蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『鷲ひら@相模原』さんの自然卵で作った「だし巻き玉子」

2015-04-30 13:05:00 | 神奈川県(相模原市)

昨年のゴールデンウィークに、「一度は訪れてみたい神奈川のお蕎麦屋さん巡り」と題して神奈川県のお蕎麦屋さんをいくつか訪れましたが、都合が合わず訪れることが出来なかったお蕎麦屋さんがあります。

もちろん、通常の週末に訪れることの出来るお蕎麦屋さんであることから連休明け直ぐに訪れることも可能でしたが、「いずれそのうち」と思っているうちに1年が経過してしまい、昨年の継続という形で今年のゴールデンウィークに訪れてみることにしました。

訪れたのはJR横浜線・相模原駅から徒歩7~8分程のところにある『志趣饗粋 蕎麦・鷲ひら』さんで、連休中とはいえ平日13時過ぎということもあってか混雑はしておらず、「空いてて良かった!。」と思いながら大きなテーブル席に座ると、「お水と蕎麦茶のどちらになさいますか?。」と奥さんに声を掛けられます。その一言に昼はお酒NGなのかな?と不安が頭をよぎりましたが、確認してみると大丈夫とのこと。

ということで、気持ちも新たに分厚い冊子になっているメニューを広げ、お勧めの、時間をかけて骨まで柔らかく煮た「にしんの棒煮」と七国峠の自然卵を使用した「だし巻き玉子」をいただくこととし、お酒は、素晴らしいラインナップの中から神奈川県の地酒「純米吟醸・相模灘」をお願いします。


喉にヒリヒリと来る辛さでありながら、箸の止まらない「青唐辛子の麹漬け」(お通し)を肴に旨味タップリの「相模灘」をいただいていると、まず「にしんの棒煮」が運ばれてきます。

その、肉厚の鰊を早速一切れいただいてみると、ほんのり暖かく、噛まずに食べることが出来そうな程の柔らかさでとても美味しいです。


続いて、思ったほど待つことも無く「だし巻き玉子」が運ばれてきましたが、見た目も綺麗で、玉子焼の中からにじみ出てきたのか器の中に出汁がタップリ溢れていて、見ただけで美味しそうです。

そして、その玉子焼を一切れいただいてみると、個人的にはもう少し甘い方が好みかな?という甘さ具合ではありますが、柔らか過ぎないふんわり具合と甘さ加減が絶妙で、何も言うことの無い玉子焼です。


酒良し、料理良しの蕎麦前に満足したところでそろそろ蕎麦をいただこうかと思いましたが、ポツポツと訪れるお客さんの多くが天婦羅を注文しており、その様子を見てついつい天婦羅がいただきたくなってしまったことから、山梨県産の天然山菜を使用した「天然山菜の天ぷら盛合せ」と山形県の地酒「雄町純米 辛口・東北泉」を追加でお願いすることにします。

抹茶塩とともに運ばれてきた山菜の天婦羅盛合せは驚くほど充実した内容で、ベタベタせずカラッと揚がっていて、食べ応えのある美味しい天婦羅でした。

なお、山菜の天婦羅盛合せと一緒にいただいた「東北泉」は、悪くはありませんが、旨味のある「相模灘」の次にいただいたこともあって、正直、少々物足りなさを感じてしまうほどスッキリした味わいでした。


さて、そろそろ昼営業の終了時間が近づいてきたことから「せいろ」をお願いします。

いただいた「せいろ」は、見た目も上品で、何の抵抗感を感じることも無くツルツルっといただくことのできる滑らかな喉越しがなかなか好印象で、穏やかで控えめな辛さの蕎麦汁に絡めて美味しくいただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『志趣饗粋 蕎麦・鷲ひら』さんは、定番料理の他に四季それぞれの酒肴や天婦羅があるなど料理が多彩で、メニューも複数ページに跨っていることから何をいただこうか選ぶにも一苦労しますが、それがまた楽しい悩みであり、素晴らしい日本酒のラインナップと併せて充実した蕎麦前をのんびり楽しむことの出来るお蕎麦屋さんでした。

また、お酒が無くなってしまいどうしようか迷っていると「お飲み物大丈夫ですか?。」と声を掛けてくれたり、「東北泉」を持ってきてくれたときに天婦羅は時間が掛かるかな?と思っていると「天婦羅、今作ってます。」と声を掛けてくれるなど、心のつぶやきを読み取ってくれる、かゆい所に手が届くきめ細かな接客も好印象で、充実した憩いの一時を過ごすことの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。

なお、お店の前が駐車場になっていて、到着時は満車で外観の写真は撮れず、帰宅時は車が出て行くのを待っていたら暖簾をしまわれてしまい、暖簾無しお店写真となってしまいました。う~ん、失敗です。


『鎌倉@大船』さんの大きな「だし巻玉子」

2015-04-12 11:05:00 | 神奈川県(鎌倉市)

今年の春は公私ともに何だかとても忙しい・・・。

ということで、久しぶりにのんびり出来る日曜日が訪れたことから、JR東海道本線・大船駅から徒歩15分程度のところにある『手打そば・鎌倉』さんの暖簾を潜ってみることにしました。

お店に到着して早速扉を開けてみると、以前は座敷席のみだったらしい畳のフロアが目の前に広がります。
そして靴を脱いで、先客のいない畳のフロアに上がって4人掛けのテーブル席に着きます。

靴を脱いで座敷に上がり、ちゃぶ台ではなく椅子のあるテーブル席で料理をいただくというスタイルはけして珍しくはありませんが、この、「靴を脱ぐ」&「椅子席」の組み合わせって、足が疲れることも無く、ゆったりくつろぐことが出来るので、とても好きなスタイルです。


さて、まずは蕎麦前をいただこうと思い、一人静かに落ち着いた雰囲気に浸りながらメニューを眺め、「心を休ませてくれる」という一言が沿えられている「たる酒・菊正」(菊正宗?)と「だし巻玉子」をお願いします。


お酒と料理をお願いし、メニューや店内の様子を眺めていると目の前にお盆が置かれます。

お~!、そうきましたか。

目の前に置かれたお盆の上には、升に注がれた菊正宗を中心に粗塩と「えのきおろし」と「芹のお浸し」が並べられていて、蕎麦前はこれだけで十分だったかな?という嬉しい一品となっています。

そして、まず菊正宗を一口いただいてみると・・・。
お~!!、冷え具合も程良く、スッキリした辛口が旨いです。

続いて「芹のお浸し」をつまんでみると・・・。
お~!!!、ほんのり感じる苦味と青々しさがとても美味しく、冷えた菊正宗が進んでしまいます。

「お酒は一杯だけ」と決めているならば、これだけで十分楽しめる菊正宗のセット(?)になっていて、これで600円はとてもお得な内容ではないかと思います。


さて、菊正宗をいただきながらくつろいでいると、「だし巻玉子」が目の前に置かれます。
写真を撮る際、対比できるものを入れて写さなかったので大きさは分かりませんが、かなりデカイです。

その、大きな玉子焼を一ついただいてみると・・・。
味わいと甘さは控えめで、外はカリカリだけど中は柔らかいという、厚揚げのような食感です。
それにしても大きな玉子焼で、食べても食べてもなくならない感じです。


十分な量と内容の蕎麦前をいただいたことから料理もお酒も追加せず、そろそろ蕎麦をいただこうと思い再びメニューを広げてみると、基本の「せいろそば」(二八?)の他に、田舎や御膳、更には季節の変わり蕎麦まであってなかなか充実した品揃えではありますが、う~ん、「せいろそば」が1300円ですか・・・。

でもまぁ折角なので、「三色そば」(2000円ですが)をいただいてみることします。


まず最初に運ばれてきたのは「田舎」で、歯応えも良く、いかにも蕎麦を食べているという風味と味わいが感じられまずまずです。それにしても量が多く、普通の1人前以上あるように思います。


続いて運ばれてきたのは「柚子御前そば」で、柚子の香りがしっかり感じられなかなか美味しいです。
それにしても量が多く、2枚目で既に「もう十分」という状態です。


そして最後に「せいろそば」が運ばれてきましたが、最後は頑張って食べたという感じでしょうか?。

メニューを見た際、三色で2000円は正直少々高額かな?という印象でしたが、1枚1枚の蕎麦はそれぞれ普通盛り以上の量で、1枚650円の蕎麦が3枚と考えれば納得の価格のように思います。

なお、メニューには「各大盛り200円増し」とありましたが、元々の量が多いと想像できるので、多くの場合は普通盛りでも十分ではないかな?と思います。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打そば・鎌倉』さんは、全てが大盛りサイズでしたが、量による満足感だけでは無く、接客にもお店の雰囲気にも満足感を感じることの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『室町砂場赤坂店@赤坂』さんの季節の一品「筍土佐煮」

2015-04-04 10:55:00 | 東京23区(港区)

うちの奥さんと二人で、ラグビーの試合を観戦するために東京・青山へと向かうその途中、東京メトロ千代田線・赤坂駅近くにある『室町砂場赤坂店』さんへ立ち寄って昼食を取ることにしました。

立ち寄った『室町砂場赤坂店』さんは、日本橋にある「室町砂場」さんの支店で、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)創業の、「赤坂」という都心にありながら風情の感じられるお蕎麦屋さんです。

お店は、開店と同時にアッと言う間に席が埋まってしまうことも考えられるため、午前11時の開店時間前に到着するよう向かいましたが、お店に到着すると既に開店を待っているお客さんの姿が見えます。
そして、その様子に「へぇ~、さすがだ。」なんて思いながら開店を待っていると、少し早めに暖簾が掛かり、店内へと案内されます。

店内は、大小併せて4つのテーブル席と4人掛けの座敷席が4卓というこじんまりとした作りになっていて、珍しくテーブル席にしようか座敷席にしようか迷っていると、花番さんからお座敷を勧められたので2人して店内奥の座敷席に着き、ホッと一息ついて早速メニューを眺めます。

まず飲み物ですが、今日はビールだけでお酒は飲まない予定なので大瓶のビールをいただくこととし、料理は定番メニューから「玉子焼」と「焼き鳥(たれ)」をお願いし、併せて壁に貼られていた季節の料理(?)から「筍土佐煮」をお願いします。


料理を待ちながら店内を見渡してみると、昨年改装されたということもあってか、無駄と余計な物のないスッキリした店内はサッパリ綺麗で、趣のある落ち着いた雰囲気が感じられなかなか心地良いです。

さて、お通しのアサリを肴にビールをいただいていると、思いのほか早く「玉子焼き」が運ばれてきます。
いただいた「玉子焼き」は、フンワリフワフワという程フワフワではありませんが、ほんのり感じられる甘さ具合が申し分なく、何も言うことの無い見事な玉子焼でした。


壁に貼られていたメニューから選んだ「筍土佐煮」は、個人的にはもう少し、シャクっとした歯応えがあっても良いかな?と思ってしまう程柔らかく煮込まれていて、少々薄めの味わいもなかなか良く、菊正宗が欲しくなってしまう美味しい「筍土佐煮」でした。


続いて運ばれてきた「焼き鳥(たれ)」は、串に刺さっていないお蕎麦屋さんならではの焼き鳥で、やや大きめの鶏肉に甘辛いタレがしっかり絡まっていて、やっぱり菊正宗をいただこうかな?と心が揺れ動いてしまう美味しい焼き鳥でした。


お願いした料理をいただいたところで蕎麦をいただこうかと思いましたが、珍しくビールがまだ残っていたので、直ぐに出てくるであろう「うめくらげ」を追加でお願いします。

追加でいただいた「うめくらげ」は、まぁ、普通と言ってしまえば普通かもしれませんが、クニュっとした食感と爽やかな梅の酸味がなかなか良い感じでした。


さて、蕎麦をお願いするタイミングとなり、うちの奥さんはお馴染みの「天もり」をお願いします。
『室町砂場赤坂店』さんの「天もり」は、「もりそば+天麩羅」では無く、かき揚げの入った暖かい蕎麦汁に蕎麦を付けていただくスタイルで、天婦羅の旨味が絡まった味わい深い蕎麦汁を楽しむことができます。


ということで、今回はうちの奥さんと同じく「天もり」をいただこうかと思いましたが、老舗のお蕎麦屋さんで蕎麦をいただく時は基本の「もり」をいただきたいと思っていることから、やはり「もり」をお願いすることにします。
しかし、老舗のお蕎麦屋さんを訪れた時は「花まき」をいただきたいという思いも強く、どうしようか迷った結果、後になって後悔しないよう両方いただくことにします。
まぁ、気にはしていない価格の話をするならば、「もり+花まき < 天もり」だし・・・。

まずいただいた「もり」は、しっかりした旨味の感じられる濃い目の辛汁と、程良い歯応えの蕎麦との相性がとても良く、「美味しい、美味しい」と思いながら一気に食べてしまいました。


また、絶妙の間合いで運ばれてきた「花まき」は、蓋が無かったことから、蓋を開けた時にフワッと香る海苔の香りを楽しむことは出来ませんでしたが、蕎麦汁に浸っていてもフニャフニャにならないしっかりした海苔の香りと味わいがとても美味しい納得の「花まき」でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『室町砂場赤坂店』さんは、赤坂という場所柄、「会社員と年配の方を中心とした大人が集う場所」というイメージのお蕎麦屋さんでしたが、いざ暖簾を潜ってみると、土曜日ということもあってか店内に会社員の姿は無く、代わりに、予想もしなかった若い男女のお客さんがとても多いという、明るく賑わっているお蕎麦屋さんでした。

そして、お酒のお客さんにも、お蕎麦のお客さんにも、若い男女のカップルにも、外国人のお客さんにもそつなく対応している花番さんの、余裕すら感じられる落ち着きと穏やかな接客に居心地の良さが感じられる、どんなお客さんにも満足してもらえるお蕎麦屋さんでした。

まぁ、老舗であることを感じさせない、老舗の実力がしっかり感じられるお蕎麦屋さんってとこでしょうか?。

ごちそうさまでした。