蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『小菅@目黒』さんの食べ応えのある「田舎大根」

2016-11-30 13:35:00 |  東京23区(目黒区)

所用のため休暇を取った平日の午後、昼食を取るためにJR山手線・目黒駅から程近い『手打ちそば・小菅』さんを訪れてみることにしました。

お店は、様々な店舗が多々軒を並べている権之助坂の途中にありますが、ビルの地下にあることから道路沿いにはお店に向かう階段の入口しかなく、分かり難いということはありませんが、人混みを避ける事に集中しているとうっかり見過ごしてしまいそうです。

ということで、早速お店に向かう階段を降りて行くと、掛軸のような大きな青い幡の下がった、そこが地下であることを忘れてしまう立派な入口が迎えてくれます。

そして、綺麗なガラスの扉を開けて、更に数段の階段を下りてフロアに降り立ってみると、先客はテーブル席を利用している女性2人組のお客さんが2組のみと、いかにも「平日の昼食時を終えたお昼過ぎ」というホッと一息ついた雰囲気が感じられます。


そんな、静かで落ち着いた雰囲気の中、案内されたカウンター席に着いて目の前に置かれているメニューに手を伸ばしてみると、蕎麦とお酒のメニューはありますが一品料理のメニューはありません。


もしかして、平日のお昼はお酒NGなのかな?と思い、お酒をいただいても良いか確認したところ、笑顔で「どうぞどうそ」とのこと。その一言にホッと胸をなでおろし、島根県の地酒「純米酒・豊の秋」をお願いすると、何かつまみますか?と料理のメニューを出してくれます。

やはり平日のお昼はお酒NGなのかな?と思いながら、「蕎麦の芽と長芋のサラダ」と空腹を満たしてくれるであろう「合鴨の陶板焼き」をお願いします。


まずいただいた「蕎麦の芽と長芋のサラダ」は、蕎麦の芽のシャキシャキ感がなかなか良い感じですが、埋もれている千切り状に切られた長芋のヒンヤリしたシャクシャク感がとても美味しく、スッキリした味わいながら旨味の感じられる「純米酒・豊の秋」と併せて、気分の良い蕎麦前開始となりました。


追ってカウンター越しに差し出された「合鴨の陶板焼き」は、空腹には嬉しい食べ応えのある鴨肉料理で、添えられていた葱の甘味と素材の味が生かされたインゲンがとても美味しく、正直、少々高額かな?という印象を感じたものの、それに見合った満足度の高い鴨焼きでした。


時刻は14時近くとなり、先客もお店を出てしまい、静まり返った店内のカウンター席に一人取り残された感じで何となく気まずさを感じてしまいますが、もう少し蕎麦前をいただきたいと思い、石川県の地酒「純米酒・黒帯」と「田舎大根」を追加でお願いします。


京都の聖護院大根で作ったという「田舎大根」は、注文する時に奥さんから「大きいですよ」ということは伺っていましたが、想像を超える大きさで、写真ではその大きさが分かりませんが、大きいです。

そして、その大きな大根を一口いただいてみると、控えめな味わいに上品さが感じられ、ついついお酒が進んでしまう美味しさです。

そのようなこともあり、「純米酒・黒帯」がサッサと空になってしまったので、お蕎麦屋さんで見掛けることの多い栃木県の地酒「本醸造・四季桜」を追加でいただきましたが、この四季桜、本醸造でありながら吟醸酒のような旨味が感じられ、満足度が高いです。

ちなみに、人当たりの良い女将さんの話では、1つの聖護院大根から2切れ(2人分)しか作れない大根料理とのことで、希少な料理をいただくことができたようです。


さて、蕎麦前で「合鴨の陶板焼き」と大きな「田舎大根」をいただいたことから満腹に近い状態ではありましたが、最後に「せいろ」をいただいて、今日の蕎麦前と蕎麦を締めました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打そば・小菅』さんは、初対面でありながら気さくに言葉を交わすことの出来る、サッパリしながらも丁寧さの感じられる奥さんの接客がとても好印象で、「平日の午後」というとっても贅沢な時間を気分良く過ごすことが出来ました。

また、一つ一つ丁寧に心を込めて作っていることが伺える、レベルの高い美味しい料理をいただくことの出来るお蕎麦屋さんで、お店を出る際、厨房から出口に顔を向けて元気良く「ありがとうございました!」と言ってくれるご主人の姿もこれまた好印象で、高い満足感を抱きながら気分良くお店を出ることができました。

ごちそうさまでした。


『深川しまだ@東京・門前仲町』さんの「鴨ねぎ棒焼き」

2016-11-26 14:15:00 | 東京23区(江東区)

所用で葛西へ出掛けたその帰り道、遅い昼食を取るために東京メトロ東西線・門前仲町駅真上ある『純手打うどんそば・深川しまだ』さんに立ち寄ってみました。

お店に到着したのは14時過ぎで、さすがに混雑していないだろうと思いながら引き戸を開けてみると、4人掛けテーブル席が8席ほどある店内に先客の姿は2人組2組と閑散としており、BGMとなっているTV中継や壁に掛けられた多数のお品書きから、肩肘張らない気さくさが感じられます。

ということで、席に着いてまずお酒を決めますが、今日も初めから日本酒をいただこうと思い、カードケースのメニューと壁に貼られているメニューの両方を眺め、岩手県の地酒「純米酒・月の輪」をお願いします。


続いて料理を選びますが、料理もカードケースのメニューと壁に掛けられているお品書きの両方があり、あれこれ悩んだ結果、「鴨ねぎ棒焼き」と「里芋とイカの田舎煮」をお願いすることにします。


サッパリした味わいの「月の輪」をいただきなながら再び壁に掛けられているお品書きを眺めてみると、「金土日限定のかつ煮か…」、「肉豆腐のキムチトッピングも魅力的だな・・・」、「寒いので湯豆腐もいいな…」と、あれもこれもいただきたいと思ってしまう料理が多数並んでいます。


先に運ばれてきたのは「鴨ねぎ棒焼き」で、早速いただいてみると、その名前の通り鴨肉に葱を混ぜてつくね状にした物を串に刺して焼いたような料理で、柔らかさといい、温かさといい、何ら不満の無い思わず唸ってしまうほど美味しい一品でした。


「鴨ねぎ棒焼き」の後を追うように運ばれてきた「里芋とイカの田舎煮」は、やや甘めの味付けなのかな?という感じでしたが、温かさが嬉しい素朴な料理でした。


空いた店内で、BGMとなっているTVの競馬中継をぼんやり眺めながらしばしくつろぎ、「純米酒・月の輪」が無くなったところで青森県の地酒「特別純米・陸奥八仙」と、ホワイトボードに手書きで書かれていた「アスパラ」を天婦羅でお願いします。

予想以上に大きいアスパラを使用した「アスパラの天婦羅」は、香りも良く食べ応えのあるアスパラでしたが、さすがに季節が過ぎてしまったのか、もう一歩旨味がほしいかな?というアスパラでした。

なお、一緒にいただいた「陸奥八仙」」は、辛口ながらほんのり感じられる穏やかな旨味が心地良く、期待通りの美味しい日本酒でした。


さて、居心地も良く、まだまだいただきたい料理が多数ありますが、最後に少々硬めで平打ちの蕎麦を「せいろ」でいただき、今日の蕎麦前と蕎麦が終了となりました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『純手打うどんそば・深川しまだ』さんは、ご主人らしき元気の良い年配男性が接客に当たっていましたが、一人で訪れた若い女の子にも、同じく一人で訪れたお年寄りの方にも親切丁寧で、見ていて気持ちの良い、その人情味溢れる接客がとても好印象でした。

また、そんな人情味溢れる接客と併せて下町風情の感じられる雰囲気が心地良く、気兼ねすること無く美味しい料理を肴にお酒をいただくことのできる、みんなの町のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『花乃蕎麦@日本橋・堀留町』さんの甘い「千住ねぎ天」

2016-11-07 18:10:00 | 東京23区(中央区)

東京・大手町での仕事を終え、てくてくと歩いて人形町へ。

向かったのは、女性店主が打った蕎麦をいただくことのできる『生粉打ち・花乃蕎麦』さんで、予定よりも少し遅い時間となってしまったためやや焦りながら最初の自動扉を開け、足元が明るく照らされた小道(?)を数歩進み、席が空いていますように!と祈りながら2つ目の引き戸を開けてみると・・・。

ファミリーレストランのようなベンチシートの4人掛けボックス席が4つと、小上がりの座敷が1卓という、けして広くはないものの、天井が高いということもあってか明るさの感じられるフロアが目の前に広がります。

そして、花番さん(女将さん?)に一人であることを伝えると、明るい笑顔でどうぞどうぞと店内奥の4人掛けテーブル席を案内してくれますが、4つあるテーブル席のうち既に3つが埋まっていて、最後のテーブル席を1人で使わせていただくことに何となく申し訳ないという思いを感じてしまいます。

席に着き、まずはお酒のメニューを開いてみると、日本酒は「生」、「本醸造」、「純米吟醸」、「特別純米」、「大吟醸」が各1銘柄ずつという選び易いメニューで、いつもなら「生」に始まり、おかわりで「純米吟醸」をいただくところではありますが、今回は日頃選ばない「特別本醸造」をまずいただいてみることにします。


料理は、どうしようかな?と迷った末に、時間の掛かりそうな「千住ねぎ天」と括弧書きの「そばの若菜」という言葉が決め手となって「花乃サラダ」をいただくことにします。

しかし、「今日は良いトマトが無かったのでサラダはできない」とのこと。
できない物は仕方が無いので、早くできる料理は何かを尋ねると、日本橋の老舗蒲鉾店「神茂」(かんも)さんの蒲鉾を使用した「板わさ」か「蕎麦味噌」とのことなので、「蕎麦味噌」をお願いすることにします。


まず運ばれてきた静岡県の地酒「特別本醸造・磯自慢」は、やや甘目でしたが、穏やかな味わいと日本酒らしい旨味の感じられる日本酒でした。

また、少々時間を要した花特製の「蕎麦味噌」は、何か具材が練り込まれているのか、所々にしっかりした歯応えの感じられる、甘辛具合も程良い「蕎麦味噌」で、「磯自慢」がついつい進んでしまいます。


時間が掛かるかと思いましたが、それ程待つことも無く運ばれてきた「千住ねぎ天」は、葱の甘味が感じられるふっくらした食感で、岩塩なのかほんのりピンク色に見える塩がテーブルの上に置かれていましたが、塩も天汁も不要な、そのままで十分に美味しい「千住ねぎ天」でした。


料理もお酒も残り少なくなりましたが、まだまだ料理とお酒をいただきたい腹具合だったことから、福井県の地酒「純米吟醸・黒龍」と一緒に、「花特製出し巻き卵」と、どんな料理なんだろうか?と思った「わいんらっきょ」を追加でお願いしますが・・・。

「(らっきょは)漬かっていないのでまだ出せない。あと1週間くらい掛かる」とのこと。
ということで、信州の名産「塩いか」をお願いしたところ、「入荷していない」とのこと。

結局、「花特製出し巻き卵」と「桜エビの素揚げと辛味大根」をいただくことにしましたが、最初にお願いした「花乃サラダ」も無かったし、メニューには書かれているけどできない料理もあるようです。

追加でいただいた「桜エビの素揚げと辛味大根」は、量の多さに驚いてしまいましたが、海老の甘味とカラッとした食感が美味しいです


最後にいただいた「花特製出し巻き卵」は、色ムラも焦げ目も無く、丁寧に心を込めて作られたということが感じられるとても綺麗な姿です。そして、柔らかい食感と甘目の味付けに加え、トロリとした卵独特の生々しさが感じられ、なかなか美味しい旨味タップリの玉子焼でした。


さて、最後の玉子焼で腹八分目を越えてしまいましたが、やはり蕎麦はいただきたいので「せいろ」(二段盛り)をお願いします。

目の前に置かれた二段盛りの蕎麦(大盛りは三段盛り)は、「少々太さにバラツキがあるのかな?」という印象と併せて、「もちろん残さずいただくけど、苦しくなりそう」という感じでしたが、いざいただいてみると、滑らかで喉越しが良く、苦労することも無くツルツルっと一気に食べ切ってしまいました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『生粉打ち・花乃蕎麦』さんは、人当たりの柔らかい一生懸命な接客がなかなか好印象な、美味しい料理をいただきながら、仕事の疲れを癒してくれる温かみと心遣いの感じられる優しいお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。