所用のため休暇を取った平日の午後、昼食を取るためにJR山手線・目黒駅から程近い『手打ちそば・小菅』さんを訪れてみることにしました。
お店は、様々な店舗が多々軒を並べている権之助坂の途中にありますが、ビルの地下にあることから道路沿いにはお店に向かう階段の入口しかなく、分かり難いということはありませんが、人混みを避ける事に集中しているとうっかり見過ごしてしまいそうです。
ということで、早速お店に向かう階段を降りて行くと、掛軸のような大きな青い幡の下がった、そこが地下であることを忘れてしまう立派な入口が迎えてくれます。
そして、綺麗なガラスの扉を開けて、更に数段の階段を下りてフロアに降り立ってみると、先客はテーブル席を利用している女性2人組のお客さんが2組のみと、いかにも「平日の昼食時を終えたお昼過ぎ」というホッと一息ついた雰囲気が感じられます。
そんな、静かで落ち着いた雰囲気の中、案内されたカウンター席に着いて目の前に置かれているメニューに手を伸ばしてみると、蕎麦とお酒のメニューはありますが一品料理のメニューはありません。
もしかして、平日のお昼はお酒NGなのかな?と思い、お酒をいただいても良いか確認したところ、笑顔で「どうぞどうそ」とのこと。その一言にホッと胸をなでおろし、島根県の地酒「純米酒・豊の秋」をお願いすると、何かつまみますか?と料理のメニューを出してくれます。
やはり平日のお昼はお酒NGなのかな?と思いながら、「蕎麦の芽と長芋のサラダ」と空腹を満たしてくれるであろう「合鴨の陶板焼き」をお願いします。
まずいただいた「蕎麦の芽と長芋のサラダ」は、蕎麦の芽のシャキシャキ感がなかなか良い感じですが、埋もれている千切り状に切られた長芋のヒンヤリしたシャクシャク感がとても美味しく、スッキリした味わいながら旨味の感じられる「純米酒・豊の秋」と併せて、気分の良い蕎麦前開始となりました。
追ってカウンター越しに差し出された「合鴨の陶板焼き」は、空腹には嬉しい食べ応えのある鴨肉料理で、添えられていた葱の甘味と素材の味が生かされたインゲンがとても美味しく、正直、少々高額かな?という印象を感じたものの、それに見合った満足度の高い鴨焼きでした。
時刻は14時近くとなり、先客もお店を出てしまい、静まり返った店内のカウンター席に一人取り残された感じで何となく気まずさを感じてしまいますが、もう少し蕎麦前をいただきたいと思い、石川県の地酒「純米酒・黒帯」と「田舎大根」を追加でお願いします。
京都の聖護院大根で作ったという「田舎大根」は、注文する時に奥さんから「大きいですよ」ということは伺っていましたが、想像を超える大きさで、写真ではその大きさが分かりませんが、大きいです。
そして、その大きな大根を一口いただいてみると、控えめな味わいに上品さが感じられ、ついついお酒が進んでしまう美味しさです。
そのようなこともあり、「純米酒・黒帯」がサッサと空になってしまったので、お蕎麦屋さんで見掛けることの多い栃木県の地酒「本醸造・四季桜」を追加でいただきましたが、この四季桜、本醸造でありながら吟醸酒のような旨味が感じられ、満足度が高いです。
ちなみに、人当たりの良い女将さんの話では、1つの聖護院大根から2切れ(2人分)しか作れない大根料理とのことで、希少な料理をいただくことができたようです。
さて、蕎麦前で「合鴨の陶板焼き」と大きな「田舎大根」をいただいたことから満腹に近い状態ではありましたが、最後に「せいろ」をいただいて、今日の蕎麦前と蕎麦を締めました。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打そば・小菅』さんは、初対面でありながら気さくに言葉を交わすことの出来る、サッパリしながらも丁寧さの感じられる奥さんの接客がとても好印象で、「平日の午後」というとっても贅沢な時間を気分良く過ごすことが出来ました。
また、一つ一つ丁寧に心を込めて作っていることが伺える、レベルの高い美味しい料理をいただくことの出来るお蕎麦屋さんで、お店を出る際、厨房から出口に顔を向けて元気良く「ありがとうございました!」と言ってくれるご主人の姿もこれまた好印象で、高い満足感を抱きながら気分良くお店を出ることができました。
ごちそうさまでした。