左端に2階へ上る階段、中央に店内奥へと向かう通路があるという「なんとなく狭い」という印象のフロアで、その通路に沿って置かれている厨房正面の2人掛けテーブル席はさすがに落ち着かないかな?と思ってしまいましたが、たまたま席が埋まっていたことから、店内最も奥にある小さな中庭の見える4人掛けテーブル席に案内されます。

それにしても、店内のあちこちにお酒を紹介するポスター等が所狭しと貼られていて、お蕎麦屋さんというよりまるで居酒屋のようです。


席に着いて、早速、お酒と料理をお願いしようと思い、いくつか用意されているメニューをあれこれバタバタしながらめくり、とりあえず、瓶ビールと一緒におすすめの「玉子焼き」をお願いして、ホッと一息ついたところで再びメニューをパラパラとめくります。


メニューは、料理のメニュー、焼酎のメニュー、蕎麦のメニューなど、「昼間から飲めるそば屋」に相応しい充実した内容になっていて、その中の「本日の献立」というメニューに「鶏・サメ軟骨の梅肉和え」(梅水晶)を発見したことから、ビールが運ばれて来た時に追加でお願いします。


さほど待つことも無く、まず「鶏・サメ軟骨の梅肉和え」(梅水晶)が運ばれてきましたが、写真を撮り終え食べ始めた頃に「玉子焼き」も運ばれてきたので、まずは温かい「玉子焼き」からいただくことにします。

見た目も美しい「玉子焼き」は、控え目な甘さ具合が程良く、大根おろしを添えずに玉子焼だけを食べても十分に美味しいですが、醤油をかけた大根おろしを添えるとより美味しくいただける玉子焼でした。


玉子焼を食べ終えたところでビールが空になったので、「本日のおすすめ、地酒」というメニューから、見たことも聞いたことも無い宮城県の地酒「純米吟醸新酒無濾過生原酒・山和」という、好みにピッタリマッチした完璧な肩書きの日本酒をお願いします。


お気に入りの酒肴でもある「鶏・サメ軟骨の梅肉和え」(梅水晶)は、コリコリ感と強めのスッパさが感じられますが、旨味のある日本酒との相性も良く、食欲ではなく「飲欲」を刺激するまずまずの料理でした。

また、初めて口にする「山和」は、スッキリ爽やかな味わいでありながら優しい旨味が感じられ、美味しいお酒に出会うことができたと、高い満足感を得ることのできたとても美味しい日本酒でした。


そろそろ蕎麦をいただこうかな?と思う腹具合ではありますが、居心地が良く、メニューの中に気になって仕方のない料理とお酒があったことから、もう楽し蕎麦前を楽しませていただこうと思い、宮城県産の牡蠣で作った「牡蠣の塩辛」と同じく宮城県の地酒「吟醸うすにごり生原酒・日高見」を追加でお願いします。


初体験の「牡蠣の塩辛」は、イカの塩辛や酒盗から想像した姿とは全く異なる、牡蠣を固くしてスライスしたような姿でしたが、よく冷えていて、冷たくコリコリした食感と生々しい味わいがクセになる、日本酒がついつい進んでしまうとても美味しい料理でした。

また、よ~く見てみると、確かにほんのり薄く濁っているように見える「吟醸うすにごり生原酒・日高見」は、華やかで穏やかな旨味が美味しい、思わず「旨い!」と唸ってしまいたくなる旨さの日本酒でした。


後から訪れた馴染みのお客さんらしい御夫婦が、お酒と料理をいくつか注文した際、「最後にお蕎麦食べますから(笑)。」とあえて伝えていたように、確かに、蕎麦を食べずに料理とお酒だけで満腹にしたいという思いが湧き上がってきますが、やはり最後は蕎麦で〆ようと思い「もり」をお願いします。

いただいた蕎麦は、腰のある蕎麦で、やや甘口ながらも出汁の効いた蕎麦汁にしっかり付けて美味しくいただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦居酒屋・寿美吉』さんは、「昼間から飲めるそば屋」を特長としていることから、お蕎麦屋さんというより居酒屋という印象の方が強いかと思いましたが、美味しい料理とお酒をいただくことのできる、普通の町のお蕎麦屋さんでした。

また、2階ではいくつかのグループが宴会を行っていてお店は忙しそうでしたが、だからと言って対応が悪かったり料理に時間が掛かったりすることも無く、花番さんの手馴れたそつの無い接客も好印象で、看板に偽り無しの、昼間から気分良く美味しい料理とお酒をいただくことの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。